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<都市の異名> 水の都 19.

2022-10-09 08:36:53 | 都市の異名

 「水の都 熊本」

 世界の都市(人口50万人以上)で唯一水道水源を100%地下水だけでまかなっている都市で、「世界一の地下水都市」とも言われている。*Wikipedia より

 世界に誇る地下水都市・熊本 最終更新日:2022年2月25日
 熊本市は、九州の中心に位置しています。また、市民の水道水の100%を地下水で賄っている日本一の地下水都市です。清らかで豊富な地下水は、社会活動を営むうえで様々な用途に利用されており、人口約74万人を擁する都市で、水道水の全てを地下水で賄っているところは、日本全国でも他に例がありません。
 また、熊本平野には白川、緑川などの主要河川や坪井川、井芹川などの河川、江津湖、八景水谷などの湧水地があり、人に潤いと安らぎを与える水辺環境も豊かです。
 しかし、都市圏の拡大や産業経済の進展に伴い、地下水かん養量の減少による地下水位の低下や、硝酸性窒素などによる水質の悪化が見受けられるようになり、市民生活や水環境への影響が懸念されています。
 そのため、現在熊本市では熊本地域の市町村と協力し、様々な地下水保全対策を実施しています。
 熊本市の地下水保全活動は、昭和48年度(1973年度)から2か年にわたって、熊本県と共同で実施した「熊本市及び周辺地域地下水調査結果」や、健軍水源近くのマンション建設反対運動をきっかけに市議会で議決された「地下水保全都市宣言」(昭和51年(1976年)3月)にはじまります。翌昭和52年(1977年)には「熊本市地下水保全条例」を制定するとともに、地下水保全の組織を置き、熊本県や研究者等の協力のもと、地質や土地利用調査など地下水流動機構に関する調査研究や地下水利用の実態把握、地下水観測体制の整備を行いました。また、水源かん養林整備事業や水田湛水事業などの水量保全事業や市民協働による節水市民運動などを実施してきました。
 このような取組は国内外から高く評価され、平成20年(2008年)6月には、第10回日本水大賞グランプリ、平成25年(2013年)3月には国連“生命の水”最優秀賞を受賞しました。また、地域住民等による主体的かつ環境の保全活動が評価され、平成20年(2008年)6月に、平成の名水百選に「水前寺江津湖湧水群」、「金峰山湧水群」の2か所が選定されています。令和4年(2022年)4月にはアジア・太平洋地域の首脳、閣僚級、国際機関の代表などが集い、水に関する諸問題について議論する「第4回アジア・太平洋水サミット」が開催されます。
 
 熊本地域
 水道水源の全てを地下水で賄う人口約74万人の熊本市。これは人口50万人以上の都市としては日本唯一、世界でも希少な都市となっています。
 また、阿蘇外輪山の西側から連なる面積約1,041㎢の熊本地域の大地には、熊本市を含む11市町村があり、約100万人の人々が暮らしています。この熊本地域においても水道水源のほぼ全てを地下水で賄っています。
 そのため、熊本地域で地下水を守り伝えていくことが不可欠であり、市町村の枠を越えて地下水保全の取組を行っています。この熊本地域で行う地下水保全の取組が世界で高く評価され、国連“生命の水”最優秀賞を受賞しました。
 
 熊本地域の水循環
 地球には約14億㎦の水があるといわれています。そのうち約97%は海水で、淡水は約3%にすぎません。この淡水の大部分は南極や北極の氷で、地下水を含め河川や湖沼など私たちのまわりに存在する淡水は全体のわずか約0.8%しかありません。地球上では、水は太陽エネルギーを吸収して海などから蒸発し、大気中で雲となり、雨や雪となり、川を下って海へ注ぎ、再び海から蒸発して地球をめぐっています。これを「水循環」といいます。
 地球上の水の総量のわずか約0.8%しかない地下水や河川水ですが、この水循環のおかげで私たちはその恩恵を受けているのです。
 ここで熊本市を含む熊本地域(約1,041㎢)の水循環をみると、熊本地域では1年間に約20億4千万㎥の雨が降ります。そのうち約3分の1(約7億㎥)が大気中に蒸発し、約3分の1(約7億㎥)が阿蘇を水源とする白川や緑川等を経て有明海に注ぎ、残り3分の1(約6億4千万㎥)が森林や草地、水田、畑地等で地下水としてかん養されると推定されます。 
 特に白川の河川水については、中流域の大津町、菊陽町等の水田に引かれ、農業用水として利用されています。この地域で約9千万㎥の地下水がかん養されており、白川中流域は熊本地域の大きなかん養域となっています。
 
