*「愛する人を守りたい」
最近、「中川勝彦」で検索してこのブログに辿り着く人が増えました。
YouTubeにも懐かしい動画がたくさん上がっている。
ワーナー時代のアルバムが一挙再発売されたりと、没後17年目にしてジワジワきているのかな?
今もう一度、中川勝彦が注目され、クローズアップされることがあるのなら、私は素直に喜びたい。
ずっと生まれてきたのが早すぎた人だと思っていたから。
1988年に、勝ちゃんは音楽誌の反原発企画でインタビューに答えています。
当時日本にあった原子力発電所は36基。
RCサクセションをはじめとする日本のミュージシャンたちがさかんに反原発コンサートを行っていた年でもあります。
「原発が止まる日まで―無期限連載」とあったその企画は今も続いているのか?
てか、その雑誌まだあるのかな?(ちなみに
ARENA37℃です)
----------------------------------------------------
オレの知人がね、これ読んでた方がいいよって、広瀬(隆)さんの「危険な話」といろんな原発関係の資料を一式くれたの。ただ、これはオレの性格なのかもしれないけど、何事も頭から否定的な見方をしないようにっていう気があるんだ。今の世の中って、微妙な糸がもつれ合うようなバランスの上に成り立っている。昔はもっとシンプルだったと思うわけ。政治と企業が癒着し合ったりとか、すごく危険なバランスの一角を成しているのが原発だと思うんだ。
わかんないことが多すぎるよね。なんで原発になったのか。水力や火力発電だけじゃだめなのか。事実を伝えることがマスコミの主張だけど「安全です」だけじゃどこまで信じていいかわかんないもんね。新聞に「チェルノブイリとは型が違うから安全」って広告出したけど、それを否定している内部の人がいたりとかさ。
広告に金かけたって信憑性ないと思う。実際安全じゃないんだから。スリーマイル島やチェルノブイリで事故が発生したり、四国の伊方原発で出力調整とか危ない実験をしている事実がリアルなニュースとして流れているんだからね。
それで人が動くためには何が必要かってことだよね。で、人間って誰でも基本にやっぱり「愛する人を守りたい」ってのがあると思う。そこが脅かされてるんだってリアルに感じるためには、本当に危険が切羽詰まんないとわかんないと思う。だけど、そうなってからじゃ遅いんだよね。
「原発反対」って言えるんだけど、それをはっきり説得できない知識の乏しさ、それをオレ今すごく感じてる。もっと勉強しなきゃいけない。怪獣倒すのに相手の弱点知らないで立ち向かえないからね。
いけないと思うよね。だってさ、命を殺しちゃう危険性をはらんでいるものを擁護しながら発展させようとしているわけじゃない。
オレにできることって、こうやって誌面上で話すこととか、歌っていくってことだよね。
(ARENA37℃ 1988年10月号より抜粋)
----------------------------------------------------
結局それから20年ちょいの間に原発は54基に増えてしまった。
で、この大事故です。
こんな状況では「原発反対!!」って人が湧いてくるのは当然だと思うけれど、今にして思えば作る前に阻止できなければどうにもならなかったこと。
仮に今ある原発を全て廃炉にするとして、原子炉の解体費(と時間)はどれくらいかかるのかご存知でしょうか?
1基あたり100億円をかけて最低6年がかり、汚染廃棄物の量は4000トン以上。
ただ止めればいいっていう単純な話ではありません。
汚染廃棄物の放射能量が減るまでにも100年近くかかります。
プルトニウムは半分に減るまで2万4千年かかるのです!
要するに原発が止まったとしても、放射能の恐怖から解放されるわけではありません。
私だって、もし可能なことならばこの世から原発なんて全て消えてほしい。
でもヒステリックにただ反対する気にはなれないし、それがほとんど無意味なことも知っています。
‘88年当時、勝ちゃんは「反核」「反原発」の意志を強く掲げていたけれど、「何事も頭から否定的な見方はしたくない」と言って、原発のことを熱心に勉強していました。
「怪獣倒すのに相手の弱点を知らないで立ち向かえないからね」と。
「ウソだったんだ」「だまされた」と替え歌歌っているような人とは器が違います。
今もし勝ちゃんが生きていたらどうしていただろう。
日本はこれからどうなってしまうのか?
今、自分にできることは何?
ハッキリ言って鬱になるばかりです。