おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ピアノと弦楽器

2024年06月29日 | 重力奏法

声楽や管楽器は息を使い音を出します。

弦楽器は直接音を出すのは弓です。
左手は弦を押さえ音程を作り出し、右手は弓を持ち弦をこすります。

その弓の当て方で音の良し悪しが決まるようです。どこに当てるとか細かなことはあるようですが、最初に必要なことは弓に腕の重みを載せられるようにすること。

左手で速いパッセージを頑張って動かせたとしても、その音を届けるのは右手の役割です。


さてさてピアノはと言うと、音程を作るのはピアノ自体がしてくれます。それは調律師さんという特別な方のお仕事とも言えます。なので、ピアノ演奏は一人では完結しないのです。

音を鳴らすことに絞って話を進めると、ピアノは鍵盤を下に動かすとダンパーが上がりハンマーが弦を叩いて音を出してくれます。

どう鍵盤を下げてもハンマーが弦に触れるところまで上がってくれると音は出ます。


不用意にちょっと触っただけでも音は出てしまいますが、その音では音楽としては適したものになりません。物に軽くぶつかっただけですので、何かにぶつかった音を集めても音楽にはなりません。これは雑音と言います。

ではしっかり叩いてはっきりした音にしよう!これもあり得ません。人はこれを騒音と言います。
ガンガン叩いた音を集めても大迷惑です。


だからピアノは腕や体の重みを使って音を出します。そうするとコントロールの効いた良い音が鳴ってくれます。

弦楽器は両手の役割分担が目に見えますが、ピアノは両手で同時にそれをしています。
鍵盤を押さえ、音を鳴らす。

しかも道具を直接使って奏者が弾いているわけではないので、それが非常に分かりにくい。


重さは力を抜くことで得られます。力が入っているとキツく固い音になり、そして音自体が鳴りません。
指の力みが音の固さに直結する楽器です。速いパッセージが弾けないというだけではないのです。

力んでも速いパッセージが弾けるよう無理な練習を続けると手を痛めます。
まだ速いパッセージが弾けない小さなお子さんでも、力んだ指の音は痛々しく気の毒になります。ピアノはそのような指で弾くものではありません。


腕を自由に使うためには体を支えなければいけません。だから体を安定させられる姿勢が必要なのです。腰と背中と足で体を支えます。

重さはリラックスさせた腕から生まれます。
その腕は肩と指先で支えます。

これがピアノという楽器の最初の一歩です。

そこを飛ばしてレッスンを始めてしまうことが浸透しすぎています。
教える方もそう習ったからですが、もう気付いても良いと思います。本当にどうにかならんのかと思います。


因みに、ヴァイオリンのかたが弓に重さを載せる感覚を掴むのに次のような事が書いてありました。

「机の前に座って、机の上に手のひらを置きます。このとき、手首の関節から腕よりの部分(前腕と上腕)は机に付かないようにします。この状態で手の力を抜いていくと、腕の重みが手のひらに乗るようになりますね。この状態が基本だと思います。

次に、腕の重みを手のひらにのせた状態で、手のひらを左右に滑らせてみます。そのときに、腕の重みを軽くせず、重みがそのまま乗っているようにするのがコツです。これをやってみると、予想外に手のひらに重みが乗っていることに気づくと思います。」


私はピアノの上で説明のためにこの動きをすることがよくあるのですが、実際に生徒にしてもらったことはないので、今度机の上かピアノの蓋を閉じて椅子を少し高くして試してみようと思います。


上の文章はこちらにあります。

弓に腕の重みを乗せる練習 | バイオリン弾きが考えること

楽器からしっかりした音を弾き出すためには、弓に腕の重みを乗せる必要がありますね。しかし、これは結構難しいものです。というのも、弓が弦に触れる点を腕で直接押...

