「笹寿司」
主な伝承地域 上越地方
主な使用食材 米、干しぜんまい、姫タケの芽、サケ、野沢菜、蕗(ふき)味噌、卵、しょうがの甘酢漬け
歴史・由来・関連行事
「 笹寿司」は、北信越地方に伝わる郷土料理で、新潟県では、上越地方を中心に食べられている。石川県は、酢飯を笹で包んで押してつくる「押し寿司」だが、新潟県の「笹寿司」は、クマ笹の上に酢飯をのせて具材や薬味を盛りつけたもの。妙高市、上越市、糸魚川市などの上越地方では笹の葉を箕のかたちに折ってつくり、「箕寿司(みずし)」と呼ぶ地域もある。専用の木箱を使い重ねてつくる地域もある。主に、ハレの日の料理としてつくられ、お盆や祭りなど人が多く集まるときに振る舞われていた。酢飯の上に具材を彩りもよく飾り付けたものや、具材を酢飯に混ぜてつくるものもあり、地域や各家庭で少しづつ異なる。手間がかかるため、家庭でつくることは昔より少なくなってきている。
「笹寿司」の誕生と、新潟・長野の両県に伝わっているのにはいくつかの説があり、「戦国時代に上杉謙信の軍勢が武田信玄との戦の際に山奥で器代わりに笹に御飯を盛った」「川中島の合戦に出陣する上杉謙信に長野県飯山市富倉地域の住民が笹の葉寿司を献上した」などといわれている。また、笹は防腐効果が高く、保存食としても食べられていた。実際に、上杉謙信もごはんを笹の葉に包んで携帯していたともいわれている。
七夕は「笹の節句」ともいわれており、平成26年(2014年)に糸魚川青年会議所が7月7日を「糸魚川 七夕は笹ずしの日」として日本記念日協会に申請し、記念日として登録された。「七夕に郷土料理に触れ、糸魚川の魅力を再確認してほしい」という思いが込められている。
食習の機会や時季
お盆やお祭りなどの行事を中心に、ハレの日の料理としてつくられる。具材は、山でとれた山菜や海川の魚、地元でとれた野菜などが使われ、季節感が溢れている。
飲食方法
クマ笹の葉の上に酢飯をのせて、味付けをした具材や薬味を彩りよく盛り付ける。わらび、筍、きゃらぶきなどの山菜や、野沢菜漬け、大根の味噌漬け、くるみ、人参、ひじき、錦糸卵、田麩、薬味は紅しょうがなどが使われる。包み方は、笹の上に寿司をのせただけのものと、笹の片方だけを折って舟形にしたもの、三角に折ったもの、ちまき風に包んでイグサなどで束ねたものなどがある。食べるときは箸を使わなくても、笹の葉をめくってそのまま手で持ったまま食べることができる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
「笹寿司」を観光資源の一つとしてとらえ、各地域で地元の方による笹寿司づくり体験がおこなわれている。また、すし店をはじめ、農産物直売所やスーパーマーケットで販売されていたり、上越市の「くびきの押しずし」は駅弁として、また道の駅などの観光施設でも販売されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sasa_zushi_niigata.html より
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