おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

もうクリスマスの曲をやるぞ!

2022年10月28日 | 楽譜の話題

毎年クリスマスの歌を生徒さんたちに弾いてもらおうと思いつつ、発表会の曲の練習と重なり、思うように曲を渡せずにおりました。

渡してもササッとやって、とりあえずやった、ヨシとしようという具合でした。


なので、今年はもう始めることにしました。
ハロウィンもまだだというのに、発表会の曲で手一杯になる前に渡し始めました。



今日は、少し前に不思議な音の国下巻を終え、ピアノアドヴェンチャー2Aに進んだ生徒さんに「Carol of the Bells」を渡しました。

ペダルをまだきちんと使ったことがないので、ちょうどアドヴェンチャーでペダルのページになったこともあり、Carol of the Bellsを弾くことにしました。

この曲は高い加線の音を読む必要があるので、「おとのくにへ」の曲を1オクターブ、2オクターブ高く書き直すことをして、音は自力で読んでもらいます。

この曲はウクライナ民謡です。
年末年始に歌われるようで、新しい年が良い年になるとツバメが教えてくれる歌です。



生徒さんに渡した楽譜はこちら。以前他の生徒さんが演奏したものです。
彼女もこの曲で初めてペダルを使いました。

楽譜はこちら
Piano Adventures: Level 3A : Christmas Book
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

速度標語の由来

2022年10月26日 | 書籍紹介

前回ご紹介した「日本人とリズム感」の本に、これ知りたかった!ということが書かれています。

速度標語の意味はご存知かと思いますが、元々の意味を教えて下さっています。

そのいくつかを自分のためにも書き残しておこうと思います。


Allegroには陽気な、という意味があることはご存知の方もいらっしゃると思いますが、アレグロの陽気さには深い所から湧いてくるような感情が見られるそうです。

Vivaceには心や精神が活性化している、覚醒している、といった感覚で弾むような軽さがあると。

Largoは幅広くゆったりという意味ですが、歩幅を広く取ると人の動きは自然と遅くなる、というところからこの意味が出てきたそう。

Lentoの由来lenireは柔らかいという意味があるので、柔らかさをもって演奏することを指示していると。


この他に、Grave、Andante、Presto、serioso、aperito、spiritoso、anima、agitato、con fuoco、についても書かれています。


舞踊の付属的なものとして音楽が使われていた時には、舞踊の身体的な動きで何が表現されているかを伝えることが出来ましたが、舞踊から独立し器楽のみの演奏に移行した時に、言葉を持つことのできない音を如何にして表現するかを模索し、人間の精神状態の中から言葉を探り出してくることになった、とあります。


日本とヨーロッパの呼吸の違いも書かれています。
日本人の演奏がなぜそうなるのか、そのことを書いている本ではありませんが、読んでいると納得できることが随所にあり、面白いです。


ご興味がございましたら、是非。
https://amzn.to/46EGKxt

この表紙、何度見ても牛に見える・・
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リズム感と日本人の関係

2022年10月24日 | 書籍紹介

大人の生徒さんにこのような本を教えて頂きました。



その生徒さんの話では、頷き方が日本人は下だけれど西欧人は上だと。


ちょうど、鈴木雅明さんのフーガの技法を聴いた時に、譜めくりの合図の出し方がよくある下ではなく、鈴木さんは上だったので珍しいな、と思っておりました。

しかも、タイミングがアウフタクト的だったので指揮をされているからかな、と思ったりしておりました。

ついでに、私の隣の席の方が拍子を頷きながら取っていらして、「縦かぁ、日本人だなぁ」などと思いながら聴いていたのでした。


そんなことがあった後にこの本の話。
これは興味深いと思い、読んでみることに。


まだ全部は読んでおりませんが、既に生徒のレッスンで思い当たるものがあり、もしかしたら日本人の特性なのか、と思ったのでそのことを書いておこうと思います。


日本は水田を耕します。
地形的に、足腰を安定させて作業しなければならず、それにより下に意識が向きます。また、稲を植える時に一列に並び、他の人とタイミングを合わせて植える習慣がある、と。

