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[備忘録] BYU新約聖書のクラスとニブレーの授業が用いた参考書

2016-05-06 23:49:18 | 聖書

[ジョセフ・スミス記念館。宗教の授業は多くここで行われた。]

私は1970年代半ば言語学専攻でブリガムヤング大学に留学したが、宗教のクラスもいくつか取るようにした。その中で、S.ケント・ブラウンの新約聖書のクラスは特に記憶に残る充実したクラスであった。また、ヒュー・ニブレーのクラスも特別だった。そこで用いられた推薦図書(購入を義務づけられた)は今も大事に持っていてしばしば参考にしている。

ブラウン教授の「新約聖書の時代514」は、C.K.バレット「新約聖書背景資料選」、E.シューラー「イエスの時代のユダヤ人史」、F.F.ブルース「新約聖書史」、それにヨセフス「ユダヤ戦記」を推薦図書とし、受講者が順次課題を発表するレベルの高いゼミ形式であった。あるとき十分準備時間がとれず、中途半端な途中断念という恥をさらした。それでも完成して提出するように言われ、遅れて出したが、それがたたって成績はBに終わってしまった。今思えば、ほろ苦くもクラス全体の印象としては懐かしい青春の一齣であった。

ヒュー・ニブレーのクラスはいくつか取った(一部は聴講)が、その一つは「宗教後期ゼミ490」でE.J.グッドスピード「聖書外典」、G.ウェルメシュ「英訳死海文書」、R.H.チャールズ「エノク書」、「失われた聖書典外書・エデンの忘れられた文書」など聖書外典・偽典からニブレー節が展開された。

また、E.ラスムッセンの「モーセ五書と歴史書501」もCESの先生数人がユタ南部から受講に来るなど、楽しいクラスであった。以上三つのクラスは500番前後の上級クラスであった。ちなみにインスティチュートのテキストは100番代から200~300番代どまりが多い。
(三桁の数字はBYUのカタログ表記で授業科目と共通。)その後、エルサレムセンターで実地の研修が行われ宗教関連のクラスはなおレベルが高まっていることが最新のカタログからわかる。

この記事の目的は個人的な備忘録の意味と、日曜学校のクラスがレッスンを教えるのにほかの参考書や解説書は必要としないと教師に指示している*のと大きく相違していることを示すことにある。末日聖徒は初歩をあとにして広く教会外の書物からも学べるし、謙虚にさらに上を目指してそうしなければならない。

*例、福音の教義クラス「新約聖書」教師用手引き 2004年 p. vi。

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参考 当ブログ
2013.11.11 「インスティチュートの教科書をどう見るか

クラス・参考書の英文名
New Testament Time 514 / S.K.Brown '74
C.K.Barrett, "The New Testament Background: selected documents" Harper & Row, 1956, 1961
Emil Schurer, "A History of The Jewish People in the time of Jesus" Shocken Books, 1961, 1971
F.F. Bruce, "New Testament History" Doubleday Anchor Book, 1969, 1972
G.A. Williamson, tra., "Josephus, The Jewish War" Penguin Books, 1959, 1979 

Senior Seminar in Religion 490 / Hugh Nibley '74
Edgar J. Goodspeed, "The Apocrypha" Vintage, 1938, 1959
G. Vermes, "The Dead Sea Scrolls in English" Penguin Books, 1962, 1973
R.H.Charles, "The Book of Enoch" S.P.C.K. 1914, 1974
"The Lost Books of the Bible and the Forgotten Books of Eden" Collins World, 1926, 1974

Pentatauch & History Books of the Old Testament 501 / E. Rusmussen '75



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6 コメント

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それって学ぶ意味あったんですか? (ジョン・ドゥ)
2016-05-07 02:02:28
私がインスティチュートのテキストから教会幹部の言葉をしばしば引用してモルモン教義の矛盾を論じると、「それは公式な教義ではないので」「それは幹部の個人的な見解なので」と言い訳ばかりでろくな回答を受けたことはありません。

そんなインスティチュートのテキストと同じものを使っているBYUの宗教コースにいったい何の意味があったのでしょうか?

そしてまた、教会の書籍に記載された生ける予言者の言葉を、個人的な見解だ、公式なものではないのだと脇へ押しやりながら、教会のものではない私的な出版物をもとにモルモン教義を語ることにどれ程の意味があるのでしょうか?

そうした手法で考察することを『第3の視点』だと仰るのであれぱ、それは重要な部分に覆いをかけてどうでもいい部分に粉飾した欺瞞の視点だと思います。
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教会組織 / 一般の出版社 (NJ)
2016-05-07 17:12:50
> そんなインスティチュートのテキストと同じものを使っているBYUの宗教コースにいったい何の意味があったのでしょうか?

私に聞かれても、としか答えようがありませんが、無難な、刈り込んだ初心者教徒向けのものを提供しているということでしょう。

>私的な出版物をもとにモルモン教義を語ることにどれ程の意味がある?

私の「モルモン教をどう見るか」を書くのに依拠した文献のことを言っておられるのでしたら、批判的な文献は教会自身や教会系のデゼレト出版社では出せないからということで理解していただけるでしょうか。研究者の分析や解説などは普通教団外から出るものです。米国大手の一般出版社や大学の出版局からなど。

あの本の評価については、2013.11.17 「モルモン教をどう見るか」に寄せられた短評 を参考にしてください。
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学問のススメ (オムナイ)
2016-05-07 20:32:29
日本でもこのような授業を受けられるようになると良いですね。

研究結果をつまみ食いさせていただいてます。

以下のサイトを思い出しました。

http://morumon.com/19/モルモンは聖書を信じていますか?

末日聖徒でも聖書研究においての有名大学の大学院レベルでの学位を取る人が随分増えてきてるんですよ。そういう研究者たちは、聖書文学協会(the Society of Biblical Literature)といった国際協会にも加入しています。ほとんどこういう人たちは学者の立場から聖書を読むんですけど、それでも聖書を学ぶ門弟であることには変わりはないですね。そういう人たちも平会員と一緒に、末日聖徒やその他のいわば「本の中の本」である聖書を大切に思っている人たちの為に、この聖書に関しての言語学的、文化的、歴史的或いは文学的観点から注釈書とか研究書を出版しています。
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青春とは? ()
2016-05-09 09:19:19
>今思えば、ほろ苦くもクラス全体の印象としては懐かしい青春の一齣であった。


・・・?
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それは (NJ)
2016-05-09 10:13:26
クラスで発表する準備をする段階で、すでに文献を途中までしか読み切れず、実際授業では皆の前で尻切れトンボで終わるという恥をさらしてしまいました。結果、成績はさえないBに終わりました。

しかし、このクラスは大変気に入りの好きな授業だったので、懐かしく、準備不足も青春の一コマだったというわけです。
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年齢じゃないとは思いますが・・・ ()
2016-05-09 10:44:11
>青春の一コマ

豚は豚小屋の中で生涯暮らし豚肉に加工されてしまうのですが、NJさんは妻子を連れて留学し、そのころを「青春の一コマ」って言えるのが図々しい・・・?じゃなかった、すごいなって思っただけです。

先日お孫さんも伝道に出られましたし、やっぱり筋金入のモルモンですね。

個人情報を漏らしてすみません。
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