 「阿蘇の自然」と「人の営み」による地下水の恵み
 日本の平均降水量は年間約1,700mmですが、熊本地域では約2,000mm、阿蘇山にいたっては3,000mmもの降水量があります。降雨の多さが地下水に恵まれる一因となっています。豊富で良質な地下水の恩恵を受けられるのは、このほか、次の2つの要因も大きく影響しているといわれています。

 熊本地域の地下水システム図
(要因1)阿蘇の自然のめぐみ
 阿蘇火山は、約27万年前から約9万年前にかけて4度の大火砕流噴火を起こしました。この火砕流が厚く降り積もって熊本の大地はできあがりました。この阿蘇火砕流でできた地層はすきまに富み、水が浸透しやすい特徴を持っていて、100m以上の厚さで広く分布しています。そのため熊本地域に降った雨は地下水になりやすく、地下に豊富で良質な水が蓄えられます。阿蘇山によって「世界に誇る地下水都市・熊本」の土台ができあがったのです。
(要因2)加藤清正公と地下水をつくる「かん養域」
 熊本城を築いた加藤清正公は、多くの土木工事、治水・利水工事を手掛けたことでも有名で、今でも土木の神様、治水の神様「清正公さん」と敬われ、祀られています。約430年前、肥後に入国した清正公は、白川中流域(大津町・菊陽町など)に堰や用水路を築き大規模な水田開発を行いました。
 この水田開発は、その後も加藤家や細川家の子孫らによって受け継がれることになります。特に白川中流域の水田は水が浸透しやすい土壌のため、通常の5~10倍も水が浸透します。地元では「ザル田」と呼ばれるほどです。水が浸透しやすい性質の土地に水田を開いていったので、大量の水が地下に浸透し、ますます地下水が豊富になりました。
 
 熊本地域の地下水の動き
 地下水の流れ
 熊本地域は、その周囲を阿蘇外輪山西麓などの山塊が基盤岩として囲み、水を透しにくい地下水盆が形成されています。この地下水盆の中にある、菊池、植木、託麻の各台地及び熊本平野の低地部に地下水を貯留しやすい阿蘇火砕流堆積物や砂礫層が広く分布しています。
 ここで熊本地域の地下水の流れをみると、大きく分けて次の3つが挙げられます。
 まず大きな流れとして、主に阿蘇外輪山西側の裾野に広がる菊池台地などの火砕流台地一帯でかん養され、いったん白川中流域の「地下水プール」と呼ばれる地下水面の勾配が緩やかな地域に集まり、ここから水位を下げながら南西の江津湖などの湧水地帯を経て西方の熊本平野への流れがあります。その他にも、北西に位置する金峰山山麓の植木台地から南方の熊本平野への流れや、南東の御船山地などから熊本平野への流れがあります。 
 
 地下水の到達時間は?
 地上に降った雨は地下に浸透し地下水となるわけですが、この地下水は地層の間を縫うようにゆっくりゆっくりと流れ、長い歳月をかけて磨かれます。その間、ミネラル分や炭酸分がバランスよく溶け込み、おいしくて体にやさしい天然水になるのです。
 この地下水が熊本市の江津湖周辺に辿り着き市民が飲めるまで、阿蘇外輪山西麓付近からでは約20年、白川中流域あたりからは約5~10年かかると言われています。