バイオリン弾きが考えること

 


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作曲

2024年06月27日 | 不思議な音の国

グループレッスンから移動してきた小学1年生の生徒さんに、音の読み書きを兼ねて曲を作ってもらいました。

少し前にご紹介した生徒さんとは別の子ですが、もう一人の生徒さんと同様に真ん中のドより1オクターブ高い音域辺りでト音記号の方に書いて来て、左は左で別の曲を作った様子です。

両手で弾くと曲にはならないという具合です。



2人の書き方を見て、そうか、メロディーを左右で受け渡して弾くという感覚はないのだと気付きました。

どちらかの手でメロディーは続けて演奏されるものという認識なのだと思います。


不思議の下巻を使っていますが、こちらの小学1年生の生徒さんはグループで音の読み方を習わず曲を覚えて弾いてきたので、ピアノ個人を始めてちょうど2ヶ月経ちましたが、まだてんやわんやです。

なにかひとつに時間を取られると曲を渡したくとも渡せず、ピアノを弾くことに時間がしっかりと取れない状況です。


そりゃそうです。

手の使い方を覚えながら、音の読みも覚えて、きちんと習わなかったリズムや拍子、音楽用語を同時進行で覚えているので30分では全く足りません。

本当は音の出し方を優先したいのですが、そうすると楽譜を読まなくとも良いと思われてしまいそうで、結局それをしながらになり··

そうすると本人や親御さんは簡単な曲ばかり弾かせるけど、なぜ ? になり··

読めるようにすることを優先すると、理解力が割と良いお子さんなので、良くない弾き方でも弾けばいいで練習してきそうで、なら弾き方をきちんと教えて宿題にしたく··



本当にグループレッスンの経験は厄介です。

グループの中では物覚えが良く、他の生徒さんのペースに合わせると手持ちぶさただったのでピアノ個人に移動して来たのですが、ピアノ個人にしては知らないことが多すぎるのが問題なのです。

せめて音の読みが確実に理解できるところに達してくれると、音の出し方に時間を割けるので、聞き覚えで弾いてほしい曲をどんどん渡せるのですが··



愚痴を書きました

このような生徒さんの対応はメソッドを変えてから非常に難しく感じます。以前は音が読めないだけだと大して気にしていませんでした。

他の先生方はどうされているのでしょう?


長くなりましたが、この生徒さんが作った右手のメロディーを真ん中のドの上下の音域で両手でメロディーを受け渡して弾くように書き換えてもらいました。

最初の小節だけレッスンで一緒にやり、残りはこんな感じでお家でやってみてが宿題だったのですが、結局書けておらず、レッスンで一緒に全部やることになったので、この日はこれで時間が取られたのでした。

でも、いい曲です。

私のアレンジはパターン化していますが、この曲を駄目にしないようにと思って作りました。


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予想外に良い

2024年06月26日 | レッスン

「みみをすます」というソルフェージュの本の両手のリズム打ちで、1拍目の4分休符を何度も忘れる生徒さんがいたので、こちらをやってみました。



Level1をしました。そうしましたら、本に戻った時に余裕で叩けました。


何だったのでしょう・・

休符と音符のドラムの音を変えてあるので、区別し易く、自分で叩く時も別の音の感覚になったのかもしれません。

手だけで叩いたり、ピアノだけで弾くと同じ音の羅列に感じるのかもしれません。


このシリーズは生徒さんたちが楽しんでくれます。気分転換にもなります。
私も気分転換になります。




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音のマンション

2024年06月23日 | 不思議な音の国

音のマンションに「不思議な音の国」のキャラクターを並べてみました。


「真ん中のド」は、右手で弾こうが左手で弾こうがひとつしかないのですが、そこを正しく覚えてほしいと思いましたので。


音が読めなくなる最初のつまづきは、大体、ト音記号「レ」とヘ音記号「シ」です。

そして、音の高さがあやふやになるつまづきはト音記号、ヘ音記号で書く「真ん中のド」です。


「真ん中のド」はひとつしかありませんが、右手で弾く時と左手で弾く時で高さを変えてしまう生徒さんがいます。

「ここはとっても大事な所だから、よく聞いて!」と釘を刺して話し始めても、言った尻からです。


少し前に上下巻で習うキャラクターたち全員を5線に並べたものを作り、それでだいぶ分かるようになったのですが、それでも全員理解できたわけではなく、もう一段階身近なものに変換する必要があると思い、音のマンションを作成しました。


