ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

大嘗宮の一般参観に行ってきました!

2019-11-29 23:15:16 | 日本文化
ご無沙汰しております、ぬえです~

いろいろと進行中のプロジェクトもありますが、今回は舞台とは離れた話題です。
いつの間にか時代も平成から令和に代わり(あ! この投稿も令和初だw)、天皇一世一代の重要行事。。というか秘儀である「大嘗祭」も滞りなく終わり、名実ともに新・天皇陛下の御代が始まりました。

そしてこの度、その大嘗祭の舞台となった「大嘗宮」が一般公開されている、というので見学に行って参りました。

新天皇陛下の即位パレードのときは、沿道の狭い歩道に人が押し寄せて。。どうもあまりの混雑に、待ち時間には参列者の間に殺伐とした空気も流れたようにも聞いていますが。。



こちらも入口になる坂下門からこの行列ではありますが、宮内庁のサイトでも連日「待ち時間ゼロ」と告知されていますし、長く続いた雨が上がったこの日、偶然にもスケジュールが一部キャンセルされたので、訪れてみました。



江戸城時代の面影を残す冨士見櫓。そういえば皇居に入ったのは宮内庁楽部の演奏会に行った程度で、かなり久しぶりになります。

こんなに長い行列に見えますが、実際には人の流れはスムーズです。手荷物検査委があり、バッグなどの手荷物はすべて口やすべてのポケットを開いて係官に改めてもらいます。なお、飛行機と同じように飲み物の持ち込みは禁止でした。



本丸跡に入ると、ををっ! お目当ての大嘗宮が見えてきました。さすがにここだけは人だかり。

それでも人の流れは順調で、係官の「お写真は1~2枚にしてくださ~い!」「お写真をお撮りになったら後ろの方に交代してあげてくださ~い」という金切り声に、みなさんクスクスと笑い声が起きるくらい。和やかな雰囲気でしたね~。

ちなみに大嘗宮が見えてから、そこに近づく途中の右側に、ちょっと木立に隠れて見えにくいですがトイレと皇居グッズ(?)を売る売店があります。おなじみ皇室カレンダーのほかにもクリアファイルとか栞や絵葉書なんかもありますが、ここ以外に売店はなかったので、お土産が欲しい方は見逃さないようにしましょう。



流れはスムーズですが、それでも大嘗宮の真正面だけはみなさん写真を撮ろうとこの人だかり! これ以上は近づけませんでしたw

いや、それでもカメラを両手で持ち上げて撮影を試みたら。。ちゃんと撮れていました!



意外に質素な白木の建物群。。しかしそれは古代の信仰の形をそのまま留めおいて現代にまで伝えているのですね。私たちの世界にも似たようなものはたくさんありますけれども、それよりもずっと長い歴史を経て伝えられたもの。やっぱりこの国の文化は凄まじいくらいの「深さ」を湛えています。これを再発見しただけでも今日の大きな収穫。



大嘗宮は外側をぐるっと廻って見ることができるだけですが、後ろに回ればまた秋空に映えて。。古代の世界にいるみたい。そう言いながら後ろに見えるビル群は、妙に違和感がないですね。

さてこれで大嘗宮の見学を終えて、すぐそこには江戸城の天守台と、宮内庁楽部の演奏会が開かれる桃華楽堂。





このあと書陵部の前を通って平川門に出て、地下鉄東西線の「竹橋駅」から帰路につきました(入口の坂下門方面に行くこともできます)。

坂下門の入口からここまで、1時間も掛からなかったのではないかしら。
混雑を懸念して迷っておられる方には見学をぜひお勧めします。

<大嘗宮一般参観について>

11月21日(木)から12月8日(日)の18日間
午前9時から午後4時(入場は午後3時まで)

詳しくは宮内庁のホームページにて

能楽の世界は皇室との関りも古くからありますが、現代でも ぬえの体験でも昭和の頃には香淳皇后(昭和天皇の奥さん)はしばしば師家の別会にお見えになっていましたし、紀子さんが幼い眞子さんを連れて楽屋にお出でになったりしていました。新天皇陛下も皇太子時代に観世会にお出ましになっていたところに遭遇したこともあります。

でも、ぬえにとっては東北の被災地で聞くにつけても現・上皇陛下のお人柄が素晴らしくて。。まさに「名君」。。いまは君主ではないのでしょうからその言い方は間違っているとは思いますが、やはり「名君」という言葉が相応しいと思っていまして。。
上皇陛下のお姿はまだ一度も拝見したことがありません。退位された今、お姿を拝見する機会はご在位の頃から比べるとずっと減ってしまったでしょうが。いつか幸運に恵まれればいいな、と思っております。