  地下水をはぐくむ地層
 熊本地域では地下水の受け皿となる基盤岩の上に阿蘇火山の4度にわたる大火砕流噴火によって噴出した阿蘇火砕流堆積物が広く分布し火山性台地を形づくっています。阿蘇火砕流堆積物は古い順にASO-1、ASO-2、ASO-3、ASO-4に分かれ、各堆積物の間には砥川溶岩や層などが分布しています。
 この層は、すきまに富んだ地質から成るため、雨などが地下に浸透しやすいという特徴があります。ASO-3とASO-4の間には水を通しにくい粘土層があり、地下水を2層に仕切っています。特に粘土層の下側にある「砥川溶岩層」にはたくさんの穴や亀裂があり、熊本市やその周辺で透水性の高い帯水層を形づくっています。

  熊本市の水道水
  蛇口をひねればミネラルウォーター
 熊本市は市民約74万人の水道水源をすべて地下水でまかなっています。
 市内98本の井戸から平均一日約22万㎥を市内一円に配水しています(R3.3.31現在)。熊本市には他都市のようなダムや浄水場はありません。井戸から汲み上げた清らかな地下水に、法律で定められた最低量の塩素を加える程度の処理をした水道水を、配水池や調整池に集め、そこから各家庭に配水しています。
 熊本市の水道は、第三代辛島市長が提案し、紆余曲折を経て、第七代高橋市長の在任中の大正13年(1924年)11月27日に、八景水谷を水源地・立田山を配水池として給水を開始しました。90年余の歴史をもつ水道発祥の地「八景水谷水源地」は日本近代水道百選の一つです。また、同地の水道記念館(創設当時のポンプ室)は、国指定有形文化財として往時の姿をとどめています。
 熊本市最大の水源地は健軍水源地です。11本の井戸のうち7本が自噴しており、その中でも5号井は一日の取水能力が1万5千㎥もあり、この井戸だけで市民6万人以上をまかなえる計算になります。

 安心・安全でおいしい水道水

 熊本市の水道水には、健康を保つのに不可欠なカルシウムやカリウムなどのミネラル成分がバランス良く含まれており、健康やおいしさに貢献しています。さらに、血管の柔軟性を保つ効果があるとされるケイ素も豊富に含んでいます。つまり、水道水でありながら、実は天然のミネラルウォーターそのものなのです。
 左図に、熊本市の水道水と市販ボトル水に含まれるミネラル成分の一部を示しました。このグラフから、熊本市の水道水が優秀なミネラルウォーターであることが分かります。
 外国産のミネラルウォーターの中には、ミネラル分が極度に高いものがありますが、これらは日本人にとってあまり馴染みのない水の味と言えます。目的に応じて飲用する嗜好品と言えましょう。その一方で、ミネラル成分が熊本市の水道水の10分の1ぐらいしか含まれていない市販ボトル水もあります。
 熊本市の水道水は、おいしくて、身体にも優しい天然のミネラルウォーターなのです。
 市内一円に点在する井戸や配水池・調整池等は、日本列島の長さほどある水道管でつながっています(3,550km R3.3.31現在)。これらは、上下水道局水運用センターで24時間監視・制御されています。
 また、上下水道局では、安全な水道水を各家庭に届けるため、井戸から蛇口にいたるまで94項目(R3.4.1現在)の厳しい水質検査を行っています。

  地下水の量の現状
  地下水かん養域の減少
 地下水は、雨やかんがい用水が地表から浸透してきたものであるため、土地利用の変化によって大きな影響を受けます。例えば水田や畑だった土地が、アスファルトやコンクリートで覆われてしまうと、雨は地中にしみ込みにくくなります。また、米の消費量の低下による水田の作付面積の減少や都市化に伴う宅地等の増加によって、地下にしみ込む水の量が減り、つくられる地下水の量も減ってきているのです。
 田畑や森林などの水が浸透しやすい土地のことを「かん養域」、宅地や市街地などの水が浸透しにくい土地のことを「非かん養域」といいます。この「非かん養域」が広がることは、地下水が減ることにつながります。
 
