ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

決算報告書(2014.08.13~17)

2014-10-30 00:16:14 | 能楽の心と癒しプロジェクト
能楽の心と癒しプロジェクト
第23次被災地支援活動
(2014年08月13日~17日)


 〔決算報告〕

 【収入の部】
     前回活動繰越金       151,701円
     募金収入             10,000円
     活動時募金収入          59,500円
     銀行口座利息             9円         収入計  221,210円

 【支出の部】
  〈活動費〉 93,789円
    ◎交通費        44,443円
     (高速道路通行料         15,920円)
     (ガソリン代            4,333円)
     (ガソリン代            9,918円)
     (ガソリン代            8,930円)
村上典子分
     (ガソリン代            4,582円)
     内野浩乃分
     (JR運賃              760円)
    ◎宿泊費        21,000円
     (佐々木優子宅           5,000円)
     (コテージキクタ         16,000円)
    ◎会場費        7,200円
     (気仙沼中央公民館         7,200円)
    ◎人件費        8,000円
     (伊藤誠              5,000円)
     (村上梨紗             3,000円)
    ◎宣伝費        1,300円
     (はがき代             1,300円)
    ◎印刷費        6,450円
     (星と能楽の夕べチラシ       1,280円)
     (同ポスター            1,830円)
     (五右衛門ヶ原仮設チラシ      1,280円)
     (星と能楽の夕べ当日パンフ     2,060円)
    ◎雑費         5,396円
     (AVケーブル           988円)
     (LEDキャンドル          648円)
     (ガムテープ            288円)
     (著作権使用料           972円)
     (プロジェクト公印         2,500円)        支出計    93,789円

 【収支差引残額】                          残額    127,421円

※注※
・前回活動からの繰越金のほかの収入は、募金1件10,000円(ハシモトさま)、現地活動による入場料収入1件(星と能楽の夕べ29,500円)、活動により頂戴した募金1件(地福寺さまより30,000円)、銀行口座利息1件である。大変ありがたい事で各位に御礼申しあげる。
・プロジェクトの活動にかかる支出については節約を旨とし、おおよそ次のような基準を設けている。①高速道路の利用については体力や公演スケジュールも鑑みるが、休日・深夜割引を利用するなど工夫する。②宿泊はボランティア団体や個人宅に泊めて頂くなど節約するが、継続して活動を続けるボランティア団体が減少し、また市民生活も通常の落ち着きを取り戻しつつあることから、現状では旅館等の宿泊施設を利用する機会が増えた。その場合の宿泊費の基準としては、素泊まりとし、おおよそ1人1泊5,000円程度までに収める。③食費については旅行がなくても掛かる費用であること、酒食の区別がつきにくいため、宿泊プランに朝食が組み込まれている場合を除いて参加者の自費負担とする。
・収支差額は今後の活動費用として活用し、支出明細を明らかにする。
・プロジェクトでは従来活動資金を募金に頼っていたが、震災から3年半を迎え、一般からの募金は皆無の状態である。そこで本年よりプロジェクトの活動を継続するために、活動内容を大きく 仮設住宅への慰問活動や仮設商店街の振興協力としての上演など、被災者への直接支援活動と、それ以外の活動に分けて考える事とした。言うまでもなく前者はプロジェクトの活動の本来の目的で、その活動の根幹を占めるものであり、後者は前者を補う関係のものである。そして前者の活動を無償で行うために、後者の活動を有料とする事に踏み切った。後者の活動の例としては入場料を頂戴する公演やワークショップがそれに当たり、今回の活動では『星と能楽の夕べ』がこれに該当する。
・いまだ活動の性格が明確には定まっていないのが、プロジェクトとして過去何度も行ってきた寺社への奉納上演である。無償で行うことが本来的に多いのだが、一方寺社を会場にワークショップを行ったことも過去に何度か経験がある。今回の地福寺さまでの『送り火の集い』では交通費としてご支援を賜った。今後も被災地でイベントやワークショップに限り有料の上演を行う予定であるが、会場の条件により募金を募る場合もある。また被災地以外の場所でも活動報告会を開いたり、引き続き企業スポンサーなどを探す努力を重ねたいと考えている。銀行口座への募金も引き続き呼び掛けさせて頂く。消費増税、また高速道路利用料の割引縮小という厳しい状況であるが今後も変わらぬご助力をお願い申し上げる次第である。

