こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

見捨てはしないけど

2016年07月04日 22時43分10秒 | Weblog
「このごろのブログを読ましていただいていると、産地を切り捨ててしまうのではないかと心配になります」というメールが届いた。
 
もしかしたら、自分がポンポンと計画を出していくことから、産地のブランド化計画を作るというのは、そんなに難しい問題ではないのかもと考えている人もいるかもしれない。
そう思っているとしたら、とんでもない間違いである。
確かに、何十ものブランド化計画を作っているのだから、パターンと言うものがあるのは事実である。
しかし、それが通用するほど、ブランド化計画と言うのは簡単でも、単純でもない。
 
まず、ブランド化計画を作るためには、その地域の文化・歴史・風土・生活などを調べることから始まる。
そうしなければ、その地域に合ったブランド化計画というものが作れないからである。
図書館で調べるとか、ネットを使って調べたりして、ある程度までは知識として得ることは出来る。
であるが、それが出来るのは、ある程度大きな産地であり、小さな産地の情報となると、ほぼ手に入れることは出来ない。
当然、産地の協力が必要となる。
 
地域を知らなくても、品種を知っていれば、ブランド化計画は作れるのではないかと考えるかもしれない。
品種だけについての計画なら作れる。
でも実際には、地域ごとに品種特性などに違いが出ることから、品種だけのブランド化計画を作っても、ほとんど実現することは出来ない。
 
しかし、どこの産地も、品種だけでのブランド化計画を作っている。
だから数年で行き詰るし、ブランド価値も下がってしまう。
 
先に投稿した「北海道米」についても、このことは言える。
自分は、JA新すながわの「ゆめぴりか」と言うように、地域のためのブランド化計画を作って実行していた。
1か所の地域ブランド化計画が動き出せば、それを付いてくる産地も、同じように考えて実行していくため、途中からおかしくなるという事は、あまりない。
しかしホクレンは、地域ごとのブランド化ではなく、「北海道米」としてのブランド化を計画して実行している。
だから、数年たった今、完全に行き詰ってきている。
 
元々自分とホクレンとでは、進むべき道は違っている。
それを判っているから、数年前までは、考え方にズレがないように、広がらないようにと、頻繁に情報交換と打ち合わせをしていた。
しかしこのごろは、よほどのことがない限り、合って話をするという事は無くなっている。
その悪い部分が、現実となって表に出てきたのが、今回なのかしれない。
 
産地そのものが小さいのであれば、ホクレンの実力をもってすれば、たぶん可能だったのだろうと思う。
しかし、北海道はデッカイ道。
東北を飲み込むほどの大きさを持っている。
頑張っていることは認めていても、産地ごとの品質や実力には差があって、どんなにあがいても、その差は縮まらない。
 
全国に通用するブランド産地になろうと決めたのなら、その部分での、残酷な判断は必要なはずであった。
「何度も考えた」とホクレンは言っているし、実際、考えていると思う。
しかし、「みんな仲良く手をつないで、津軽海峡を渡りましょう」というほど、内地(本州)、さらに、消費地は甘くない。
道内であれば出来ることであっても、海を渡ったら通用しない。
だからこそ、ブランド化計画は、北海道では絶対に必要だったのだ。
 
簡単に考えているように見えているかもしれないブランド化計画。
しかし現実は、1つのブランド化計画を作るのに、膨大な時間と手間暇がかかっているのだ。
だから、簡単に切り捨てるなんてことは出来ない。
でも、いくつかの地域ブランド化計画については、諦め始めていたり、諦めてしまったのも、現実としてある。
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2品種で仕掛ける

2016年07月04日 20時32分04秒 | Weblog
今日の午前中、茨城県庁と「ふくまる」のブランド化についての打ち合わせをしていた。
 
デビューしてから数年がたち、ブランド化をしていくには、賞味期限が切れていると思う。
それでも何とかブランド化をしていきたいと考えているのだが、現実は厳しいといえる。
 