 地下水位の変動
 熊本地域の地下水は、地下水位の年間の動向をみると、5月が最も低く、水田のかんがいが始まる6月から10月まで上昇し、かんがいが終わる10月から翌年の5月まで緩やかに低下する傾向がみられます。
 一方、地下水位の変化を経年で比較すると、気象による影響はあるものの、観測開始以来、長期的には低下傾向を示していますが、近年のデータを見ると、長年続いた地下水位の低下傾向が緩やかとなり、一部を除き回復の兆しが見られます。

  地下水の質の現状
  熊本市の地下水の水質は、全体としては良好な状態に保たれていますが、一部地域では汚染が確認されています。汚染の主な原因は工場などで使用される薬剤や油の漏洩によるもの、農地での過剰な施肥や家畜排せつ物の畑地への過剰投入によるもの、その他自然的要因によるものなどです。
 この貴重な地下水が汚染され使用できなくなった場合、代替水源の確保は非常に困難とされています。
 また、地下水の流動はとても緩やかなため、一度汚染されるとその回復には長い時間と膨大な費用を要します。
 従って、地下水の水質の保全には汚染物質を地下に浸透させないという未然防止対策が最も大切です。
 
 揮発性有機化合物による汚染
 昭和60年(1985年)頃から、テトラクロロエチレンやベンゼンなどの揮発性有機化合物による局所的な地下水汚染が次々と発覚しました。現在までに本市域で確認された地下水汚染地区は25地区あります。
 地下水汚染は、工場・事業場等で使用されている有害物質が地下へ浸透して地下水まで到達することにより発生します。現在では地下水の浄化対策などにより、水質の改善が見られますが、依然として環境基準を超過する地域が存在します。

 
 自然的要因による汚染
 熊本市南西部地域や植木町の一部の地域では、砒素やふっ素による地下水汚染が見られています。これは地質の自然的要因によるもので、水質の監視を継続しています。

 
 硝酸性窒素による汚染
 植木町地域、北部地域及び北西部地域では、硝酸性窒素による地下水汚染が見られています。また、本市の水道は全て地下水で賄われていますが、その水源の一部において硝酸性窒素濃度が長期的に上昇傾向を示しており、硝酸性窒素削減対策は喫緊の課題となっています。

 硝酸性窒素は主に肥料・家畜排せつ物・生活排水に含まれる窒素が、土壌微生物等による作用を受け発生します。硝酸性窒素は土壌に吸着されにくいため、植物吸収や脱窒等されなかった分が地下水へ移行します。
 硝酸性窒素を一定量以上含む水を採取すると、乳児を中心に血液の酸素運搬能力が失われ酸欠になる疾患(メトヘモグロビン血症)を引き起こす原因となります。

 
 水保全行政の沿革
  地下水保全都市宣言(昭和51年(1976年)3月)
 健軍水源地に隣接する庄口公園における高層分譲住宅団地の建設に対する反対運動を契機に、熊本市議会で地下水保全都市宣言が議決されました。

 地下水保全都市宣言に関する決議の内容
 限りある地球の資源の保全は、自然環境の回復と共に人類共通の課題であり、水資源についてもその例外ではない。
 古来、わが熊本市は豊かな緑と清冽な地下水に恵まれた自然の下生々発展を遂げて来たが、今日における無秩序な地下水の開発と自然環境の破壊は、今や地下水の汚染をはじめその枯渇さえ憂慮される状態にある。よって、本会議は市民の総意を結集して自然環境の回復、保全をはかり、貴重な水資源を後世まで守り伝えていくことを誓い、ここにわが熊本市を地下水保全都市とすることを宣言する。
                                       昭和51年(1976年)3月22日 熊本市議会

 地下水保全条例(昭和52年(1977年)9月)
 この条例は、市民生活にとってかけがえのない資源である地下水を将来にわたって市民が享受できるよう、水質及び水量の両面から地下水の保全を図ることにより飲料水その他市民生活に必要な水を確保し、市民の健康で文化的な生活に寄与することを目的としています。
 地下水は市民共有の財産として「公水」との認識の下、行政だけでなく地下水の恩恵を受けている市民や事業者も役割を担い、水質保全、かん養対策、節水対策など、力を合わせて地下水保全に取り組んでいます。