結局は練習量だと思います。

目で見たものが鍵盤のどの場所で、どんな音が聞こえるのかは実際に何度も弾いて耳が覚えてくれない限りは覚えられないと思います。

それでも、なにかできないかと策を練れるのは子どもたちに関わっていられるからで、ありがたいことです。


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上巻修了後が良かったか

2024年06月22日 | 楽譜の話題

ヘンデルのパッサカリアを連弾に編曲した曲。

ノンレガートで弾け、中間部は2音のレガートになります。


この曲を最初に知ったのが「不思議な音の国」下巻に生徒さんが入ってからでしたので、これまで上巻修了の生徒さんしかこの曲を弾いてきませんでした。

昨秋から新しい生徒さんが入り、上巻でも使えるのではないかと思い、上巻のリピート記号の所に進んだ生徒さんに1カ月くらい前からこの曲を渡して練習をしてもらっています。

弾き方が上手な生徒さんですが、拍を数えることが難しく、そこで手こずっております。



以前弾いてもらった生徒さんたちも、実は中間部の拍を数えるのがたいへんでした。あっさりとできる生徒さんもいるのですが、少し練習が必要な生徒さんもいました。

ただ、今回上巻の生徒さんに弾いてもらって思ったのは、上巻ではまだこの曲は早いのだということ。

もう一人同じように上巻の生徒さんに弾いてもらっていますが、やはり同じ状態です。

音は綺麗でも、弾きながら拍やテンポを感じ取ることは、まだ経験が少なくちょっとやそっとではできないのだと知りました。




4月に下巻に入った別の生徒さんがいるのですが、その生徒さんは最初は長い拍を正確には数えられませんでしたが、少し練習をしたら出来るようになりました。

思いの外、上巻全曲を弾いた経験値は高いのだと知りました。


上巻の内は、曲に合わせて手を叩くことは出来ても、自分が弾きながら拍を数えることはまだ難しいと思っておいた方が良さそうです。

なので、歌いながら手を叩くことをしっかりとやろうと思います。
教室が広ければ歩きながらが良いかもしれません。


今さら気付いたパッサカリア、でした・・


彼女は下巻に入って1カ月位経ってからこの曲を弾いたと思います。2音のレガートまで進んでからだと思います。

これから、そうしよう・・

この頃の彼女は素っ気ない弾き方でしたが、今はこの頃より良い演奏をします。

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作曲

2024年06月17日 | 不思議な音の国

グループレッスンが解散になり、ピアノ個人のレッスンを始めた生徒さんがいます。

その生徒さんに不思議な音の国上巻にある作曲のページをしてきてもらいました。



書いてきてくれたのを見て、あーそうか、「ラシドレミ」の音を使っての説明が不十分だったなと。

真ん中のドから上下に音が増えていく教本なので、鍵盤のこの場所と話はしたのですが、この生徒さんは既にもっと広い音域の音を知っているので、上のように書いてきたのでした。


ト音記号の高さを基に連弾にアレンジしてみました。
両手で別々の音は弾けるので、初めてピアノを習う生徒さんとは違うアレンジにしました。

以前他の生徒さんの曲で似たものがあったので、気付けばアレンジも同じようなものに・・

やはりプロはプロなんだなと思うのでした。



アンサンブルになりますが、バッハのあれに似せてみました。

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削除してしまった

2024年06月16日 | フォルマシオン・ミュジカル

4年前に見つけ、レッスンで時々使っていたリズムの練習が出来る動画を削除してしまいました・・

持ち運べるようにタブレットに保存し、パソコンには必要ないので入れておりませんでした・・


しばらくショックで、ぼーぜんデス


仕方がないのでまた探すかと、同じものを探しましたがどうしても見つからないものがあります。

どの生徒さんも好きなリズム打ちだったので、ガックリです


しかし、新たに面白いものも見つけました。新しく活用できそうなものがいくつかあります。

その中のひとつにこのようなものが・・



8分音符の速さが分からなくなる生徒さんがいるので、これで練習しようと思います。また、拍も分かるようにしてくれているので助かります。2分音符はピョ~ンになっておりますが・・

ラスボスらしきものが出てくると、テンポが速くなるのも良いです。
8分音符の速さがテンポによって変わることが感じ取れない生徒がいるので、これでわかってくれることを期待します!

