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イッピンNHK 「華麗に進化する器~佐賀 有田焼~」

2023-05-17 08:25:43 | イッピンNHK

 第25回 2013年6月4日 「華麗に進化する器~佐賀 有田焼~」リサーチャー: 南明奈

 番組内容
 400年の歴史を誇る佐賀県の有田焼が、いま大きく変化しようとしている。スタイリッシュでモダンなデザインが続々と誕生、内外の一流料理人が熱い視線を注いでいる。中でも注目は、大きな球形をした器。銀座の一流料理店の特注品だ。焼き物で球形を作るのは、非常に難しい。受け継がれてきた伝統の技と、最先端の技術が融合し、初めて製作が可能となった。南明奈さんが新しいスタイルの有田焼に挑戦する人々の活躍に迫る。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201306041930001301000 より

 「有田焼」の歴史は400年前に遡ります。
 江戸時代前期に誕生した「柿右衛門様式」は、ヨーロッパに盛んに輸出され、
 日本独自の絵柄や技法が世界から注目を集めました。

 平成28(2016)年には、「有田焼」が生まれて400年の節目ということで新たな焼き物作りに挑戦する窯元が増えています。
 デザイナーと組んでスタイリッシュな器を開発し、パリで人気のレストランでも使用されて、海外で評判となっている窯元もあります。

 「珠型五段重」

 東京・銀座の日本料理店「六雁」(むつかり)は、総料理長の秋山能久さんを筆頭に、独自のセンスと多彩なアイデアで、枠に捉われない和食の新境地を開拓するお店です。

 「六雁」(むつかり)では、有田焼の球形の重箱「珠型五段重」が使用されています。

 これは、平成23(2011)年のお正月に百貨店「伊勢丹」がおせち料理と重箱をセットにして発売した商品で、日本料理店「六雁」がおせち料理を手掛け、
重箱は、総料理長の秋山さんと佐賀県有田町の「李荘窯」(りそうがま)とのコラボレーションで生まれました。
 これを実現するまでには、「10年ほどかかった」と秋山さんは語っていました。

 「李荘窯・4代目 寺内信二さん」

 球形の重箱「珠型五段重」を作った「李荘窯」(りそうがま)は、有田焼の陶祖・李参平の住居跡に開業し、磁器彫刻の制作から、食器の生産を行っている窯元です。

 有田焼は、豊臣秀吉による朝鮮出兵「文禄・慶長の役」の際に、朝鮮半島から多くの朝鮮陶工陶工の一人で、後に有田焼の陶祖として崇められる李参平が佐賀県有田町で磁石場を発見し、初めて磁器を焼いた、元和2(1616)年より始まります。
 
 時は流れて明治時代末期、瀬戸と常滑で陶彫の指導を行っていた一人の陶芸家が、工芸指導者として有田に招聘され、窯を開きました。
 その場所が李参平の住居跡だったことから、「李荘窯」(りそうがま)という名が付けられました。

 その敷地を掘ったところ、400年前の陶片がたくさん土の中から現れたとそうです。
 長い時間を経ても色褪せない魅力的な染付のブルーに魅せられて、4代目の寺内信二さんは、味わい深い染付絵皿を作り続けている一方、デザイン設計や削り出しの作業には最新技術を駆使し、まるでオブジェのように見える新しい有田焼も生み出しています。

 これまで、角のある形が一般的だったおせち料理のお重で、新たに「円」をテーマにしたお重が誕生したのは、平成23(2011)年、東日本大震災の年でした。
 これまで磁器で球体をつくることは難しいとされてきましたが、コンピューターの3Dソフトで型を設計し、モデリングマシンで切削して型をつくることで、より精度の高い球体づくりに成功したのでした。

 素焼きの段階ではキレイな球形ではなく、焼き上がった時に収縮するといった有田焼の特性を考慮して、コンピュータグラフィックにより緻密に設計されています。

 この球形の器を焼くためには、「ハマ」という丸い敷物が重要となります。
 「ハマ」とは陶磁器を窯に入れて焼成する際に、作品がくっついてしまわないよう焼台として下に敷く煎餅のように平らなで丸い形をした、大事な窯道具です。
 作品と床の間に敷くので「羽間」(はま、はざま)という字が当てられます。

 磁器は焼成すると焼き締まる特性があるのですが、この時「ハマも」一緒に縮まないと、高台が変形したり割れてしまうため、窯に入れる磁器と同じ収縮率の粘土を用いた使い捨ての「ハマ」が多く用いられています。

 「ハマ」を使用して焼いた器はキレイな球体に仕上がりましたが、「ハマ」を使わずに焼いたものはキレイな球体にはならずズレが生じてしまいました。
 「李荘窯」の緻密な細工や造形は手作業が多いのですが、これは確かな技術があってこそ実現出来るのです。

 「李荘窯」の有田焼は、国内外の名シェフたちから評価され、多く使われています。
 寺内さんは、「古くから和食には、料理だけではなく器も楽しむという文化があります。
 今、世界もそんなスタイルを求めている」とおっしゃいます。
 時代が求めているものを見つけ出し、高いクオリティで実現する。
 それが今の有田の姿です。

