イタリアのニュース: イタリア難民・移民受け入れ (2015.7.21)@毎日新聞&Deutsche Welle(2015.7.21)
地球ING・進行形の現場から:第18回 イタリア 難民・移民受け入れ(2015.7.21)@毎日新聞
◇州知事が拒否 政府と摩擦
中東・アフリカの難民・移民が地中海経由で押し寄せているイタリアで、北部の州知事が管内の市町村長に受け入れを拒否するよう求め、物議を醸している。
6月上旬、ドイツや北欧などを目指す難民・移民がイタリア北部の駅舎などに殺到したのが発端だ。移民の出入国管理の権限を持つ中央政府は、住民の不安につけこんだ「州知事の乱」を政治目的の越権行為と非難。難民・移民の受け入れを巡り、国と一部地方の間で摩擦が起きている。
イタリア第2の都市ミラノ。大理石造りの巨大な中央駅の構内に人だかりができていた。中東のシリア内戦や圧政下の東部アフリカ・エリトリアを脱出し、イタリア南部からローマ経由で到着した数百人の難民・移民たちだ。
ドイツが6月上旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)開催に合わせ、欧州内で人々の自由な往来を認める「シェンゲン協定」の適用を一時停止し、国境管理を強化したことからイタリア国内に足止めを食っていた。
難民・移民たちは、ミラノ市職員ら有志で作る非営利組織(NPO)「SOSミラノ難民救援」のボランティアが提供する食事や飲み物、衣類などを我先にと手にする。
(中略)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年に入ってから地中海経由で欧州に到着した難民・移民は約13万7000人。
イタリアの受け入れ数はギリシャ(約6万8000人)に次ぐ約6万7500人に上る。英紙ガーディアンが、英海軍幹部の話として伝えたところによると、リビア国内では45万〜50万人が欧州への密航待ちの状態だという。(中略)
地中海に面し、難民・移民にとって欧州への「玄関口」にあたるイタリアの負担は重い。
2014年7月にNPOを創設したS・イオビエノさん(49)は「欧州他国が国境を閉鎖するようになってきた。フランスは(越境しようとする密航者に対して)イタリアとの国境を閉め、ドイツはG7会議を口実に使った。上陸地点であるイタリアだけで対処しなければならない」と課題を指摘する。
昨年10月にエリトリアを出国したT・ヨジエフさん(27)は「人権と暮らしを求めて欧州にやって来た」。難民・移民でごった返す駅構内を見回し、「『もう移民を受け入れたくない』というイタリア人政治家の言い分にも一理ある。EUは加盟28カ国で(移民を)分配すべきだ」と語った。目指す渡航先は英国かノルウェー。「難民として短期間の審査で受け入れてくれる」からだという。
難民・移民の殺到を受け、経済的に豊かなイタリア北部の州知事が抗議の声を上げた。ミラノを擁するロンバルディア州のロベルト・マローニ知事は同州の受け入れ数が多いのは不公平だと主張し、「州内の市町村長はローマから送られてくる不法移民の受け入れを拒否しなければならない。さもなければ(市町村に割り当てる)交付金を減らす」と警告した。
マローニ氏はイタリア北部を地盤とし、不法移民の排斥と反ユーロを掲げる地域右翼政党「北部同盟」の前書記長(党首)。ベルルスコーニ元首相の下で08〜11年に内相を務めた。マローニ氏の呼びかけに北東部ベネト州のルカ・ザイア知事と北西部リグーリア州のG・トティ知事が同調した。
マローニ氏は国の移民・外交政策にも口出しした。国際移住機関(IOM)などによると、イタリア入りする難民・移民の大半はリビアから密航仲介業者の手引きで地中海を船で渡ってくる。このため、マローニ氏は移民船のリビア出航を阻止するための海上封鎖を実施し、リビア国内に難民キャンプを建設するよう提唱している。
イタリアでは難民・移民の受け入れは国家の専権事項だ。このため、「州知事の乱」に中央政府や他の自治体は反発した。レンツィ首相はマローニ氏らの発言を「民衆を扇動する言動」と指弾。6月25日に主な州知事、市町村長らを集めて特別会合を開き、「(イタリアへの密航者のうち)難民認定申請者は受け入れるが、経済移民は本国に送還する」と述べ、地方の理解を求めた。また、難民・移民を受け入れる市町村に対する資金援助を約束した。
他の自治体にも波紋が広がった。全国州会議のSチャンパリーノ議長(ピエモンテ州知事)は「マローニ氏の発言は移民問題を政治利用しようとするもの」と批判。全国市町村協会のP・ファッシノ会長(トリノ市長)も「イタリアの移民受け入れ政策を決めるのは一州知事の権限の範囲ではない」とクギを刺した。
