ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

頂きました~(その7)

2009-11-26 22:19:15 | 雑談

頂き物の最後はこれっ
へ?? これなあに?

え~これは頂き物と言いましても、くじで当ててお店から頂いた、という。。(^_^;
つまり~、コンビニで決まった金額の買い物をすると、金額に応じて くじが引ける、という、アレです。

じつは ぬえ、こういう、何というか、細か~いモノの当選率(?)は驚異的に高いのです。。
そうだな~「当たり」が出る確率は80%ぐらいあるんじゃないでしょうか。我ながらよく当たるな~、と思います。
このときも たまたまコンビニで買い物をしたのですが2日続けて くじに当たってミネラルウォーターとカップラーメンをゲットしました~。ん~~不思議だ。

。。と言っても、それじゃあ さぞや ぬえは懸賞やら宝くじやらで当選を次々に決めてオトクな生活をしているのかと言うと。。 これがそうじゃないのですよね~

ぬえはこういう「細かいモノ」にはすぐ当たるんだけれども、「大きなモノ」。。たとえば豪華賞品が当たる懸賞とか、ましてや 宝くじなんかで大当たりするということは。。全くありませぬ。(×_×;)
ああ~~、もしもこういう高額な懸賞によく当たっていたら、もっと生活がラクになるのに~

ん。。?(・_・)
ひょっとすると。。 ぬえ、毎日細か~いところで「運」を無駄遣いしてる??
「運」ってものが ちょこっと貯まると すぐに散財~ \(*^。^*)/
そんでまた ちょっと貯めてすぐ 散財~\(*^◇^*)/♪
ひょっとして ぬえって「運」の浪費家なんかしらん。。(__;)



。。とか言っているうちに、また当たってしまいました。。

【祝】マリモ姫お迎え1周年【(#^.^#)】

2009-11-25 02:01:46 | 雑談

今日はマリモ姫を ぬえ家にお迎えしてちょうど! 1周年のお祝いの日でした~ (^^)V

あ~あれからもう1年が経ったのね~
最初はホンっトにちっちゃかった マリモ姫も、いまでは立派に大きくなりました~
これから寒くなってきて夜に冷え込むとマリモ姫は ぬえのお布団の中にもぐり込んで来るのでした。
ん~~早くもっと寒くなれ~~(^.^)

今日はお稽古に出たついでにマリモ姫には大好物のビスケットを3袋買って、それからお祝いする ぬえ家のためにケーキを買って帰りました。



ををっ! なんとマリモ姫の形をしたケーキを売っているではないかっ (*^。^*)
いや~、まるで ぬえが買いにくるのを待ってたようだ。

喜んで買って帰った ぬえ。帰宅してまずは マリモ姫にビスケットをあげて~
さあてコーヒーを淹れて ぬえもお祝い~ (#^.^#)
ケーキなんて食べるの久しぶりですがね~

ウサギ型のケーキは牛皮でできていて、ちょっと和菓子風にも見えるけれど、中身はストロベリークリームだそうで。。
で、フォークを入れると。



。。ん。。? イヤな予感…



あ~~やっぱり! ケーキを食べようとしたらウサギさんが見るも無惨な有様に。。



こちらは ほとんどホラーの世界。。

。。やっぱりダメですかね…カワイイ系の食べ物ってのは。。(×_×;)

頂きました~(その6)

2009-11-23 00:51:04 | 雑談

ちょっと予定外の頂き物を致しましたので、今回はそのご報告~

伊豆長岡のお稽古で頂戴したこの おまんじゅう、「富士川の小まんぢゅう」というものなのだそうです。なんでも並ばないと買えないほどの人気のおまんじゅうなんだそうで。おすそわけで ぬえが頂戴しまして、みなさんで頂きました。



が。

このおまんじゅう。。

みんな こっちを見てる。。。。゛(ノ><)ノ ヒィ

でもおいしく頂きました~。ありがとうございました~ (*^。^*)





。。




。。次は誰を食べるの?

