おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

続・緊張による手の震え

2012年04月29日 | 緊張について
緊張による手の震えを止める薬を、再び試す機会が訪れました。

初めて試した時は全く震えませんでしたが、実は半信半疑でした。
考えにくいことではありますが、震えなかった時と偶然重なっただけかもしれないと思いました。

1週間後、再び演奏の機会がやってきました。

私は演奏する場所やお客様の人数に関係なくいつでも震えますので、リハーサルの時間に合わせて薬を飲みました。
震えてほしくない時間の30分~1時間前に飲むと良いそうです。

結果・・・

やはり震えませんでした。
驚いてしまいます。何十年もこの震えに悩まされてきたというのに・・

本番で震えないとわかると練習も違ってきます。
日々の練習で確実にできるようにしておいたことは本番でも出来るとわかるので、練習の質が違ってきます。

やっと人並みのスタートラインに立てた気分です。


                   
           


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緊張による手の震え

2012年04月16日 | 緊張について
緊張すると手が震える方がいらっしゃると思います。

これは普通のことのようですが、ピアノを演奏する時にこれが強く現れると大変困ります。
私は学生の頃からいつも手が震えていたので、頭のどこかにその心配は常にあったように思います。

弾き始めは何ともないのですが、演奏の途中からよく震えていました。
震えが始終続くわけではなく、演奏途中でそれが突然止まることもありました。

学生の頃、先生に相談しましたら、「じゃ、弾く前に手を振っておけば?」と言われました。
冗談かと思いましたがそれを実行した所、驚いたことにほとんど震えませんでした。

それ以来、演奏前には必ず体をほぐすようにしました。
歩きながら肩や肩甲骨を動かしたり、腕を伸ばしたり、屈伸をしたり・・
このようなことは他の方もされていると思います。

これでずいぶん長いこと震えを恐れることはなかったのですが、ここ数年事態は変わってきました。
体をほぐしても全く効果がなくなってきたのです。

副交感神経が働くように睡眠や食事に気をつけたり、呼吸もこれまで以上に意識しましたがどうにもコントロールできなくなってきたのです。

この仕事を続けている限り、最低でも発表会での講師演奏は避けられないのでこれは深刻な問題です。

そこでネットで緊張による震えについて調べてみましたら、何と遺伝性の「本態性振戦」というものがあることを知りました。
そしてこの震えは薬によって止めることができるようなのです。
しかしすぐには飛びつく気になれず、何とか自力でコントロールしたいと思い、演奏の1週間前から食事メニューに気を付け、前日には睡眠を十分に取ることをこれまで以上に確実に行いました。

それでもやはりダメでした。
演奏が止まってしまうことはないのですが、何せ手の震えが大きいのでミスタッチが多くなるのです。

もうこれは耐えられないと思い、神経内科に行きました。
診察程度では緊張しないのでその時は全く手は震えませんでしたが、話を聞くとどうやら本態性振戦であろうということで薬を出してもらえました。

そして、いよいよその薬の効果を試す時がやってきました。

結果は・・・

全く震えませんでした。
人前で演奏して演奏することをこんなに嬉しく思えたのはいつ以来か記憶にないくらい久し振りでした。

少しは勇気を持って演奏に臨めそうです。


                   



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「シチリアーノ」 J.S.Bach:Orgelkonzert nach Vivaldi BWV596 d-Moll

2012年04月04日 | 楽譜の話題
J.S.Bachの「シチリアーノ」と言えば、フルートソナタ第2番の第2楽章を思い出されると思います。
ケンプがピアノ用に編曲しているのをご存じの方も多いと思います。

しかし、今回話題にする「シチリアーノ」はそれとは違う曲で、オルガン協奏曲にあるものです。

Arcadi Volodos が、2009年にウィーンのムジークフェラインで行ったリサイタルのアンコールで演奏した曲です。
1度聴いただけで惹かれてしまい、早速ピアノ用に編曲された楽譜を探し始めました。

これもケンプが編曲しているのだろうか、それともブゾーニ?いやコルトーかも・・と、探してみましたが
いずれもハズレでした。

元は、J.S.Bach が Vivaldiの「Concerto Grosso op.3-11」をオルガン用に編曲したものです。
BachはVivaldiの作品を編曲することで勉強をしていたようです。Volodosが演奏したのはこの第2楽章のラルゴです。

さてさて、ピアノ用に編曲された楽譜はなかなか見つかりませんでした。
Volodosの他にもこの曲を録音している人たちがいました。Cortotも録音していました。
他に、Alexandre Tharaud,Yvonne Lefebure,Ray Levといった人たち・・

どうやら皆さん、ご自分で編曲されているようです。
と言うわけで、ピアノ用に編曲された楽譜は見つけられませんでした。

オルガンで演奏されたものを聴くと足鍵盤が少なさそうでしたので、これは自分で編曲できるかもしれないと思い、今度はオルガンの楽譜を探し始めました。

どこの出版社から出ているのかわかりませんでしたが、適当に探している内にEdition Petersから出ていることがわかりました。
送料が驚くほど安かったので本当に届くのか心配でしたが、5週間くらいかかり無事に届きました。
楽譜専用と思われるしっかりとした梱包でした。


              
楽譜が折り曲がらないようになっています。



第2楽章の冒頭です。足鍵盤は冒頭部と終結部のそれぞれ2小節半だけです。

Volodosの演奏です。
Arcadi Volodos Vivaldi 'Sicilienne' 1 03 2009
          


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鍵盤を見て弾くこと(第8号)

2012年04月02日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノを弾く時に鍵盤をどのくらい見ているものでしょうか。

実はあまり見ていないと思います。触れた感じで大体わかります。
それから、頭の中に鍵盤があって音を出す前にはそれがイメージされています。

ところが鍵盤から目を離すことなく、ひたすら下を向いてピアノを弾く子供がいます。
顔を上げて楽譜を見ながら弾くことがなかなかできないのです。
そうすると色々と不都合が生じます。その中の一つに、目で追えるだけの音しか弾くことができなくなり、目で追えるスピードでしか弾くことができなくなるということがあると思います。

生徒には自分で楽譜を読む力をつけてほしいとともに、たくさんの音楽を自分で楽しめるようになってほしいと思います。
そのためにはできれば楽譜を見ながら弾けるようになってほしいのです。





さて、なぜ鍵盤を見ずに弾けないのでしょう?

