セミの声がだんだんと力強く聞こえるようになり、それは真夏の暑さをおう歌しているようにも思えるほど、
でも夕暮れになると以前はもっと秋めいてきたころに啼き始めると思っていたカナカナカナと聞こえる
あのなんともいえないセミの声、もの悲しく聞こえたりするのは私だけなんだろうか。
今日一日寂しく過ごしたわけではないけれど、あの鳴き声を聞くと今日は誰と会話をしたかしら?なんて
一日を振り返ったりしている。
この暑さのなか、出歩くことはなるべくしないで、宅配をお願いしているぐらいだから、会話などあるはずもなく、
朝の集積所までの間で出会う人々もマスク姿で挨拶はお互い頭を軽く下げるだけての意思表示。
そう、今日は宅配の方と玄関先で届け物を受け取りながら<暑いところご苦労さまでした・・・>ぐらいの会話かな。
毎日必ず朝のおはようと寝る前のおやすみなさいは娘とのラインで交わすけど声はお互い出していない。
ずいぶん前に聞いたことがあったっけ、<二人で暮らしていても、孤独を感じることがあるのよ>と・・・。
老いをともに重ねている夫婦の会話のなかでのこと、電話の向こうの声に答える言葉のなかったひとり暮らしの私。
今夜の赤い月を眺めながらふとそんなことを考えながら、会話に溢れていた頃を思いだしていた。
気がつくとセミの声はもうしない。
七月もあと一週間たらず、天気予報ではこの猛暑はずっと続くとか、今日は二人分のタオルケットを洗濯して
大物はひとまず済ませた、明日は勇気をだして出かけてこようと予定している。