。。ボク? (・_・)

。。ワタシ? ( ; _ ; )

。。なぜ食べるの? (・_・メ)

。。ワタシ、何か悪いことした? (゜_゜)

。。「ごめんなさい」

。。「ゴメンナサイ」

。。そう言えばいいの? (・_・)

。。そうすればアナタは食べないの? (゜_゜)



どうして おまんじゅうを食べるのにこんなに罪悪感があるんだろう。。(・_・、)


頂きました~(その5)

2009-11-21 20:10:46 | 能楽

次に最近頂いたのは これ! 今年8月に伊豆の『狩野川能』で ぬえが勤めた能『望月』の写真です。

撮影して下さったのは能楽写真家の山口宏子さん。こちらも考えてみれば、村上稔さんほどではないにしても、いつの間にか長いおつきあいになっているように思います。

最初は ぬえの舞台を撮影したい、とお申し出になられたのを ぬえが喜んでお願いしたのがはじまりですが、能楽写真家としては どちらかといえば遅いスタートだった山口さんですが、精力的にあちこちの舞台の撮影の申請をされたそうで、そんな中で ぬえも山口さんと出会ったのでした。

はじめは、まあ、一枚でも自分の舞台の記録写真が増えれば、という程度の気持ちでお願いしたのですが、出来上がってきた写真を見てビックリ! よくまあ、あれほど速い動きの中でこれほどのアップで写真が撮れるもんです。それも型の中途のところではなく、うまく型が止まった瞬間を狙って写真を捉えておられます。ん~~ ハンターだねえ!(^◇^;)

その後、山口さんのご好意に甘えてあまり予算に余裕のない地方の催しなどで多く山口さんに撮影をお願いするようなことばかりで、ぬえもまことに申し訳なく思っております。。

この『望月』では、山口さんは事前に「今回は後シテの“目”を撮影したいと思っています」とおっしゃっておられましたが、ぬえもなんとなく『望月』は覆面の下からのぞく「目」が大切なのかなあ、とは漠然と思っていましたが、その思いは山口さんのお言葉によって、はじめて確信に至りました。

ひょっとすると「目」で演技をする(と言っては言い過ぎかもしれませんが)曲は、能の中でこの『望月』ただ1曲かもしれませんですね。直面の曲は少なからずあるのですが、それらの曲を演じるときには「素顔を能面のように扱う」と言われていまして、表情を出すようなことは一切禁じられているのです。『望月』も前シテはその通りでして、自分が営む宿屋に泊まったのが宿敵の望月秋長と知る場面でも顔の表情を変えたりすることは一切ありません。

それなので、『望月』は後シテも覆面で顔を隠しているけれども、目だけはその下から直接お客さまの目に触れているので、ある種の「直面」であり、やはりその「目」は演技をする道具であってはならない、という考え方もあると思います。ところが、後シテは面こそ着けていないけれども、頭に戴く獅子頭はある意味で表情を動かしようのない面の代わりなのであって、一方獅子舞を舞いながら仇敵の隙を窺う心理描写はどこかで表現されなければならないはず。もとより『望月』の獅子舞はワキの望月秋長を油断させるための「面白い芸能」であるだけでなく、同時にその下には相手の隙を窺って、これの命を取ろうという魂胆があって、お客さまはそこを期待を込めてご覧になるわけですから、ワキに対してと、それからお客さまに対しての、二重の演技が行われてこそ『望月』の獅子舞ははじめて成立する、とも言えるのではないかと思います。

とすればワキの命を狙う「演技」は演者にとっては唯一その「目」でしか行うことができないでしょう。まあ、型にもワキの方に向けてグワッシをいくつもするとか、ワキが眠ったのを試みるために足拍子を強く踏む、などの具象的な動作もあるのですが、それは言うなれば「この相手を狙っているんだ」という意思表示のようなもので、もっとシテの心理の深い部分。。すなわち心から相手を憎んで生まれる殺意のようなものは型では演じられないものではないかと思います。そう考えると、やはり『望月』の後シテは、覆面で表情を隠すことができる立場になってから初めて露骨に殺意を現すことができるようになったわけで、それを表現するのは やはり「目」だと考えて間違いないでしょう。どこまでも特異な能ですね~、やっぱり『望月』は。

