いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<経産大臣指定伝統的工芸品> 滋賀 近江上布 

2021-06-02 08:58:37 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「近江上布」

 Description / 特徴・産地

 近江上布とは?
 近江上布(おうみじょうふ)は、滋賀県湖東地域の愛知郡周辺で作られている織物です。苧麻(ちょま)や手績み(てうみ)の大麻の糸で織られています。
 近江上布の特徴は細い麻の繊維で織られる爽やかな風合いと上品な絣模様です。絣だけでなく、漂泊していない麻を使った生平(きびら)も作られ、経糸に苧麻、緯糸に手績みの大麻糸が使われます。
 手績みは麻の繊維を裂いてつなぎ1本の糸をつくる、根気のいる作業です。近江上布の絣模様には、「経糸絣(たていとがすり)」、「緯糸絣(よこいとがすり)」、「経緯併用絣」があります。緯糸絣では型紙で糸を染める「型紙捺染(かたがみなっせん)」、緯併用絣では、文字の通り櫛の背に似ている弧形部分に染料を染み込ませ、糸に押し付けて染色する「櫛押捺染(くしおしなっせん)」という技法が用いられます。
 経糸と緯糸の絣をていねいに合わせながら織られる近江上布は、麻織物の最高級品として知られ、一財を築いた商家の雛人形には、衣装として身に着けている姿を見ることができます。

 History / 歴史
 琵琶湖の東側、湖東地域では琵琶湖から発生する霧や愛知川、能登川が流れる湿度の高い盆地という麻栽培に適した環境により、古くから大麻の栽培が盛んでした。
 京都から移り住んだ職人が伝えた技法により、鎌倉時代から麻織物が作られてきました。やがて、織られた麻織物は近江商人により全国に広く知られるようになります。江戸時代には、琵琶湖東岸を支配していた彦根藩の庇護のもと、麻織物はさらに発展し、安定した地場産業として栄えていきました。
 一方で、近江商人が持ち帰った東北地方の苧麻などが近江上布の発展に大きな影響を与えます。この頃から、染めの技術も進歩します。1700年代後半(天明年間)には「板締(いたじめ)」や「櫛押捺染(くしおしなつせん)」などの技法が開発されました。
 やがて明治末期になると、紡績苧麻糸(ラミー糸)が導入され、昭和初期には「型紙捺染」などの技法も生み出されました。一方、大正時代まで使われていた「板締」は姿を消してしまいます。現在近江上布は、700年続く伝統的な織物として受け継がれています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/omijofu/ より

 

 琵琶湖の自然と伝統の芸術、近江上布
 鈴鹿山脈の伏流水が流れ込む愛知川の美しい水と高温多湿の盆地という、麻織物にとって最高の自然環境に恵まれて、七百年もの昔から受け継がれてきた近江上布。近江商人の活躍により、今もなお、多くの愛好家が全国に広がっている。

 
 最後の伝承者
 近江上布の伝統工芸士である大西新之助さんは、その年齢を感じさせないバイタリティーに溢れた方。小柄ではあるものの、大西さんの存在感の大きさは、上布に人生のほとんどを費やしてきた職人の魂の大きさなのかも知れない。笑みを絶やす事なく、目をキラキラと輝かせて、上布について話をして下さる大西さんから、熱い情熱を感じ取る事が出来た。しかし「昔は、15~6軒の家で上布をしていたんですが、今では服地などは機械化され、手織りしているのは、私を含めて2社だけですよ」と、現実は厳しい状況だ。最後の伝承者としても大西さんに寄せる期待は、限り無く大きい。


 職人としてのこだわり
 寝具店に勤めていた頃から、商品の織物を目にしていた大西さんは、次第に織物に対して興味が湧きはじめた。そんな大西さんの姿を見ていた寝具店の主人は、才能を見抜いたのだろうか、「近江上布を織ってみてはどうか」と勧めてくれたという。能登川の工業試験場で学びはじめ三十七歳の時に独立。近江上布を始めた。麻の繊維は染料が定着しにくく、渋さや涼感を出す為に、寝る間を惜しんで取り組んできた。それでも、商品として出来上がるまでに5年の歳月を要してしまった。上布をはじめ、絣の着物は先染めの糸を織り上げて模様を創るわけだが、製作行程の説明を伺ってもなかなか理解できないくらいややこしいのである。素朴な疑問が湧いてきた。なぜ、後染めではいけないのか。「絣は、表も裏も無いんで、古くなったら裏返して仕立て直せば、さら(新品)のようにして着れるんですよ。昔の人の知恵ですな」


 時間と労力の代償
 きもの一たん織り上げるにも、一カ月はゆうにかかってしまう。完成した時の「達成感」はもちろん、何よりも嬉しい時は「お客さんに喜んで頂いた時の笑顔」だと言う。東京などのデパートで展示会をされている大西さんは、直にお客さんと話ができることが、自身の仕事への意欲を高めさせてくれる。また手紙などで、作品の評価を頂く事や、実際に近江まで訪ねてきて下さる方々も多いという。「苦労を忘れてしまいますな」と恥ずかしそうに笑いながらおっしゃった。そして、その笑顔は、プロとして職人として輝いていた。

 近江上布を使った新しい発想
 着物だけには留まらず、大西さんが手掛けていらっしゃる物には、「若い人に親しまれる物」がある。額やタペストリー、テーブルセンターなど、個性的な部屋づくりを好む現代人にも受けている。またネクタイなどは、涼し気で上品で風合いがある。のれんにしても裏表が無いので、どちらから見ても美しい。最近では、幅を広く織る事で、屏風にしたり、服地にしたりと大西さんの上布は、さまざまな物になっていく。「こんなんやってみたらどうかな、それやったらどないしたらええかな。毎日考えてましたら、若さが保てましてな」と大西さんの笑顔は、若さと自信に満ちていた。


 こぼれ話

 手おりの里金剛苑

 五千坪の広い苑内には、資料館、金剛庵、染色工房、蚕室、庭園、桑園があります。近江上布や秦荘紬の特性や美しさを、資料や実演を通して広く知る事が出来る施設です。苑内で栽培された藍草を使って織糸の藍染めを見学することができ、見学者が実際に藍染めや秦荘紬などの織り方を体験できるコースも用意されています。現在の製作工程ばかりでなく、織物会館には、近江上布などの制作で昔使われていた居座り機などの道具類も展示されています。そのほか、金剛庵では生活民具が展示されています。

*https://kougeihin.jp/craft/0119/ より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あららジャマイカ戦-6/3 中止に | トップ | <漢字検定> 1級 四字熟語... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済産業大臣指定伝統的工芸品」カテゴリの最新記事