1拍目に合わせて皆で手を叩き歌う、そして揉み手をする人もいるように身体の内側に向けて手を打ち付ける。

内側向きの動作は、数える時の指の折り方、のこぎりを手前に引くことにも表れている。

和楽器を見ると、尺八は息を下方に向かわせ、時にかがみ込んで体を折るように内向きに吹く。三味線や琴は音を止める時に弦の上で動きを下にしてバチなどで止める。

これはリズムの流れをいったん途切れさせることである、と。
ヨーロッパのリズムは上向きに加え、リズムは連続性を蓄えエネルギーを途切れさせないよう次へ次へと持続させている、と。

これは敏速に動く狩猟生活に起因しているのであろう、と。
いつ飛び出してくるかわからない獲物を瞬時に見つけ追いかけるために、筋肉を使い大地を蹴り上げ、縦、垂直方向、上方へと伸び上がる運動方向を蓄えていなければならなかった。


足は踏み出す前から既に次の運動を予測し、身体を備えておかなければならない。常に次の行動への体勢をとるようにしていなければならない。


また、ヨーロッパの言語は基本的に冠詞を持っている。
それが運動の前の呼吸、発声という運動のタイミングを取る働きをしている。それが上向きの相槌に表れる。冠詞は次の運動、発音の準備を身体に意識させる。




生徒さんのレッスンをしていて、腕の重さを使ってしっかりと下におろすことをしておりますが、その前に必ず上にあげる動きが必要です。

それが腕や手をリラックスさせる事と同時に、音を出す前の呼吸でもあるわけです。

これがなかなか身に付かず、下ろすことに意識が向きすぎて、私の生徒の場合は手首が必要以上に低くなることを生んでいます。
肩と指の付け根の支えの問題かと思っておりましたが、もっと日本人の性質的なものと関係しているのかもしれない、と思いました。


それからもうひとつ。次の動きを予測して弾いていかなければ、ピアノの場合は、プツ・プツと途切れた演奏になってしまいます。
一音終わってから次のことを考えていては全く間に合いません。

これは練習量の問題かと思っておりましたが、時々それだけでは説明がつかないものを感じておりました。
稲作で皆と歩調を合わせ作業することで効率が上がる民族と、常に次の行動の体勢に備える必要があった狩猟民族の違いが関係しているのかもしれない、とこの本で認識しました。


パンデミックや経済状況により、国外に行ける日本人が限られてくる可能性があり、これまで以上に私自身も気付かず教えてしまっていることが増えないことを祈るばかりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリスティアン・ツィメルマン

2022年10月21日 | コンサート情報

ツィメルマンが第33回高松宮殿下記念世界文化賞を授与されました。

授与式典に厳かな佇まいで臨まれる姿。
権威ある賞や称号を数々受けていらっしゃると思うのですが、日本からの賞でも神妙な面持ちで臨んで下さり、改めて尊敬の念を抱きました。


ツィメルマンの音は今でも私をピアノという楽器に憧れさせます。
昨年聴いたツィメルマンの音は憧れを遥かに超え、天国にある音ってこういうのかな?と思わせるものでした。

ほぼピアノ曲しか書かなかったショパンをリストは、
「一見すると荒野のようでさえあるピアノ音楽の分野に身を尽くして、
その痩せた土壌に望むべくもないほどの豊穣な花々を咲かせるまでには、
どれほどの才能と情熱が必要とされたことか !」
と言っています。

指揮もできるにも拘らずピアノ一筋のツィメルマンを見ていると、何か通じるものを感じます。

ホールに優しく降り注ぐあの音、また聴かせてほしいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スケールの指使い

2022年10月20日 | レッスン

私は生徒さんにスケールの指使いを教えるのが、ちょっと面倒・・

このようなことを言っていてはいけないのですが、やはり面倒・・

自分で覚えてくれー、と思います。


しかし、そうも言っていられないのでコツコツやるのですが、今日はイリーナ先生の教授法コースで仕入れた方法を試す機会がありました。早速実行!


