「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」に行ってきました(2017.10.5)@東郷青児美術館
とてもモダンでロマンチックな東郷青児の絵をまとめて見られる貴重な機会でしたので 行ってきました特別回顧展@東郷青児美術館!!
2017年9月16日(土)~11月12日(日)
休 館 日: 月曜日(ただし9月18日、10月9日は開館、翌火曜日も開館)
於 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(西新宿)
東郷青児(1897-1978)は その大衆性 モダンでロマンチックな優美さ 油絵の職人的な完璧さと装飾性で知られています
チラシやポスターに使われているのは 代表作のひとつ「バイオレット」(1952/写真参照) 50代で描かれたモダンな女性像ですね 紫のイヴニングドレスをまとった女性の目の描き方(薄い瞳の色 濃い睫毛) そして赤く厚い唇(他の絵にも共通しており西洋風) ステキです...
でも 鹿児島で生まれた彼は まだ19才の頃 保守的な絵画の審査に反発してできた二科展で 二科賞を受賞したのが「パラソルさせる女」(1916)という絵で 入ってすぐに見られますが これは未来派 キュビズムと呼ばれる ものをバラバラにしたようなピカソ風の描き方をしています 実際彼はパリ留学(1921-1928)の時にピカソとも交流し 未来派展にも出品していたとのこと
シュールレアリスム(超現実派)の絵として 帰国後の二科展に出した絵が「超現実派の散歩」(1929)で これが不思議なことに 月夜に 宙に浮いたような白い男が 黒い靴下と手袋を片方ずつつけていて... この黒い靴下はのちの女性を描く作品でも描かれてゆくようになります
日本で初めて「未来派風」と呼ばれた前衛的絵画から パリの異邦人の郷愁を漂わせる 構成美と抒情性を兼ね備えた代表作《サルタンバンク》(ピエロを描いた) そして 戦後に広く親しまれた女性像まで 「東郷様式」と呼ばれたスタイルがどのように作られたのかが 展示されていました
今回は 初公開のプライベートコレクションもありました 親交を結んだ川端康成や 宇野千代等の人々との交流を示す本等の資料も興味深かったです 彼のプライベートな女性遍歴についても事前に読んでいきました 彼は「美しくて冷ややかな女の顔が好きだった」とのこと
中でも見どころは フランスに帰化したのちにベルナール藤田と名乗った藤田嗣治と 対で制作した 京都の丸物百貨店の大装飾画です
丸物って知ってる人いるかなぁ? 私が幼い頃(1960年代前半)丸物というデパートがあって 日曜日には両親と 丸物にフルーツパフェとホットケーキを食べに行くのが何よりの楽しみだったものです♡
藤田嗣治は「海の幸」 東郷青児は「山の幸」という大装飾画を丸物の大食堂に飾ったそうで 実に圧巻でした
他にも 関東大震災(1923)で仕送りが途絶えたため様々な仕事をした時代に描かれた 挿絵やポスター 挿画 彼が装丁した本 箱の装飾画なども展示されていました 精力的になんでも描いた時代だったのですね モザイクタイル絵「裸婦」もステキでした
後半の「四重奏」「バレリーナ」(チラシ裏)もステキですね
彼の収蔵品コーナーには グランマ・モーゼスGrandma Moses(1860-1961)という 年を取ってから絵筆を持ったという女流画家の作品が展示されていて 人生まだまだ後半でも勝負!!と感じさせてくれました!(^^)!
激動の時代に抜群の知名度を誇った画家の多彩な仕事ぶりを 美術作品約60点に出版物や写真などの資料とあわせて見ることのできた展覧会でした
青児のアトリエ(1931完成)は バウハウスの影響を受けたシンプルなデザインで 当時は木造の家が多かった中で斬新なスタイルでした
また 戦後は海外でも二科展を開くため 海外を旅し 80才で亡くなるまで世界中を旅していたそうです
* * *
ちなみに フランスの印象派モネの「睡蓮の池と日本風の橋」の絵について 興味深い記述を見つけました:
60才と82才の時に2枚描かれたこの絵は大きく違います 72才で白内障の手術(当時の技術は低く視力もあまり戻らなかった)のあとで モネは「もはや色もわからず 中間色は全く見えない 青や紫や濃い緑などは黒く見える」と78才で述懐していたといいます
そして82才で描いたこの絵は 60才の時の絵とは大きく違っていたのです...
妻や次男の死のショックという説もありますが 著者である眼科医は(画家でもある)白内障の影響と指摘しています 加齢による目の病気について調べていたところなので とても興味深かったです ^^) _旦~~
「視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ」(光文社新書/深作秀春著) ← まさに目からウロコでした! 若いうちから目は気をつけましょう~
「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」は こちら
このあと福岡・大阪でも開催されます 詳しくは こちら
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とてもモダンでロマンチックな東郷青児の絵をまとめて見られる貴重な機会でしたので 行ってきました特別回顧展@東郷青児美術館!!
