原発のシステムも判らず原子炉爆発を唱えた?金属材料学が専門の教授、原発悪のレッテルを貼ろうとしているNHK
昨夜のNHKで「原子炉が壊れる?老朽原発に忍び寄るリスク」と言うおどろおどろしいキャツチコピーのような放送がありました。
その内容の一部はNHKの「玄海原発劣化問題 継続審議に」の記事を引用しました。
玄海原子力発電所の1号機で、原子炉の劣化が予測よりも早く進んでいる可能性が指摘されていたのに対し、国の原子力安全・保安院は29日、「原子炉の健全性は保たれている」などとする報告書を取りまとめる予定のところ、反対する意見が出たため審議を続けることになった。。
原子炉の劣化の進み具合を判断するため、原子炉から取り出した監視用の金属片を分析したところ、計算上の予測よりも劣化が早く進んでいることを示唆するデータが得られ、国の原子力安全・保安院が専門家会議で検証を進めてきた。
報告書案によると原子炉の製造時の記録や、原子炉から取り出した金属片を電子顕微鏡で調べた分析結果などから、原子炉が異常に劣化するような証拠は見つからなかったとした。予測がずれたのは、予測に使った計算式の精度が十分でなかった可能性があるとした。
12回目の専門家会議で、保安院は当初、29日の会合で「原子炉の健全性は十分保たれている」とする報告書を取りまとめる予定だったが、委員の1人が「予測が外れている以上、健全性の判断は慎重にすべきだ」などと、報告書の取りまとめに強く反対したため審議を続けることになった。
・放射線による「中性子ぜい化」とは鋼鉄で出来た原子炉の材料が放射線でもろくなる現象で、原子炉の材料の鋼は、粘り強さがあり簡単には壊れないが中性子が当たると、もろくな。中性子の量が多ければ多いほど大きくなるため、長く運転した原発ほど劣化のリスクが高まる。
・原発の劣化の把握の仕方。
運転を開始する時点で、原子炉の中に原子炉と同じ材質の金属片を入れておき、定期的に取り出し金属片がもろくなる境目の温度を調べる。
・玄海原発1号機の場合、運転開始から1年後の昭和51年で35度、昭和55年で37度、平成5年には56度、3年前の平成21年には98度まで一気に上がった。
この温度は、九州電力が予測していたよりも20度も高い値で、原子炉の健全性に疑問が出た。
・温度が高いと、緊急時に原子炉に大量の冷たい水を入れると、原子炉がもろくなる温度に早く達する可能性があり、壊れるリスクが高まる。
テレビでは、ガラスコップを急冷すると割れる現象や、鋼鉄を-273℃まで冷却すると脆くなって破断する様子を見せていました。
[私の意見]
NHKはここで大きな側面を放送しませんでした。
もし原子炉が割れたら玄海原発の現場の人達は全滅です。九州電力は破産は間違いないでしょう。
然し同社は玄海原発の再開を進めようとしていますし、現場の従業員が辞めると言う話は全く聞こえてきません。
それはNHKが言うように福島第一の沸騰水型と違って、図に示すように玄海の原発は加圧水型の原子炉本体の冷却は間接冷却だからいきなり急冷することはないからです。
また水が蒸気になった時温度と圧力の関係は蒸気圧線図で決まっています。
鉄鋼は脆くなる限度(脆性遷移温度)と言う一定の温度の限度を超えると急に脆性が増します。逆に言えばその温度以上は充分に弾性を持っています。
最終テストの結果が95℃ですからその時の圧力は1気圧以下です。
この型の原子炉は150気圧、300度以上の高圧・高温で運転されるように設計されています。
それで危険温度の95℃では1気圧以下、設計圧力は150気圧(に耐える設計)。これで原子炉が壊れる訳はありません。
私がこの問題を知ったのは、週刊現代の金属材料学が専門の井野博満東大名誉教授の説を紹介した記事です。
玄海原発1号機のような加圧水型軽水炉(PWR)は通常、圧力容器内が150気圧、300度以上の高圧・高温で運転されている。150気圧の圧力容器が壊れ、爆発したらどうなるか。容器内の放射性物質はすべて噴出し、空高く舞い上がり、広大なエリアに降り注ぐことになります。福島第一どころか、チェルノブイリ以上の大惨事になるのは間違いない。
私がこの問題を取り上げた時、東大の名誉教授の井野さんともあろう人が、幾ら熱力学が専門外であるとしても、このようのことを言うはずがなく、週刊現代が勝手に付け加えたのだろうと書きました。
そして専門家会議で「予測が外れている以上、健全性の判断は慎重にすべきだ」と唯一反対したのが井野さんでした。
そしてNHKは井野さんだけのコメントを紹介していました。
これが公平な放送を目指すNHKなら、多数を占める井野さん以外の人のコメントも求めるべきだし、私が言うように九州電力の幹部や、現場の人達の意見も聴くべきだったと思うのですが。
私は何時も書くのですが日本人はレッテルが貼るのが大好きで、そのために国の方向を間違わせたり、正しい方向に進もうとするのに足を引っ張ったりしています。
そして今までの放送を見ますとNHKも原発は悪のレッテルを貼ろうとしているようです。
そして今日のネットでもNHKの報道を元とした原発批判の書き込みが出ています。
誰が考えても危険な原発し経済の大きな影響が出ない程度に順次縮小しより安全なエネルギーに変えると思っているし、頼り無い民主党政権はよたよたしながらもその道を進もうとしています。
NHKは天下の公器ですから国民や国家の道を誤らないように、公平・正確・是々非々の報道を続けて貰いたいものですが、果たして。
なお詳細は下記の私のブログをご参照下さい。
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・参考:出光一哉・九州大大学院教授(核燃料工学)の意見
出光教授は1号機の圧力容器の銅の割合が新設炉よりも多いことに注目。銅の含有率が同程度の他電力の圧力容器も脆性遷移温度が高くなっていることから「中性子照射で不純物の銅が硬化し、脆くなっているのが温度上昇の原因」とした。
安全性については「最新の予測式でも銅が多い容器は劣化具合を過小評価する傾向がある」としつつ、「その分は実測値よりも厳しく評価しており、健全性は保たれている」と述べた。
・私のブログ「玄海原発は爆発するのか?」
・政治学者倉西雅子さんのブログ「電力危機―政府の無策は”経済敗戦”への道」
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特に簡単に長期間の,特に破壊を含む耐久テストができないものはそうかも
福島の原発事故が起こってわかったのは放射線の危険性については,一般の人たちが考えているようなものではなかった事だということです。
化学物質のいわゆる毒物には致死量があってわかりやすいが,放射線はどうも違いますね。
それと似た感じで一般の工業製品は,安心して使える製品テストをしっかりできます。
が,原子力発電所は,工業製品(巨大な施設ですが)です。個別には各部品の製品テストはできますが,全体の長時間のテストができていない様です。そのような印象を受けます。
普通の火力発電所以上に,異常なほどの神経を使って定期検査を繰り返しています。
わからないこと,想定外のことがあると議論を尽くしておかなければという心情はよくわかります。みなさんわかっていないことが起きているんじゃないかと不安があると思いますよ。