-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

無実なんです

2013-06-07 16:13:42 | 自然

 今、畑沢の山にこの「タニウツギ」が満開です。雪崩が起きやすい急斜面に群生します。別に斜面が好きな訳ではないのでしょうが、斜面にしか生き残れないようです。雪崩が起きる急斜面は、強力な雪の力で下に引かれるため、しなやかさを持たない樹木は幹の途中から折られてしまいます。しなやかな幹を持った樹木だけが生き残れます。タニウツギは、特にしなやかなようです。逆に急斜面でないところは、外の樹木が元気に成長しますので、高木になれないタニウツギは、他の樹木に負けてしまいます。

 東北地方の豪雪地帯では、しなやかな幹を持った樹木が多いそうです。有名なのは、モクレン科のコブシとタムシバです。両者はほとんど同じで、私には区別できません。コブシは太平洋側、雪が多い日本海側にはタムシバだそうです。タムシバはしなやかな幹を持っているそうです。ところで、山形県ないでは、タムシバをコブシと呼ばれています。

 雪国と樹種の関係は、他の樹種でも多くの例があると思います。

 

 さて、「無実」の話です。子どものころ、この木の花には「スダレがいる」と教えられていました。スダレとは、マダニのことです。犬や猫の毛の中には、必ずと言っていいほどマダニがいました。マダニは宿主の血を吸って、ころころと丸くなっていました。犬や猫の毛づくろいをしながら、このマダニを手で引っ張って取り除いてやったものです。結構、しっかりと宿主に噛みついています。山が好きな私の首の後ろにも、付いていたことがあります。

 脇道に反れましたので、戻します。特異的にねタニウツギにマダニが潜んでいるという根拠はありません。大人の言うことをそのまま聞かないスビタレとしては、当然のこととしてタニウツギを解体しながら調べましたが、どこにもいませんでした。また、そのような学術的資料もありません。また、今年になって春まだ早くの時期に、何の花も咲いていない山に出かけたときに、私の靴下にマダニがいました。タニウツギの花がなくてもマダニはいました。

 それでは、なぜあのような言い伝えがあったのでしょうか。マダニは、タニウツギの花が咲くような時期に活発になることと、タニウツギが生えているような急斜面を登るときは、這いつくばって地面すれすれに体を低くしますので、マダニが付きやすくなるのでしょう。そのために、この花が咲いているところは要注意という意味かと思います。

 この花は群生しピンクがいっぱいに広がりますので、大変、見事な美しさです。残念なことに、子供のころにはあの言い伝えがあるために、忌(い)み嫌われていました。しかし、無実の罪が晴れた今は、本来の美しさを堪能できます。

コメント
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