おや、結構できる


両手1オクターブ上行形のみをしてみましたら、1回で出来てしまいました。

こちらの生徒さんには、両手で弾いてくる宿題を先週出したのですが両手で出来なかった、と言っていました。

片手の指使いは宿題に出す時にもやったので覚えています。
学校でも習ったと言って、以前から勝手に弾いていたので教本でスケールをやる前から右手だけは弾いていました。

しかし、両手一緒には1週間かかっても出来なかったのです。


それが方法を変えてみただけで出来てしまいました。
そして、どの生徒さんでもそうなるのですが、スケールを弾くと音が軽くなって浮きやすくなります。
そこにも注意を払います。


今週は上行形のみをこの方法で練習してくるように言いました。
きちんと練習して来てくれると来週は下行形に入れます。

イリーナ先生は上下分けていらっしゃるのではなく、これは私の生徒に対応したものです。


スケールをこのように導入する方法があるのか、と私にとっては大いに役立った教授法コースの回でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アンデルセン「楽園の庭」

2022年10月19日 | 書籍紹介

ドビュッシーの前奏曲集第1集に「西風の見たもの」という曲があります。

アンデルセンの「楽園の庭」から着想を得た曲です。

この童話にピンと来る方は結構な読書家さんかもしれません。
西風の見たものを演奏するにあたり、楽園の庭のことは調べるとは思うのですが、大抵荒くれ者の西風、程度なので「楽園の庭」がどのような物語か書いておきたいと思います。




ある一人の王子がいました。彼はたくさんの美しい書物で何でも知ることが出来ました。しかし、最も知りたかった「楽園の庭」について書かれた書物はひとつもありませんでした。

そこに咲く花はどれも美味しいお菓子、おしべやめしべは上質な葡萄酒。ひとつの花には、歴史、地理、九九、など食べるだけで勉強ができてしまう花が咲いている、とおばあさまに教えられました。

ある大雨の日、真っ暗な中、風のほら穴に迷い込みます。
そこには男のようななりをした、年取ったいかつい大女がシカの丸焼きを焼いていました。
風のせがれ達がこれから帰ってくるところだと。

最初に帰って来たのは北風。
氷のような寒気と共にほら穴に入って来て、熊皮のズボンと上着を着て、アザラシ皮の帽子を深く被っています。髭には長いつららがさがり、雪のかけらがまわりを舞っています。

セイウチ猟のロシア人と北極のベーレン島に行っていました。
風を起こし船を氷山に挟み込むいじわるをし、人間たちをあわてふためかせてやったと。

北風が兄弟の中で一番好きな弟が西から戻って来た、と言います。海のにおいがして、気持ちのいい涼しさを運んでくる西風がと。


西風は荒くれ男のように見えました。ころんでもケガをしないようにか、ワタの入った帽子を被り、手にはアフリカの森で切って来たマホガニーのこん棒を持っていました。

西風は原始林から戻って来たと言いました。
トゲのあるツル植物が木の間に生け垣を作り、じめじめした草地には水ヘビがのたっていたと。
深い川を見下ろし、滝が岩から激しく流れ落ち、水けむりをあげて雲までのぼって、空に虹がかかるのを見ていた。川を泳いでいる水牛は流れが速く滝つぼに落ちて行った。川を泳いでいたカモたちはパッと飛び立ち逃げた。その様子に自分は気を良くし、嵐のように吹き荒れてやった。古い大木は帆掛け舟のように走り出し、木っ端みじんに。
熱帯の草原で宙返りしたり、野生の馬の背中をなでたり、ヤシの実をゆすって落としたりして来たと。


そこへ頭にターバンを巻き、砂漠の民ベドウィンのマントをひるがえした南風が戻ってきました。

ホッテントットの民とライオン狩りに出かけたと。
砂漠でキャラバンに会い、砂を柱のように巻き上げてやったと。

悪さばかりしてきたのかと、母親に袋に入れられます。
そこへ中国人のような衣装を着た東風が帰ってきました。
中国から戻り、塔の周りで踊ってみせ塔の鐘が残らず鳴ったと。

明日は、100年に1度行く「楽園の庭」に飛ぶと。

アダムとイブが追放された時に楽園の庭は土の中に埋まってしまったが、楽園の庭のあたたかい日差し、優しい風と美しさはそのまま。
妖精の女王が暮らし、死神が決して訪れることのない幸福の島があり、楽しく暮らせると。