イタリア人作家のD・マライーニさん(78)は「イタリアはもともと、貧困のために海外に移住する人の多かった移民送り出し国だった。大勢が地中海上で死亡しようとも、移民にブレーキはきかず、流入を止めることはできない。壁を作っても解決にはならない」と指摘。移民排斥の動きについて「恐怖心が原因だ。外国人に仕事を奪われるというだけでなく、イタリア人としてのよりどころを失ってしまうのではないかという恐れから来ている」と話す。
今回のケースをきっかけに移民問題で国内が分裂する事態を懸念する声も出ている。国連事務総長のサヘル(アフリカのサハラ砂漠南縁部)担当特使を務めるプロディ元首相はイタリア紙のインタビューで「『受け入れ拒否』はイタリアで最も豊かな(北部)地方による反抗であるだけでなく、国家の統一性に対する攻撃だ。こうした行為から民主主義の衰退が始まる」と警鐘を鳴らしている。(ミラノ・福島良典)
ニュースは こちら
インタビューは こちら
*レンツィ首相は 8月2~4日に初来日予定とのこと
* * *
一方 ドイツからのニュースも拾ってみました
Deutsche Welle 2015.7.20より
EU-Innenminister beraten erneut über Verteilung von Flüchtlingen:
EUの内務大臣は難民の分配について新たに助言した:
Die EU-Innenminister beraten an diesem Montag erneut über eine Umverteilung von 60.000 Flüchtlingen innerhalb der Europäischen Union.
EUの内務大臣は今月 60,000人の難民のEU圏内での再分配について新たに助言した。
Diplomaten in Brüssel erwarten, dass die Minister sich bei ihrem Sondertreffen in der Frage einigen werden. Deutschland hat bereits angekündigt, insgesamt 12.100 Flüchtlingen Schutz bieten zu wollen.
ブリュッセルの外交官は、大臣が臨時会談でこの問題で意見が一致するだろうと期待している。ドイツはすでに合計12,000人の難民を保護するつもりと予告した。
Laut einem Vorschlag der EU-Kommission soll es um schutzbedürftige Menschen etwa aus Syrien und Eritrea gehen, die von Italien und Griechenland aus in andere Länder gebracht werden sollen.
EU委員会の申し出によれば、シリアそしてエリトリアからの保護を必要とする人々が問題のようだ、彼らはイタリアやギリシャから他の国に移されなければならないと。
Ursprüngliche Pläne der Kommission, verpflichtende Quoten für die Verteilung einzuführen, scheiterten am Widerstand Großbritanniens und einer Reihe osteuropäischer Staaten.
委員会の本来の計画は、分配を導入(採用)するために義務づけられた割り当ては、イギリスそして東欧諸国一連の抵抗にあって挫折した。
Deshalb erfolgt die Aufnahme nun auf der Basis freiwilliger Zusagen.
Zusätzlich zu den 40.000 Umsiedlungsplätzen wollen die EU-Länder 20.000 Aufnahmeplätze für Menschen schaffen, die direkt aus Krisengebieten kommen.
そのため自由意志による約束に基づいた受け入れが行われる。
紛争地域から直接来た人たちのための40,000人の移住先を、追加で20,000人分をEU諸国は作り出すつもりである。
追記: EUROSTAT(EU統計局)のデータによると 2013年の難民認定数は ドイツ4万人 スウェーデン 3万人 イタリア 2万人 フランス 1,5万人の順となっています
* なかなか出口の見えない問題です...
