「こみつ」
■こみつ・こうとく(高徳)とは?
「こうとく(高徳)」は「東光」の自然交雑実生として1985年に品種登録された蜜入りで知られるリンゴです。また、「こみつの会」会員が作り一定の基準を満たしたものは「こみつ」という名称で出荷されています。
●こうとく(高徳)の来歴
「こうとく(高徳)」はおよそ40年にわたり青森県りんご試験場に勤め1952(昭和27)年から1970(昭和45)年までりんご試験場長を務めた木村甚彌(きむらじんや)氏が、退職後自園に自然交雑した「東光」の種をまき、その実生から選抜育成されたリンゴで、木村甚彌氏がなくなった後も特性調査が継続され、1984(昭和59)年、木村喬久氏によって種苗法に基づく登録出願され、1985(昭和60)年に品種登録されています。
「こうとく」は蜜が入る事が多く美味しいりんごでありながら小玉傾向にあり、品質にもばらつきがあったため市場から敬遠され、一時は栽培者がほとんどいなくなってしまって消滅寸前にまでなっていたそうです。
●こみつは登録商標
消滅寸前にあった「こうとく」を青森県津軽石川農協が粘り強く販路開拓と品質管理の徹底を進め、同農協産の一定規格以上のものを「こみつ」という名称でブランド化し、2007(平成19)年に商標登録されるに至りました。商標権者は当時津軽石川農協リンゴ部会長をされていた相馬司幸氏で、現在は「こみつの会」会長をされており、「こみつ」という名称で出荷できるのは「こみつの会」で作られ基準を満たした「こうとく」だけです。
ブランド化の努力によりこみつの美味しさが広く知られるようになりましたが、生産量が非常に少なく希少性もあって2012年頃ほどではありませんが今でも高価なリンゴとして扱われています。
●究極の蜜入りリンゴ「こみつ」
「こみつ」は樹上で糖度を16度前後まで高め完熟させてから収穫され、同農協において糖度14度基準で選果されます。出荷される時の糖度は14度程度に落ち着きますが、究極の蜜入りリンゴと言われるように、蜜が沢山入り、多いものだと蜜の割合が80%にもなるそうです。
■こみつ・こうとく(高徳)の特徴や食味
◆「こうとく」の特徴
「こうとく」は平均で270g程という小ぶりのリンゴで、果形はやや扁平気味、お尻の部分のくぼみが広い傾向にあります。
果肉の色は黄色く、肉質はやや固くしっかりとした歯ごたえがありますが果汁はたっぷりと含まれ甘みと酸味が絶妙なバランスで後を引く感じがします。
こみつ・こうとく(高徳)
◆品種登録データベースに記されている「こうとく」の特徴
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『---
果実の大きさは中で平均約270g、「東光」、「ふじ」より小さい。
果皮は黄緑地に淡褐紅の縞が明瞭に入り、果皮の光沢は中、果面の粗滑は滑である。
果梗の長さは中、太さは太、肉梗は中である。
果肉の色は黄、硬さは硬、きめは中、押傷のつき易さは中、蜜の多少は多、果汁の多少は極多、甘味は中(糖度14度前後)、酸味は弱、香気は多である。
成熟期は育成地(青森県南津軽郡平賀町)において10月中下旬で、「ふじ」より2週間程度早く、普通貯蔵で2月頃まで、冷蔵で5月頃まで貯蔵可能である。
---』 以上、抜粋。
◆実際に食べてみた「こみつ」の食味
これまでに何度か食べたものは、割合の多少はありましたがいずれもしっかりと蜜が入っているものでした。写真のように切ったときに一面に蜜が入っていると思わずおお~っと声が出てしまいます。
果肉の食感は固くもなく柔らかくもなく、適度な歯触りがあり、口に入れると強い甘みが広がります。甘さが強いこともあって、酸味が隠れてしまうような印象で、それはそれでとてもおいしいものでした。
■こみつ・こうとく(高徳)の主な産地と食べ頃の旬
●こみつ・こうとく(高徳)の主な産地
「こうとく」の主な産地は青森県です。「こみつ」は”こみつの会”の登録商標なので、”こみつの会”が作ったりんごだけです。ただ、「こうとく」「高徳」は「こみつ」の品質に魅力を感じ、他の産地で栽培されたものも増えてきているようです。ただ、ブランド化はされていないので品質のばらつきは否めませんが、こだわって品質の良い物を作られている農園もあります。
最近では一般のスーパーなどでもよく見かけるようになりましたが、「こうとく」あるいは「高徳」でもブランド化された高品質の「こみつ」にあやかり「こみつ」あるいは「こみつ」と同じとして販売してるケースも見受けられるので注意が必要です。
平成30年産特産果樹生産動態等調査によると、全国の「こうとく」の栽培面積は54.4haとなっており、青森県以外でも山形県や茨城県、福島県などでも栽培されています。
こみつ・こうとく(高徳)の主な産地と栽培面積
●こみつ・こうとく(高徳)の収穫時期と出回る旬
「こうとく」の収穫時期は10月下旬から11月上旬にかけてで、貯蔵性はそこそこあるようです。出回るのは11月から1月頃までが多いようですが、食べ頃の旬は11月から12月です。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/apple-Koutoku.htm より
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