 【振込先】三菱東京UFJ銀行 練馬光が丘支店(店番622)普通預金 口座番号 0056264
名義 ノウガクプロジエクト ハツタタツヤ

                                           以上
  平成26年10月22日

                           「能楽の心と癒しプロジェクト」
                               代表   八田 達弥
                              (住所)
                              (電話)
                                    E-mail: QYJ13065@nifty.com











                                      ※領収証添付欄頁終※

活動報告書(2014.08.13~17)

2014-10-29 06:15:42 | 能楽の心と癒しプロジェクト
能楽の心と癒やしプロジェクト
第23次被災地支援活動
(2014年08月13日~17日)


 〔活動報告書〕

【趣旨と活動の概要】

 東日本大震災被災地支援を目指す在京能楽師有志「能楽の心と癒やしプロジェクト」では、能楽の持つ邪気退散、寿福招来の精神を被災地に伝えるべく、2011年6月よりすでに22度に渡り岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県石巻市、気仙沼市、南三陸町、女川町、東松島市、仙台市、大崎市、登米市および福島県双葉町の住民が避難していた旧埼玉県立騎西高校避難所にて能楽を上演することによって被災者を支援する活動を行って参りましたが、このたびプロジェクトメンバーのうち能楽チームの八田、寺井は、去る08月13日~17日の5日間に渡り宮城県・気仙沼市にて能楽公演、仮設住宅訪問、および寺院にての奉納上演を行いました(※注2)。

今回の活動は有料能楽公演、仮設住宅への慰問上演、そしてお盆の時期に恒例となった精霊送りの集いへの参加と、上演回数こそ少ないながら内容が多岐に渡る活動となりました。震災から3年を経てプロジェクトの活動資金の原資としての募金がほとんど頂けなくなり、活動について現実的な困難に直面したことにより、プロジェクトとして本年より活動を大きく二つに分けて考えるようになりました。

ひとつには仮設住宅への慰問や仮設商店街の振興活動への協力で、これはプロジェクトの本来的な活動であり、無償で行われるべき活動です。もう一つが能楽ワークショップやイベントとしての上演で、こちらは前者の活動を行うための資金を得る目的があります。今回3度目の上演となる『星と能楽の夕べ』公演は元来 入場無料の公演だったものを、今回から有料公演とさせて頂いたのはこのような事情によります。

またこれら資金面に関わる問題とは別にプロジェクトのもうひとつの理念として、「文化の復興」という目標を掲げております。これは仮設住宅訪問など被災住民さんへの慰問活動とは別に、一般市民を対象に、被災したために減退した文化活動の促進を支援する目的をもった活動です。『星と能楽の夕べ』公演はまさにこの理念に基づいた活動ですが、このような一般市民を対象とした公演やワークショップを今後は低料金の有料公演とすることによって、慰問活動を展開する資金源とし、併せて市民全体にも被災住民さんへの支援にご協力頂く、という意味を込めることと致しました。

プロジェクトの活動のもうひとつの側面として寺社への奉納上演があります。こちらは活動の目的というよりはむしろ能楽師という仕事柄どうしても欠かせない活動ですが、少々プロジェクトとしての位置づけは難しいかもしれません。純粋に奉納上演をさせて頂くのが本来ではありますが、本年春より寺社のご協力を頂きワークショップを行う機会を得るようになり、また今回も地福寺さまより活動費のご支援を頂戴しております。

【出演者】
八田達弥、寺井宏明(能楽の心と癒やしプロジェクト)
内野浩乃/村上典子
【協力者】(敬称略)
 村上緑/佐々木優子/杉浦恵一/伊藤誠/村上梨紗/地福寺/村上充/宮川さゆり/気仙沼中央公民館
【主催】
 能楽の心と癒やしプロジェクト

【活動記録】(敬称略)

8月13日(水)

八田・内野 朝 東京を出発
仙台にて村上緑をピックアップして気仙沼に向かう(途中震災遺構の現状視察あり)
宿舎を提供くださった佐々木優子さん宅にご挨拶、荷ほどき後 松岩地区の漁港より気仙沼大島の「浦の花火」を鑑賞。

8月14日(木)
午前中は気仙沼市役所で助成金の相談、中央公民館の下見、新装なった「海の市」の見学等。
午後より内野は村上典子宅へ移動して音楽チームの練習。
八田・緑は杉浦恵一氏と翌日の公演へのオペレーターの派遣の相談。

