これはカモシカです。イノシシ(猪)ではありません。
カモシカは、昭和30年に天然記念物に指定されてから順調に増加して、今では畑沢でも年に2、3回は出くわします。ニホンザルも、背炙り峠でよく見かけます。これらは昔からいたのが、数を増やして目につきやすくなっただけです。
ところが、イノシシが畑沢にも現われているというから驚きです。元々、イノシシは雪が少ないところに棲む獣で、豪雪地帯ではとても棲むことができないと言われていました。その理由が、カモシカは降雪地帯に適応した脚を持っており、雪にのめり込まないが、イノシシは雪へ適応しておらず、雪にずぶずぶとのめり込んでしまうというものです。近年、温暖化で暖冬の年もありますが、降雪量は増加しているとも思えます。とてもイノシシが進出する環境になっているとは思えません。不思議なものです。
「イノシシが出てきている」との話は、私は今年になってから聞きました。しかし、何年か前の夏に、今まで見たことがない光景を見ました。耕作放棄されている水田が、激しく掻き混ぜられているのです。これは人の手によるものでなく、獣の仕業と直感しましたが、果たしてカモシカはこのようなことをすると聞いたことがありません。一般に、獣は湿地で体を泥に押し付けて、寄生虫などを取り除こうとするようです。畑沢ではこのような光景を見たことがありませんでした。その時は、「カモシカでも泥かましをするのかなあ」程度に考えていました。しかし、今、考えると、あれはイノシシによるものだったのでしょう。そうすると、イノシシの進出は、去年や今年ではなく、もっと前からだった可能性があります。
イノシシは、大変危険です。カモシカは人間に出会うと、自分から逃げてくれますが、イノシシは人間に向かって突進してきます。しかも、今回、目撃されたイノシシは、かなりの大物だったそうです。十分な注意が必要のようです。私は、まだ遭遇していません。