  国連“生命の水”最優秀賞受賞
  熊本市は平成25年(2013年)3月『国連“生命の水”最優秀賞』を受賞。地下水保全条例の制定(昭和52年)など30年以上にわたる地下水保全の取組、水田を活用した地下水かん養事業や水源かん養林の整備など行政区域を越えた取組、節水市民運動の展開などが、他の地域のお手本となる活動として高く評価されたものです。
 
 地下水量を守るために
  水源かん養林の整備
  清らかな地下水を将来にわたり保全していくためには、上流域での森林づくりを進めていくことが必要です。熊本市では、白川・緑川主要河川上流域の5町2村に、約870ha(R3.3.31)に及ぶ水源かん養林を整備しています。以前は、スギやヒノキなどの針葉樹を植え付けていましたが、平成6年度(1994年度)より、ケヤキやナラ類、カエデ類など水源かん養機能の高い広葉樹を中心に植え付けており、令和3年(2021年)3月末現在、落葉広葉樹18種、常緑広葉樹3種を合わせて、植林面積の5割強を占めています。また、造林地を上下流住民交流や森林ボランティア育成、森林環境教育の場として活用し、水源かん養林整備への理解を深める取組を続けています。
  
 水田を活用した地下水かん養
 白川中流域の水田は、他地域の水田に比べ5~10倍も水が浸透することがわかっており、熊本地域の重要なかん養域となっています。しかし、宅地化や転作により、水田の面積は年々減少し続けており、地下水減少の大きな要因となっています。そこで、熊本市は平成16年(2004年)1月に熊本県立会いのもと、大津町・菊陽町・地元土地改良区などと協定を結び、地域の農家の協力を得て、転作した水田に水を張ってもらう取組を始めました。大豆やニンジン等の作付け前後0.5~4か月の間水が張られ、水張りの面積や期間に応じて助成金を交付しています。近年、約250戸の農家の協力を得て、1,000万㎥を超える地下水をかん養しています。
 〇土地改良区とは・・・
 一定の地域内の農業用排水施設、農業用道路等の新設、管理、区画整理、農用地の造成埋立て、干拓、農用地等の災害復旧等の土地改良事業を行うことを目的とした組織
 〇転作とは・・・

 同じ農地でそれまで生産していた農作物とは違う種類の農作物を生産すること

 
 雨水浸透の促進
 建築や開発行為を行う際には、雨水の地下浸透が妨げられるのを緩和するため、雨水浸透ますや緑地など、雨水を地下に浸透させるための施設を設置する必要があります。この雨水浸透施設の設置については、「熊本市地下水保全条例」の中で義務付けられています。

 〇雨水浸透ますとは・・・
 住宅敷地内などに降った雨を地下に浸透させる「雨水浸透ます」は、都市化が進展する中で、地下水のかん養機能を回復させる有力な手段です。また、敷地から外へ流れ出る雨水の量を抑えることで道路等の冠水を防ぐ効果もあることから、熊本市の河川課(096-328-2571)では設置に対し補助金を交付しています。

 

 雨水の有効活用
 雨水を有効活用することは節水に効果的であるため、家庭で使用する雨水貯留槽や雨水貯留タンクの設置についても熊本市の水保全課(096-328-2436)では設置に対し補助金を交付しています。

 〇雨水貯留槽とは・・・
 公共下水道の敷設などに伴い不用となった浄化槽を改造し、雨水貯留槽として再利用することにより、雨水を有効活用できます。

 〇雨水貯留タンクとは・・・
 屋根に降った雨水を、雨どいを活用して雨水貯留タンクに溜めて、花壇などへの散水に使用できます。

 〇小・中学校への雨水貯留タンクの設置
 学校で地下水の学習を進める教材として、雨水を花壇への散水等に活用されています。熊本市立の小中学校全校に1台ずつ雨水貯留タンクを設置しました。
 

