ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『日露戦争』 - 4 ( 「極東進出」と 、〈核心的利益〉 )

2021-09-18 21:26:49 | 徒然の記

 まだ23ぺージです。予定変更が重なり、なかなか書評が進みません。本日は下村先生に教わった、興味深い言葉を紹介します。

 万延元年、西暦で言えば1860年に、ロシアはイギリス、フランスと清国の軍事衝突を仲裁し、その報酬として、ウスリー江の一帯を獲得します。そしてここに、ウラジオストック港を開きます。名前だけは、大抵の日本人が知っていますが、その意味は知りません。

 「ウラジオストックとは、ロシア語で〈東方を支配せよ〉の意味。」だそうです。

 つまり、ロシアの国是である「極東進出」の拠点となる港です。「極東進出」という言葉も、言葉だけなら大抵の人が知っています。これを今の言葉で言いますと、大国と自称する中国が、盛んに使う「核心的利益」と、同じ意味です。ネットの助けを借りて、息子たちに説明しますと、恐ろしい言葉だと分ります。

 〈 核心的利益 〉

   ・どんな代償を払っても、守らなければならない決心を示すときに使われる、中国の外交用語。

   ・絶対に妥協することはできない、武力行使も躊躇(ちゅうちょ)しない意味がこめられている。

 昔から使っていた言葉でなく、平成21 ( 2009 ) 年の胡錦濤国家主席、温家宝首相の時からの外交用語です。中国経済が、政府主導の強力な需要拡大策により、いち早く金融危機を乗り越え、2010年にはGDPが、日本を抜いて世界第2位になることが確実になった時です。

 自らを世界の後進国と認め、日本をはじめ各国から支援を受けていましたが、国力がついてくると、次第にわがままを言う大国の仲間入りをし、「核心的利益」を強調するようになりました。日本のマスコミや反日学者、あるいは政治家も、中国の尊大な主張に恐れをなしているのか、正しく説明しません。
 
 今回は自分の知識を整理するためにも、正確な情報をネットから転記します。
 
 〈 核心的利益の内容 〉・・・3つありますが、2.  3. は省略します。

         1.  国家主権と領土保全(国家主権和領土完整)

    ・台湾問題  

    ・「一つの中国」の原則

    ・チベット独立運動問題

    ・東トルキスタン独立運動問題 

    ・南シナ海問題 ( 九段線・南海諸島 )

    ・尖閣諸島問題

 どうでしょう。平成21年の段階から、中国共産党政府が公言しているのに、自民党をはじめ野党も、国民への説明を怠っています。尖閣への領海侵犯も、早くから分かっていたのに、いまだに無策で、なされるがままです。中国政府は、武力を使ってでも「核心的利益」に対処すると言っているのですから、亡国の「日本国憲法」をなぜ変えようとしないのでしょう。

 今回の総裁選においても、国防や安全保障を語ったのは、高市氏だけで、後の三人は知らぬ顔です。私がここで、わざわざ「中国の核心的利益」の説明をした理由は、二つです。

 1.  ロシアの国是である「極東進出」の意味を、息子たちに理解してもらいたい。

 2.   国難の日本を語らない総裁候補に、総理の椅子を与えてはならない。

 そしてまた、下村教授の著作を読んでいますと、悪法「日本国憲法」の間違いを糺さずにおれなくなります。「日本だけが、間違った戦争をした。」「軍国主義の日本が、アジアを侵略した。」・・こんな事実はなく、むしろ日本は「大国の清とロシア」に挑発され、蔑視され、戦争へと追い詰められていったことが分かります。

 現在は190ページを読んでいますが、大国ロシアへの恐怖のため、懸命に外交努力をしている政府を知るだけです。侵略国はむしろ、清国であり、ロシアであり、イギリス、フランスです。

 「われらは、即座に40万の軍隊を日本との国境へ集めることができる。」「これは日本を破るに足る兵力の、3倍の数である。」

「日本との戦争は、単なる軍事的散歩に過ぎず、」「わが軍は、ドイツやオーストリア国境から、兵力を動かす必要はまるでない。」

 ロシア軍の「極東進出」の総指揮官である、クロポトキンが述べた言葉を、下村氏が紹介し、説明を加えています。

 「クロポトキンはもともと、日本の戦力をほとんど眼中に入れていなかったのである。」

 日清戦争前の李鴻章がそうであったように、クロポトキンも日本を軽視し、蔑視していました。いったいこの日本のどこが、侵略国家なのでしょう。私が、憲法学者の宮沢俊義氏や芦部信喜氏を批判する理由がここにあります。

 「日清戦争も、日露戦争も、太平洋戦争も、みんな日本の侵略戦争だった。」

 彼らは大学で教え、マスコミで発信し、悪法「日本国憲法」を正当化しました。だから私は、彼らを許しません。

 とうとう、今回の書評も横道にそれましたが、それでも、40ページまでは進みました。懲りずに次回も、「ねこ庭」へ足をお運びください。

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『日露戦争』 - 3 ( 社会に紛争の種をまく人々 )