東風が王子を背中に乗せて連れて行ってくれることに。

楽園の庭に着き、素晴らしい景色に「いつまでここにいられますか」と妖精にきくと、「あなたの心がけ次第」と。「アダムのように誘惑されて禁じられていることをしなければ、いつまでもいられます」と言われます。

妖精は「自分を試してごらんなさい。強さが足りなければ東風と一緒に帰るのです。東風は今帰ってしまうと100年後にならないと帰ってこない。この楽園では100年は100時間程度にしか感じられないかもしれないけれど、誘惑に負けまいと戦うと長い時間に感じるかもしれない。毎晩私はお別れする際に、『わたしについていらっしゃい』と言います。けれど我慢して一緒に来てはなりません」と言います。

「ここに残りたいです!」と王子。
東風は100年後にまたここで会えるように王子に別れを告げます。


「さあ、私たちの舞踏会が始まります。踊りの最後にあなたを手招きして『一緒にいらして』と誘うでしょう。でも、ついてきてはいけません。100年の間、それを繰り返さなければなりません。それを乗り越えればあなたは一段と強くなります」

しかし、最初の晩に王子は約束を忘れ、
手招きをする妖精に駆けよります。
ここまではまだ罪ではないと王子は自分に言いきかせながら。

約束を破りすさまじい雷鳴がとどろきます。美しい妖精も花咲く楽園も暗闇に深く沈んで行きます。
目を覚ますと風のほら穴の近くの森の中に。風の母親が怒ったような顔をしています。

そばに立っていた死神が、「今すぐに棺桶には入れないが、しばらくは世の中をめぐり、罪の償いをさせ、少しずつよい人間になってもらう。いつかまた、私は戻って来る。こいつが死ぬなんて考えてもいない時に。もし、こいつが信心深いよき人になっていたら楽園に。よこしまな考えのままで、罪深い心のままであれば、かつて沈んだ楽園よりも深く沈んで行くことだろう」



このようなお話です。
この話の中の西風の部分だけを切り取ったドビュッシー。

変わっている・・



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第19回イリーナ・ゴリン教授法コース

2022年10月18日 | 不思議な音の国

今回はとても役に立ちました。
レッスンのみならず、自分自身の役にも立ちました。


レッスンに関しては、スケールの導入法が工夫されていました。
単純にすぐにスケールの指使いを覚えるだけではなく、その前段階が参考になりました。


下巻の最後の方は歌詞のない曲があります。
そのような曲は生徒さんと歌詞を考えて作ってみることを推奨されています。

下巻にあるエチュードという曲は、アーティキュレーションを入れ替えたり、強弱を変えたりということも参考になるお話でした。

4,5度音程の伴奏が出てきますが、この練習法もなるほどでした。
生徒さんに任せるのではなく、こちらから丁寧にアプローチする方法があります。


第20章ではクリスマスプレゼントにアクセントやテヌートをもらいますが、その弾き方を丁寧に教えて下さっています。

日本の先生の多くはこのような教え方は出来ていないかもしれません。
その記号の意味をレッスンでただ繰り返しているだけ、ということはないでしょうか。
この教本を使う前の私はそうでした。習い始めの生徒さんにこのようなことを教えていませんでした。


さて、今回自分自身のためになったこと。

それはメトネルのノート。
メトネルは自分の練習や生徒のレッスンで、気付いたことや考えたことをノートに書き留めたそうで、その中のメモが7つも紹介されておりました。

イリーナ先生はご自分の生徒さんにもこのメモを渡し、ピアノの上に置いて頻繁に読み上げるよう親御さんにもお願いしているとか。

私は自分用に紙に書いてピアノのそばに置いておこうと思います




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロコフィエフ短編集

2022年10月16日 | 書籍紹介

プロコフィエフが短編小説を書いていたことをご存知でしょうか。

私は知りませんでした


あのような音楽を書いたプロコフィエフが、どんな小説を書いたか興味が湧き読んでみました。

全ての小説を読んだわけではありませんが、読後感が私にはなんだかモヤモヤ・・
読み始めた小説は途中で飽きることなく読めたので、つまらないということではないです。


プロコフィエフには悪いのですが、小説よりも巻末にある「日本滞在日記」の方が興味深かったです。

東京、横浜の印象や、ウラジオストックから敦賀に到着した時の日本の景色に魅了された様子、アメリカに行くための資金として、日本でコンサートをした時の観客の様子など、面白く読みました。