※この夜八田は 銭湯「亀の湯」にて山口県から被災地を訪れた二人の若者。。伊藤俊介君と山川幸宏君と出会い、宿もない有様だったので宿主・佐々木さんの承諾を得て宿舎に泊める。

8月15日(金)

朝、伊藤・山川君を連れて佐々木さんにお礼のご挨拶。佐々木さんご夫婦は彼らを大変に歓迎してくださり、彼らを市内が見渡せる高台に案内すると、震災時の体験などをこと細かに説明してくださった。

その後午前中は八田が若者二人を連れて市内の被災地区の見学。正午前に彼らと別れて夜行バスで気仙沼に到着した寺井と合流。またこの日の公演のスタッフとしてお手伝い頂く村上梨紗をピックアップして、公演会場である気仙沼中央公民館へ。

予定通り午後1時より搬入、セッティング開始。杉浦氏に依頼のオペレーター伊藤誠氏も早めに到着してくださり、やがて内野、典子も到着。セッティングのあとリハーサルを経て公演。

◎『星と能楽の夕べ』18:00~ 気仙沼中央公民館
出演:八田達弥・寺井宏明(能楽の心と癒やしプロジェクト)
   内野浩乃(フルート)・村上典子(ピアノ)

実際のところ、お盆の中日でもありまた雨天でもあったため、お客さまは30名と予想よりも少なかった。
しかしながら「StarDust☆彡」さまほか今回の公演に使わせて頂いた映像・音楽は大変ご厚意を頂いて提供頂いたもので、上演の効果は素晴らしいものだった。

なおこの日の上演曲目は下記の通り。
【星と音楽のひととき①】(出演:内野・典子)
 G線上のアリア・シランクス・オンブラマイフ・亜麻色の髪の乙女・シチリアーナ
【星と能楽の夕べ①】
 能「羽衣」(出演:八田・寺井)
【星と音楽のひととき②】(出演:内野・典子)
 スティングのテーマ・「むすんでひらいて」変奏曲・メリー・ウィドー・見上げてごらん夜の星を・
 花は咲く
【星と能楽の夕べ②】
 能「石橋」(出演:八田・寺井)

8月16日(土)

早朝より活動開始。
◎『能楽の心と癒やしをあなたに』公演 10:00~ 五右衛門ヶ原運動場住宅
能『羽衣』出演:八田・寺井
フルート演奏 出演:内野
パワーストーンのストラップ・プレゼント 緑
上演後、能楽ミニ・ワークショップ(装束の着付け体験、囃子体験)を実施。

◎『送り火の集い』 19:00~ 地福寺 ※雨天のため本堂内にて上演
音楽演奏 出演:内野・典子
能『羽衣』 出演:八田・寺井
法要 片山秀光

8月17日(日)

寺井は早朝に帰京。
八田・内野は緑を仙台に送り届けてから帰京。

【収入・支出】

前回活動に引き続き『星と能楽の夕べ』公演を有料化しましたが、残念ながら悪条件が重なり、思ったほどの入場者数を得ることができませんでした。しかし地福寺さまより活動資金の援助を頂くことができました。出演者が多かったため結果的には支出がふくらんだ印象で、この点を今後改善して行くべきとの指摘がプロジェクト内部で話し合われました。

プロジェクトの活動資金としては、前回活動の繰越金が151,701円あるほか、1件の募金10,000円を頂戴し、また銀行口座の利息が9円発生しました。これによって繰越金を含めた活動開始時点での資金の総額は 161,710円となります。また今回の活動中に『星と能楽の夕べ』入場料収入として 29,500円、地福寺さまより30,000円を頂戴し、収入の合計は221,210円にのぼりました。

一方支出は、たとえばピアニストを宮城県在住の方にお願いして交通費の支出減を狙うなど致しましたが、出演者が多かったために交通・宿泊費などの経費がかさんだほか、『星と能楽の夕べ』公演の機材オペレータや会場案内係の雇人費、中央公民館の会場使用料(どちらもプロジェクトとして初めての支出科目だと思います)があった事により、少々高額につくことになりました。次回活動の繰り越し金は差し引き127,421円となります。

