これからの時代は、個人生産者が、生産から販売までを全てやる時代が当然となるのか、自分が言い続けている、行政と生産者と地域が一体となって地域ブランドとして生き残っていく時代が当然となるのか。
それについては誰も判らない。
ただ漠然とではあるが、今のままので、これからの時代を進んで行くという事は、絶対にあり得ないだろうという事は、見えているような気がする。
TPPが動いてしまえば、産地が推し進めている、量ばかりを考えて栽培されている「業務用米」という存在は、全く価値が無くなってしまうだろうと思う。
既に消費地では、価格が高騰しているうえに年間供給も出来ない国内産の業務用米に、見切りをつけ始めているし、過去にあった外米騒ぎの時とは違い、海外経験が豊富な若者が、外国産米を否定する理由は無い。
さらに、その外国産米がオーガニック栽培米で、それも品種が日本のコシヒカリ・あききたこまち・ひとめぼれで合ったとしたら、完全に拒絶する理由は無くなってしまう。
品質や美味しさを求めて栽培していなかった品種は、業務用米として売れなくなったからと言って、いきなり消費者に対して販売しようとしても、買ってくれる消費者はいない。
価格を下げて販売しようとしたら、それこそ価格破壊が進むだけであるし・・・。
もう一つ、数年後に種子法が廃止となりそうであるが、そうなってしまった後に、県の奨励品種や選択品種に入っていない品種を、生産者が何処からか購入して勝手に栽培していて、それを全国に対してネットで販売していて、もしそれが、DMA違反として摘発されてしまった場合、その品種を栽培していた生産者は、全国に対して回収するための告知をしなければならない。
その費用は1回で数千万円はかかるし、回収できるまで、何度でも告知を繰り返さなければならない。
当然のこととして、その間のお米の販売は、一切できない。
もしも地域JAが、そういうお米を買い取ってしまっていたり、そのお米に何かしら関わってしまっていたとしたら、JAの責任も当然出てくる。
賠償についても、生産者と一緒に支払わなければならなくなるかもしれない。
そうなってしまうと、JAの存在も危なくなってくる。
1人の生産者のために、地域JAが仕掛けている地域ブランド米も傷が付くし、酷い場合はJAが潰れてしまう可能性もあるのだ。
だから自分は、このごろの講演で、「自分で販売するのであれば、一切JAに頼らず、全て自分の責任で管理して販売するように」と、産地に対して言い切っている。
今迄、生産者が自分でネットなどで販売していながらも、売れ残ったお米をJAに「買ってくれ」と甘えていた生産者からすると、「冗談じゃない」と怒り心頭である。
しかし、これがJAではなく、普通の株式会社だったとしたら、そんな理屈は通らないのが当たり前である。
「JAだから」という考え方が、もともとも間違いなのである。
こんなことは、これからの時代としては、氷山の一角。
それも、相当小さな一角でしかない。
個人販売が生き残るのか、地域ブランドが生き残るのか。
既に戦いは始まっている。
答えは、数年後には出ることだろう。