盲目のノラが優しい人と出会って幸せになる。前話のふっくんの話、まさに奇跡としか言いようがないですね。最近ねこちゃんホンポで新しいライターさんを募集していて、その人たちは主にSNS上の猫にまつわる美談を取り上げている。食べ物がない、事故に遭ったなどでボロボロになり朽ち果てる寸前のノラたちが保護され、数ヶ月後には見違えるような立派な家猫になった話の数々。いずれも感動を呼んで何十万回も再生されているそうです。
それらの記事の出だしには、ノラの生活が如何に過酷なものかと1行で書かれている。逆に言えば、幸運にも保護されれば立派な家猫に変身する猫たちが、保護されなければ悲惨な状況で朽ち果てていくということです。当ブログのシリーズで「エサをやるなは殺せと同じ」がありますが、前述記事の出だしの1行がそれを裏付けていると思うのです。ノラ猫は野生動物ではありません。人間とともに暮らす伴侶動物です。人間の支えがなければ生きていけない。だから彼らが保護されて幸せになった話に出会うとほっこりするんですね。でも、不幸にも出会いがなく朽ち果てていく多くの猫たちのことも忘れないようにしたいと思うのです。
閉店時に保護できなかったお店のノラ「シン」
さて、今回紹介するのはそんなノラたちの過酷な状況と支え続ける人たちの話。
第6話で多摩川の河川敷に捨てられた猫たちと彼らを支えるホームレスのおじさんの悲哀を描いた本「おじさんと河原猫」を紹介しました。今回紹介するのは同じ多摩川の河川敷を舞台にした映画「たまねこたまびと」。既にご存じの方も多いとは思いますが、人間からひどい仕打ちを受け続ける猫たちと、彼らを守るホームレス(やボランティア)の人たちを描くドキュメンタリーです。映画の上映は既に終了しているので、この映画の製作者である村上浩康監督 へのインタビュー記事を紹介します。
インタビュー記事は1回から5回まであり、さらに番外編が3回あります。下にリンクしたのは最後の番外編3ですが、その記事の最後に全記事がリンクされていますので第一回から読むことをお勧めします。(ポップアップで各記事見れる) 各回に同じイントロ文があります。記事のさらに下の方には映画の公式サイトがリンクされているので(ポップアップ)参考になります。調べてはいませんが、DVDやBlueRay、パンフレットなどはまだ購入できるかもしれません。
闇に紛れて猫たちを遺棄するばかりか恒常的に彼らを面白半分で虐待し、死にも追いやる人間たち。その一方で猫たちを必死に守ろうとするホームレスの人たち。スクリーンには人間の善と悪が赤裸々に描き出されます。これはすべて事実、現実、今起こっていることなのです。人間ばかりではない、2019年台風の際の多摩川氾濫では200匹の猫が流され不明になったとも。印象に残ったのは、猫を虐待するのは決して特別な連中ではない、普通の人たちだというひと言でした。
尚、この話は多摩川に限ったことではありません。先日は、荒川の河川敷で猫の世話をするために生活保護を拒否し続けているホームレスの人たちの話を読みました。この話は日本全国、社会の縮図なのだと思います。
◆「たまねこたまびと」製作者、村上浩康監督へのインタビュー記事
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第1話 「飼い主を亡くし野良になった母猫 ボロボロの姿に『幸せにしたい』とさしのべられた手」
第2話 「お日様はあたたかいって知った」7年間も閉じ込められた母猫、病魔に倒れるも幸せつかんだ最期の日々
第3話 「ヨロヨロの野良猫「困ったらおいで」 すると翌朝わが家に現れた (庭猫スンスン)
第3話 「ヨロヨロの野良猫「困ったらおいで」 すると翌朝わが家に現れた (庭猫スンスン)
第4話 海辺の街に捨てられ、漁師たちに可愛がられた猫の「最後の日々」
第5話 最後の力を振り絞って子猫を託しにきた母猫、保護主のもとに運び終わると……
第6話 河川敷に餌をもらいに来ていた白猫「シロ」 ふたりのおじさんに愛され、生き抜いた
第7話 もうすぐ28歳!路地の人気者、黒猫「ぴーちゃん」 地域猫として町の人に見守られて
第8話 「母の愛」は炎より強い!全身やけどを負って子猫を助け、伝説になった母猫 米国
第9話 「猫の神様」がくれた生きる力、後ろ脚なくても生き抜き天国へ…その名は今も“二代目”に受け継がれ
下半身不随の猫「らい」が“家族”に与える笑顔。認知症犬「しの」と過ごしたかけがえのない時間 ・他4
第10話 路地でクルクル回っていた全盲の子猫 あるがままの自分を生きる
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