智哉へ

ドクターヘリで運ばれて、意識があったにもかかわらず「これから麻酔で寝てもらいます。いつ起きられるかはわかりません。」と言われた時、俺は麻酔を強烈に拒否したんだよ。　何故か？
　もう戻れないかも知れないと思ったとき,一番後悔したのは　敦子と智哉ともっと時間を作れれば良かったということだった。　お前たち二人は、岩崎家に生まれた奇跡のような存在だ。

　　交流することで自分自身が楽しい時を過ごせるのはもちろんだが、もっと伝えられる事があったんじゃないかという思いが強かった。　知っているとは思うけど、昔の岩崎家は七井駅まで土地がつながっていたほど勢力があった。　そんな家柄を、大切につなげて行かなくてはならないと強くかんじているよ。　つなげてくれる絶好の賢い二人が岩崎家に来てくれて良かったと思っているんよ。　絶命するかも知れないと思った時に、その二人に少しでも役に立ちたいと思った。　　自分でも気がつかなかった本心なんだろう、気がついたよ。
　　
　智哉、今日も一日死ぬ気で自分を追い込んだか？　有り余る才能がある人間でも死ぬほど努力しないと大成しないぞ。　それはこの世の法則だと確信している。　努力で蓄えたエネルギーが爆発して成功すると言う事。　技術だけでは計れない世界。

　俺が全日本選手権に出たのは空手歴１年９ヶ月の時だ。子供の時から空手をやってる人間を全部飛び越して素人みたいな俺が。　中、高は陸上競技部で毎日、毎日辛い思いをしながら練習していたが全く成績は振るわず、それが大学生の時に空手を始めて一気に爆発したという感じだった。　
　しかも、全日本重量級２位の選手をKO。　全て報われない時代のエネルギーが蓄積していて爆発したのだと思っているよ。　

　その上で、先日、金のことを心配していたのが気になっていたので一言。

本人にやる気があれば、金はあとからいくらでも付いてくる。　逆にいえば、金の心配があるという事はまだまだ金を引き寄せる力が弱いということだ。

　死ぬほど努力をしている人間には応援しようと思う人が付くものだ。　努力を続ければそういう人が必ず付く。

もう一つは、誰もが認める実績を残すこと。　世の中には金儲けをしようと躍起になってい人間がごまんといるよ、そういう人間の目に留まるるような実績を残せば金は必ず付いてくる。

いくらでも方法はあるから、今は、やりたいことを将来の職業撰択の中から外す事は考えなくていいいんじゃないのかな。　とにかく、やりたいことへ本気で向かっていれば必ず道が開けてくる。
　やりたくなければ無理してしがみつくこともない。　智哉の好きにすればいい。　自分の人生を生きればいい。

　それでもお金に不安を感じるなら、遠慮なく言ってこい。

　俺も出来るだけの協力をする。　それで足りなければお金を出してくれる人にお願いして智哉を支援してくれと頼んであげるよ。　俺は、恵まれてることにお金持ちの知り合いがたくさんいるからお願いすれば何とでもなるよ。　俺に支援してくれるくらいだから、智哉にはもっと支援してくれるはずだよ。

　兎に角、お金のことで将来を選択することなく自分のやりたいことを選択すべし。　金になんか縛られるな。　安心して努力だけしていればいい。

　ただ、もしその方々がいなくなっていたり、　俺がいなくなっていたら約束はできないけどな。

　それも運命だよ。　お前が強くなるための。　乗り越えられない試練はこないよ。