2017年9月16日(土)~11月12日(日)
休 館 日: 月曜日(ただし9月18日、10月9日は開館、翌火曜日も開館)
於 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(西新宿)
東郷青児(1897-1978)は その大衆性 モダンでロマンチックな優美さ 油絵の職人的な完璧さと装飾性で知られています
チラシやポスターに使われているのは 代表作のひとつ「バイオレット」(1952/写真参照) 50代で描かれたモダンな女性像ですね 紫のイヴニングドレスをまとった女性の目の描き方(薄い瞳の色 濃い睫毛) そして赤く厚い唇(他の絵にも共通しており西洋風) ステキです...
でも 鹿児島で生まれた彼は まだ19才の頃 保守的な絵画の審査に反発してできた二科展で 二科賞を受賞したのが「パラソルさせる女」(1916)という絵で 入ってすぐに見られますが これは未来派 キュビズムと呼ばれる ものをバラバラにしたようなピカソ風の描き方をしています 実際彼はパリ留学(1921-1928)の時にピカソとも交流し 未来派展にも出品していたとのこと
シュールレアリスム(超現実派)の絵として 帰国後の二科展に出した絵が「超現実派の散歩」(1929)で これが不思議なことに 月夜に 宙に浮いたような白い男が 黒い靴下と手袋を片方ずつつけていて... この黒い靴下はのちの女性を描く作品でも描かれてゆくようになります
日本で初めて「未来派風」と呼ばれた前衛的絵画から パリの異邦人の郷愁を漂わせる 構成美と抒情性を兼ね備えた代表作《サルタンバンク》(ピエロを描いた) そして 戦後に広く親しまれた女性像まで 「東郷様式」と呼ばれたスタイルがどのように作られたのかが 展示されていました
今回は 初公開のプライベートコレクションもありました 親交を結んだ川端康成や 宇野千代等の人々との交流を示す本等の資料も興味深かったです 彼のプライベートな女性遍歴についても事前に読んでいきました 彼は「美しくて冷ややかな女の顔が好きだった」とのこと
中でも見どころは フランスに帰化したのちにベルナール藤田と名乗った藤田嗣治と 対で制作した 京都の丸物百貨店の大装飾画です
丸物って知ってる人いるかなぁ? 私が幼い頃(1960年代前半)丸物というデパートがあって 日曜日には両親と 丸物にフルーツパフェとホットケーキを食べに行くのが何よりの楽しみだったものです♡
藤田嗣治は「海の幸」 東郷青児は「山の幸」という大装飾画を丸物の大食堂に飾ったそうで 実に圧巻でした
他にも 関東大震災(1923)で仕送りが途絶えたため様々な仕事をした時代に描かれた 挿絵やポスター 挿画 彼が装丁した本 箱の装飾画なども展示されていました 精力的になんでも描いた時代だったのですね モザイクタイル絵「裸婦」もステキでした
後半の「四重奏」「バレリーナ」(チラシ裏)もステキですね
彼の収蔵品コーナーには グランマ・モーゼスGrandma Moses(1860-1961)という 年を取ってから絵筆を持ったという女流画家の作品が展示されていて 人生まだまだ後半でも勝負!!と感じさせてくれました!(^^)!
激動の時代に抜群の知名度を誇った画家の多彩な仕事ぶりを 美術作品約60点に出版物や写真などの資料とあわせて見ることのできた展覧会でした
青児のアトリエ(1931完成)は バウハウスの影響を受けたシンプルなデザインで 当時は木造の家が多かった中で斬新なスタイルでした
また 戦後は海外でも二科展を開くため 海外を旅し 80才で亡くなるまで世界中を旅していたそうです
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ちなみに フランスの印象派モネの「睡蓮の池と日本風の橋」の絵について 興味深い記述を見つけました:
60才と82才の時に2枚描かれたこの絵は大きく違います 72才で白内障の手術(当時の技術は低く視力もあまり戻らなかった)のあとで モネは「もはや色もわからず 中間色は全く見えない 青や紫や濃い緑などは黒く見える」と78才で述懐していたといいます
そして82才で描いたこの絵は 60才の時の絵とは大きく違っていたのです...
妻や次男の死のショックという説もありますが 著者である眼科医は(画家でもある)白内障の影響と指摘しています 加齢による目の病気について調べていたところなので とても興味深かったです ^^) _旦~~
「視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ」(光文社新書/深作秀春著) ← まさに目からウロコでした! 若いうちから目は気をつけましょう~
「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」は こちら
このあと福岡・大阪でも開催されます 詳しくは こちら

