普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

無責任を絵に書いたようなエネルギー政策

2012-10-05 12:58:55 | 電力、原発

・素人の首相、閣僚で決めるのか「原子力政策大綱」・原発稼働の認可の責任の押し付あい・原発や経済の半素人とズブの素人で決める「革新的エネルギー・環境戦略」
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 原子力を推進する立場の読売新聞が4日に原子力大綱中止 政策迷走に拍車をかけないか、5日に原発再稼働判断 政府の責任回避は許されない の社説を書いています。
 原子力反対の立場の朝日でさえ再稼働の是非―政治は丸投げするなと政府の無責任さを批判しています。
・素人の首相、閣僚で決めるのか「原子力政策大綱」
 原子力委員会は政府が9月に原子力政策については今後、首相や関係閣僚で構成する「エネルギー・環境会議」を中心に決めることになったため、「原子力政策大綱」の策定作業を中止すると正式決定したそうです。
 詳細な経緯は判りませんが、外野からみれば放り出した原子力委員会も無責任のような気がしますし、自分達で決めようと言う今の首相や閣僚を見れば皆素人ばかり責任はとれるのでしょうか。
 現実には原子力委員会の代わりにまた民主党政権得意の諮問委員会を作り、その答申通りに決定するのでしょう。
 そしてまたその委員の決定には「原子力村」と「反原子力村」のどちらに属するかでまた一悶着が起こり、諮問委員会の信頼性の批判が起こるのは眼に見えています。
 そして結局はまた政治的判断ということになりまた批判です。
 現に読売はその社説で「そもそも、日本のエネルギー政策を混乱させているのが、このエネ環会議である。」と施行前から批判しています。
・原発稼働の認可の責任の押し付あい
 政府の原子力規制委員会は、原発の安全性を確認するが、再稼働の判断には関与しないとの見解をまとめ、田中俊一委員長が「原発再稼働の判断はエネルギーを担当する省庁にお願いすべきだ」と発言したそうです。
 一方政府の方は稼働認可の権限は原子力規制委員会にあるとの従来の方針で、同委員会の意見に対して、藤村官房長官は、政府として再稼働を判断する関係閣僚会議などを「開催することは考えていない」と述べた。枝野経済産業相も地元に了解を得るのは事業者だとしているそうです。
これに対して原発推進派の読売は、政府は、安全確認を終えた原発を重要電源として活用する方針を掲げている。電力会社に再稼働問題を“丸投げ”するのであれば無責任ではないか。
反対の朝日は規制委が合格点を与えても、ほかの電源でまかなえるなどの条件が整えば、再稼働する必要はない。その判断は、政治の仕事である。野田首相は、大飯原発の再稼働で「私の責任」を強調した。野田さん、内閣が掲げた原発ゼロ目標への責任こそ、果たすべきでしょう。とそれぞれの立場で批判しています。
私はどちらかと言えば読売の立場ですが、反対の朝日の言うように原発再開の判断から逃げる野田内閣批判と言う面では両社の主張に賛成です。
・革新的エネルギー・環境戦略の危うさ
民主党政権は9月に「2030年代までに原発ゼロ」を柱とする「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめましたが、これに就いて原発維持派の池田信夫さんは離滅裂な「革新的エネルギー・環境戦略」で概略次のようなことを書いています。
・福島第一原発事故で、放射能による死者は1人も出ていないし、今後も出ない
・事故で避難した16万人がいまだに帰宅できないが、これは政府の間違った避難指示によるものだ
(池田さんは政府が放射能許容基準を世界の標準より厳しくしたとして批判しています。)
・IAEAなど多くの専門家も福島事故の被害は予想をはるかに下回るもので、原発の相対的な安全性を示すものと評価している。 (池田さんは触れていませんが、IAEAは同じ震災にあった女川の原発を検証して、損傷の程度の低さを見て喜んで帰っています。)
第二の柱として「グリーンエネルギー革命」をあげ、水力を除く再生可能エネルギーを2010年の8倍にし、原発の6割以上を代替するようにみえるが、太陽光や風力は雨の日や風のない日には使えないので、そのバックアップとして火力が必要になる。要するに、再生可能エネルギーは原発の代わりにはならないのだ。 (私のような普通のおっさんでも前から指摘したことです。)
・太陽光発電の固定価格買い取り制度で42円/kWh(それ迄の倍、然も大規模発電と小規模発電とほぼ同じ価格です。)という世界一高い買い取り価格が設定されたが、そのコストはすべて利用者に転嫁される。その結果、原発をゼロにすると2030年には電気代は2倍ぐらいになるというのが政府の試算である。 (一般家庭は辛抱しても、耐えられない企業がでます。)
 後は長く成り過ぎますで省略します。
 だから「革新的エネルギー・環境戦略」に対する政府関係者の言動はバラバラ、ブレ捲くり、そして電力を安定供給するための具体策も出せないのは当然です。
・原発や経済の半素人とズブの素人で決める「革新的エネルギー・環境戦略」
  私は元設備の保全技術・管理を担当していた経験から、政府・国会の原発事故調査委員会に、名前は学者だが現場には素人、そして本物のズブの素人では何も役に立たないので、原発の現場に詳しい人を入れるべきと書いたのですが、結果的には事故後の処理に対する提案はほぼ充実していましたが、肝心の事故の直接原因に就いての報告は殆どゼロで、1年から1年半かけた報告書は事実上直ぐにお蔵入りにされて仕舞いました。
 原子力規制委員会は事故発生時の安全基準は出来るでしょうが、肝心の事故発生防止のための基準は結局、他に何もデータがないので、多くの批判を浴びた保安院の作った30項目の支持事項が中心で討議されることになるのでしょう。 (早速、規制委員会から防災対策重点区域を、原発の30キロ圏内に拡大の情報が出ました。)
 私は福島第一の事故発生から今日までの流れを見て見ますと、素人の政府、国会関係者は勿論、学者で部分的に詳しいが原発全体としては素人、それと政府・国会から動員されたズブの素人、原発の技術的なことは判らずに原発の危険性を批判する人達、自分の専門を離れてエネルギー政策や経済政策を論ずる学者。
 肝心の原発現場の人たちや原発メーカーの人達はそこのけ、実業界の人達の意見は聞き捨て、金子勝さんなど政府に批判的な人達を除く経済学者は無言の状態。
 そんなことで思い切った余裕で見ても後100年単位で涸渇する石化燃料、地球温暖化の影響かも知れる異常気象の定着化?少子高齢化の経済に及ぼす影響、グローバル化に伴う日本の貧困化の進行などなど、今後の日本はどうするのでしょう。
 そんな日本の大切なエネルギー問題を半素人や本物の素人ばかりで、そして「原発は悪」の空気で決めて良いのでしょうか。

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1 コメント

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カモねぎ (Unknown)
2012-10-08 22:57:38
 逆に原発擁護派はからは、ウランの可採年数のことや放射性物質とか核ゴミの処置のなど、やっかいな問題の解決法を聞いたことがない。

 海から1000年分採れるとか高速増殖炉の神話を信じても、それが詐欺だったといずれ後悔するでしょう。

 原子力なんて「必ず儲かる」と言ってカネを取る投資詐欺とか、信者から集る霊感商法みたいなものだ。
 放射能は体に良いとか、山下俊一の「笑っている人には悪影響が起きない」とか、信じる人は救われるという新興宗教状態ですでに科学でさえなくなってるし。
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