プロジェクトの訪問公演の支出につきましては節約を旨としております。交通費節約のため、できるだけ深夜割引の制度を利用して終夜運転をして早朝に現地に到着するなど工夫はしておりますが、体力や公演スケジュールによって、必ずしも深夜走行ができない場合もあります。宿泊につきましては、従来は住民ボランティアさま等のご厚意により無料、または安価での宿泊ができましたが、街が落ち着きを取り戻しつつある昨今では旅館などに宿泊する機会も増えてきました。この場合にも宿泊費はおおよそ5,000円まで、素泊まりを旨としており、食費については酒食の区別がつきにくいため、すべて自己負担としております。

【成果と感想・今後の展望】
今回は3度目の上演となる『星と能楽の夕べ』公演のほか、仮設住宅での活動、地福寺さまでの恒例となる『送り火の集い』と、少ないながらも充実した上演となりました。惜しむらくは天候に悩まされたことでしょうか。一方「海の市」のオープンなど気仙沼の復興を確かめることができた機会でもありました。
また地福寺さまの『送り火の集い』も、これまた今回は天候に悩まされて本堂内での上演にはなりましたが、精霊送りの雰囲気を高めるように内容も充実を深めております。寺社での活動のありかたついては今後考えていかなければならない課題ではありますが、まずはふたつの公演の成果を喜びたいと思います。
さらに今回も緑さんをはじめとして気仙沼市民の方々に多数ご協力を賜って活動ができました。改めまして御礼申しあげるとともに、プロジェクトの息長い支援のために今後とも皆さまの変わらぬご支援をお願い申し上げる次第です。

平成26年10月22日
                             「能楽の心と癒やしプロジェクト」



                               代表   八田 達弥

                               (住所)
                               (電話)
                                E-mail: QYJ13065@nifty.com

第23次支援活動<気仙沼市>(その9)…旅の終わり~向洋高校

2014-10-27 02:19:36 | 能楽の心と癒しプロジェクト
地福寺さまの『送り火の集い』を終えて、片づけのあと本堂にてご住職さまほかと打ち上げがありました。

わあ、いつもながらご馳走を振る舞って頂いて、本当に申し訳ありません。片山住職さまは「こういう神妙な催しも良いですね。ほら、うちってワーッと賑やかなイベントばっかりだから」と笑っておっしゃってくださり、この催しは恒例にしたい、とお言葉を頂きました。ぬえも同感です。そして来年のお盆が晴天で、またあの枯山水の中で舞いたいと思うのでした。





このとき、片山住職さまより杉ノ下地区の命をつないだケヤキのお話を伺い、ぬえはそれを知らなかったのですがこのときの話を扱ったドキュメンタリー番組が作られたそうで、その録画を見せて頂きました。

。。いわく、杉ノ下地区では津波によって100名近い犠牲者を出したが、そんな中で1本のケヤキの木にしがみついた10名にのぼる住民が生き残ることができた。それは明治三陸津波などの際に同じように樹木にしがみついて一命を取り留めた住民がいた その教訓から、この地区ではそれぞれの家にケヤキの木を植える習慣が根付いたもので、それが100年近い年月を経て今回の震災で見事に役割を果たしたのでした。

なんと壮大な計画。。しかし明治時代の被害の教訓から立ち上がったプロジェクトは立派に役割を果たしました。そこで今回の震災後にも、倒壊したり流された樹木を再びこの地区に植えるプロジェクトが立ち上がり、地福寺さんも応援しているし、また全国各地からボランティアさんが駆けつけて植林の事業は進んでいるそうでした。

やがて地福寺さんを辞して、すぐ目の前のお宿に戻り、今度は出演者だけで乾杯。このとき いつの間にやら緑さんがホタテを買ってきていて、刺身と貝焼きにしてくれたのですが。。これが衝撃的な美味でした。

書き忘れましたがこの日 五右衛門ヶ原運動場仮設の活動のあと、東新城のネットワーク・オレンジさんにご挨拶して、おとなりの料理屋さん「浜の家」さんで昼食を頂いたのですけれども、この夜のホタテ焼きはそれ以上に美味しかったかも。。普通にスーパーで買ってきたもの、とのことでしたが、食材を見る主婦の眼、もあるでしょうが、何より新鮮さ、なのでしょうね~。いくら最高級の食材は東京に集まる、と言われていても水揚げされた産地のスーパーに並ぶ食材にさえ勝てるはずもない。これは東北の支援活動を続けていて実感していることです。

