アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「きず(創)」を自らの手で癒す遺伝子!

2024年07月06日 | Weblog
 「創」という漢字なのですがね。創造、創設、創業…「つくる、はじめる」という、ポジティブの先端を行くような意味の漢字です。
 ところが、辞書を引くと、一番目の意味が、「刃物による傷。創痍 ・銃創・刀創など」。二番目の意味が、「初めて作り出す。はじめる。創意・創刊・創業・創作・創造・創立など」
 「きず」という、いわばネガティブな意味が一番目なのです。

 「創」について、吉野弘さん(詩人)のご意見には、目からウロコが連射のように落ちました。

「創造らしい創造をする精神は、そのいとなみに先立って、何等かのきずを負っているのではないか。きずを自らの手で癒そうとすることが創造につながるのではないか」

「いやはや、その通りでございますね。賛同申しあげます」と、納得させられます。
 吉野さんの「詩のすすめ」に出てくる「創」の例が、「植物の挿し木」。
 茎や枝を切って、地中にさし込めば、傷口から初々しい根が生えてくる。このことこそ、きずが創造につながることを示す姿ではないか…と。この瑞々しい主張。太刀打ちできません。

「アンティークマンなら、どんな太刀打ちをするのか」って?
 私は、メープルシロップですね。メープルの幹に「創」をつけると、「シロップ」が流れだす。つまり、「創られる」。だから、「きず」と、「つくり出す」は、同じ「創」という漢字にした。
 なぬ?幼稚すぎる?まあ…私のことですから、こんなもんでしょう。だけど、メープルに目をつけるあたり、非凡だと思うのですがぁ。自分で言うなってかぁ!

 で、挿し木って不思議ですよね。知られていたのは、葉や茎を切ると、傷口に根など、「何の細胞にでもなりうる『幹細胞』が生じる」ということ。ですから、挿し木で植物は増やせる。 本来の親とおなじに増えるわけで…「親と同じに?」と、いうことは、「遺伝子…!」。

 この遺伝子研究(基礎生物学研究所など)は、日本が世界の最先端。 
 ある種のコケの幹細胞化を起こす遺伝子が、哺乳類の幹細胞化で働く遺伝子と同じ仲間であると分かったのだという!
 つまり、「動物と植物が共通の幹細胞化遺伝子を持っている」ということ! 
 ど、ど、どっひえーっ!そ、それはありえへんやろー!
 しかし、事実なんだからしょうがない。
 人の体にも、「創」の遺伝子がある。病気、きず(創)を自らの手で癒し、そこから根を伸ばして、新たな生をつくりだす…!
 私の体にもあるかなあ?なんだか、嬉しくなってきました。