「西洋をもう一度 東洋によって包み直す」 竹内 好(よしみ)
(中国文学者 1910-77)
「西欧的な優れた文化価値を、より大規模に実現するために、・・
逆に西洋自身をこちらから変革する、この文化的な巻き返し・・に
よって普遍性をつくり出す。・・その巻き返す時に、自分の中に独
自なものがなければならない。・・おそらくそういうものが実体と
してあるとは思わない。しかし方法としては、つまり主体形成の過
程としては、ありうるのではないかと思った。」(「方法としての
アジア」から)
現在の私はこの言葉に正にそのとおりだという気持ちで一杯であ
る。ただ、私には巻き返すために必要な独自なものがまだ自分の中
にないこともよく承知している。それを模索しながら人生が終わっ
てしまうことであろう。この言葉を紹介した新聞記事は、竹内好が
翻訳した魯迅を引いて次のように書いている。
「新たな中国の近代文学を切り開いた魯迅のように、西欧的なも
のに、アジアが「抵抗」する過程の中にしか、アジアが足場として
立つ思想や文化は生まれてこないと、竹内は考えた。」
大学で魯迅の原作を読んだときに翻訳者の竹内好の名前を知った
くらいであるが、最近マリンズの著で西欧から移植されたキリスト
教に抗して日本独自のキリスト教運動を興した人々の話を読んで、
同感の感慨もなおひとしおな昨今である。
出所
2007 / 11 / 19 朝日新聞 15頁 「竹内 好は終わらない」
参考
マーク・R・マリンズ、高崎恵訳「メイド・イン・ジャパンのキリ
スト教」
(中国文学者 1910-77)
「西欧的な優れた文化価値を、より大規模に実現するために、・・
逆に西洋自身をこちらから変革する、この文化的な巻き返し・・に
よって普遍性をつくり出す。・・その巻き返す時に、自分の中に独
自なものがなければならない。・・おそらくそういうものが実体と
してあるとは思わない。しかし方法としては、つまり主体形成の過
程としては、ありうるのではないかと思った。」(「方法としての
アジア」から)
現在の私はこの言葉に正にそのとおりだという気持ちで一杯であ
る。ただ、私には巻き返すために必要な独自なものがまだ自分の中
にないこともよく承知している。それを模索しながら人生が終わっ
てしまうことであろう。この言葉を紹介した新聞記事は、竹内好が
翻訳した魯迅を引いて次のように書いている。
「新たな中国の近代文学を切り開いた魯迅のように、西欧的なも
のに、アジアが「抵抗」する過程の中にしか、アジアが足場として
立つ思想や文化は生まれてこないと、竹内は考えた。」
大学で魯迅の原作を読んだときに翻訳者の竹内好の名前を知った
くらいであるが、最近マリンズの著で西欧から移植されたキリスト
教に抗して日本独自のキリスト教運動を興した人々の話を読んで、
同感の感慨もなおひとしおな昨今である。
出所
2007 / 11 / 19 朝日新聞 15頁 「竹内 好は終わらない」
参考
マーク・R・マリンズ、高崎恵訳「メイド・イン・ジャパンのキリ
スト教」
横浜国大・環境情報研究院 伊藤公紀