講演会シリーズ「世界の書棚から」シリーズ第4回「ベルギーの児童文学について ー 4人の女性作家のポートレート ー 」に行ってきました(2022.6.10)@板橋区立中央図書館
「絵本のまち いたばし」の板橋区立中央図書館・板橋区立美術館が合同で 月1回開催している「世界の書棚から」シリーズ 第3回の「ポルトガル」に続き 第4回は ベルギーです:
この日は ベルギーのフランス語圏の学術・文化交流担当の方がフランス語で講演され 通訳はフランス語の絵本翻訳家の方が担当されました
ベルギーではフランス語 オランダ語 ドイツ語の3か国語が話されています
この日ご紹介いただいたのは フランス語圏でのアバンギャルド(前衛)の4名の女性作家でした:
1. Elisabeth Ivanovsky/エリザベス・イワノフスキー (1910-2006)
ロシア生まれでベルギーに帰化し ロシアと西洋文化の両方の影響を受けました 戦争中に手のひらサイズの"Pomme d'Api(赤いりんご)"等のミニ絵本シリーズを出したり(戦時中は紙不足のため) クレヨン等で色々な実験をしました クレヨンを塗ってからあたためてスプーンでこするとクレヨンの色が混ざりあうなど...
ロシア構成主義(constructivisme russe)に基づく作品を創り いくつかの絵本をご紹介いただきました 静と動 曲線と直線などが特徴ですね
2. Gabrielle Vincent/ガブリエール・バンサン (1928-2000)
ブリュッセル生まれ 本名モニーク・マルタン(Monique Martin )
白黒のみで描く時期があり 10年後にカラーに戻りました
くまとねずみが仲良しになる"Ernestet Célestine(アーネストとセレスティーヌ)"シリーズが有名で 2012年にアニメにもなりました この絵本は私もプレゼントしてもらったことがあり驚きました📚
何枚か描いても 最初に描いた絵を結局選ぶことになるとのこと
分かち合い(partage)と寛容(tolerance)とインクルーシブ(inclusion)がテーマです
そして"Un jour, un chien" (アンジュール ― ある犬の物語)という 捨てられた子犬が飼い主の車を追って必死で走り続ける 言葉のない白黒鉛筆画の絵本をご紹介いただきました
衝撃でした まるでアニメーションのように絵が動いているかのようでした シンプルで 力強く 画力があり正確な絵 圧巻でした
3. Kitty Crowther/キティ・クローザー (1970-) ブリュッセル生まれ
スゥエーデン人の母と 英国人の父を持ち 北欧と西洋の文化の影響を受けました 幼少期に耳の聴こえが悪く目でものを観察する力が養われ 絵は彼女にとって非常に大切なものだったそうです
説明はせずに 読み手が必要なものを探す その扉を開くような本づくりをし いわゆる美形は搭乗しません
見えないけれどあるものを大切にして 死などの児童書にしては難しいテーマを扱っています 黒を使うのは 光や色を際立たせるからとのこと
4. Anne Herbauts/アン・ハーバウツ (1975-) ブリュッセル生まれ
子どものためではなく 子ども時代のために本を創る 時の流れはとても大切 絵も文章も大切にする作家です
1998年の「Que fait la lune, la nuit ?/おつきさまはよるなにをしているの?」には 月とネコの2人の登場人物がいます 日本語版も出ています
絵本の他にも bande dessinée/バンド・デ・シネ(漫画)も手掛けています
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フランス語はわかりませんが要所要所がなんとなくわかり 楽しめた講演会でした
ボローニャ原画展のチラシもいただき 会場で懐かしい方とお話をしたり 展示絵本を見たり...終了後にもう一度 最も印象に残った「アンジュール ― ある犬の物語」を見てから帰りました
近いので嬉しいです😊 夜の外出がだんだんおっくうになってきて年を感じますね~トホホ
第5回は アルゼンチンです!
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