おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「ピアノを弾く時の姿勢」について(第13号)

2012年05月17日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノの椅子に座っている時に、背中を伸ばして座っていられない生徒さんはいらっしゃいませんか?

腰がクニャと丸まってしまい背中を伸ばして座ることができない、姿勢が悪いのでピアノとの距離が分からず近付きすぎるといった生徒さんです。

ピアノを弾く時に姿勢が悪い、つまり体が支えられていないと弾きにくさの要因になります。

私の生徒でいつも背中と腰が丸まっていて、座る向きが斜めになっていても気付かない子がいました。
上の空になる傾向もあったので集中できていないのかな?と思っていました。静かに座っていたのに音もなくピアノの下に落ちたこともあります。本人も何が起きたのかわからない様子で足台の上にちょこんと座っていました。

姿勢は運動能力に関係しているようです。
体のどの部分に力を入れたり抜いたりすればよいかがよく分からないということです。

ピアノは指を使って弾きますが、指だけに着目していてもうまくいきません。
胴体部分が安定しなければそこから腕を離して動かすことができず、腕を動かすことができなければ指を動かすことはできないのです。
ですから、まずは姿勢を改善する必要があります。

体のバランス感覚を養うわけですが、本にはよく次のようなものが書かれています。
バランスボールやトランポリンを使う、小さな子供の場合は抱っこをして前後にゆらゆらさせる、高い高いをするといったことです。

お気付きの通り、これはレッスンでは出来ませんし誰にでも行えるというものでもありません。

しかし、ある本に書かれていたもので一つだけ可能だと思うものがありました。
生徒自身が自宅で出来ます。ご自宅でレッスンをされている先生でもその気になれば可能です。


「トンネル」というものです。
仰向けになり手と脚で体を支え、背中と床の間に空間を作ります。
       
これを初めは20秒、大体1分位できるようになるまでトレーニングすると良いようです。

ここまで出来なくとも、レッスン中に生徒に「おなかに力入れて」と言うだけで、指の動きがよくなり音が引き締まります。

本来ならば、子供は遊んでいる内に体が安定してくるはずです。
しかし、遊ばさせずに早くから長い時間机に向かわせるご家庭が増えておりますので、大きくなっても発達していない部分が多く見受けられる気がします。
脳が豊かに発達するためには、その時期に見合った生活が必要なのではないかと子供たちを見ていて感じます。

来月は、リズム感と時間の感覚について書かせていただきます。



これではトレーニングになりません・・


  ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・
追記 2017年1月

<座る>改善法

・猫背(背中が丸くなり、頭がっ垂れ下がっている)→改善法:あぐら相撲/椅子トンネル
  
  あぐらで座り腕を組む。大人が子供の左右や前後からゆっくり押して倒すゲームをする。
  前傾姿勢を引き出し、背筋を伸ばす目的。

  椅子の下をよつんばいや腹ばいになってくぐり抜ける。
  姿勢を保持する、バランスをとる力が身に付く。

・体が傾く→改善法:クッション壁つぶし/タオルはさみ

  クッションを壁に付けて背中で押す。
  腰を起こして背筋を伸ばす力を高める効果。

  子供の背中と椅子の背もたれの間にタオルを挟み、大人がタオルを上に引っ張る。
  子供はタオルが抜けないように背中で背もたれを押し続ける。(後方へ転倒しないよう注意)
  背筋を伸ばす効果。

・背もたれに寄りかかる 椅子から滑り落ちる→改善法:足をスリスリ
  
  土踏まずを反対の足の内くるぶしにつける。
  10センチほど上下にこする動きを4回。反対も同様に行う。
  外くるぶしに反対の足の甲を当て同様に。
  バランスを保ち背筋を伸ばす効果。



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「どの指を使っているかがよく分からない」子供(第12号)

