2021年の日本の世界遺産に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(le isole Amami-Oshima, Tokunoshima e Iriomote)」「北海道・北東北の縄文遺跡群(Jomon Siti Preistorici in Nordgiappone)」が新規登録され 日本は25件となりました (2021年7月)@第44回拡大世界遺産委員会
第44回世界遺産委員会は 2020年はコロナの影響で中止となり 2021年7月16日~31日に拡大第44回世界遺産委員会としてオンライン・ミーティングで開催されました
日本の新規2件の世界遺産について調べました:
2020年分
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 (自然遺産)
le isole Amami-Oshima, Tokunoshima e Iriomote
(Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island, Northern part of Okinawa Island, and Iriomote Island) 鹿児島県 沖縄県
経緯: 2018年に「登録延期」勧告を受けて再推薦されたもので 2021年5月10日に登録勧告が出された
生物多様性基本法(2008年交付)の 生物多様性保全地域が初適用されている
登録基準から「生態系」を削除し「生物多様性」に絞ることを決めた
多くの固有種が生息し 生物多様性保全のうえで重要な地域であることが高く評価された
ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)は 2018年に登録延期を勧告
政府は2019年に改めて推薦書を提出し 再挑戦で悲願を果たした
日本の世界自然遺産登録は10年ぶり 白神山地(青森県、秋田県) 屋久島(鹿児島県) 知床(北海道) 小笠原諸島(東京都)に続き5件目となる
政府が検討してきた自然遺産候補地で未登録だったのは奄美・沖縄のみで 国内では最後の登録となる公算が大きい
出典: 「奄美・沖縄」世界自然遺産に登録決定 「生物多様性保全地域」評価 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
また一方では 絶滅しかかっているアマミノクロウサギが ノネコ管理計画のネコ駆除で守られて世界遺産登録されたのは虚言であり 「奄美の猫3000匹駆除殺処分計画」の中止を求める声も挙がっています
参考: 世界遺産を観光資源と位置付けるエコツーリズム(ヘリテージツーリズム)と 遺産の商品化による観光公害への対応も求められるが 奄美大島の大型クルーズ船の寄港誘致や 沖縄のカジノを含む統合型リゾート誘致など従来以上の観光客増加に拍車がかかる動きがある
一方で捕獲された野猫が 殺処分される可能性があることに対し 動物の権利(愛護)の観点から批判的意見も出されている (Wikipedia)
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2021年分
北海道・北東北の縄文遺跡群 Jomon Siti Preistorici in Nordgiappone (Jomon Prehistoric Sites in Northern Japan)
写真: 三内丸山遺跡の大型掘立柱建物(青森県)
三内丸山遺跡など 1道3県にまたがる17件の構成資産から成り 農耕に移行しないまま定住が営まれた縄文時代の様子を伝えている
北海道・北東北の縄文遺跡群は 北海道(道南)・北東北にある縄文時代の遺跡群の総称
発掘された考古遺跡のみで構成されるものとしては 国内初の世界遺産となる
遺跡は北海道 青森県 岩手県 秋田県の1道3県に点在している
経緯: 2017年までに5年連続で推薦が見送られ(国内各地に残る縄文遺跡を 北海道と北東北のみ取り上げることに理解が得られず) 2018年7月 2020年審議の正式候補に選定されたが 2020年からは「一国一件」に限られるようになり 自然遺産候補として「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」も2020年の推薦を目指していたことから 自然遺産の候補案件が優先的に審査対象にされることを踏まえ 「奄美」を先に推薦することにした
このため縄文遺跡群は2021年の推薦に回された
2021年イコモスから登録勧告が出され 7月27日に登録が決定した ← そしてコロナのため2年分同時に2021年の委員会で無事に登録されたのですね!
新聞記事より:
『長い縄文時代の中での定住の過程が見通せる価値を訴えてきた 先史時代の遺跡では「縄文」が初めてとなる
先史遺跡は地上に残るものが少なく 復元されたものもあり不利だが 目に見えないものの価値を説明する努力が認められた』 (2021.5.28.毎日新聞「世界遺産多様化の時代」より)
『17遺跡からは 土器の使用から大集落の形成 墓地や土偶の発達といった縄文時代の変遷がわかる。 一方 保全状況は各地で異なる』(2021.5.27.読売新聞「縄文 ぬくもり伝える 遺跡群 世界遺産へ」より)
決定を伝える記事:
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界文化遺産に登録決定…独特の定住社会が発達」(2021.7.28)は こちら
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スペイン語の記事より:
La Unesco ha añadido (付け加える) un grupo de sitios arqueológicos esparcidos por las prefecturas de Hokkaido, Aomori, Iwate y Akita, en el norte de Japón, a su lista de Patrimonio Cultural Mundial.
Así lo decidió el martes el Comité del Patrimonio Mundial de la Unesco durante una reunión en línea.
Las 17 ruinas antiguas son los restos de algunos asentamientos habitados (定住生活) por cazadores (漁師) y recolectores(作物を収集する人). Datan (年代を特定する) del periodo Jomon, que empezó hace unos 15.000 años y que habría durado más de 10.000 años.
Entre los sitios figuran Sannai Maruyama, en la ciudad de Aomori, donde se encuentran los restos de casas excavadas (発掘された) y estructuras sustentadas (支えられた構造物) por pilares (柱).
Los Círculos de Piedra de Oyu(大湯環状列石), en la ciudad de Kazuno, en Akita, se cree que se crearon para realizar ceremonias.
Fuentes del Gobierno japonés dicen que los restos ofrecen una visión de la vida y las creencias (信仰) de las personas de aquel periodo.
*イタリア語の記事を探したのですがまだ出ていないらしく NHKラジオスペイン語ニュースを使いました
ユネスコのサイトは こちら ← 日本25件 11番目です
最期に...
『第44回拡大世界遺産委員会は2021年7月31日 あらたに34件を登録、1件を抹消し(「海商都市リヴァプール」が再開発のため) 総数は文化897 自然218 複合遺産39の 合計1154件となった。』
「世界遺産の総数1154件に ユネスコ委員会が閉幕」の記事は こちら
まとめは こちら
こうして無事 第44回拡大世界遺産委員会は終了したのでした…
* 写真は 西表島(沖縄県)