 節水市民運動
 繁華街での節水パレード
 熊本市では、節水社会の形成を目指し、平成17年度(2005年度)から熊本市民総参加で節水に取り組む節水市民運動を実施しています。節水市民運動では熊本市民1人1日あたりの生活用水使用量の目標値を掲げており、令和元年度(2019年度)からは新たな目標値として令和6年度(2024年度)までに210リットル(平成28年度(2016年度)の九州の主な都市の平均値)にすることを目指しています。
 特に水使用量が増加する7月と8月を夏季の節水重点期間として、市民1人1日あたりの生活用水使用量を毎日公表し、節水を強く呼びかけるとともに、節水器具普及協力店の協力のもと、節水器具の普及を図っています。
 
 
 節水市民運動の経緯
 平成16年度(2004年度)に熊本市節水推進パートナーシップ会議から提案のあった「くまもと湧く湧く節水行動計画」に基づき平成17年度(2005年度)から「節水社会実験」、平成20年度(2008年度)からは「節水強化月間」に名称を変更し、水使用量の増加する夏季を中心に事業を拡大展開してきました。平成23年度(2011年度)からは7月と8月を夏季の節水重点期間とするなど、年間をとおして節水に取り組む節水市民運動を展開しています。
 
 熊本市民1人1日あたりの生活用水使用量
 熊本市民1人1日あたりの生活用水使用量を、平成14年度(2002年度)の平均254リットルから10%削減した230リットルを目標にして節水に取り組んできた結果、平成24年度(2012年度)・25年度(2013年度)と2年連続で目標を達成することができました、
 しかしながら、熊本市は九州の主な都市の平均と比較すると、まだまだ水使用量が多い傾向にあります。そこで、平成26年度(2014年度)からは218リットルに、さらに令和元年度(2019年度)からは210リットルを目指して節水に取り組んでいます。

 
 節水器具普及協力店
 トイレ用の「節水おもり」や「バスポンプ」などの節水器具を取り扱う店舗を熊本市で登録「節水器具普及協力店」して、市民が節水に取り組みやすい環境整備を行っています。
 熊本市内の25店舗が登録されています。(令和4年(2022年)1月現在)

 
 地下水質を守るために
 地下水質の監視
 地下水の水質の実態を把握するための調査を継続的に実施しています。調査種類は目的に応じて以下の3つに分けられ、それぞれ適切な地点を選定して行っています。
 (1) 地域の地下水の概況を把握するための調査
 (2) 新たに発見された汚染の汚染範囲等を確認する調査
 (3) 汚染地区等の動向を監視するための継続的な調査

  地下水の浄化対策・汚染防止対策
 地下水汚染が判明した場合は、まず周辺の井戸所有者に対し飲用に関する指導を行います。そして、汚染の原因や程度などに応じて地下水の浄化や監視などの対策を行っています。
 現在までに本市域で確認された地下水汚染地区は25地区ありますが、現在は6地区で地下水の浄化対策を実施しています(市が実施:1、地区・汚染原因者・土地所有者が実施:5地区)。浄化対策を実施していない地区では継続した監視を行い、自然的分解によって環境基準値以下まで改善したことを確認しています。
 また、新たな汚染を防止するため、有害物質や油を貯蔵又は使用する事業場に対し、施設の構造等に関する基準や適切な管理の方法など汚染防止に関する指導を行っています。

 
 硝酸性窒素削減対策
 硝酸性窒素による地下水汚染は、汚染源・汚染範囲ともの広範囲に及ぶことが多く、一旦汚染されると、浄化することが非常に困難であることから、発生源対策が主な対策となります。
熊本市では、「熊本市硝酸性窒素削減計画」を策定し、地下水への負担を減らすために、以下のような対策を行っています。