そんな状態になっているので、頭の中のCPUをフルに回転させても、なかなかブランド化計画が思いつかない。
四苦八苦しながら、数本のブランド化計画の柱を作ってみた。
であるが、スタートは切れても、走り続けることが出来ない。
どうしても、ブランド化計画が安定するまで持たないのだ。
 
正直、「やはり、遅かったのか」と諦め始めていた。
そんな中で、「今回だけは、茨城県にもチャンスはある」と思える計画が見つかった。
それも、「ふくまる」だけではなく、潮来市の「一番星」も合わせて。
 
でも、この計画は今年しか使えないというか、今年しか効果がない。
来年になってしまったら、もう、どんなにアレンジしたとしても、使い物にはならない。
まさに、1回限りの計画だ。
 
ブランド化計画と言うには、あまりにも乱暴。
でも、プラスになることはあっても、マイナスになることは、あまりない。
であるなら、試してみたいと思っている。
 
問題は
・間に合うのか。
・産地が対応できるか。
・管理できるか。
などである。
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別リーフレット

2016年07月04日 18時30分31秒 | Weblog
北海道米のブランド力が下げ止まらないことから、お米の美味しさを求めている消費者に対して、スーパーなどで販売している北海道米と、米屋が販売している北海道米との違いを、もっと広く、もっと確実に知ってもらえるようにしなければならない。
 
米屋だけのために、「高度クリーン」などの、差別化栽培を宣伝することは不可能というのがホクレン。
それはそうであるが、それなら衰退を止めることは出来ないと、断言する。
このまま衰退してしまえば、「あきたこまち」と同じ道をたどってしまう。
であるが、そこには大きな違いがある。
「北海道米」は「秋田米」程の信頼を、消費地では得ていない。
なので、、同じ道と言っても、条件はもっと悪くなると想像できる。
最悪となれば、「やっかいどう米」に逆戻りだろう。
 
米屋というのは、産地にとって「最後の防壁」なのである。
米屋と消費者との1対1の対面販売は、どんなお米でも販売できるし、無名な産地でも品種でも、ブランド米に育て上げることも出来る。
そうやって、有名になった産地は、いくつもある。
であるが、どの産地も、少し有名になると、自分たち米屋を五月蠅く思い初めて、大きな流通ばかりを考えるようになってしまう。
 
「やっかいどう米」であった「北海道米」を引っ張り上げたのは、ホクレンでもないし、農協でもないし、生産者でもないし、生産者でもない。
出来の悪かった「ゆめぴりか」のデビュー時に、デビューを失敗しないように」と、細かく消費者に説明していたのは、自分たち米屋であった。
なので、水加減や炊きあがりについてのクレームは、ほとんどなかったはずである。
 
今の自分たちは、それが出来なくなった。
自分たち米屋での購入よりも、スーパーやドラッグストアなどで買っている消費者が、圧倒的になったからである。
米屋にまで買いに来てもらえなければ、産地のこだわりも差別化も、特徴も美味しさも、1つも伝えることは出来ない。
ネットやスーパーで購入して、「北海道米は美味しくない」と判断してしまった消費者に、「もう一度北海道米を食べて」と提案することも出来ない。
 
「産地に裏切られた」感じた消費者は、二度とその産地のお米を購入しない。
それが消費地というものなのだ。
 
衰退が止められない「北海道米」を、もう一度購入してもらい、「美味しい」と実感しててもらうためには、宣伝できないと言っている「差別化米」の存在を伝える必要はある。
 
なので、ラストチャンスとして、前回作成した「こだわり米専門店の北海道米は 付加価値のついた差別化米です」のリーフレットとは別に、「高度クリーン」と「特別栽培米」というキーワードを盛り込んだ、米屋専用の「ななつぼし」「ゆめぴりか」「きたくりん」のリーフレットを、大至急作成することになった。
 
この効果は、わずかに数%程度であろう。
でも、消費地の波が読めれば、ラストチャンスはあるかもしれない。
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足を引っ張るのは誰か

