「鮭の飯ずし(さけのいいずし/さけのいずし)」
主な伝承地域 津軽地方
主な使用食材 塩サケ、たけのこ、もち米
歴史・由来・関連行事
冬の間雪に閉ざされる津軽地方は、作物や魚介をとれる時期にできるだけとって、干したり塩漬けしたりと工夫して保存した。米は主食としてだけでなく、糠や麹などさまざまな形で暮らしに活用した。もち米の発酵する力を借りて魚や野菜の保存食としてつくられた「飯ずし」もその一つ。紅サケの飯ずしはその中でも色鮮やかで縁起物とされたが、サケが貴重品だったため限られた家でしかつくられなかった特別なごちそうである。
食習の機会や時季
もともと、「飯ずし」は酢を使わず、麹ともち米を合わせたものに漬けこみ涼しい場所で発酵させることで、乳酸菌の活動を促し旨味を引き出した料理。笹の葉を敷くことで防腐作用もあった。しかし近年、温暖化により気温が下がりづらく麹を使った長期間での低温発酵が困難になったため、発酵を早める酢を使うことが主流になっている。年越し・正月料理や大人数をもてなす際につくる場合は、根曲がりだけも一緒に漬けこむ。紅サケの紅色と、根曲がりだけやごはんの白色とで「紅白」を表し、縁起が良いとされる。紅サケではなくサメやホッケでつくることもある。
飲食方法
酢締めにした塩サケ、根曲がりだけ、柔らかめに炊いたもち米を交互に幾重にも敷き詰め、最後にご飯、笹の葉で蓋をするように覆う。蓋をして重石をかけ、数日かけて馴れさせる。米の甘みと乳酸の酸味がなんともいえない芳醇な風味を醸し出す。昔ながらの麹仕込みは、さらに奥深い味わいを楽しめる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
大変手間のかかる料理であることや、昔に比べて冬場の気温が下がりにくくなったこともあり、家庭で「飯ずし」をつくることは減ってきている。失われる危機にある津軽地方の伝承料理の保存に務めているグループが、イベントや教室を開いたり、予約制で料理を振る舞ったり、SNSで発信したりと積極的に活動をおこなっている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sakeno_iizushi_aomori.html より
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