3日連続のコンサート通い、最後は「塩谷 哲&松本和将 2台ピアノジョイントコンサート」。
これはめちゃくちゃ楽しみにしていたんですね・・・・というより、以前東京で共演されたことがあるということを知り、ぜひこちらでもコンサートを!!と念じているうちに、なぜか叶ってしまったという次第です(笑)。
主催・共催さん、ありがとうございます。
***プログラム***********
1.ミヨー:スカラムーシュ(2台)
Ⅰ Vif Ⅱ Modere Ⅲ Brazileira
2.松本ソロ (当日発表)
ショパン:ノクターン第8番 変ニ長調 op.27-2
ワルツ第2番 変イ長調 op.34-1
3.塩谷ソロ(当日発表)
ビル・エヴァンス: ワルツ・フォー・デビー
4.塩谷 哲:Valse (2台)
~~~~~~休憩~~~~~~~
5.モーツァルト:2台のピアノためのソナタ ニ長調 K.448
ⅠAllegro con spirito ⅡAndante ⅢMolto Allegro
Ⅰ純白の野心 Ⅱ森に棲む妖精たちのラベル貼り Ⅳ慈愛 Ⅶ彩られる明日へ
7.塩谷 哲: Spanish Waltz (2台)
<アンコール>
塩谷 哲: あこがれのリオデジャネイロ(2台)
ミヨー :「スカラムーシュ」よりBrazileira(2台)
*************************
これはもう「楽しかった」の一言。
なんというでしょうね、ピアノをおもちゃがわりに育った少年二人がまんまおじさん(・・・失礼・・)になったという感じ。
塩谷さんはトークも軽妙で、通常はまったく影の存在、客席に頭さえも下げてはいけない譜めくり人(MちゃんとKちゃん)までオモテに出して、
「譜めくり、すばらしい」と讃え、フルネームで紹介したうえに、インタビューまで(驚)。
さらに「将来はピアニストになりたいんですか?・・・・もし、楽譜どおり弾くのが嫌になったらおじさんとこにきてね」のオチ。・・・・・おもしろすぎ。
ミヨーとモーツァルトは譜面台を立て(といってもかなり寝かせて)楽譜を見て弾くというスタイルでしたが、
1曲目のミヨーにして、塩谷さんの方は「音が多い?あれ、これってアドリブ?」な箇所あり。
楽譜見ててこれって・・あとはどうなるの?(笑)。
次、松本さんのソロ。スクリャービン「黒ミサ」かと思ってたのに、ショパン。いいんです、一部のヘンタイより多数の健全なお客さん(笑)。
いや、このショパンが絶品。とくにノクターン。CFXって、名手にかかるとこんな信じられないような美しい弱音が引きだせるんですね。松本さんの演奏は、いろいろな会場・さまざまなピアノで聴いてますけど、あらためてびっくり。
松本さんのソロ2曲目を受けて、塩谷さんによるワルツ祭り開始(笑)。塩谷さん作曲の「Valse」・・・いい曲でした。18~19歳くらいに作られたということでしたが、いやだからこそなのかもしれませんが、意欲的で濃い曲。
この曲の中で松本さんの長い即興もありましたが、これがまたなんというか手垢のついてない即興で、新鮮かつ個性的。
語るようなことでもないですけど、私子供のころ、即興演奏をこれでもかというくらいさせられ(会場から音列をもらってその場ですぐやるという一種見世物のようなことまで)、子供なりに「使い回し」に陥った経験があるのですが、そういうのってやはり、聴いてるほうもわかるというかいまいち面白くなかったりします。
松本さんの即興は、いわゆる「本業」とは言えないのかもしれませんが、塩谷さんもおっしゃっていたように「これがほんとにすばらしい」です。
後半、モーツァルトは、おふたりの表情がうかがえたので、純クラシック曲でありながら、駆け引きというかやりとが視覚的にも楽しめて面白かったです。「え、そこそう弾いちゃうの?」「じゃ、こういくよ」みたいなものがわかるとアンサンブルは見ている側も楽しい。塩谷さんが「漫才みたいなもんだよね」とおっしゃってましたけど、まさにそんな感じ。
モーツァルトでこれだったら、これからあとはさらにどうなるの??(笑)
次の<組曲「工場長の小さな憂鬱」より>はもともとソロ曲なんだそうです。そのソロの楽譜のままを今日はふたりで分けて弾かれたそうですが、タイトルが「ええ~~」な感じで、大笑い。これはとりあえず、ネタバレしないようにしときます。
最後のSpanish Waltz は、実はある機会に塩谷さんのソロで聴いたことがあったのですが、2台でやると規模も違うし、ひとりがリズム担当に回り、メロディーがアドリブになる箇所が、聴く側としては超楽しみ。どんどんアドレナリン回ってきて、これはアンコール大変なことになりそう・・・と思ってたらなりました。
アドリブだらけになり、お互いやめられない止まらない状態?(笑)。あれミヨーが見え隠れしてる・・・と思ってたら、2曲目でやっぱり。
最初に楽譜見て演奏された時のより、聴いてるほうもずっと楽しかったかも。でもたとえ楽譜見て弾くのがいやになったとしても、そうそう簡単にいわゆる「暗譜」ではなく「アドリブ」やりながらの演奏って、ふつうなかなかできませんよねえ。
基本的にどうも私は、自作とか即興演奏なんかが好きな人間らしく、このコンサートはひさびさに脳のどこかが覚醒した感じです。
また、先日の大野和士さんの演奏会に続き、家族全員で出かけたので、みんなで感想をワイワイ言いながら帰ったのも楽しかった。
またやってください。もう少し小さい空間でも楽しいと思うので、ぜひどこかで!