2016年07月04日 17時33分47秒 | Weblog
少し前に、ホクレンと話をしていた。
 
ドラッグストアにも並ぶようになってしまったことから、ブランド米としての価値が、転げ落ちるように下がってしまった。
ネットで購入していた消費者のクレームは以前からあった。
しかし近頃は、スーパー購入している消費者からもクレームが上がるようになってしまっている。
品質的にも、流通的にも、そしてブランド米を名乗っていることに対しても、問題が山積みである。
 
「北海道米」は、どうして、こんなにグダグダにまでなってしまったのだろうか。
確かに、色々な制限をつけると、独禁法に引っかかってしまう。
しかし、ブランド価値を守るための考え方と行動は、ギリギリの駆け引きとして必要だったとは思う。

グダグダになってしまった理由は、以下のこともあったと思う。
・東北の失敗を学んでいなかった。
・ブランドを理解していなかった。
・先読みが出来ていなかった。
・計画の読みが甘かった。
・「ゆめぴりか」に、舞い上がっていた。
・ブランドの修正時期を誤った。
・勢いに頼りすぎた。
・消費地を理解していなかった。
・消費地とのタイムラグを理解していなかった。
・差別の考え方に間違いがあった。
・差別化米の存在を、消費者に認知させられなかった。
・米屋の怖さと大切さを理解しきれていなかった。
・・・・・・・・・などがある。
 
でも、全てホクレンが悪いというのは、大きな間違いである。
昔の東北がそうであったように、実は、生産者の責任の方が重いのである。
 
作れば売れる。
俺の米は旨い。
それらは全て、昭和の時代の話である。
今は平成。
そんな程度で考えられては、非常に困るのである。
 
「売れる」のは、品質と美味しさが必要。
「旨い」は、金賞などの証明が必要。
 
「ゆめぴりか」は、タンパク質含有量7.4%以下でなければ、名乗ってはいけない。
これはブランドルールとして、最低限のことである。
しかし、生産者の直売は、この基準を見たいしてないものがある。
基準を見たいしてないのに「ゆめぴりか」と表示しているのは、ブランド米に対する裏切り行為である。
 
さらには、等級検査も受けていないのに、JAS表示に「北海道 ゆめぴりか」と表示している物もある。
検査を受けていないのなら、表示は「国産米」としか書くことは出来ないはず。
「ゆめぴりか」と表示をするなんて、産地だけでなく、ブランドだけでなく、消費者に対しての裏切り行為である。
これがマスコミなどで取り上げられると、「偽造米」という報道になってしまう。
そうなってしまうと、「北海道米」の信用は、完全に地に落ちる。
 
生産者1人の責任だけでは済まない。
それが今の時代なのだ。
当然、復活することは出来ない。
自分たちも、信用できない産地を、わざわざ復活などさせない。

こんな現状が続き、「ゆめぴりか」はブランド力を失ってしまった。
そして、米屋ではスーパーなどとの差別化が出来なくなってしまった。
今のところ、失速にストップをかけることは出来そうもない。
「地に落ちる」とは、このことだろう。
 
「ゆめぴりか」の失速は、「北海道米」全体の失速になる。
「ゆめぴりか」のブランド力が下がってきて、「ななつぼし」は現状維持。
「ゆめぴりか」と「ななつぼし」は、両極のブランドであったはず。
そして、この隙間が大きいことで、色々な品種や産地の差別化が出来ていた。
なのに、日々この隙間が狭くなってしまっている。
隙間が無いということは、「ゆめぴりか」と「ななつぼし」以外の品種は、存在価値が無くなるということである。
 
ブランド化計画というのは、「北海道米」を「新潟米」と肩を並べるようにするためだけではない。
「北海道米」を、全滅させないための計画も含まれている。
でも、産地側の足並みが揃わなければ、計画が実行できないばかりか、計画そのものがズタボロになっている。
 
今回、ホクレンが提案している計画には、かなりの無理がある。
数年のうちには、癌として「北海道米」を苦しめことになると思う。
 
自分は、それが見えている。
見えているが、どうすることも出来ない。
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