ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

もしもの話

2021-09-25 16:04:01 | 徒然の記

 総裁選が終わるまでは、『日露戦争』の書評に専念できないと分かりましたので、今回は「河野ファミリー」への怒りを殺し、「もしもの話」をします。

 九州人なら大抵知っていますが、九州工業大学と言う国立大学があります。昔は北九州工業大学と呼ばれていましたが、九州では、九州大学に並ぶトップクラスの名門校です。分かりやすく言いますと、東京に、東京大学と東京工業大学があるように、九州大学と九州工業大学があります。

 話はここで大きく飛んで、明治32年6月、文豪森鴎外が北九州の小倉に、軍医部長として赴任しました。およそ2年9ヶ月住んでいましたが、「もしもの話」は、その時のことです。ネットの情報によりますと、当時の鴎外の肩書きは「軍医総監」で、少将待遇と言いますから、まさに高官でした。

 その高官・鴎外の目に苦々しく写っていたものが、九州の富豪たちでした。当時の富豪と言いますと、いわゆる炭鉱主、その頃の言葉で言えば「坑業家」です。美衣を身につけ、酒食に耽り、彼らの傍若無人な振る舞いを、知らぬ人はなかったと言います。

 私の知る話で、その一つの例が「花嫁人形」の歌です。誰もが知っている、あのもの悲しいメロディーの童謡です。

  きんらんどんすの 帯しめながら 花嫁御寮は なぜ泣くのだろ

  文金島田に 髪結いながら 花嫁御寮は なぜ泣くのだろ

 歌のモデルになったのは、柳原燁子と九州の炭鉱王伊藤伝右衛門の結婚だそうです。ネットの説明を、そのまま転記します。

 「明治43年、伝右衛門は50歳、炭鉱労働者からの叩き上げであり、学問はなく、妻を亡くした直後であった。」「親子ほどの年齢差、身分・教養ともあまりに不釣り合いであり、」「日の出の勢いの事業家で富豪とはいえ、労働者上がりで地方の一介の炭鉱主が」「〈皇室の藩塀〉たる伯爵家から妻を娶るのは、前代未聞のことで、」「華族の令嬢が売物に出た、と話題になった。」

 炭鉱主の実例として挙げましたが、要するに鴎外は、こうした富裕層に眉を顰めていました。当時の福岡日日新聞に寄稿を頼まれ、「我をして九州の富人たらしめば」と言う題名の原稿を寄せた・・・これが本日のメインテーマの一つです。

 鴎外の主張は、もし自分が金持ちなら、酒食や贅にばかりに富を費消せず、もっと社会に役立つように使う。九州は歴史の宝庫だから、学者を集め、研究所を作り、九州の学問・文化のために貢献する、と言う富豪たちへの警鐘でした。

 そう言うことなら、よし分かったと、作られたのが九州工業大学だと言います。明治ならではの、面白い話ではありませんか。

 「もしもの話」の一つ目は、鴎外の「もしも自分が、九州の富豪ならば」と言う新聞記事の話です。次の「もしもの話」には、前置きが必要になります。覚えておられる人も多いと思いますが、立花隆氏が、「田中角栄研究〜その金脈と人脈」と言う記事を『文藝春秋』に書き、大スクープとなりました。昭和49年10月のことでした。

 田中角栄元首相は、「今太閤」、「コンピューター付きブルドーザー」とマスコミに持て囃されていた実力者でした。敵も多いが味方も多い政治家で、常に話題を振り撒く、やり手の宰相でした。しかし立花氏が詳細な調査をもとに、角栄氏の錬金術を文藝春秋の記事で明らかにしたため、総理を辞任する羽目になりました。

 私も読んでいますが、すっかり中身を忘れてしまい、息子たちに伝えることができません。しかし、ここからが本日のメインテーマになります。

 「もしも日本に、今も本物のジャーナリストがいるのなら、」「河野ファミリーの錬金術を、本気で調べてはどうなのか。」

 日本最高の権力者だった角栄氏を、権力の座から下ろした記事を書いたのに、立花氏は仕事も干されず、変わらずに活動していました。他の国だったら、いつの間にか、この世から消されていると思いますが、これが日本の素晴らしいところです。

 ネットを見ますと、9月21日の「文春オンライン」に、河野氏が「ファミリー企業」から得た政治献金が、6千7百万円だったと書いてありました。しかしこれだけでは、この金額が、何年から何年までのものなのか。「ファミリー企業」とは、どの会社を指しているのか。さっぱり分かりません。

 また別の情報では、河野氏が「日本端子」から得た政治献金が、平成8年以来今日までで3千万円だと言います。だがこんな金額であるはずがありません。

 河野氏には、株式配当金が毎年別にあります。まして父親の洋平氏や、弟の二郎氏には、高額の配当金だけでなく、多額の役員報酬も入っています。この金は、河野太郎氏やその周辺の政治家へ、政治献金として流れているのではないかと、性悪の私は考えます。同じ性悪のジャーナリストなら、これくらいのことは、やろうと思えば調べられるはずです。

 「日本端子」に関しては、下記の情報しかありませんが、調べていけばもっといろいろ分かるはずです。

   資本金 一億円 

   売上高  120億円(2009年3月期)

   純利益  22億1300万円 (2021年03月31日時点)

   純利益率   18.3 %

      純資産   261億円(2021年03月31日時点)

   従業員数  440名 (2020年1月1日現在)

 「日本端子」だけでなく、「北京日端電子有限公司」、「昆山日端電子科技有限公司」、「香港日端電子有限公司」の3社と、氏の弟二郎氏が社長をしている 「恵比寿工業」、さらには「鈴江コーポレーション」を調査すれば、大スクープとなるに違いありません。

 くどくても、私の言いたかった、「本日のメインテーマ」を繰り返します。
 
 「もしも日本に、今も本物のジャーナリストがいるのなら、」「河野ファミリーの錬金術を、本気で調べてはどうなのか。」

 立花氏のレポート以後、田中角栄式「金権政治」が表舞台から消えました。あの記事がなければ、今でも自民党の総裁選挙では、千万円単位での金が動いていたはずです。それだけでも、政界の浄化に役立ちました。今回「河野ファミリー」のレポートが出れば、もっと大きな浄化ができるのではないでしょうか。

コメント (12)
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