「べこもち」
主な伝承地域 下北地方
主な使用食材 もち米粉、うるち米粉、砂糖、インスタントコーヒー、茶、食紅
歴史・由来・関連行事
端午の節句のハレ食として受け継がれ、現在はおやつとしても食べられている。べこもちの原型は、うるち米粉ともち米粉に水と砂糖を加えて蒸した「くじらもち」という菓子で、もともとは江戸時代に北前船によって伝わったとされる。北海道と青森県では端午の節句に柏餅ではなくくじらもちを食べていた。稲作が発達しなかった下北地方で米は貴重品で、餅はハレ食だった。1960年代ごろから、大間町を中心に花模様入りのくじらもちが発展し、やがて美しい色彩と柄の「べこもち」として生まれ変わった。名前の由来は「つくる過程で牛の背中のようにまとめる」「黒砂糖と白砂糖の組み合わせが牛のまだら模様に似ている」など諸説ある。最近では色の数が増え、柄も動物やアニメキャラクターなど複雑なものに進化している。
食習の機会や時季
6月5日の月遅れの端午の節句になると、笹でくるんだべこもちを神棚に供え、その後子どもたちに振る舞われる。原型のくじらもちは「くじらのように大物になるように」と願いが込められていたという。昔は、草を束ねた「たばね模様」や渦巻模様などシンプルな柄だったものが、現在は自然の食品の色を使って花や動物など芸術性を高めた模様がつくられている。
飲食方法
もち米粉とうるち米粉に砂糖を加えてこねた生地を小分けしてそれぞれ着色し、棒状や板状に整えて組み合わせ、かまぼこのような形に整え、蒸してつくる。金太郎飴のように、どこで切っても断面に美しい模様が現れる。食べる時はスライスして蒸すのが一般的だが、焼いても美味しい。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
地元の伝統的な食を継承するグループが活動したり、むつ市のホームぺージでつくり方の動画を制作したり、積極的に発信をおこなっている。また切った断面の美しさに魅せられた若者らがSNSなどを活用して独自の普及活動もおこなっている。「べこもち」をもじった「デコもち」というネーミングで現代風のアレンジも流行し、素朴なおやつから発展した新たな境地を切り開いている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/beko_mochi_aomori.html より
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