【8月15日(日)】

早朝、笛の寺井さんは次のスケジュールのため宿を後にBRT駅に向かいました。

少し遅れて起き出した ぬえ。朝のNHKニュースで昨夜の地福寺さんでの『送り火の集い』の模様が放送されているのを見てびっくり。これはビデオに収めなくては。

次のニュースを待ち、また出演者が起床するのを待つ間に ぬえはひとり、向洋高校に向かいました。

水産高校である向洋高校は海に近いこの階上地区にありますが、周囲の地域を含めて津波による甚大な被害を受けました。ぬえは震災3ヶ月後にここを訪れていますが、それはそれは。。言語に絶する、というのはこういう事か、と思わせるひどい状況でした。

その後も地福寺さんとのご縁があって当地には何度も足を運んでいますが、当然のことながらずっと校門は施錠されていて内部には入れない状況でした。さらに昨年からはこの高校の校庭であった広い敷地に瓦礫の焼却施設が建設されて昼夜を問わず焼却作業が行われていました。

今年になってから。。だと思いますが、なんでもこの向洋高校の校舎を「震災遺構」として保存することになった、と聞きました。そうなのか。。と思いながら今回 当地を訪れたわけですが、瓦礫の処理を終えた焼却施設は跡形もなく撤去されていて、そうして校門が開けられているのを見たのでした。

はじめて当地を訪れてから早くも3年が経ちますが、ついに向洋高校の被害状況を間近に見る機会が ぬえに訪れたのでした。校門から敷地に入って、予想外に広い校庭の跡地を突っ切って校舎に近づくと。。

校舎のまわりには杭が打たれ、鉄条網が張られて、さすがに校舎の内部に入ることはできませんでしたが、生々しい津波の傷跡はあの時のまま残されていました。4階建ての校舎の、その4階部分が壊されている驚き。









ちなみに震災時 生徒は無事だったようで、そのときの記録は向洋高校のサイトに載せられていました。避難には地福寺さんが深く関係していたことも、今回はじめて知った ぬえでした。

→宮城県気仙沼向洋高等学校 東日本大震災に係る本校の記録http://kkouyo-h.myswan.ne.jp/gakkou/sinsaigenkou(kesennnumakouyou).pdf

やがて みんなも起床したところで緑さんが朝食を作ってくれ、これを頂いてから出発。この日は緑さんは仙台に用事があるとのことで、浩乃ちゃんもいれて3人で仙台に向かいました。

仙台で緑さんが車から降りた際に浩乃ちゃんも休憩をとって ぬえ一人車内に。このときちょうど正午のNHKニュースの時間になったので車載のカーナビをワンセグTV受信にしてビデオカメラを構えて待機。。ををっ、やっぱりお昼のニュースで昨夜の地福寺『送り火の集い』の模様が放送されました。なんとも無理な姿勢でようやく録画することができました。

やがて浩乃ちゃんも戻ってきたので、運転を交代しながら一路 東京に戻りました。夕食時を過ぎた頃には到着できて、今回も無事にミッション・コンプリート。関係各位に深く御礼申しあげて、この活動報告を終わりたいと思います。

第23次支援活動<気仙沼市>(その8)…地福寺『送り火の集い』

2014-10-24 08:28:52 | 能楽の心と癒しプロジェクト
ああ、書き忘れましたが、この日の五右衛門ヶ原仮設住宅での上演は、近来まれに見るほどの盛り上がりでしたね~ 住民さんも明るくて、積極的。そのうえ仕舞のお稽古経験者のおばあちゃんまでいらして、これで盛り上がらないはずもない。(^◇^;) とっても楽しい訪問になりました事を重ねてご報告致します~

さて五右衛門ヶ原仮設を出て、まずはこの日の宿。。階上地区にあるトレーラー・ハウスの「コテージ・キクタ」さんにチェックインして、一同仮眠の体勢に。。ちょいと疲れも出てきたのでしょう。笛の寺井さんだけは、たまたまここにいらした 足ツボ・マッサージの米倉三喜子さんの施術を受けていましたが、みんな寝静まっているので声を殺して激痛に耐えていたのですって(笑)

そうこうしているうちに「ともしびプロジェクト」の杉浦恵一さんから電話が来て、次の公演地である階上地区の地福寺さまで準備中、打合せをしたい、との連絡。はいはい、このコテージから地福寺さんは見えますよ~、というわけですぐに地福寺さんに向かいました。こちらはもう何回お世話になったことだろう。最初にお伺いしたのは震災の翌年の2月だったので、かれこれ2年半のおつきあいになります。

