アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

神様の袋の中身は?

2021年01月02日 | Weblog
    我が家の神棚には、「大黒様と恵比寿様」が笑顔で鎮座しておられます。これ、先祖代々伝わるもの。と、いっても明治初期以降ですがね。

  で、幼少のみぎり…大黒様が左の肩には大きな袋を担いでおられる。この袋の中身は何か?「お菓子が入っているのだろう!」と、想像しておりました。金属製なので袋を開けて調べることかなわずに悶々と暮らしておりました。そうしているうちに、日本でもクリスマスを祝う習慣ができはじめました。クリスマスと言えばサンタクロース。サンタさんも、大きな袋を担いでおられる。中身は、お菓子やおもちゃ。想像は、確信に変わりました。大黒様の袋には、お菓子が入っている!偉い人は、袋を担いでいる。

  成長して、大黒様の袋の中身が、「お菓子ではない」と、知って落胆しましたよ。 神職(その名も榊原君。もちろんご実家は神社)によると、袋の中身は「七宝」。
 なぬ?「焼き物か」って?「七宝焼き」とは関係ありません。大黒様が袋に七宝焼きを入れてどうするんですか!
  七宝は、「寿命」「人望」「清麗」「大量(度量が広い)」「威光」「裕福」「愛嬌」…そんなモノを入れていたとは!だけど、これらって袋に入るものなのかねえ。それはさておき、「七宝は、人間にとって最も大切なもの」。これはよく分かります。

  そのあとそのことを私の両親に話しましたら、神職さんとは意見が違いました。
 寿命、人望、清麗、大量…だってぇ?袋の中は具体物だよ。仏教の経典「無量寿経」でいうところの具体的な宝物が入っているんだ・・・と。
 「金」「銀」「瑠璃」「玻璃」「シャコ」「珊瑚」「瑪瑙」の七宝。道理で、かの国の漁船が珊瑚を盗みに来るはずです。「シャコが、袋に入るか!?」とおっしゃる方もおられるでしょうが、シャコは、車庫じゃないんです。シャコガイの殻(白色系の珊瑚をシャコと呼ぶ場合もある)のこと。
 「玻璃」は、水晶のこと。「瑠璃」は…よく分かりませんが…瑠璃色つまり青い水晶のようなモノです。
 
 七福神の「布袋さん」も、大きな袋を背負っておられる。失礼ながら風体からして、「七宝」を入れているとは思えません。布袋さんを軽視しているわけではありませんよ。ファンですから。布袋寅泰のファンではありません。念のため。布袋さんは、実在した僧で、旅の途中で受けた施しを袋の中に入れていたという。これって正しい袋の使い方です。

 「堪忍袋」「堪忍袋の緒が切れた」という日本語がありますが、これ、布袋さんに由来します。布袋さんは、円満な性格で、人生の大事でも小事でも、愚痴や怒るべき事も袋の中にしまいこんでいたという。施しものばかりじゃなかったらしい。よって、人々は布袋さんの袋を堪忍袋と呼ぶようになった。また我慢の限界をも示すようになった。いい話じゃないですか!私は両親からこういう話を聞いて育ちました。

 口はばったいですが、私は、両親の薫陶により「神々しく老化」していますので、そろそろ七福神の仲間入りをさせていただいて、八福神に…。
 そうなると「お多福さん」と、争わなければならないなあ。なぜかって、「京都の清水寺では、七福神にお多福さんを加えて八福神としています」。つまり、お多福さんは、八福神の座を狙う私の最大のライバルなのです。

出世されちゃあ困るもの

2021年01月01日 | Weblog
 浜松市在住の長男…幼少時から「遊びの天才」と。30歳代半ばとなった現在は、「トレイルランニング(走って登山する競技)」「サーフィン」「釣り」「ゴルフ」などなど、土日も休むことなく動き回る。先月は釣りが忙しかった。「チヌ(いしだい)」を2桁も釣った日がありました。とりわけ驚かされたのは、「浜名湖岸から投げて、ブリを釣った」ことでした。「エサになる小魚が岸に寄ると、ブリも追いかけてくるから遠投しなくても釣れるよ」と。浜名湖って、「ウナギ」だとばかり思っていましたが…釣り人にとって、楽園みたいな好漁場なんですね。

 ブリが大変なことになっておりまして、なんとオホーツク海でも獲れる。この20年ほどの現象ですがね。海水温の上昇で、元々はあたたかい海の魚であるブリが北上し、オホーツク海へまで行ってしまった。そのうち北極海で白熊と競泳したりぃ…ナイナイ。
 「ブリ」といえば、出世魚の代表的存在。地方によって呼び名はずいぶん違いますが、私の住むところでは…「フクラギ → イナダ → ハマチ →ワラサ → ブリ」。
 関西では…「モジャコ→ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」。「メジロ」と聞いたときには、関西の方の「洒落か?」と思いました。私の知識では、「メジロ」は「鳥」ですから!メジロが出世してブリになることはぁ…ないと思う。
 なぬ?「お正月からバカなことを言ってんじゃない」って?はい、初ボケでした。
 ブリは、成魚に向かうほど脂ののりがよくなり、旨みも増します。刺身や寿司ネタとしてはイナダ、ワラサ、ハマチがいいという人も多いようです。確かに、ブリは切り身に脂が浮くほど。でも旨いっ!

  あまり知られていませんが、マイワシも出世魚。「シラス→ カエリ→コバ→チュウバ→オオバシラス」。細分化されているので、区別がつかないよね。
 ズズキは、「セイゴ → フッコ → スズキ → オオタロウ」。「オオタロウ」は、ふざけた呼び名ですよね。「スズキ」で止めときゃいいのに、さらに出世させてしまった。

 ボラは、「オボコ → スバシリ → イナ → ボラ → トド」。その昔から日本人に馴染みだったらしく、ボラの出世による呼び名は日本語へ派生しています。おっ!ここで出るか!?アンティークマンの知ったかぶり。(実際、知ってるんだからしょうがない)
 オボコは、日本語で「幼い」という意味で使われています。「おぼこ娘」など。イナセは、「粋で勇み肌」…若者の形容に使われています。なぜ、粋で勇み肌が「いなせ」か?江戸時代に魚河岸の若者の間で流行した髪型が、イナ(ボラ)の背に似ていたところからイナセ。
 「とどのつまり」は、「最終的な結果」という意味。ボラの最終形が「トド」なので、最終的な結果が、「とどのつまり」となった。諸説ありますが、これが妥当かと。

  出世で「とどのつまりにしていただきたい」のが、出世ドラッグ…「脱法ドラッグ→危険ドラッグ→殺人ドラッグ」。
 出世詐欺も、とどのつまりにしていただきたい。
 「おれおれ詐欺→振り込め詐欺→特殊詐欺→地獄詐欺」なぬ?「地獄詐欺は初耳だ」って?「地獄詐欺」はぁ…なけなしのお金を根こそぎ騙し取られる…地獄でしょう。 
 新型コロナウイルスも出世している。欧州だけだったのに、世界で広がりをみせている「新型コロナウイルスの変異種」。変異種が出てきたということは、さらに出世した「変異種の変異種」が出現するのも時間の問題か。さらにさらに…。こ、こりゃ…のんきしていられませんね。