それにしても、この動画を作るのは手間が掛かったと思うのですが、作るのが好きな人がいて有難いです。
音楽に合わせて拍を置くのも結構面倒なのですが、このようなアプリがあるのか・・

作ってくれて助かります。

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習い事を長く続けること

2024年06月14日 | レッスン

中学受験で習い事を一切やめ、勉強一筋にするというご家庭は少なくないと思います。

私の所も全員ではありませんが、何人かはこの理由でピアノを辞められた生徒さんがいます。


それぞれのご家庭で考えて決められたことなので、私もそれに反対したことは一度もありません。

生徒さんの進度によっては、両立は明らかに難しいと思うこともあります。
しかし、本当に両立は困難だろうかと思う生徒さんもいました。周りの人たちに流されてそうしなければ合格できないと思ってはいまいかと。


最近読んだ本に、勉強と習い事の両立について書かれていました。

それによると、受験で習い事を辞めることはしない方が良いと。しかも両立は可能であると。勉強一筋にしてしまうと、燃え尽きさせる原因になるそうです。


頑張って志望校に合格しても、自分より上の子はいるわけで競争は続きます。勉強だけをしてきた子がその状況に入るとモチベーションが持たないと。学校の先生もそれで困っているそうです。

受験勉強中も習い事を続けてきた子はいるわけで、その子たちは困難な状況でも「やり抜く」という宝を手に入れ、辞めてしまった子との間にはメンタルの強さと習い事の上達に差が出ます。


この「やり抜く」力は、大学受験、就職、キャリア形成において目標を持ってチャレンジを継続できることに繋がるとあります。



困難な状況でも続けることが出来た自分には、自分を信じる力が育って行くと思います。

チャレンジして上手く行かなくとも、また頑張ろうと思えます。すぐに立ち直れなくとも、ちゃんと立ち直れます。

自分で精一杯やった気持ちは、いつか自分を幸せな気持ちにしてくれると思います。


ピアノを続けてプロになってほしいなんて思ったことはありませんが、ピアノを続けることで「やり抜く力」が付き、いつか幸せな人生だと生徒さんが思う日が来てくれるなら、両立が可能だと思う子にはこの話をしてみようかと思います。

