日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

講演会シリーズ「世界の書棚から」シリーズ第6回「現地で出会う イランの最新絵本事情」に行ってきました(2022.8.5)@板橋区立中央図書館

2022年09月09日 | イタリアの本・絵本・雑誌

絵本のまち いたばし」の  板橋区立中央図書館・板橋区立美術館が合同で 月1回開催している「世界の書棚から」シリーズ  第5回の「アルゼンチン」に続き    第6回はイランです:

 

この日は イランの紹介に始まり 3年ぶりにイランを訪れたお話などを伺いました

講師の先生のHPは こちら

イランは 詩の国ともいわれています 

場所にもよりますが乾燥地帯も多く 水のある場所が大切にされています そして宗教はムスリムが主で 公用語はペルシャ語(約半数) 他はアラビア語系やトルコ語が話されています

チャ―ドルなどの女性の黒い服装について伺い お話は街の本屋さんや図書館の様子から入りました

1960年~1980年頃:

1966年に カーヌーン(児童青少年知育協会/Institute for The Intellectual Developnment of Children & Young Adults)が設立され 国際的に評価される絵本が出版されました 

また イラン児童図書評議会も 1962年に設立されました 

ですが 1979年のイラン革命や 1980年のイラン・イラク戦争の勃発により それ以降は停滞期 暗い時代を迎えます

1988年にイラン・イラク戦争が停戦 1989年には 首都テヘランで イラストレーション・ビエンナーレが始まりました 

そして 2000年以降 国際原画コンクールや原画展での入選者が急増してゆきます 

ボローニャ国際絵本原画展にも 2004年から毎年入選するようになり 2009年には最多11名のイランの方が入選したそうです

 

ペルシャ語とアラビア語は  文字は共通ですが言語体系は全く違います (日本語と中国語のように)  右から左に読みます

なのでペルシャ語の絵本の日本語版を出版する際に 縦書きであればよいですが 横書きの場合は 左から右に読むため 絵を反転しなくてはならず 大変な労力がかかることを知りました 

 

子どもの本をめぐる状況について 

児童書の初版出版点数は 7千点余 総出版数は1,5万点余ですが うち翻訳書が半数近くを占めています それでも1タイトルあたりの部数は2千部弱とのこと

海賊版の翻訳ものがけっこう売られているのですね 街の本屋さんではCDやおもちゃも一緒に売られており 写真も色々見せていただきました

 

    *     *     * 

イランで愛されている古典作品についても ご紹介いただきました

日本で一番有名なのは 「ルバイヤート」という四行詩の詩集です

イランでは 古事記のように大切にされているのが「シャー・ナーメ(王書)」という民族叙事詩で 6万対句からなるお話の宝庫です

 

今年の5月には 第33回テヘラン国際ブックフェアが 3年ぶりに ハイブリッド形式で開かれました

大規模なイベントで 版権取引や本の割引販売などが行われますが 外国からはクレジットカードが使えないため オンラインで買えず 結局は街で探すことになるとのこと

    *     *     * 

出版社についてもご紹介いただきました


TUTI出版

ファーテミー出版の絵本専門部門として2015年に始まり 2021のボローニャ国際児童図書展にて アジア最優秀出版社に選ばれました

数少ないサイレント絵本「ねむりのひみつ」や 講師の先生も訳された「ごきぶりねえさん」も イランでは有名なお話だそうです 

イランでも嫌われているこの虫を主人公にして人気を得たのも この絵の力によるものが大きいとのこと 

 

カーヌーン (児童青少年知育協会)

1966年に設立された政府系総合文化機関で 図書館や出版 アニメ制作 文化芸術活動等を運営する巨大組織で 子供たちの放課後を支えているそうです 

 

児童文学歴史研究所

2000年設立のNGO\NPO  ターク(ぶどうの木)という出版部門を持っています

『イラン児童文学の歴史』(全10巻)も出しています

また 児童文学の史料収集や研究者の育成のほか 2016年のIBBY朝日国際児童図書普及賞を受賞した『Read with me』という 本を届けるプロジェクトを運営しています 

 

イランのことは今までほとんど知りませんでしたが 国のことや 児童文学について 色々な興味深いお話を聞くことができました

第6回「現地で出会う イランの最新絵本事情 」は こちら

 

第7回は 英語圏です!!

 


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