2012年05月10日 | 苦手なことがある子供たち
自分が今、どの指で弾いているかがよく分からない生徒さんがいます。

隣の音を隣の指で弾くことができない、指を順番に使えないのです。
3回くらい指摘しても気付かず、私が「ほら、この指」と言って触って初めて気付きます。

指の感覚がはっきりとしていないのでしょうか。
腕と同じように、何か指の神経の発達に関係しているのでしょうか。

私の経験では腕の感覚がはっきりとしていない生徒は、指の感覚も曖昧な所があります。
どちらの手のどの指を使うかを触って伝えなければわからないことがあります。

もちろん、普段どれだけ家でピアノを弾いているかも関係していると思います。
ピアノは実際に弾いて覚えたり見つけ出したりしていくものが多いですし、指を1本1本様々な組み合わせで使うことなど日常ありませんので、やはり練習量が多い生徒はそれだけ多くの感覚が発達するのは速いと思います。

では、このような生徒さんにはどのようなことをして指の感覚を目覚めさせると良いでしょうか。

良い方法があります。
これは以前、若い先生から教わった方法で私が考え出したものではありませんがご紹介させていただきます。



各指でスーパーボールを転がすのです。

ただ転がすのではありません。紙に道を書いてそれに沿って転がすのです。
「音が読めるようにならない子供たち2」でご紹介した、逆あみだや迷路に沿って転がしてもよいです。

どの指で転がすかを決め、片手ずつ行います。
右手の2の指ができたら左手の2の指という具合にです。往復行います。

大体1回のレッスンで、両手の同じ指が行えます。
但し、器用ではない生徒さんはそうはいきません。1回のレッスンで片手の一つの指でやっとです。
私は1の指は行いませんでしたが、両手の2~5の指をすべてやり終えるのに6カ月かかった生徒もいました。

スーパーボールは自閉症の生徒にも行いました。
私も一緒に反対側から転がし、歌を歌いながらどちらが早くゴールできるか競争しました。

どの生徒も初めは指をスーパーボールに密着させずに転がすので、しょっちゅうあちこち転がしてしまい球拾い状態です。
自分で転がしたものは自分で取りに行くようにします。運動不足の生徒には足腰を使う効果もあって良いと思います。
但しピアノに頭をぶつけないように気を付けて。これは空間認知の力を養う効果もあるはずです。
自分と周りの物の距離感を養う感覚です。

ピアノを弾きながら指の感覚をつける方法ではありませんが、確実に効果があります。
すぐにバーナムやハノンに進むのも良いですが、その前の段階が必要な生徒さんもいらっしゃると思いますので、
気分転換も兼ねてお試し頂ければと思います。

若い先生から教えていただいた時には、指先の感覚を鍛えるとおっしゃっていたと思います。
耳で音の響きや音色を探す段階に達した生徒さんにも使えます。

スーパーボールは習い始めの生徒さんには大きめのものが良いです。
私は直径3センチ程のものを使っています。


ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

追記 2017年1月

<手のボディイメージ>

「ド」の音を人差し指で弾こうと頭でわかっていても手が思い通りに動かない、リコーダーを吹くと指の位置や動かし方がわからなくなり吹き続けられない。

これは「手のボディイメージの未発達」によるものなのだそうです。

ボディイメージとは次の3つのものを指します
①触覚:皮膚でものに触れる時に働く感覚
②固有覚:筋肉や関節の動きを感じる感覚 体を動かした時に働く。動作のコントロールに関わる。
③前庭覚:バランス感覚 体が揺れたり回転した時に働く。姿勢の維持や利き手の発達などに関わる。

対応

手のタッチング
・腕から手、指の順番で大人が素手でギュッと握る
・目を閉じてもらい子供の指や手を2か所同時に軽く触れどこに触れられたか当ててもらう

砂文字なぞり
・モコモコペンで書いた図形や文字を目隠しをしてなぞり、どんな形、文字か当ててもらう

手探り遊び
・タオルや袋で手を見えなくして、大人が子供の手に触りどの指に触れたか当ててもらう
 指を当てられるようになったら指の第1関節、第2関節、付け根のうちどの部位を触ったか当ててもらう
・袋の中に日用品を入れて(タワシ、スポンジ、ブラシなど感触の違うもの)触ったものを当てる