昨年の同じ夏のお盆のときに、お庭の枯山水の上で舞った『羽衣』は、えもいわれぬ美しさでした。それというのも「ともしびプロジェクト」さんが庭園に数え切れないほどのキャンドルを並べて、その中で舞ったからです。そのときの画像がこれ!(撮影:前島吉裕氏)

『送り火の集い』と名づけられたこの催しは、名前の通り精霊送りの宵であるわけですが、昨年 地福寺のご住職・片山秀光さんからお勧めを頂いて出演させて頂くことになりました。もう、こんなに美しい催しになるとは ぬえも夢にも思わなかったのですが、檀家さんやお客さまにも大好評で、本年も参加させて頂くことになりました。

ところが。。この日は昨日に引き続いて天候が悪く。。雨は降っていませんでしたが、今にも泣き出しそうな空に、やむなく会場を本堂の中に移して上演することになりました。

今年はフルートの浩乃ちゃんと、ピアノの村上典子さんも登場しての音楽と能。。そしてもちろん片山住職さまの法要とのコラボレーションです。昨年もピアニストの御子柴聖子さんに出演を願ったのですが。。じつは当初の予定では法要と能だけだったのです。が。。ご存じの通り笛とシテだけの我々の上演では、せいぜい15分くらいしか演じることができません。これと法要を合わせても全体の所要時間は1時間にも満たない。。そこで ぬえから、その頃何度か活動をご一緒した御子柴さんの出演を片山住職さまに提案したのでした。ご住職は当初「ピアノ。。? まあ。。ヒーリング系のシンセサイザーならわかりますが。。」と困惑しておられましたが、最終的には ぬえにお任せします、というお言葉を頂きました。

こんな経緯で、御子柴さんにはご無理を言って、選曲に注意して頂き、そのうえ当日はBGM風に音楽を使うことにして、申し訳なかったですが枯山水の庭園の上ではなくそこから外れた暗がりの中で演奏して頂いて。。しかし ぬえが予想した通りこのとき音楽を入れて上演したのはかなり効果的で、お客さまからも好評を頂いたようです。

そこで今回は胸を張って(?)音楽を入れることになり、浩乃ちゃんと典子さんのコンサートが堂々と行われることになりました。惜しむらくは美しい庭園で上演したかったですが。。

それでも「ともしびプロジェクト」のみなさんによりたくさんのキャンドルがお寺の内外に飾り付けられました。まだ降り出してはいなかったものの、雨が当たる恐れのない縁側には、なんでも全国から贈られたという手作りのキャンドルが並べられ、会場の本堂には、所作台を組み合わせた仮設の舞台の周囲にLEDキャンドルがちりばめられ。





やがて夕闇も迫り、19:00より『送り火の集い』が開かれました。やはり曇天のためか 去年よりも檀家さま等お客さまは少な目な感じではありましたが、気仙沼の友人のみなさんも多数駆けつけてくださいました!



そして上演。法要、フルートとピアノの演奏、そしてこれまた去年と同じ演目の能『羽衣』が上演されました。





以下、本堂の中は照明が落とされて撮影は難しかったのですが、地福寺さんや他の方がきれいに撮った画像をアップしてくださったので、それを拝借してご報告させて頂くことと致します。







この日は地元のケーブルテレビやNHKも取材に来て頂き、翌日にはテレビのニュース番組でご紹介頂きました。

第23次支援活動<気仙沼市>(その7)…五右衛門ヶ原運動場仮設住宅

2014-10-22 01:55:43 | 能楽の心と癒しプロジェクト
このところ時間がなくてすみません。。新作はあるわ、シテの代役はあるわ、また新作はあるわ、伊豆では子ども創作能 がんばりました~、はあるわ、コミュニティFMへの出演はあるわ。。

とか言っているうちに来週はまた東北の活動に出かけるのでした~。これも準備段階でハプニング続出して対応に追われました。いろんな人に迷惑をお掛けしちゃったな。

そういうわけで、8月に行ったこちらの活動の報告をなんとかまとめなくてはなりませぬ。。

【8月16日(土)】

早朝に起床して早々に出発。この日は気仙沼で久しぶりの仮設住宅への訪問です。

今回は住民ボランティアの村上充さんのコーディネートによって実現した「五右衛門ヶ原運動場仮設住宅」での活動ですが、ここはJR大船渡線で気仙沼駅と、そのひとつ手前の新月(にいつき)駅との中間あたりに位置する運動公園に建てられた仮設住宅です。