当時の日本の観客を、「非常に注意深く聞いているが、わかっていないのは明らか。彼らにベートーヴェンのソナタを聞かせようが演奏者の即興を聞かせようが、違いがわかりはしない」と。

コンサート前に2カ月半もピアノを弾いていなかったそうで、そろそろ練習しないと、と言いつつこんな客相手では努力に値しないと。

技巧的な曲だけは拍手が多かったとも。
東京のコンサートでは「悪魔的暗示」を音楽家たちから要請され、プログラムに入れたと。


短編小説は、旅の間にピアノに触れる機会がほぼなかったので執筆に没頭することになったようです。
ニューヨークに渡ってからは本格的な音楽活動を再開したので、おのずと小説の執筆は減っていったそうです。


プロコフィエフ・ファンの方は是非読んでみて下さい。
いや、ファンの方はもう読んでいらっしゃいますかね・・
ファンじゃない方は気が向いたらどうぞ。


プロコフィエフ短編集 (群像社ライブラリー 22) | セルゲイ・セルゲーエヴィチ プロコフィエフ, エレオノーラ,サブリナ, 菜穂子, 豊田 |本 | 通販 | Amazon

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木雅明氏 フーガの技法

2022年10月15日 | コンサート情報

紀尾井ホールで鈴木雅明氏のフーガの技法を聴いてきました。



フーガの技法をコンサートで聴けることなぞ、一生に一度かもしれない。
しかも、チェンバロの演奏。

これは行かねば!、とワクワクしながら聴きに行きました。


貴重な機会でした。

フーガの技法全曲とプログラムにありますが、そもそも謎に包まれたフーガの技法の全曲とは?と、鈴木氏。

印刷譜にあり演奏できるものは全部弾こう、ということだと。


フーガの技法はバッハが印刷出版を目指して作業を進めていたものの、ロ短調ミサを完成させることや体調悪化のため、生前に印刷譜を完成させることはできませんでした。

印刷譜の12曲目くらいまではバッハも携わっていたらしいのですが、その後は次男エマヌエルらの考えで進められたのでは、と曲目解説にあります。


鈴木さんは11曲目まで前半、後半は1人では演奏不可能な楽譜もあることから、数曲を除き息子さんの雅人さんと2台のチェンバロで演奏。


前半と後半の初めに、鈴木さんが簡単な曲紹介をして下さり、テーマと、その反行・逆行など弾いて下さいました。

後半の正置型・倒置型の説明もして下さいました。

フーガの技法はオープンスコアで書かれていて(大譜表ではなく、一声部ごとに分けて書かれた楽譜。なので、何の楽器のためかが余計に分からない事態になっているのですが、おそらくチェンバロのためだろうというお話でした)

倒置型とは、Sop.をBass.に、Alt.をTen.に置き換えても曲になると。
正置型の後、続けて倒置型を演奏されていましたが、本当にバッハは凄い。


今、大人の生徒さんで、満を持して平均律第1巻の第1番を弾いている生徒さんがいます。
密接進行が非常に多いフーガで、あとから出現するテーマは調性が異なるのに、前のテーマと重なっているにもかかわらず全く違和感がない。

これは一体どういうことだと、頭の中がグルグルしてしまいますが、バッハはこういうことが出来てしまう。

どうやって作っているのか‥と、いつも不思議です。


鈴木さんはこの20年バッハの曲の録音をしてきて、フーガの技法は最後に録音しようと取っておいたと。

取っておいたら、パンデミックで今度は待たされたと。
お話も非常に面白かったです。


プログラムの最後から2番目、これは未完のフーガです。
音楽が勢い付いてきたところで突然、音が止みます。

バッハが生きていたことを何故か強く感じました。

そして最後の曲は印刷譜にある通り、コラールでした。
ニ短調のフーガの技法の最後がト長調のコラール。バッハ自身は印刷曲集に加える意図はなかったはずと、とても良く書かれている木村佐千子さんの解説にあります。

