日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

「未来派の身体感覚と舞踊 -前衛芸術運動のイタリア的身体観-」に参加しました(2017.11.18)@星美学園短期大学公開講座

2018年09月08日 | イタリア関連の催し

「未来派の身体感覚と舞踊 -前衛芸術運動のイタリア的身体観-」に参加しました(2017.11.18)@星美学園短期大学公開講座



未来派は 今まで絵画くらいしか知りませんでしたが 初めて未来派の舞踏の講座に参加してきました イタリア文化会館のエントランスにある赤い2つのオブジェ(写真)が 
もしかしたらこのU. Boccioniの「踊る身体」のオブジェではないか?との話になりました 

    *      *      *  

ルネサンス期の宮廷舞踏は 美しい身振りの探求でした
19世紀末に生まれたロマンティック・バレエとバッロ・グランデの成り立ちと変遷についてご紹介いただきました 重力から解放され 空中で踊るイメージです 
Excelsior(1881)のオペラの最盛期も 大勢の登場するオペラ映像を 講座のラストに鑑賞しました

20世紀初頭 ミラノに始まった未来派は「Futurismo」といって 1909年にマニフェスト「未来派創立宣言」が生まれてから 
1944年まで続いた(宣言したFilippo Tommaso Marinettiもこの年に亡くなっている)前衛芸術運動で 時代の変化を敏感に察知する新鋭アーティストの集まりでした

自動車や飛行機などの機械によって日常の暮らしが激変すると かれらはそれを芸術表現にも反映させようと試みたのです 

当時 自動車や飛行機がもたらした前人未到のスピードを味わった身体は それをどのように身体芸術に取り入れたのかについて 実はあまり知られていない
未来派の舞踊について 舞踊の歴史を交えて紹介してくださいました

この「未来派創立宣言」では 「速度の」が称賛され 「唸りをあげるレーシングカーは サモトラケのニケよりも美しい」とあります また 「後ろを振り返る必要はない 
時間と空間は 昨日消滅した」と... ただ暴力的な言葉の激しさが当時は偏見を持たれたようです

飛行機等の機械を利用する者は それらが自分の精神に決定的な影響を駆使していることに気づいてすらいない との未来派によね指摘は 例えば今でいえば スマホのある自分とない自分がどう変わったか? 
との問いかけにも似ていまるとのこと

視覚 聴覚 触覚 嗅覚 味覚などの五感に感知された「新しさ」が 新たな芸術表現の発想の源となったのですね 

3冊の分厚いFuturismoのカタログを回していただき 見ながら話を進めていきました 2014年のグッゲンハイムの展覧会は ファシズム期とも関わっていたFuturismoの
総括でもありました

未来派は 絵画 音楽 文学 騒音芸術 バラエティ 建築 映画 ダンス 航空絵画などにも及びます

モダンダンスの2潮流について: 1つは身体の機械化と増強で ニジンスキー等が代表です それに対して2つめは 自然と体 - 魂の調和 そして 内面性の表出
(機械化しているからこその)であり 代表的なのはイサドラ・ダンカンです 
たとえば棒を持って布をまとって舞うと 身長は3~4メートルにも及び 旋回するとより大きな表現ができますね 実際に映像を見ましたが なんとなく新体操を思い浮かべました

そして未来派の「踊る身体」 ここでは例のU.BoccioniのForme uniche della continuità nello spazioという彫刻作品(1913)が登場しましたが 
子ども向けの英語ガイドではスーパーマンと表現されていたので 私もついついガンダムを想像してしまいました(''◇'')ゞ

ガス管やドラム管のような筒の中に身体を入れて舞うという表現もあり 踊りづらくても表現する能力を通して 新たな身体表現を試みるのだそうです つまり
未来派ダンス宣言」とは 「筋肉の可能性を超越し ダンスを通して 理想的なモーターによって"増強した身体"を目指さなければならない」というものです 
「差し迫る人間とモーターの同一化に備えなければならない」とのことでした 

"Balla"という絵画も 写真の発明により 踊る女の子の足の動きを連続写真のように表現したものです ダンスではまた 踊り手がおらず
舞台装置のようなもののみで表現するダンスもあったとのこと 前衛的ですね~

未来派の「飛ぶ身体」について

今度は「速度の新しい宗教 - 倫理宣言」(1916)について 勇気あるものだけが経験できる表現として 飛行機に乗る経験を通して表現する(絵画を描く、バレエを踊る)
というものです

ひとつの飛行機を一人のダンサーにみたてて 飛行による複雑な精神状態の表現を介して 新しい芸術形式を作るもので ダンスを凌駕するものとのこと

未来派航空演劇
では 「機体はパイロットの身体の延長部分」であり 「飛行によって創造する芸術形式はダンスに類似する」というもので 「太古の肉体には翼が眠っている」(マリネッティ)
とされました まさに飛行機は「飛ぶ身体」であり 人も進化すれば飛べると考えられていたのですね

航空絵画」は 最初は画家が飛行機に同乗し紙に絵を描こうとしますが 当時はまだ双葉機で 紙が風に吹き飛んでしまいダメでした... でも
飛行を体験せずに描くことはできないとされていたのですね 画家が飛行を体現していたのです 
また 航空ダンスでは さらに プロペラの旋回をダンスで再現したり 衣装も プロペラの形のものをつけたりしたそうです 飛行による恐怖 喜び 興奮などを
ダンスで表現したのですね その映像も見せていただきました

今まであまり聞いたことのないお話で とても刺激になりました 

素晴らしい講座を開いていただきました 星美学園短期大学様に 心よりお礼申し上げます。
来年度の講座も楽しみです♡

未来派については こちら

2018年度の公開講座は こちら

* 今回の災害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます




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