2021-09-18 16:14:34 | 徒然の記

 朝鮮における日露の対立は、箇条書きにしますとよく分かります。

 ・日清戦争で日本が勝利すると、朝鮮国王の皇后閔妃は親日政策を取るようになった。

 ・三国干渉により、日本が遼東半島を還付させられると、閔妃は親日政策をやめた。

 ・閔妃は排日政策を取り、ロシア公使ウェーバーへ接近し、親露政策に転換した。

 ・駐鮮日本公使三浦梧楼が、政敵の国王の生父大院君を担ぎ出し、王宮を襲い閔妃を殺害させた。

 ・朝鮮国王と皇太子が、ロシア公使館に居を移した。

 「三浦梧楼の行ったことは、日本政府の意図を超える出先官僚の、国際的破廉恥行為であった。」と、下村氏が説明しています。日清戦争後の「三国干渉」の中心がロシアで、その憎きロシアに閔妃が乗り換えたとしても、直接手を下したのが反閔氏派の朝鮮人だったとしても、三浦公使の行為は犯罪です。

 国王と皇太子がロシア公使館へ居を移すと、当然ロシアの影響力が大きくなります。国力のない日本は、ロシアとの妥協を図ります。

 ・明治29年5月 「小林・ウエーバー覚書」

 ・明治29年6月 「山県・ロバノフ議定書」

 などを結び、ロシアが国王と皇太子に、王宮へ戻ることを勧告するよう約束させたり、日露が同数の軍隊を朝鮮に派遣する取り決めをしました。翌年の明治30年に、国王高宗と皇太子は王宮へ戻りますが、ロシア公使館滞在中に、次のことを決めていました。

  ・京仁鉄道敷設権と平安北道の金鉱採掘権を、アメリカに与える。

  ・京義鉄道の敷設権をフランスに与え、軌道はロシア式とする。

  ・咸鏡北道の鉱山採掘権、茂山・鴨緑江・鬱陵島の伐採権をロシアに与える。

  ・ロシア人を朝鮮政府の顧問とし、財政、軍事を監督させる。

  ・ロシア人士官が朝鮮軍を訓練し、京城にロシア語学校を開設する。

  ・京城に、ロシア資本による露韓銀行を設立する。

 この他に密約として、以下のことも決めていました。

  ・内乱と外国の侵略に対して、鎮圧・防衛の任をロシアに与える。

  ・仁川沖に、ロシア海軍のため、44,000平方メートルの租借地を与える。

 ロシア公使館に滞在中、ロシアが国王を脅してそうさせたのか、国王が自らロシアの提案を受け入れたのか、どちらにしても、日本には不利な政策でした。明治30年に、日本はロシアと東京で会談し、少しでも勢力を挽回しようと「西・ローゼン協定」を結びます。

     1 .   日露は、軍事・財政上は韓国に対し、同等の地位に立つ。 

     2 .  経済上は、日本の優位を認める。

 2 . については氏が、具体的条文を紹介しています。当時の状況を知る参考になりますので、そのまま転記します。

 「ロシア帝国政府は、韓国における日本の商業及び工業に関する企業の、」「大に発達せること、居留日本国民の多数なることを認むるをもって、」「日韓両国間における、商業上・工業上関係の発達を妨害せざるべし。」

 当時の日本から、商業施設、工場建設投資が活発に行われ、日本人も多数移り住んでいたことが窺われます。大国ロシアが、日本に対していかに厄介な国であったかも、同時に伺われます。それ以上に、大事な点は、韓国の意見や意思がどこにもないまま、日露両国が勝手に韓国の政治・経済政策を決めていることです。

 退屈な条文まで転記しているのは物好きからでなく、息子たちに、国際社会の恐ろしさを知ってもらいたいためです。無力な国が強い国により、どれほど蹂躙されるのかという実例を示しています。114年前の出来事ですが、国際社会では、現在も同様のことが行われています。

 マスコミが伝えないだけで、アメリカ、中国、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアが、世界各地でやっていることに変わりはありません。世界の紛争地域では、必ずこれらの強国が背後にいて、自国の利益のため動いています。紛争の生じた国に、彼らが介入し、さらに紛争を大きくし、武器を売ったり、領土を奪ったり、傀儡政権を作ったり、ろくなことはしません。

 餌食となる紛争国には、敵国のために働く裏切り者がいて、騒ぎを起こす手伝いをします。チベットやモンゴルやウイグルだけではありません。アフガニスタンも、イラクもイランも、ベトナムも北朝鮮も、調べて見れば同じ動きがあります。

 息子たちに言います。日本はそんな国ではないと、安心していると大間違いをしまい。沖縄で「独立論」を唱えている者たち、北海道で「アイヌの自治権」を主張している人間たちは、日本に騒ぎを起こし外国勢力の手引きをする日本人です。

 朝鮮も最初から、他国に踏み荒らされていたのではありません。50年、80年という時間をかけ、ゆっくりと浸食され、崩壊しました。日本も今、ゆっくりと時間をかけ、崩壊の道を歩いています。自分の国を守れない憲法を、「平和憲法」と主張することからして、その萌芽です。男女平等と言い、「皇室」を消滅させようとする人間たちも、外国勢力の手先です。

 彼らのやっていることは、社会を騒がせ、紛争を起こし、やがて外国勢力介入の道を開きます。極論すれば反日野党や日本のマスコミのほとんどは、日本崩壊のための煽動者です。これまで何度か指摘してきましたが、保守自民党の中にも、日本の騒乱と弱体化に貢献している議員たちがいます。

 今回も書評を外れましたが、日本の危機がそれほど迫りつつある今、せめて「ねこ庭」では、本音の意見を言わなければなりません。

 本人が意識していないとしても、これまでの言動を見ていれば、国賊としか思えない人物が何人か総裁選に立候補しています。ですから、私は言います。

 「河野太郎氏と共同通信社に、騙されてはなりません  ! 」

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