北朝鮮テロ指定解除、首相への通告は発表30分前
麻生首相は12日、米国が北朝鮮に対するテロ支援国指定を解除したことについて、一定の理解を示すと同時に、拉致問題解決のための日本の取り組みに変化はないとの立場を強調した。
しかし、解除に至る米側の対応に政府・与党は衝撃を隠せず、野党からは日本政府のこれまでの対応を批判する声が上がっている。
ブッシュ大統領から首相への直接の指定解除通告は、米国務省の正式発表の30分前。ライス国務長官が解除の書面に署名してから3時間後だった。
10日夜、中曽根外相はライス長官との電話会談後、「この週末に解除が決まることはない」と言明した。
政府関係者は「指定解除は時間の問題」と覚悟していたが、日米外相会談の直後、異例とも言える土曜日の発表に不信感を募らせている。
消息筋は「日本は説明を受けても明確に拒否せず、米側は条件付き容認と受け取った」と、「行き違い」の可能性を指摘する。
手詰まり状態の日本
これに対して麻生さんは「核問題が動かない状況のまま置いておくより、きちんとやった方がいいと指定解除に踏み切ったと理解している。一つの方法だ」と述べ、拉致問題への影響は「全然ない。テコを失うことはない」と強調している。
然し、現実は拉致家族の方達が心配されるように、今までの政府の「対話と圧力」路線の内、北朝鮮への圧力の効果が米国のテロ国家指定解除のため殆どなくなるのは間違い無いことだ。
後残る手段は「対話」と重油支援の拒否だが、「対話」だけて北朝鮮が動くかどうかは過去の歴史が示している。
また日本の重油支援拒否も、北朝鮮から核廃棄の実施拒否の口実にされて、米国、韓国、中国、ロシアから批判を浴び日本が孤立化してしまう可能性がないとは言えない。
[私の意見]
米国に振り回される日本
今回の米国の日本に対する対応は如何に日本が米国政府によって軽視されているかを示すものだ。
拉致問題についての日本と米国の関係については6月の拉致問題の今までとこれから 書いたが改めて要点だけ記す。
・2002年9月17日:小泉首相と金正日国防委員長が「日朝平壌宣言」に署名し、国交正常化交渉を再開することで合意
・2002年10月4日:北朝鮮を訪問した米大統領特使に対し、「核爆弾の保有を行うためのウラン濃縮計画を持っている」との発言
米国並びにKEDOはこれに反発、代替炉の建設並びに重油の提供をストップ
・2002年10月15日:5人の拉致被害生存者が一時帰国を条件に帰国が実現。
小泉さんと金正日さんとの会談は、色々な批判もあるが、日本にしては珍しく田中均さんを中心とする、日本独自かつ官邸主導型の外交で、「日朝平壌宣言」の署名、国交正常化交渉を再開など一定の成果を上げた。
然し会談とほぼ同じ時期に北朝鮮の核問題が現実となった。
この問題で北朝鮮との強い対決姿勢を取っている米国にとって、日本と北朝鮮の間で融和ムードが出る事は米国にとってマイナスだった。
勿論、日本に取っても北朝鮮の核問題は国の安全保証に関わる問題なので、米国の姿勢に協調するしかなかった。
米国一辺倒の小泉さんは米国に追随し、その後、拉致問題で名を挙げた安倍さんも米国の強硬姿勢に併せて強い経済制裁を実施した。
その間、拉致問題への北朝鮮の不誠実な対応もあり安倍さんの政策は国民の大きな支持を得た一方、影の立役者だった田中均さんは強い批判を浴びて日朝交渉の場から去ることになった。
北朝鮮との繋がりが途切れた日本が、拉致問題に対して出来ることは、北朝鮮への経済制裁と米国や中国それに国連に対する協力要請などしか残らず、実質的な問題解決への進展は殆どなかった。
日本のこれから
詰まり日本独自外交である程度の進展があったのに、米国の都合と北朝鮮の策略のために私が6月に書いた時点から福田さんの突然の辞任で、折角設けた拉致問題の調査委員会の活動中止のほか動きも進展もして居ないのだ。
米国が自国の利益のため、またブッシュさんが自己の名誉のために何をしたとしても、批判をしても仕方がない。
要するに日本は独立国としてそれに適切に対応するしかない。
私は何度も米国との関係の見直し、独自外交への路線転換の必要性を書いてきた。
そして、今回の日本に対する米国のやり方を見ても、これらの必要性を痛感する。
それにしても麻生さんの発言は日米関係を大切にしたいための物だろうが、国民をまた失望させたのは間違いないことだ。
私は麻生さんの選挙区の区民として心情的には麻生さんに頑張って貰いと思っているのだが、テロ国家指定解除をした米国のお蔭で拉致問題がまた遠のき、そしてまた内閣支持率がまた下がるのだろう。
何度も繰り返すが麻生さんには、また日本としても日本は独立国として、独自の外交路線への見直しをするしか、拉致問題の解決策はないような気がする。
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