まねっこポーズ
・向かい合って座り、指先でポーズを作りまねてもらう(キツネ、OKの形など)




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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供3(第11号)

2012年05月05日 | 苦手なことがある子供たち
「おもちゃのチャチャチャ」の方法をご紹介します。

歌に合わせ、初めは右手を交差し続けます。そして最後の「チャチャチャ」で左手上→右手上→両手をまっすぐという動きにします。これだけです。

初めは右手を交差することが1回しか出来ない生徒さんがいるかもしれません。
その場合は、講師が生徒の右手を持って「こっちが上、こっちが上」と言いながら動かしてあげると良いです。
これを2週間程続けると、大体1カ月でこの動きが一人でできるようになります。

これができたら今度は左手を上にする練習です。
そして最後の「チャチャチャ」の交差の練習をします。
左利きの生徒は逆の手から始めます。

この運動は、遠く離れた音を弾く時上腕の運動が速く行われるようにするため、それと、左右の神経のバランスを良くするため,とあります。

手を1度しか交差できなかった生徒が、最後までできるようになった時の表情の晴れやかなこと!

慣れてきたら少し速いテンポでもやってみます。
遊びで猛スピードでやるのも楽しいです。

実は私もあまり器用な方ではないので、生徒の利き手に合わせ一緒にやると、疲れている時はどちらの手を上にするかわからなくなる時があります。
私にとっても良い運動です。老化防止の方が近いでしょうか・・


チャ  チャ  チャ
   左手上        右手上       両手まっすぐ



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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供2(第10号)

2012年05月03日 | 苦手なことがある子供たち
手の感覚が分からないと思われる子供は、まん中のドに1の指を置くことさえ儘なりません。

ゆっくりゆっくりとまん中のドに近付き、あと少しという所で突然反対の手にかわってしまったり、他の指にかわってしまったり、または別の音に着地したりします。

本人はドの位置も指の番号もわかっています。
しかし、思う場所に手が置けないのです。

初めてこのような生徒に出会った時、一体どうしたら良いのだろうと困りました。
ところがちょうどこの頃、私は自閉症の生徒にある運動を始めていました。

自閉症の生徒は手の感覚が分からない様子は見られませんでしたが、ピアノを弾く時にいつも片手の1本指でブツブツと音を切って弾いていたので、両手を使えるようにしたいと思い、始めたものでした。

これは、リトミックの故・橋内良枝先生が考案されたもので、「おもちゃのチャチャチャ」に合わせ手を交差させるというものです。


「どちらの手を動かしているかが分からない」子供3に続きます。


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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供1(第9号)

2012年05月01日 | 苦手なことがある子供たち
どちらの手を動かしているのかが、よくわからない生徒さんに出会うことがあります。

右手左手と言った名称の問題ではなく、手の感覚が分からないという意味です。

レッスンをしている内に徐々にあれ?と気付くこともありますが、私の場合は「まん中のドが探せない」子供で書いたクラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」で2つ、3つの黒鍵に両手を重ねて置き、下の手から先にぬいて次の黒鍵群に進むことをやってもらった時に気付くことが多いです。

どちらの手を下に置いているかがはっきり分からなければ同じ動きが続けられず、途中で出来なくなってしまいます。

これは運動能力に関係しているのだと思います。不器用という言い方もします。
私は脳科学者ではありませんので脳に関してはわかりませんが、このような生徒に手の感覚を分かるようにする方法は知っています。

ピアノを弾く人は器用に越したことはありませんが、少しくらい不器用な方が人一倍努力しますし、曲を仕上げていく中で発見することも多いので私は悪いことだとは思っていません。

手の感覚がわかるようになるために重宝している方法があります。
これは習い始めの生徒さんにも行うことができます。

多くの子供は、日常利き手を使うことが多いので左右の神経のバランスが偏っていると思われます。
その神経のバランスを良くするための運動をご紹介いたします。

              
「どちらの手を動かしているかが分からない」子供2へ続きます。




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「クラウス・ルンツェ ふたつの手・12のキー」日本ショット
入門時の生徒さんに使っています。
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