ピアノは自宅で出来るので便利です。例えば、
国語→算数→ピアノ5分→理科→社会→ピアノ5分のイメージで勉強すると、ずっと机に向かうより集中できるそうです。

でも、ピアノは弾き出したら止まらないかも・・
15分位すぐ経ってしまう気が・・

それが毎日じゃなければいいってことだな。


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写真の意味

2024年06月13日 | 不思議な音の国

不思議な音の国上巻の最初に、生徒さんと先生の写真、もしくは似顔絵を描くページがあります。

私はこのページは無視しています。自分の顔が人様の持ち物にあるなんて、恥ずかしくて、とてもとても貼ったり描いたりできません。

外国の方は家によく家族の写真を飾っているので、こういうのは平気なのだろうと思っていました。


今読んでいる本に、家族写真を家に飾ると子どもの自己肯定感が高まることが多くの研究者によってわかっている、とあります。

写真を飾ることで、あなたはこの家族にとって大切な存在というメッセージになるのだそうです。


これを読んでこの教本の写真の意味は、「あなたは私の大切な生徒」というメッセージなのかな、と思ったのでした。

イリーナ先生は生徒が先生の写真を見ることで、「練習の時もいつもあなたと一緒よ」という気持ちと話されていたことを今、思い出しました。


先生とのつながりを大切にされているのが分かります。

日本人も同じ気持ちになるかは、ちょっと分かりませんが・・

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求めよさらば与えられん

2024年06月12日 | レッスン

ピアノを始めて4年目の大人の生徒さん。

40代の方で、ピアノは大人になって初めて弾くという方です。


毎回、音が鳴らず、メモもよく取っていらっしゃるのですが、「練習してるとなんか違うけど、どうしたらいいかわからない」とよく仰います。

鍵盤に重さを載せることが上手くできていないからなのですが、もうこれは無理なのかな・・と思いつつ私もついつい言ってしまいます。


少し前に書きましたが、結局ピアノは重さで音を出す楽器。

歌や管楽器は息で音を出しますが、ピアノは体の重さ。
自分が直接音を出す止めるはできない宿命にあります。ピアノの中のハンマーやらダンパーやらがそれをやってくれています。

しかしそれをそのまま、ただ鍵盤を下ろす離すにしてしまうと、音楽にはなっりこない音になります。

しょーもない奴です・・

なので、少しでも歌うような音にするために鍵盤上で色々と試みるわけです。

腕をどうするとか、手首とか、指の支えとか、打鍵のスピードとか、方向とか。


そんな話をしましたら、その生徒さんはやっと重さとか手首とかの意味が納得できた様子でした。しょーもない楽器だから弾く人が頑張らなきゃいけないと、ざっくばらんに言ってしまったのが良かった気がします。

そして4年目にして初めて、本当にピアノらしい音がその生徒さんから聞こえてきました。

曲はショパンの前奏曲。太田胃散で有名なあの曲です。


その生徒さんはおっしゃいました、「なにか違うと思っていたけど、これか」と。

私は「いつもそうやって考えて、ご自分で色々と試されていたから、何が違ったのかわかったんです。これまでしてきたことは何一つ無駄なことではなかったんです」と言いました。

「回り道は回り道ではない」とその生徒さん。

まさに、その通り!完全同意です。


今の若い人は自分で見つけ出すことをしようとしません。
以前他の生徒さんに言われたのですが、自分で間違ったことをして直すのは無駄なことで、最初から答えを教えてもらってそれを覚えた方が効率的だ、と。


私は返す言葉がありませんでした。あまりに自分の感覚と違く、それに対して賛否さえ湧いてこなかったです。

今ははっきり言えますが、自分で見つけようとするから身に付くのです。
自分の何が違ったのかが分からないと、正しいものも分かりません。


今日は最後の生徒さんのレッスンを終えてドアを開けた時に、偶然スタッフの方が話している声が聞こえてきました。

「Z世代は言われたことしかしない。自分で考えて動かない」

その話をしていたスタッフは結構若い方たちで、ゆとり教育をばっちり受けた世代なのですが、その方たちがその下の世代をそう言っていたのには少々驚きました。


これからもっときついんだな・・と思いました。


求めなければ、道は開けないものです。
天から降って来るものを待っていても、自分の求めているものが落ちてくるとは限りません。

求めよ、さらば与えられん、です。

でも、何も求めないのが普通の感覚になってしまったらどうなるのでしょう・・

自分を磨くとか、より豊かな知識を身に付けるとか、知りたいと思う好奇心を持つといった感覚そのものがなくなってしまったら人間はどうなるのでしょう。


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ゲザ・アンダ コンクール

2024年06月09日 | コンサート情報

只今、チューリッヒでゲザ・アンダコンクールが開催されています。

このコンクールのことはよく知りませんが、Facebookを見ていたらドゥバルクが審査員を務めるというので、彼がコンクールの審査員を務めるほどもうそんな存在になっているのかと驚きました。

ドゥバルクと言えば2015年のチャイコフスキーコンクールで4位だった人物ですが、ピアノの勉強を本気で始めたのは20歳からという異色の経歴を持つ人です。

チャイコフスキーコンクール時に24歳。ピアノの勉強を本格的に始めてたった4年での入賞。ファイナルのコンチェルトはオーケストラとの共演の少なさが不利だった印象でした。

