今回の3連休は、その前日の朝に降り出した雨が夜になって雪に変わった。
雪は3連休に入った金曜日の早朝まで降り続きました。
それで思い出した。3年前の同じ日、やはり雪景色の3連休だった。
そのとき書いた「雪の日にノラたちは」という記事を読み返すと、
今は常連となったモドキやサクラ、それにキジロの(当時の)名前が踊っていた。
そう、彼らはもう何度も冬を越したベテランなのです。
今回はキーたんことキジロくんの話です
過去の調査で、ノラに生まれた子猫の8割強は1才になれないという推定に至った。
野生ライオンの1才生存率が約2割というのだからそれよりも厳しい。
秋に生まれると冬に親離れとなり、これはもう全滅のパターンなのだそうだ。
厳しい寒さもさることながら、食べものがないというのが主たる理由。
逆に言えば、人から施しを受ければ生きながらえる可能性はぐっと上がる。
みんながみんな、自分の敷地内に寝床など用意してあげればもっといい。
人間社会で生きるノラたちは人の助けがなければ生きていけない。
野生動物とは違います。
猫を助けるのは人。一方猫を捨てるのも人。
特に子猫の場合は、捨てられたら100%生きていけません。
こんな身勝手でおかしな社会を創るのは人間だけだろうな。
凍てつく寒さの中で食事中のキジロ
雨が雪に変わった木曜日の晩、その変わり方は突然だった。
夜の18時過ぎからみぞれに変わり、いつ雪に変わったのか。
20時に外を見た時は既にかなり積もっていた。
しきりに降る雪。大粒のぼた雪なので先がみえないほどの降り方でした。
その日、妻によると店には18時頃モドキがやって来た。
だいぶ濡れていたが、まあ雪は避けたのでラッキーだった。
サクラは1日寝床にいて、つまらないのかすぐに出てきては勝手口で無言の催促。
キジロは最近暖かいうちに来るようになり、その日も朝の雨が降り出す前に来た。
全国のノラたちの心配は尽きないけど、とりあえず当ブログの常連は大丈夫かなと。
カイロ交換を待つサクラは毎日の光景になりました
勝手口を開けて一応確認したのは20時過ぎ。やはり誰もいなかった。
と、閉めようとしたそのとき寝床の方でかすかな声が。
サクラにしてはハスキーだ。
ドアを何度も開けて確認したが暗がりで見えず、そのたびにかすかな声が聞こえた。
(キジロだ! サクラの寝床の辺りにいる。)
やがてキジロは勝手口にやって来た。
勝手口近辺はたまに雪が舞い込むので避難していたのだ。
キジロは全身がずぶ濡れで、まるで氷水に浸かったように冷たい。
おそらく来る途中で身体に雪が積もり、家裏で待機している間に融けたのだろう。
ご飯を出しても食べるどころではなく、悲痛な声でうめいていた。
(万一凍ったりしたら大変だ。)
タオルで拭きたかったけど、そこまでやればキジロが警戒して逃げると思った。
いつものように手で温めながら拭くしかない。
冷たく濡れた手をタオルで拭いては温め、何度も何度もキジロの身体を拭きました。
結局キジロは少し食べただけで、再び降りしきる雪の中へと消えて行った。
昨夏の撮影;キジロはおそらくここで凍えていた
(奥にサクラの寝床)
そのキジロの後ろ姿が、瞼に焼き付いて離れなかった。
想像を絶する外暮らしの厳しさ。
それはいつも和やかに接してくるキジロの、もうひとつの姿だった。
(自分はまだまだ何もわかってはいなかった。)
それでも悲壮感のかけらすら見せない彼らの生き方には舌を巻くしかない。
彼らは我々人間よりも遙かに精神力が強く、そして我慢強い。
彼らを真に脅かすものはただひとつ。残念なことに、不埒な人間の存在なのです。
(追申)
その翌日、連休の初日は朝に雪が止んで日が差してきた。
キジロはその日もその翌日も、全身に陽光を浴びながら食べに来た。
日頃意識すらしない、お天道様の何と偉大なことよ!
日曜日(昨日)はまた朝から雨が降ったが、当地では夜でも雪にはならなかった。
でももう懲りたのか、キジロは食べに来ませんでした。
ついでに食欲も復活したキジロです