新月といえば。。新月中学校には、じつは ぬえは震災前に訪れておりまして。。文化庁の事業で師匠はじめ同門一同で学校公演に訪れていたのでした。調べてみたら平成20年のことで、震災よりも3年も前なのですね。このときの事は鮮明に覚えております。高台に建つ学校に広々とした校庭。新しく立派な校舎。

そうしてなにより、子どもたちの印象的な鑑賞態度。校内に入ったところから帰りまで、顔を合わせれば元気な挨拶が交わされます。能の上演のときも熱心でしたし、上演後の質疑応答も活発。ははあ、気仙沼ってこういう子どもたちがいるのか、と妙に感心しました。それが、その後に震災が起こってしまって。

震災の3ヶ月後に ぬえはひとりで気仙沼を訪れ、この新月中にも足を運び、遠巻きに様子を窺っておりました。このとき体育館は避難所になっていて、外には仮設トイレが並び、体育館に沿う手すりには布団が干されてありました。校庭には自衛隊の車両が並び。。その後も機会があるたびに新月中の様子は見守ってますが、いまは校庭に仮設住宅が建っているようですね。

こんなわけで新月という場所には思い入れがある ぬえなのですが、五右衛門ヶ原運動場仮設住宅は、そこからもう少し山あいに入ったところに建っていました。なんでも気仙沼では最大規模の仮設住宅ということで、なるほど大きな仮設住宅です。

がんばって準備を整えて、朝10:00より上演開始。。なんと昨日の「星と能楽の夕べ」よりたくさんの住民さんが集まってくださいました!

まずは能『羽衣』の上演。



それからフルートの浩乃ちゃんによる演奏。この日は一人での演奏だったので、伴奏の音源を用意してもらって、小さなアンプで拡声しての上演となりました。



住民ボランティアでプロジェクトの良き協力者。。あ、気仙沼支部長かな? の村上緑さんもストラップなどプレゼントで協力してくださいました!



それから、仮設ではお待ちかね! 能楽ワークショップに名を借りた住民さんたちとの ふれあいコーナーです。






これは盛り上がったね! 近来まれに見る盛り上がり方でした。

鼓を打つ体験をして頂いたり。。





装束の着付け体験。



そうしたら、なんと観世流で仕舞のお稽古をしておられる、という上品なおばあちゃんが いらっしゃいました。早速『羽衣』の装束を着付けて仕舞の発表会です。うんうん、とっても品格のある美しい舞になりました。おばあちゃん、長絹着たらお嬢さんみたいに見えるし。





最後には、ホワイトボードに節を図説して住民さんみなさんで『高砂』を謡って頂きました。



これはね。今でこそよほど盛り上がったときとか、時間が余るときにしか出来ないのですが、避難所時代には しばしば行っていました。段ボールで仕切を作ってプライバシーを確保している状態の避難所では、住民さんは閉塞状態です。そうして、そういう状態が心と体を蝕んでいくのですよね。

大声を出すことは身体の内側にある筋肉を使う、という作業なのです。それは健康の元。身体を動かすのも不自由な避難所ですが、機会を見つけて大声を出しましょう! と ぬえはずっとお勧めしていました。

今回この五右衛門ヶ原仮設住宅での活動をコーディネートしてくださったのは住民ボランティアの村上充さんですが、この方は避難所のリーダーを経て、現在も医療支援ボランティアを募って積極的に仮設をまわり、住民さんの健康に細心の注意を払っておられます。。ご自分も避難所で ぬえと同じこと。。方法は違っても閉塞した避難所で、いかに住民さんの健康を守るかを考え続け、それが現在までの活動につながっておられます。それだからこそ、ぬえもここでは『高砂』を大声で謡う体験を盛り込みたかったのです。

正午頃にはこの仮設での活動も終わりましたが、荷物を車に積み込んでからも、居残った住民さんたちと いつまでも談笑させて頂きました。うん、ここだけでも今回の活動を実行した意味はある。そんな うれしい気持ちにさせて頂いた活動になりました。住民のみなさん、本当にありがとうございますっ!