その後、活動は広がり今も活躍しているピアニストです。
ついでに彼の先生がエレナ・シェレシェフスカヤで、ドゥバルクを通して彼女を知りました。

はい、カントロフの先生です。


さて、まだ若手と思っていた彼が審査員を務め、しかもアルゲリッチもそこに名を連ね、コンチェルトのラウンドではプレトニョフ指揮、ファイナルラウンドではパーヴォ・ヤルヴィが指揮をすることを知り、何だこの豪華なコンクールは!と驚いた次第です。

ファイナルはこれからのようですが、そこに進出した3名の演奏をちょっと聴いておこうとセミ・ファイナルのモーツァルトのコンチェルトを聴いてみました。

ロシア人2人、ラトビア人1人がファイナリストです。

ロシア人はまさにこの音はロシア人の音。
美しく澄んでいて、聴いていて心地良いです。音楽だけにとらわれない教育を音楽学校でも行っているので、広い見識や受け継がれてきた芸術性が身に付いていると羨ましく感じました。


この3人を探す時に、偶然ケイト・リウと日本の・・・


あら?これを書いている途中で、優勝者決定の報が・・

ロシアのイリヤさんのようで。

偶然にも最初に聴いたモーツァルトのコンチェルトの演奏者でした。

ちょうど自分で練習中の曲なので、手に取るように音も音楽もわかる状態で、ロシア人の音はやはり美しい、アンサンブルも慣れてるなと思いながらモーツァルトという人が人と一緒に演奏することが心底好きで、喜びに満ちていて、それを後世の人たちとも分かち合ってくれるなんて、と感動しながら聴いておりました。


話が途中になりましたが、日本の久末航さんのモーツァルトも私は好きでした。音がスッと真っ直ぐに来ます。テクニックも安定感抜群というか、完璧、崩れる要素を感じさせない。好きでしたがモーツァルトの音楽と合っていたかというとどうかな?と思いました。

で、結果発表を見ると彼はファイナルには進出できませんでしたが、リスト・バルトーク賞を受賞されたようです。ベートーヴェン賞も受賞。

彼の演奏の印象は、日本人らしい整った美しさ。美しく盛られた日本料理のような・・。なので荒々しさはなく、どこまでもはみ出ることなく整えられた感じ。

演奏はまだ聴いておりませんが、たぶんこれらの賞の受賞は納得です。


ロシア人の音の美しさは、導入期のあの方法から生まれているのは確かだと思います。

ピアノの音を出す、止めるの最初の一歩はあれです。


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ドレミのネコちゃん

2024年06月09日 | レッスン

新しい生徒さんがいるので、ドレミファキャットを久し振りに使っています。

ステップ、スキップが分からないという小さな生徒さんに、このネコちゃんを使うと面白がりながら理解してくれます。


さて、今日は初めてこんな使い方もできたのか、と発見したことを。


不思議な音の国上巻のこちら。


上の楽譜は曲の途中部分ですが、5線に入る直前の1本線の楽譜です。

3つの黒鍵で弾きますが、線の音がここでは3つの黒鍵の真ん中の音にあたります。


1本線に白い丸だけが書かれているものがこの前段階にあるのですが、ここで大した抵抗感もなく弾いていた生徒さんが、白黒丸でリズムが付き、曲が少し長くなった途端、「わからない」となってしまいました。

確かに黒丸が多い曲なので、それだけで圧迫感があるかもしれません。

分からないことはないと思うけど、ん~どうしようかな?

あ!