 李荘窯 佐賀県西松浦郡有田町白川1-4-20

 「有田焼万年筆(佐賀ダンボール商会)」

 平成28(2016)年は、元和2(1616)年に有田で日本初の磁器が作られてから400年となる記念の年です。
 近年、更なる発展と可能性を模索するために、新たな市場の開拓を始めています。

 平成19(2007)年には、「佐賀ダンボール商会」企画により、有田焼窯元の「香蘭社」「源右衛門窯」と日本の筆記用具業界をリードしてきた「セーラー万年筆」がコラボして実現した「有田焼万年筆」が誕生しています。
 重厚感・高級感に溢れ、有田焼の磁肌が美しいこの万年筆には、完成までに約2年の月日がを費やされました。
 「有田焼万年筆」は、平成20(2008)年の北海道洞爺湖サミットで各国首脳への贈り物に採用されています。
 平成28(2016)年の有田焼創業400年を記念した、合計16種類の「有田焼万年筆」もあります。

 「佐賀ダンボール商会」は、昭和32(1957)年に日本の伝統工芸品である「有田焼」を各地に送るための、梱包資材メーカーとして誕生しました。
 今では、焼き物に関わらず、様々なブランドのギフトパッケージの製造などを行い、令和4(2022)年、パッケージ事業を「BOXTAILOR事業」と改名しました。

 それだけでなく、有田焼の窯元や他の技術者とタッグを組んで、万華鏡や時計、オルゴールなど、「世界でオンリーワン」商品の企画もしてきました。

 「有田焼万華鏡」は、400年の伝統を誇る有田焼と200年の歴史を生きる万華鏡がコラボし、世界で初めて生み出された磁器製万華鏡です。
 筒部分は有田焼の名窯である「香蘭社」と「源右衛門窯」が製作しています。

 男性技術者達が素焼きした生地の上に下絵を描き、女性技術者達が太い筆を扱いつつ下絵を巧に絵付けしていきます。
 一度焼いた後、鮮やかな色を塗っていく「上絵付け」を行います。
 職人歴23年の「香蘭社」の立石郁子さんは、滑りやすくなっている表面に少しずつ色を塗っていき、ちょっとした力加減で色の濃淡を表現していました。

 令和4(2022)年3月20日には、「佐賀ダンボール商会」企画による「セーラー万年筆」と球体の重箱を作った「李荘窯」共同開発した、「有田焼ボールペン」が販売されています。
 見た目の美しさと書きやすさにこだわった仕上がりになっているそうです。

 佐賀ダンボール商会 佐賀西松浦郡有田町赤坂丙2351-171

 「洋食器(カマチ陶舗)」

 有田焼の製造販売会社「カマチ陶舗」の社長・蒲地勝さんは、世界各国の料理人と料理を盛るための器を開発しています。
 世界的著名レストランガイド 「ゴ・エ・ミヨ」より、2022年度の「イノベーション賞」を受賞しています。

 フレンチに、日本・佐賀県の伝統工芸である有田焼の器を採用する。
 2000年初頭、そんな大胆なアイディアを実際に取り入れたのは、本場フランスで名を馳せるシェフ、ドミニク・ブシェ 氏でした。
 採用したのは、佐賀県にある窯 「照右ェ門窯 カマチ陶舗」の有田焼の器「D.B Kamachi」シリーズでした。

 元々「カマチ陶舗」は1990年代後半頃までは日本料理店を始めとする顧客のオーダーメイドで器を作っていました。
 日本の器のバリエーションは世界TOPレベルなのに、当時、ヨーロッパでは日本の器は知名度不足だったことから、蒲地勝社長は「本場フランスへのダイレクトな提案」を思い付きます。
 フランスでドミニク・ブシェ氏と出会い、器を製作したことによってフレンチ界、そして有田焼の業界にも新たな道が拓けました。
 
 現在、「カマチ陶舗」では、4つのブランドを展開しています。
 伝統を意識したモダンなデザイン「Kamachi Arita, Japan」シリーズ、高級和食用オーダーメイドライン「照右ェ門」シリーズが有名ホテルや2つ星、3つ星レストランで愛用されています。
 
 その一方個人客向けには、「照右ェ門シリーズ」の強度・品質はそのままに、「低価格」を実現させた「照右ェ門ジュニア」シリーズや「Kamachi Arita Japanシリーズ」の低価格モデルの「&K モダンライフ」シリーズも人気です。

 社長の蒲地さんは、夏から秋にかけて出す料理を盛り付ける皿の依頼を受け、仏料理店「L'Embellir(ランベリー)」のシェフ・岸本直人さんのもとに
試作品を携えて訪れました。
 岸本さんが気に入ったのは、大理石で作られたかのようなお皿です。
 蒲地さんによると、この大理石のようなお皿は全て手作業で作成され、完成までに1年以上を要したのだそうです。
 岸本さんは、皿に盛り付けた料理は更にレベルアップ出来るとおっしゃっていました。
 蒲地さんは、今後も時代に合った有田焼を作り続けたいとおっしゃっていました。
 
 カマチ陶舗 佐賀県武雄市山内町三間坂12885-7

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Saga/Arita_1 より


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