日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



前回、イノベーションによってタイトリストから多額のライセンス料を受け取っているブリジストンのケースを紹介した。
が、それはあくまでもプロローグのエピソード。

第1部に入り、まず惹き付けられるのが「経済成長の決定要因」(ロバート・ソロー1957年に発表→1987年 ノーベル経済学賞)
「経済成長のうち、労働と資本で説明できるのはわずか13%に過ぎない。
 成長の原動力は、労働者1人あたりの経済成長の8分の7が「技術革新」に起因している」
そして1986年、ポール・ローマーがこの論をより進化させる。
「アイデアを考えだすまでにコストはかかるが、そのコストは1回しか発生せず、あとは追加コストなしに何度でも繰り返すことができる」
数百年にわたって素晴らしいアイデアが数えきれないほど蓄積された結果が、よりよいものをより安く大量生産することにつながっていることを、シンプルに説明している。

このあと、知財をめぐる企業の死闘を「トロール企業」「サメ型企業」「オープンイノベーション」「クロス・ライセンス」「オープン・アーキテクチャ」「プラットフォーム」などのキーワードと実例で次々と紹介していく。
それは例えば、P&Gのイノベーション・ネットワーク、ヒューレット・パッカードのコントロール戦略、ジレットのカミソリ特許 etc....

そしてこのパートのハイライトは、ラストのIBMのPC戦略の失敗。
PCをつくり始めた時点から始まる戦略ミスと、その後の凋落(パソコン事業をレノボに売却)までをドキュメントしていて、インテルとマイクロソフトにおいしいところを全て奪われた姿を露にしている。


後半に入ると、前回に強調した「日本の進むべき道(進んでいる道)を明示」という部分にフォーカスしてくるので、さらに面白さが増す。
アメリカFTCの判断ミスから、絶対的な知材を抱えていたゼロックスの知材がオープンにされ、日本企業が一気にシェアを取った状況を克明に。
ついでに、ジョブズがパルアルトで盗んだPCユーザーインターフェイス(=MacintoshOSの原型)についてなぜ訴えなかったかの裏話もついてくる。

その後アメリカもこの重要性を再認識する。
知的財産は、アメリカ経済の屋台骨である ーカルロス・グティエレス 米商務長官
日本は知材立国を目指す―小泉純一郎首相
未来の競争は知的財産権の競争になるだろうー温家宝 中国首相

こうして政治もからんできた国際的知材競争の中で、日本企業はどう闘っているのか。
P.323、P.339の表が実にわかりやすい。
ここは必見かと(ここだけでも立ち読みしていただきたい)

そしてこの本の締めは、何とフェイスブック!
映画で描かれていた法廷を巻き込んだ争いはもちろん、ザッカーバーグがフェイスブックをあくまでも「プラットフォーム」という認識で捉え、ユーザビリティを最重要視していることが成功の秘訣だと論じている。

知材の企業間そして国際間の大競争をこれだけあぶり出していて、SNSまでも押さえているこの本、やはり必読、という結論。

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