そういうわけで山口さんから頂いたのは大きく引き伸ばした後シテの写真。獅子頭の下から爛々と目がワキを狙っています。ああ、これはとても良い記念になりました! さっそく新宿の世界堂に行って額縁を買って。ちょっと変わった額縁を買っちゃったけれども。

山口宏子さん、毎度お気に掛けて頂いて深謝しております。今後ともよろしくです~(^^)V

頂きました~(その4)

2009-11-20 02:39:29 | 能楽
稽古で村上さんの「野干」を使うことで 師匠に「本物の野干拝借させてくださ~~い」とさりげなくアピール。(^_^; そうして公演が近づいたある日、師匠に『殺生石』の稽古をつけて頂いた際に「野干」を拝借させて頂きたい旨をご相談申し上げましたところ、意外にも すんなりとご許可頂くことができました。

こうして公演当日に師家所蔵の「野干」を拝借させて頂いたのですが、出番になるまで楽屋でこの「野干」を調べておりましたところ。。なんと、こういう激しい動作がある曲に使う面には珍しく、ほとんど視界が利かない面だということがわかりました。村上さんはこの「野干」を写されたわけですが、さすがにここまでは精密に写されていたわけではなかった。。

それで、悩んだあげく、また師匠のご子息とも楽屋で相談して、公演では村上さんの作の「野干」を使うことにしたのです。古い本面の「野干」を使わせて頂く許可を頂いた千載一遇の機会ではありましたが、視界が利かないことで稽古の成果が出せないことで、あとに残る後悔を考えれば無理な冒険は避けたいと。。苦渋の選択ではありましたが、結果的には後悔は残さずに演じることができましたので、これで良かったのではないかなあ。。

さて村上さん作の「野干」ですが、村上さんが師家の「野干」の写シを打たれたとき、控えとしてご自身のお手元に一面だけ残されていたものを拝借したので、公演後に拝借した「野干」は村上さんにお返し致しました。ところが先日ご連絡を頂きまして、この唯一の「写シ」を ぬえに差し上げたい、とのこと。

お目に掛かってお話を伺えば、たしかに村上さんのお手元に残っていた「野干」は一面だけだったのですが、このたびその「写シ」からさらに もう一面の「写シ」を作ったのだそうです。そうして、その新しい面をご自身の控えとして残し、先日 ぬえが拝借した面は、ぬえに差し上げたい、とのことでした。(!)

村上さんがおっしゃるには「ぬえさんも懸命に稽古されて一緒に舞台に立たれたこの野干はお手元に置きたいでしょうから。。」。。ああ! そんな気を遣ってくださったのですね。さらに聞けば「やはり“写シ”からさらに“写シ”の面を打つのは容易なことではありませんね。今回はあまり自分でも納得がいきませんでした」とのこと。その「納得のいかない」面をお手元に残し、上出来の方を ぬえに頂けるとは。。

まあ。。村上さんはこういう方です。ぬえはとっても信頼しております。ご自身では決して面打ち師として宣伝されることを嫌う方でもあって、「ぬえさんのお舞台のお手伝いができれば。。」と常々おっしゃってくださいます。ぬえには。。数多い恩人の一人ですね。

そういえば。。ぬえは村上さんの面を好んでよく使わせて頂くのに、村上さんはずっと ぬえの舞台の裏方さんのような立場に徹しておられるので、あるとき ぬえのサイトで村上さんをご紹介するページを作ることを思い立ちました。そうしてある日、次に拝借する面の相談のために村上さんのお宅に伺うことになった機会に、面を打っておられる様子を撮影させて頂くことをお願いしたのです。ぬえは村上さんに「作務衣かなんかを着て、稽古場で一心不乱に面を向き合うところを撮りたい」と、あらかじめお願いしておきました。

ところが。。約束の日時に伺ってみると、村上さんは普段着のまま。。(¨;)