未完のフーガの後にこのコラールを添えて出版した人の想いを汲んで、今日は演奏してみよう、と鈴木さんのツイッターにありました。


最後にこのコラール。
良かったです。あって良かったです。
<我ら苦難の極みにあるとき/ Wenn wir in höchsten Nöten sein.>というコラールです。

聴いていて、これはオルガン曲だなという印象。
調べてみましたら、同じ曲を死の間際に<汝の玉座の前に今ぞ歩み出て>という曲名にしてオルガン曲にしたとか・・

そんな元気があっただろうか・・と、疑問。

フーガの技法の未完のフーガがバッハの絶筆と言われていたり(これは次男の作り話説有力)、このオルガン曲に改編した<汝の玉座の前に今ぞ歩み出て>が絶筆と言われていたり・・

結局、分からない、が正解。


あの未完のフーガ。
なんだか、突き刺さりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生徒さんのアイディアで

2022年10月13日 | レッスン

オリジナル曲集を使って読める音域を広げる作戦決行中です。

今日は「アンキロサウルス」を1オクターブ高く書く宿題を、さらに1オクターブ高く書いてきた生徒さんがいました。

加線たっぷり。


生徒さんが、この高さで弾いたらどんな感じになるだろう、と言うのでやってみよう!となりました。

私はきっとかわいくなる、と思っていました。


ところが、孤独感がヒシヒシと伝わって来るではありませんか。

オー、いい


生徒さんが、「氷河期になって最後の1匹になった」と。

オー、それはもう絶望の世界。


じゃ、全部この高さで通してみようとやってみました。
ところが全部通すと、だんだんかわいくなっていきます。


ん~ 、こんな予定ではなかった・・





前半を高くして後半を低くしてみてはどうだろう、と思い弾いてみました。
それがこちらです。



いいかも
しかし・・・
この音の出し方は問題あり‼

実は不思議上巻は合わないかと思い、こちらの生徒さんはピアノアドヴェンチャーから始めたのです。

しかし、弾き方が良くならないので途中から不思議上巻に変えました。
元々こう弾いてしまうタイプだったのだと思うのですが、下巻に入っても改善できないでいます・・

ピアノという楽器はどう弾いても音が出るので、どの音が良い音かを聞く耳を育てるのは、なかなかたいへんな事です。


でも、この曲を気持ちを込めて弾いています。
だからこそ、もっと良くなる可能性があると思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加線

2022年10月12日 | レッスン

オリジナル連弾曲集にある「もりの月夜」



この曲は聞き覚えで弾いてもらおうと編曲した曲です。
しかし、うれしい誤算が。


この曲集の音域を、生徒さんに1オクターブ高く・低くとノートに書き直してもらっています。
不思議な音の国下巻の音域を上下1オクターブずつ増やし、下巻の途中から他の曲集を併用するためです。


加線を使い、4オクターブの音域が自力で読めると選曲がかなり自由になります。
不思議な音の国は細かなテクニックを必要とするので、見かけより結構難しい教本です。

なので、読める音さえ増えればクラシックの小品を集めた本格的な曲集でも案外怖がらずに使えます。


さて、こうしてノートに書き直してもらい、ある日「もりの月夜」を弾くことにした生徒さんがいます。
ふと、もしや読めるかもしれない、と軽く説明しながら読んでもらうと読めるではありませんか。

おー 、こうしてこの曲と最後の曲は自力で弾くことができる!と、知ったのでした。


こちらの生徒さんは、昨年11月からピアノを始めました。
そろそろ1年になります。

今日は不思議な音の国下巻の「小さなネズミ」を宿題にしました。
加線の読み方も分かり、不思議下巻もここまで進んだので、連弾曲集が終わったらDie Russische Klavier Schule 1を使い始める予定です。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作曲家を知ろう! サン=サーンス

2022年10月03日 | 作曲家を知ろうシリーズ

今月生徒さんに聴いてもらう作曲家は、サン=サーンス。

誰もサン=サーンスの名前を知りませんでした。


そうかぁ、そういうもんなんだな··
サンが苗字?
=って何?

と、聞いても見てもわからない名前なので、どの生徒さんも全くピンと来ない顔で紙を受け取っておりました。


動物の謝肉祭、気に入ってくれると良いなぁ··

サン=サーンス | Composer Sakkyokuka

Composer Sakkyokuka

 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする