日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



サブ・タイトルは、明日を切り拓くための人類10万年史 。
(上)(下)の2冊で「人類10万年史」とは大胆! なのだけれど、だからこそ面白いとも言える。

一言でいうと、
人類史をたどれば、停滞も後退もあるけど、そういう部分をすっ飛ばしてみると、人類の歩みは今後も「楽観」できると。
人間が行ってきた「革命」の真の意味を、超俯瞰することで肯定的に提示する。

この本での最大のキーワードは、「交易」(交換)
そして、その交易(交換)の集中が創り出す「都市」へ。
分業・産業革命が進行し、「交易」がモノから「アイデアの交配」へ。
マルサスの罠を克服(人口増大への対応)、そして現在のアフリカ、気候などの問題にまで言及。

このように「文明を駆動するものは何か?」を解き明かそうという試みで、非常に刺激的。

例えば、マルサスの罠を克服についての言及の部分(下 p.22)
<人間には交換と専門化の習慣があるため、古き良き時代のマルサス的人口抑制が
<じつは人間には当てはまらないことを示唆している。
<つまり、食料供給量に対して人数が多すぎるとき、人間は飢餓と疫病で死ぬのではなく、
<専門化を強めることによって利用できる資源で生存できる人の数を増やすことが出来る。
<一方、交換が難しくなれば、人間は専門化を弱めるので、人口が増加しなくても人口危機につながるおそれがある。
<マルサスの機器は人口増加の結果として直接生じるのではなく、専門化の衰退によって起こるのだ。


実は、この本(上)(下)の2冊あり、読むのに時間がかかっているうちに311が起こったため、読み方も変化した。
ああいう事件があると、人間どうしても悲観的になるものだが、「そんなに悪いもんじゃない」と励まされた。

<悲観主義者の誤りは、とかく自分の知っていることを基準にものを考えてしまう点にある。
<未来をただ過去を大きくしただけのものと考えてしまうのだ。

<悲観主義は近代に特有のものであり、テクノロジーや進歩に対して私たちが現在抱いている様な不機嫌なものの見方は、
<広島への原爆投下に端を発し、チェルノブイリを経て深刻化したと考える傾向がある。
<だが歴史はこれとは相容れない。
<悲観論者はどこにでもいたし、いつでも熱狂をもって迎えられた。
<アダムスミスが産業革命初期に次のように記している。
<「国家の財力は急速に落ちている、人口が現象している、農業が顧みられていない、製造業が衰退している、
<十分な交易が行われていない、などと論じる書籍や冊子が五年間出版されなかったことは、これまでほとんどない」

だが同時に、アフリカ問題も環境問題もぶった切るこの本の勢いをもってしても「エネルギー問題」については明確には示せない現状を再確認してもいるが。
とはいえ、このような極めて超最新の問題も含め「知」の醍醐味を存分に味わえる1冊であることは間違いない!

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