よく伺ってみると、「いやあ。。私はずっとアマチュアのつもりですんで。。ぬえさんのお気持ちはありがたいですが、宣伝などはおこがましいです。これからも ぬえさんの舞台のお手伝いができれば、それでいいんです」というお答えでした。そういう人なんです。

ぬえって、このように応援してくださる方がたくさんあって、とっても幸せだと思います。今回頂いた「野干」の面は、自分が舞台で使った、という以上に、村上さんの心がこもっている、という意味で宝物だったりします~

頂きました~(その3)

2009-11-17 01:06:34 | 能楽
そこで急遽 鐘中で本面の使用はあきらめて「控エ」の面を掛けることを余儀なくなった ぬえ。でも村上さんの作になるこの「般若」は ぬえも気に入っていますし、また稽古の段階からの長いつきあいの面で本番の舞台を勤められたのだから、良しとすべきなのかもしれませんですね。

終了後の夜 村上さんに電話したところ、後シテが掛けていたのが自分が打った面だということはすぐに気づいたのだそうです。。で、もちろん「事故よ起これ~」と念じていたわけでもなかったそうです。。信じよう。(^_^メ)

ま、実際のところ終演後におずおずと師匠のところへ角の折れた本面の「般若」を持参したところ、「あ、やっぱり折れたか。それ、昔の海外公演の時に角が折れてしまって。。修理はしたんだけどやはり弱かったか」と、きわめて冷静なお答えだったので、地黄はやはり村上さんの呪詛が原因ではなかったらしい。

その後も ぬえは何度か村上さんの面を舞台で使っております。師匠からも次第に信頼を得て、村上さんも上達していかれたと思います。そうして村上さんも ぬえの師家の月例会の番組が発表されると ぬえが舞う曲をチェックされておるらしく、その曲の稽古に入る頃、決まって村上さんからご連絡を頂きます。「今度勤められる○○という曲に使う面を作ってみました。よろしければお稽古の際にでも使ってごらんになりますか?」そうして面を拝見すると、これが毎度、よくまあ、ぬえが描いているイメージを見透かしたような面がそこにはあります。

面は、同じ種類。。名称の面であっても「型」と言っていくつかのタイプに系統が分かれる面もありますし、それ以上に面打ち師の個性によって、同じ種類の面でもかなり印象が異なる面があるのです。演者は演出意図によってそれらの面の中から最もふさわしい面を選ぶので、たとえば ぬえの師家でも「増」の面は30面ほどもあるのではないかしら。あるいはそれ以上の所蔵があるかもしれません。その中からその日の上演意図にもっとも似つかわしい面を選ぶので、ひとつの種類の面を、それ1面だけ所蔵していてもあまり意味がないのです。面を選ぶことは、もっとずっとデリケートな作業なのですよね~

村上さんがどうやって ぬえの意図を察知されるのかはわかりませんが、ぬえのために用意された面は、稽古どころかそのまま舞台にまで ぬえのお供をしてもらうことがしばしばあります。村上さんとはなんだか良い関係をずう~~~っと保ち続けているような気がします。

さて話は戻って『殺生石』。(やっとか。。)

この曲を ぬえが勤めさせて頂くことが決まってすぐ、ぬえは師家の名物面のような存在のこの「野干」を使わせて頂くことを目標にすることにしました。そのような大切な面ですから拝借させて頂けるかどうかは微妙で、さりとて上演の半年も前から師匠にその相談をするのも憚られ。。そのうえこの「野干」は非常に特殊な風貌をもっていますので、通常『殺生石』に使う「小飛出」とくらべての使い勝手もよくわからず。。本当に「野干」を使うことをイメージしながら稽古を進めてよいものかどうか、当時はかなり悩んでおりました。

ところが、そこで思い出したことには、かなり以前になりますが、師匠からの依頼で村上さんはこの「野干」の写シを作っていたのです。それを思い出した ぬえはすぐに村上さんに連絡を取ったところ、案の定、その時の写シは複数打たれてあって、その1面は村上さんのもとに所蔵されているとのこと。早速お願いをして、村上さんから「野干」の写シを拝借することにしました。