 発生源対策の具体的な内容としては、
 (1) 施肥対策:適正施肥、くまもとグリーン農業推進 等
 (2) 家畜排せつ物対策:家畜排せつ物の処理の適正化 等
 (3) 生活排水対策:生活排水処理施設の整備 等
に取り組んでおり、各項目についての目標値を定め、硝酸性窒素の削減に向けて対策を行っています。
 特に、家畜排せつ物対策として「東部堆肥センター」を整備し、平成31年(2019年)4月に供用開始しました。東部堆肥センターでは、家畜排せつ物の固形分から堆肥を生産しており、生産堆肥を畑地に適正量散布することで、地下水への硝酸性窒素の負荷を軽減しています。
 また、硝酸性窒素削減対策は熊本地域全体で取り組む必要があることから、熊本県及び熊本地域の市町村並びに農業関係者とも連携を図りながら、地下水の硝酸性窒素濃度の低減に努めていきます。

 
 くまもと水ブランドの発信
  熊本市にとって「水」は存立基盤として保全すべき資源であるとともに魅力づくりに生かすべき資源でもあります。そこで、清らかな地下水が織りなす自然環境や農業、観光など多様な魅力にストーリー性をもたせ、総合的な「くまもと水ブランド」としてPRするとともに、市民協働での熊本地域の地下水保全の取組を国内外に積極的に発信しています。
 
 環境教育・生涯教育
 小学校で節水教室を開催
 地域や学校・企業などに職員が直接出向き、熊本の地下水や節水についての啓発にも取り組んでいます。小学校向けには「節水チャレンジ小学校」として学習会を実施するとともに、熊本市の管工事協同組合青年部のご協力のもと、蛇口に「節水コマ」を取り付けるなど、水について体感できる取組を行っています。その他一般向けには「ふれあい出前講座」に地下水に関するメニューを設け実施しています。
 
 
 くまもと「水」検定
 全国初の「水」に関するご当地検定として平成20年度(2008年)から実施しています。この検定制度により、水に関する課題や水文化などの知識の普及啓発を行い、地下水都市・熊本の魅力発信や地下水保全意識の高揚を図っています。特に3級試験は自宅や学校などで取り組める通信試験で、市内の小中学校を中心にこれまで約5万人の方が受験しています。
  

 くまもと水守
 熊本には水や水文化を守る活動や、水の魅力のPR活動をする方々がたくさんいます。こうした人材を「くまもと水守」の愛称で登録し、「水を守る」「水を生かす」など、水に関する人材や活動について情報を収集・提供するとともに水守同士のネットワーク形成を図っています。
 具体的な水守の活動としては、近所の湧水地の清掃をする方、地域の湧水地ガイドをする方、地下水の研究を行う大学教授、熊本の水をPRする飲食店経営者、水に関する作曲活動を行う方など、熊本の水に関する様々な分野でこれまでの活動を継続し、水守になることで活動をさらに発展させています。

 
 熊本水遺産
 熊本市の水の風土と文化を後世に伝えるため、市民共有の財産として市が登録しているもので、
湧水、食、土木建築、祭り、風習など有形・無形を問わず、熊本市の水に関係するものであれば登録の対象としています。
 市民の皆様から熊本水遺産の候補を募集し、熊本水遺産委員会の審議を経て、現在92件が登録されています。
 

 熊本水遺産の定義

 1 水に関係する有形又は無形のもの。例えば、湧水、湖沼、河川、井堰、庭園、食、地域の伝統的な風習、芸術、文化・芸能、方言・歌謡・民話など。
 2 市内に存在するもの。ただし、人物については、本市のゆかりの故人であるもの。
 3 本市の水の風土又は文化を構成し、又は特色付けるもの。
 4 水を生かした本市の魅力づくりに寄与するもの。

 

 街なか親水施設
 平成23年(2011年)春の九州新幹線全線開業を機に、「地下水都市・熊本」を印象づける空間として、天然地下水(水道水)が味わえる「街なか親水施設」を熊本駅新幹線口から熊本城を中心とする中心市街地に整備しました。親水施設を巡りながら街めぐりができるような拠点に整備し、全ての水飲み場で熊本のおいしい水を味わうことができます。