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地球ING・進行形の現場から:第18回 イタリア 難民・移民受け入れ(2015.7.21)@毎日新聞
◇州知事が拒否 政府と摩擦
中東・アフリカの難民・移民が地中海経由で押し寄せているイタリアで、北部の州知事が管内の市町村長に受け入れを拒否するよう求め、物議を醸している。
6月上旬、ドイツや北欧などを目指す難民・移民がイタリア北部の駅舎などに殺到したのが発端だ。移民の出入国管理の権限を持つ中央政府は、住民の不安につけこんだ「州知事の乱」を政治目的の越権行為と非難。難民・移民の受け入れを巡り、国と一部地方の間で摩擦が起きている。
イタリア第2の都市ミラノ。大理石造りの巨大な中央駅の構内に人だかりができていた。中東のシリア内戦や圧政下の東部アフリカ・エリトリアを脱出し、イタリア南部からローマ経由で到着した数百人の難民・移民たちだ。
ドイツが6月上旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)開催に合わせ、欧州内で人々の自由な往来を認める「シェンゲン協定」の適用を一時停止し、国境管理を強化したことからイタリア国内に足止めを食っていた。
難民・移民たちは、ミラノ市職員ら有志で作る非営利組織(NPO)「SOSミラノ難民救援」のボランティアが提供する食事や飲み物、衣類などを我先にと手にする。
(中略)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年に入ってから地中海経由で欧州に到着した難民・移民は約13万7000人。
イタリアの受け入れ数はギリシャ(約6万8000人)に次ぐ約6万7500人に上る。英紙ガーディアンが、英海軍幹部の話として伝えたところによると、リビア国内では45万〜50万人が欧州への密航待ちの状態だという。(中略)
地中海に面し、難民・移民にとって欧州への「玄関口」にあたるイタリアの負担は重い。
2014年7月にNPOを創設したS・イオビエノさん(49)は「欧州他国が国境を閉鎖するようになってきた。フランスは(越境しようとする密航者に対して)イタリアとの国境を閉め、ドイツはG7会議を口実に使った。上陸地点であるイタリアだけで対処しなければならない」と課題を指摘する。
昨年10月にエリトリアを出国したT・ヨジエフさん(27)は「人権と暮らしを求めて欧州にやって来た」。難民・移民でごった返す駅構内を見回し、「『もう移民を受け入れたくない』というイタリア人政治家の言い分にも一理ある。EUは加盟28カ国で(移民を)分配すべきだ」と語った。目指す渡航先は英国かノルウェー。「難民として短期間の審査で受け入れてくれる」からだという。
難民・移民の殺到を受け、経済的に豊かなイタリア北部の州知事が抗議の声を上げた。ミラノを擁するロンバルディア州のロベルト・マローニ知事は同州の受け入れ数が多いのは不公平だと主張し、「州内の市町村長はローマから送られてくる不法移民の受け入れを拒否しなければならない。さもなければ(市町村に割り当てる)交付金を減らす」と警告した。
マローニ氏はイタリア北部を地盤とし、不法移民の排斥と反ユーロを掲げる地域右翼政党「北部同盟」の前書記長(党首)。ベルルスコーニ元首相の下で08〜11年に内相を務めた。マローニ氏の呼びかけに北東部ベネト州のルカ・ザイア知事と北西部リグーリア州のG・トティ知事が同調した。
マローニ氏は国の移民・外交政策にも口出しした。国際移住機関(IOM)などによると、イタリア入りする難民・移民の大半はリビアから密航仲介業者の手引きで地中海を船で渡ってくる。このため、マローニ氏は移民船のリビア出航を阻止するための海上封鎖を実施し、リビア国内に難民キャンプを建設するよう提唱している。
イタリアでは難民・移民の受け入れは国家の専権事項だ。このため、「州知事の乱」に中央政府や他の自治体は反発した。レンツィ首相はマローニ氏らの発言を「民衆を扇動する言動」と指弾。6月25日に主な州知事、市町村長らを集めて特別会合を開き、「(イタリアへの密航者のうち)難民認定申請者は受け入れるが、経済移民は本国に送還する」と述べ、地方の理解を求めた。また、難民・移民を受け入れる市町村に対する資金援助を約束した。
他の自治体にも波紋が広がった。全国州会議のSチャンパリーノ議長(ピエモンテ州知事)は「マローニ氏の発言は移民問題を政治利用しようとするもの」と批判。全国市町村協会のP・ファッシノ会長(トリノ市長)も「イタリアの移民受け入れ政策を決めるのは一州知事の権限の範囲ではない」とクギを刺した。