この後 ぬえはこの「野干」の写シを使って稽古を進めていきました。やはり「小飛出」とはかなり使い勝手が違いますね。この「野干」を使わせて頂いて稽古できたことで、ようやく『殺生石・白頭』の後シテのイメージが作り上げられてゆきました。

頂きました~(その2)

2009-11-16 03:06:48 | 能楽
こうして村上さんと ぬえとの不思議な関係が始まりました。ぬえは村上さんの新作の面を師匠のもとに運んでご批評を伺う。これが ぬえにはとてつもない勉強になりました。

たとえば「般若」について、師匠が ぬえに申されたのは。。

「般若は下の牙が角と同じ角度で前に向いている面が(演技が)利くんだよ」そうして話題は「般若」を使う演技にまで及んでいきました。「般若は絶対にテラしてはいけない。相手(=ワキ)を睨みつけるときも、こう、下から上目づかいに見て。。」まだ当時書生だった ぬえにとってはまさに驚きの連続でした。こうして それぞれの面の善し悪しや、またその面の使い方なども、ぬえは村上さんのおかげで師匠から親身に伺うことができたのです。

このご批評を ぬえは村上さんに伝えて、村上さんはそのアドバイスを聞いてまたご自分の面に修正を加える。。こうした関係は、今も続いておりまして、もう20年近くも続いているのではないかしら。この間にもいろいろな事がありまして、村上さんも師匠にお会いして直接ご批評を伺うこともありましたし、また師匠からも古い面の補修や写シを村上さんにお願いすることもありました。

ただ、村上さんは師匠と直接お話をされるようになっても いつも ぬえを立ててくださいます。それどころか、ある時期から ぬえにご自身の打たれた面を提供してくださるようになりました。もう何度も ぬえは村上さんの打たれた面を使ってシテを舞っております。その中でも最も印象深かったのは ぬえが『道成寺』を披いたとき、後シテの「般若」を村上さん作の面で勤めたことでしょう。

この『道成寺』に向けての稽古の際に、ぬえはずっと、以前に村上さんから頂戴した「般若」を掛けていました。それこそ申合までこの「般若」を使っていたのです。さて申合が終わって装束等の準備を最終的に整えるとき、ぬえは はたと気づいて師匠に伺いました。この村上さんの面を本番の舞台に使うべきか。。? 師匠のお答えは「。。。やはり披キだから うちの面を貸してあげよう。。その面にも慣れているだろうから、それは“控え”にしたらどうだ?」

つまり『道成寺』では後シテの着る「般若」は鐘の作物の中に仕込んであるわけですが、それも鐘の落下の衝撃で損傷がある危険性があるわけで、そこでその対策として鐘の作物の中には「控え」として「般若」を2面入れてあるのです。本当はこちらの「般若」を使う予定だが、万が一の事故に備えて「予備」を用意してあるわけですね。こうして ぬえの『道成寺』の披キには師家の「般若」を本面として、村上さんの面が「控エ」として、どちらも鐘の作物の中に納められることになりました。

村上さんとしても ご自分の打たれた面が『道成寺』に使われる「可能性」が生まれたことは名誉でしょうから、ぬえはすぐにそのことを村上さんに伝えました。もっとも、念のためにこんな事を言い添えましたんですよ。

「だからと言って、ご自分の面が本番で使われるように、と、鐘の作物の中での事故を祈るんじゃありませんよ~~(・_・、)」

そうしたら。。事故は本当に起こってしまったのです。

この『道成寺』には本当に命を賭けてしまった ぬえでありますが。。このとき「鐘入リ」まではなんとか無事に決めることができました。はあ。。とひと息を落下した鐘の作物の中でついた ぬえは、そのとき衝撃の体験をしてしまいました。


本面の、師家から拝借した「般若」の角が。。落下の衝撃で。。折れてる。。(O.O;)

頂きました~(その1)

