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<経産大臣指定伝統的工芸品> 京都 京うちわ

2021-06-20 08:41:36 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「京うちわ」

 Description / 特徴・産地

 京うちわとは?
 京うちわ(きょううちわ)は、京都府で作られているうちわです。日本のうちわは形や特徴から、中国団扇(ちゅうごくうちわ)系、朝鮮団扇(ちょうせんうちわ)系、南方団扇(なんぽううちわ)系に大別されますが、京うちわは地紙の内側に多くの竹骨(たけほね)を持った朝鮮団扇の流れを汲んだものになります。
 京うちわの特徴は、竹の細骨を放射状に1本ずつ並べて団扇面(うちわめん)を作り、孟宗竹(もうそうちく)・漆塗り・杉染めなどで別に作った柄(え)を後から付けた「挿し柄(さしえ)」構造であることです。地紙(じがみ)の中の竹骨は50本~100本あり、竹骨の数が多いものほど高級とされています。なかでも竹骨が100本ある「100立て(ひゃくだて)」と呼ばれる京うちわは、装飾用として好まれています。
 また、京うちわは「都うちわ」や「御所うちわ」とも呼ばれており、漆や金などの豪華な装飾や優美な絵などが施されています。京うちわの団扇面(うちわめん)はまるで日本画のように完成度が高いため、古くから美術工芸品としても高い評価を得てきました。デザインは俳句や和歌、人物、風景、植物、季節の風物詩などをモチーフにしたものが多く見られ、古来からの日本の美しさが描かれています。

 History / 歴史
 京うちわのルーツは、14世紀頃に日本に伝わった朝鮮団扇(ちょうせんうちわ)というものです。南北朝時代に中国大陸や朝鮮半島沿岸地で活動していた海賊・倭寇(わこう)によってもたらされました。その後、紀州から大和路を経て京都伏見の深草(ふかくさ)に伝わったのが、京うちわの起源と言われています。その後、京うちわは「都うちわ」と呼ばれ、うちわ紙に描かれた美しい絵が宮廷貴族たちに愛されてきました。
 京うちわの特徴である「挿し柄(さしえ)」の構造になったのは江戸時代以降で、狩野派(かのうは)や土佐派といった絵師が絵を描いた「御所(ごしょ)うちわ」として定着しました。この頃から京うちわも、他のうちわと同様に、庶民たちの夏の涼のための道具として身近なものとなります。
 現代では涼むための道具としてではなく、繊細な作りと美しい絵を活かし、様々なデザインの京うちわが制作されています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyouchiwa/ より

 

 風流な図柄に雅の風を感じる京うちわ
 日本のうちわの歴史は古く、奈良・飛鳥時代にまでさかのぼる。伝統的な京うちわは、千年の都にふさわしく雅やかなもので、風流な趣を大切にしている。その魅力は、精緻な技術と優雅な華燭に裏打ちされている。

 
 “阿以波”に生まれて
 「もの心ついた時から“うちわ”が生活の中にあった」。自ら“うちわ職人”であると同時に、“経営者”としての顔をもつ社長 饗庭(あいば)智之さん。創業は元禄時代。300年の歴史をもつ“阿以波”に十代目の跡取りとして生まれた。その事に対する重圧感は無かったのか。「職人気質の強かった父親は“後を継げ”とは決して言わなかったですね。今思うと、うまいこと育てられたなぁと思いますよ」。その代わり「周りの人には一杯言われてました。“僕ぅ大きいなったら、うちわ屋さん頼むなぁ”とかって」。だから「後を継ぐ事も自然と“そういうものや”と思ってました」。大学を卒業後、信用金庫に就職。すぐに家業を継ぐ事はしなかった。なぜ。「人間追い込まれると、直面してる問題の優先順位とか、何が今一番大事かとか、良く見えてくるでしょ」。いずれ家業を継ぐ事は常に頭にあった。だから「金融の事や経営の事が、銀行に就職したら吸収できると思ったんです。特に地域に密着してる信用金庫やったら、地元の経済がどんなふうに動いてるか、内側から見えてくるしね。(大学出たての若さで)会社の社長さん方と直接会って、差し向かいで話が出来る」のは他の企業では無理だ、そう考えたからだ。弱冠22歳。いずれ経営に携わる者としての判断だった。


 “職人”として仕事場に入る
 就職して4年、信用金庫を退社して家業に入る。“職人”としてのスタートだった。子供の頃から出入りしてきた仕事場に“職人”として足を踏み入れる。「いざ始めてみると、本当にゼロからでした。見てるのと自分がするのとでは全然違いますから。モチベーションという点では、他の人よりも高かったと思いますが」。辛かったのは「いくら自分に(学ぼうという)思いがあっても、先輩職人の知恵袋を開けてもらえない」こと。“どうやってするの”と聞いても、“(目の前で)やってるやろ”としか教えてもらえなかった。1から10までその調子だ。「自分でやってみて、何度も失敗して。“こういう風にしたいんやけど、どうしても出来へん”と持っていくと“そうやろ。そのやり方では無理やて最初から思ってた”と言われる」そこで初めて、“どうやってするのか”その知恵(技術)を授けられた。けれど「今、一通り“うちわ”作りが出来るようになってみて思うんですけど、遠回りしているようであっても、それは大事な事ですね」。“分からない”事も煮詰めてから教えないと、職人としての肉にならない。仕事や技術に対する“こだわり”や“得心”を、どこまで深められるか。それは“職人”としての命に関わるものなのだ。ものごと一つ教えるにもタイミングがある。「自分が教える側に立って、初めて分かった事なんですけどね」と笑った。


 工芸品には本来「あつらえ」創りの豊かさがある
 伝統的な美術工芸品としての“京うちわ”や、創作“透かしうちわ”の印象が強い“阿以波”。名だたる百貨店・企業・料亭・旅館に装飾性の高い“京うちわ”を納めてきた。しかし「工芸品というのは“作らせるもの”であって、買うものではない」というのが持論。だから“うちの家の座敷に合うもの”そういう注文があっていいのだ、と言う。
 「以前おばあちゃんのリハビリ用に、と“うちわ”を作らせてもらった事があるんです」。脳梗塞で倒れた“おばあちゃん”のためにと、家族があつらえたものだ。“まだ不自由な手のリハビリが、嫌にならずに出来るように”という家族の要望を生かすため、時間をかけて話しあった。実用性が高く、小ぶりでべッドサイドにも置けるサイズのものを作った。
 ものづくりには、一つの工芸品に乗せられた背景がある。それを頼んだ人の考えや、思い。その背景を含めて、注文を受けた職人の技。「具体的にしっかりと話し合いができるなら、これからも個人の方のオーダーメイドに応じていこう」と考えている。「親父を含め先達の人の“手の早さ、技の精緻さと腰の軽さ”これは職人としても経営者としても見習いたい」と結んだ。


 職人プロフィール

 饗庭智之 (あいばさとし)

 昭和35年8月23日生まれ。
 十代目饗庭長兵衛襲名。
 通商産業大臣奨励賞受賞(1998年)


 こぼれ話

 空間に彩りを添える「京うちわ」

 鮮やかな「京うちわ」が壁に掛けられた途端、部屋中に華やかな雰囲気が漂います。実用性の高いうちわもありますが、装飾用の美しいうちわも作られています。京の四季をイメージさせるものから、源氏物語やギリシア神話に題材を得たものまで見事に描かれています。装飾性の高い「透かしうちわ」には、絵画にはない、軽やかで繊細な上品さがあります。

*https://kougeihin.jp/craft/1412/ より


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