イタリア人作家のD・マライーニさん(78)は「イタリアはもともと、貧困のために海外に移住する人の多かった移民送り出し国だった。大勢が地中海上で死亡しようとも、移民にブレーキはきかず、流入を止めることはできない。壁を作っても解決にはならない」と指摘。移民排斥の動きについて「恐怖心が原因だ。外国人に仕事を奪われるというだけでなく、イタリア人としてのよりどころを失ってしまうのではないかという恐れから来ている」と話す。
今回のケースをきっかけに移民問題で国内が分裂する事態を懸念する声も出ている。国連事務総長のサヘル(アフリカのサハラ砂漠南縁部)担当特使を務めるプロディ元首相はイタリア紙のインタビューで「『受け入れ拒否』はイタリアで最も豊かな(北部)地方による反抗であるだけでなく、国家の統一性に対する攻撃だ。こうした行為から民主主義の衰退が始まる」と警鐘を鳴らしている。(ミラノ・福島良典)
ニュースは こちら
インタビューは こちら
*レンツィ首相は 8月2~4日に初来日予定とのこと
* * *
一方 ドイツからのニュースも拾ってみました
Deutsche Welle 2015.7.20より
EU-Innenminister beraten erneut über Verteilung von Flüchtlingen:
EUの内務大臣は難民の分配について新たに助言した:
Die EU-Innenminister beraten an diesem Montag erneut über eine Umverteilung von 60.000 Flüchtlingen innerhalb der Europäischen Union.
EUの内務大臣は今月 60,000人の難民のEU圏内での再分配について新たに助言した。
Diplomaten in Brüssel erwarten, dass die Minister sich bei ihrem Sondertreffen in der Frage einigen werden. Deutschland hat bereits angekündigt, insgesamt 12.100 Flüchtlingen Schutz bieten zu wollen.
ブリュッセルの外交官は、大臣が臨時会談でこの問題で意見が一致するだろうと期待している。ドイツはすでに合計12,000人の難民を保護するつもりと予告した。
Laut einem Vorschlag der EU-Kommission soll es um schutzbedürftige Menschen etwa aus Syrien und Eritrea gehen, die von Italien und Griechenland aus in andere Länder gebracht werden sollen.
EU委員会の申し出によれば、シリアそしてエリトリアからの保護を必要とする人々が問題のようだ、彼らはイタリアやギリシャから他の国に移されなければならないと。
Ursprüngliche Pläne der Kommission, verpflichtende Quoten für die Verteilung einzuführen, scheiterten am Widerstand Großbritanniens und einer Reihe osteuropäischer Staaten.
委員会の本来の計画は、分配を導入(採用)するために義務づけられた割り当ては、イギリスそして東欧諸国一連の抵抗にあって挫折した。
Deshalb erfolgt die Aufnahme nun auf der Basis freiwilliger Zusagen.
Zusätzlich zu den 40.000 Umsiedlungsplätzen wollen die EU-Länder 20.000 Aufnahmeplätze für Menschen schaffen, die direkt aus Krisengebieten kommen.
そのため自由意志による約束に基づいた受け入れが行われる。
紛争地域から直接来た人たちのための40,000人の移住先を、追加で20,000人分をEU諸国は作り出すつもりである。
追記: EUROSTAT(EU統計局)のデータによると 2013年の難民認定数は ドイツ4万人 スウェーデン 3万人 イタリア 2万人 フランス 1,5万人の順となっています
* なかなか出口の見えない問題です...
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