2009-11-15 01:34:56 | 能楽

どうもバタバタとしていまして、なかなかブログの更新ができません~ すみません~m(__)m

さて、それならば そんなに ぬえは今忙しいのかと言うと、ん~そうでもないんですが。。 それでもこのところ細々とした仕事が多くて、なんだか落ち着きません。とは言え、昨日はお弟子さんのお仕舞の稽古の参考にと、基本の型を集めたDVDを作っておりました。まず自分が舞っているところをビデオに収めて、それに型の解説やコツなどを別録りしてキャプションとして加えて。もう1日がかりの作業でしたが、なかなかお弟子さんも仕舞の習得には困っている様子も見受けられるので、参考になればいいな~、と思っております。

こういった仕事の傍ら、最近はいろんなモノを頂戴する機会に恵まれました!
最初はこれ! 今年五月に師家の月例会で舞った『殺生石・白頭』で使いました面「野干」ですっ

話せば長いことながら、経緯をまとめますと。
この面は師家所蔵の古い「野干」を写したもので、作者は ぬえのためによく面を打って下さる能面師・村上稔氏です。といっても村上さんは無名なのでご存じの方はないと思いますが。。

村上さんと ぬえが出会ったのは、今から20年くらいも以前のことになります。謡のお稽古に見えたのですが、お稽古自体は諸事情もあって1年ほどしか続きませんでした。ところがその出会いの時にすでに村上さんは面打ちは10年以上の経験をお持ちで、ぬえも何度か村上さんの作になる面を見せて頂いたりしておりました。当時 ぬえはまだ書生でしたし、また ぬえは一代目の能楽師なもので、親から譲り受けるような面も装束も道具も、なあんにも持っていませんでしたね。ですから ぬえにとって村上さんの面は、はじめて自由に触らせて頂ける能面でしたし、あこがれを持ちましたですね~。

そうしているうちに ぬえは思いついて、村上さんの打った面を師匠にお見せしてご批評を仰いでみることを村上さんに提案してみたのです。村上さんは「アマチュアの打ったものですから。。」と恐縮されていましたが、まだ経験の浅い ぬえにも村上さんの面が平均以上に優れていることは気づいていましたから、無理にお勧めして、面をお預かりして師匠にお見せしてみることになったのでした。

能楽師にもいろいろな方がおられますが。。ぬえにとって幸せだったのは、ぬえの師匠が能楽界の中でもずば抜けて面に対する造詣が深いことです。これは ぬえが能の世界に飛び込むまでは知らないことでしたが。。師匠は村上さんの面をご覧になって「なかなか筋がよろしい」とすぐに褒めてくださいました。続けて、「ただ、ここは もっとこうした方がいいんだよ」「この種類の面はここを見るんだ。ここが良くできていなければすべてダメだから」とご批評も。。いや、正直驚きました。ぬえが思ってもいなかったところを師匠は見ておられたんですね~。

早速 ぬえは師匠のご批評を村上さんに伝えました。今から考えれば、ここでの村上さんの対応もすばらしいものだったと思います。村上さんは ぬえから伝え聞いた師匠のご批評にじっと耳を傾けて。。「わかりました。もう一度直して持参しますので、再度お目に掛けて頂いてご批評を頂戴できますでしょうか。。」

このときよりずっと以後、ぬえも何度か、村上さん以外の「自称」面打ちの方から自作の面の批評を乞わる機会もありましたが、こういう村上さんの対応とはずいぶん違いましたですよ。。つまり、「忌憚のないご意見を。。」と言われたので、師匠から教わったことを踏まえてあちこちと指摘すると。。するとこの方、立腹してしまうのです。「そんな細かいところまで要求されても無理ですよ」「こっちは趣味なんだから」 。。え~~?? ぢゃ、なぜ能楽師に意見を。。?

そうして村上さんは、1~2ヶ月も経った頃でしょうか、「面を直しましたので、お師匠さまにお目に掛けて頂けますか?」と連絡を頂きます。ぬえはその新作の面を携えて再び師匠のもとへ。。こうして師匠と村上さんとの間を行ったり来たりのメッセンジャーの立場の ぬえが誕生しました。いや、これが勉強になったのなんの。