 
 平成の名水百選
 水の国とも言われる熊本県には1,000か所以上の湧水があるといわれています。環境省が選定した「昭和の名水百選」「平成の名水百選」に熊本県から合計8か所が選定されるなど、その数は富山県と並んで全国一となっています。
 熊本市内では、「水前寺江津湖湧水群」と「金峰山湧水群」の2か所が「平成の名水百選」に選ばれています。


 〇平成の名水百選とは・・・
 「平成の名水百選」とは、環境省が水環境保全の一層の推進を図ることを目的に選定したもので、地域の生活に溶け込んでいる清澄な水や水環境のなかで、特に、地域住民等による主体的かつ持続的な水環境の保全活動が行われているものを、「昭和の名水百選」に加え、「平成の名水百選」として選定したものです。
 〇水前寺江津湖湧水群とは・・・
 市民憩いの場「江津湖」、細川公のお茶屋が造られ、後に大名庭園となった「水前寺成趣園」、熊本市全体の水道水の約1/4を賄う本市最大の水源地である「健軍水源地」があります。

 〇金峰山湧水群とは・・・
 金峰山系一帯に点在する20か所(熊本市内の19か所、玉名市の1か所)の湧水群を指しています。明治天皇の九州巡幸の際に水を献上した「天水湖」、宮本武蔵が「五輪書」を著した霊巌洞がある「雲巌禅寺」などがあります。

 
 広域連携への取り組み
  地下水保全の対策は市町村域を越えて広域的に行う必要があるため、熊本地域(熊本市及び近隣10市町村)では熊本県や関係市町村及び民間と連携し地下水保全対策に取り組んでいます。
 本市においては、熊本地域の重要な地下水かん養域である白川中流域との交流促進、相互理解を深めるため実施している「田んぼの学校」、市民が主体となり、地下水の源である上流域の森林を保全するために市民参加型の森づくりを目指し、植林や間伐などの森林作業体験を通して行う「水源の森づくりボランティア育成講座」などの取組があります。
 さらに、平成24年(2012年)4月1日に発足した「公益財団法人くまもと地下水財団」と連携し、熊本地域で協働した地下水保全に取り組んでいます。
 くまもと地下水財団は、熊本地域の生活基盤である地下水を広域的かつ横断的に保全するため、平成24年度(2012年度)に発足しました。地下水の流動メカニズムを把握する調査研究を始め、地下水質保全、地下水かん養、啓発等の4つの公益目的事業を実施しています。

 今後も熊本地域全体で、住民・事業者・行政など、互いの立場を越えて効果的な地下水保全事業を実施することにより、熊本の宝である地下水を次世代に継承していきます。

 
 地下水保全事業に参加してみませんか?
 参加例1:くまもと育水会
 くまもと地下水財団の設立趣旨に賛同いただき、地下水保全活動を支援する方を会員とする任意組織です。
 シンポジウムの開催や地下水保全に関する情報を発信しています。皆さまのご参加・ご加入をお待ちしています。

 参加例2:水田オーナー制度
 稲作は、田んぼに水を張ることで地下水の保全に大きく貢献しています。
 田植え・稲刈りを楽しみながら、お米と地下水づくりに参加してみませんか?
 熊本の農業と地下水を守る取組に、ご家族や同僚と参加すれば親睦も深められる楽しい時間となります。

 

 教訓を生かした災害用井戸の協定
 地震の教訓を生かした一つの備えとして、災害が発生した場合、迅速に水の確保が出来るよう、熊本市内に井戸を所有されている企業などと「災害用井戸」の協定を締結しています。
 これは、災害等で広域的な断水が発生した場合に、無料で各企業が所有する井戸水を市民に提供いただくものです。提供される井戸水は井戸によって、「飲料用」とトイレなどに使用する「生活用水」があり、「飲料用」は本市で水質検査を行った後に飲むことができます。
 この災害時の応急対応にご協力いただける企業は現在も増えておりますので、最新情報は熊本市ホームページ・地図情報サービス等でご確認ください。  

 このページに関するお問い合わせは  環境局 環境推進部 水保全課

*https://www.city.kumamoto.jp/kankyo/hpkiji/pub/Detail.aspx?c_id=5&id=20463 より


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