音感の問題もあると思います。木製鍵盤ではないもので練習していることも関係しているかもしれません。
他に、もしかしたら空間認知の力が関係しているのではないかと思っています。
この辺りに「ド」があるとか「ファの♯」があるとか推量する力、そして自分の手がその時どのような形になるかを思い浮かべる力です。

空間認知を鍛える方法で、ポケットの中に小銭を入れて手で触っただけで何円玉か当てる方法があります。
私はこれを利用して、布製の袋の中に大きさの違うスーパーボールや小さなマスコット類を入れて、それを当てるということをしています。
初めは右手、次は左手。慣れてきたら、私が指定したものを探してもらったり2個同時に手に持ってそれを当ててもらったり。

2個同時は説明だけでは生徒にはわからないので私が例を示します。ところが時々間違えます・・・ 
似たものを入れているのです。しかし、先生でも間違えるのだから自分もやってみようと生徒は怖がらずにやってくれます。

ほとんどの生徒は私よりよく当てられます。
これをやった後に、「袋の中にあるもの見ないでこんなに当てられたんだから、ピアノなんて見なくても弾けるんじゃない?」
と言うと、みんな驚くくらい鍵盤を見ずに弾きます。
中には意地でも見ないと感覚を研ぎ澄まして弾く子もいます。そしてこれが結構ちゃんと弾けるのです。

どうやらみんな、自分は鍵盤を見なければ弾けっこないと思っている節があります。
きっかけ作りに試されてみてははいかがでしょうか。

来月は、両腕の感覚と姿勢について書かせていただきます。
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「まん中のドが探せない」子供(第7号)

2012年04月01日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノの鍵盤は88鍵あります。そして白と黒に分かれています。

初めてピアノを習う生徒さんには、黒鍵が2つ並んでいる所と3つ並んでいる所をそれぞれグーやパー、
もしくはチョキでやさしく弾いてもらいます。
2つ並んでいる所だけとか3つ並んでいる所だけと決めて行います。

すると、小学生で2つも3つも区別がつかない子供がいます。
数はかぞえられます。しかし、見ただけでは区別がつかないのです。
2つの黒鍵の方が数が少ないから狭く、3つの黒鍵の方が数が多いから広いということが分からないのです。

これは空間認知に関係しているのだと思います。

いつまでも「ド」の位置を覚えないからこの子はやる気がないのだと思わないで下さい。
こちらが想像していないことでつまずいていることがあるのです。
「ド」が探せないのは、2つと3つの黒鍵の判別ができていないからです。
  
このような生徒さんにはどうしたら良いでしょう?

私はよく、クラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」(日本ショット)という本を使います。
習い始めの生徒には必ず使っています。(途中までですが)
                                          
この本は絵を見て弾くというもので、音符は一切読みません。子供が書いた絵がたくさん載っています。
生徒たちはこの絵に興味津々です。ジーッと見つめて「ヘンな顔」とか「ここがヘン」などと言っています。

この本の初めの2ページに黒鍵に手をのせるものがあります。
「シマウマさん、こんにちは!」と「ヨタヨタあるきのアヒルさん」という題がついています。

「シマウマさん、こんにちは」は、2つの黒鍵、3つの黒鍵、さらに5つの黒鍵に平手で手をおいていくものです。
両手を重ね、下にある手を先にぬいて次のグループに進みます。初めは2つの黒鍵群だけに手をおき、それができるようになったら3つ、5つと行います。5つは子供の手では置ききれないので私は行っていません。
「ヨタヨタあるきのアヒルさん」は、2つの黒鍵に左手、3つの黒鍵に右手をおくものです。

これらは手の触覚から黒鍵の区別をつける狙いがあるようです。

同じページに、白鍵のシドとミファの間にハガキを挟む方法も書かれています。
区切ることで2つと3つの区別がつきやすくなりますが、見ただけで幅の違いが分からない生徒さんにはこれだけでは足りません。

物の長さの違いが見ただけでは分からない生徒さんのために、「パタパタ定規」というものを考えられた学校の先生がいらっしゃいます。
同じ幅のプラスティックの板をつなぎ合わせてそれを折りたたみ、パタパタ広げて長さを知るというものです。
例えば、Aの棒は3回パタパタさせた、Bの棒は4回。だからBの方が長いという具合です。
これをハガキで区切った部分に使えばよいわけです。
私は名刺大の紙をつなぎ合わせて使っています。これはリズムの長さを感じにくい生徒にも使うことができます。
1拍が「パタ」なら2拍は「パタパタ」というように。

見るだけでは分からない生徒さんにレッスンの度にどこが「ド」か聞いても、できない、わからない感情を
どんどん植え付けてしまいます。

「ふたつの手・12のキー」は図形に対する理解力という前提から4~7歳の生徒を対象として構成されているとあります。

鍵盤にシールを貼る前に試されてみてはいかがでしょう。




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「2つの手・12のキー」日本ショット
ユニークなテキストです。絵しかないので子供は理解しやすいようです。
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