あのネコちゃんを3つ並べ、線のすぐ下は「水色のネコちゃんの部屋」真ん中は「三毛」、線の上は「ピンクのネコちゃんの部屋」と話しました。


ネコちゃんで少し練習をした後、ピアノもここが水色のネコちゃん、ここが・・と話して弾いてもらいましたらスンナリ。


おー!こんな使い方もこのネコちゃんで出来る~


このページのあと、いよいよ真ん中のドを234と指を変えながら弾くものが出てきます。

はい、ここに来てまたしても、「わからない」と・・

それで、先程のネコちゃん登場。
ちょうど2の指の時に水色、3の指三毛、4の指ピンクのネコで弾いたばかりだったので、「ド」の音を今度は水色のネコちゃん、三毛猫、ピンクのネコの順番に弾けばいいだけ、と3匹を重ねてみました。


これでまたしても、スンナリ

左手の指番号は右とは逆になりますが、そこは深く触れず、この指から弾けば同じ歌になると軽く言って弾いてもらいました。


このようなことがさほど苦手ではないタイプのお子さんもいますし、あまり得意ではないお子さんもいます。

小学2年生以上になると問題になることはあまりありませんが、小学1年生までは様々ですので、難しい雰囲気を和らげて理解できるように工夫できると良いと思います。


私は今日はネコちゃんを使うかもしれないと持って行っていたので助かりました。


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シンプル化

2024年06月08日 | レッスン

今日、大人の生徒さんに話したこと。

管楽器や声楽は自分の息で音を出す、ピアノは重さで音を出す。

ピアノという楽器の困った所は、管楽器・弦楽器・声楽と違って自分自身で音を出す止めるが出来ない。

ピアノはメカニカルに出来ていて、自分が中に入って何かすることが出来ず、中で勝手に動いてくれるものに任せるしかない。

でも、そのまま中のものに任せていたら機械的で素っ気ない音になる。だから少しでもそれを和らげるために、鍵盤に重さを上手く載せて弾き、音が自然に消えるように手首から鍵盤を離す。

それがピアノの基本の弾き方です。

と話しました。


シンプルに整理するとそういうことだと思います。
音楽的にしようと思い、音を作り出す方法をあれこれ言いますが、基本はこの2つだけです。

重さを使って音を出し、自然に音が消えるように手首を使う。

力で音を出すと勘違いしている日本人は非常に多く、それをどの程度使うかは演奏者の考えにもよると思います。力の使い方、出し方はあると思います。力任せにガンガン弾くのは間違いであることは確かです。



今日は他の子どもの生徒さんのレッスンで、自分で言って「そういうことか」と今頃気付いたことがあります。

その生徒さんは3月からピアノを始めました。
実はピアノを習ったことがあるようですがそのことは知りませんでした。現在小学2年生。

習ったことのないテイで進めています。少なくとも弾き方は習っていません。

鍵盤の音の名前がまだ曖昧な所があるので、「ファソラシ・ワルツ」というものを上行下行ともに全ての音域でした後に、「かえるのうた」を音名で歌いながら弾きました。

3の指で弾いてと言いましたら、本人は他の指でも弾けると言いましたが、私は「3の指で弾くと手首が使えるから」と言いました。

と言って、そうか3の指で弾くと音を離すときに手首から離すことがしやすいんだ、と今頃思いました。


そう思っていたかもしれませんが、教えている内に私の頭の中も何か難し気な回路に陥っていたのか、芸術的思考に偏って行っていたのか、3の指が一番重さを載せやすく、離す時に手首を使い易い、という単純な理由を忘れていました。


ピアノという楽器がどのように音を出し、どうやって音を止めるか、それを教えることから始めるのが「不思議な音の国」の教本なのだと、シンプルにそれを最初に生徒や保護者の方にわかって頂ければ良いのだと思います。

他の楽器でしている当たり前のことをピアノでしたらこうなる、というだけの話です。


この方法でピアノを始めたら様々な技術を身に付けやすく、要らぬ苦労が減るはずです。
ただ、7年このメソッドで教えてきて、鍵盤に重さを預けることが苦手な人は存在すると思っています。力を抜くことが上手くできないのです。それは精神的なことが関係しているというのが私の考えです。


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一万時間の法則

2024年06月06日 | レッスン

いかなる分野においても卓越した技術の習得には「10000時間以上の計画的練習」が必要なのだそうです。

フロリダ州立大学のエリクソン教授が調査した結果だそうです。


以前、中国人の生徒さんに中国では10000時間練習したら上級になれると言われている、と聞きました。

中級は2500時間、初級1000時間、と言っていたと思います。


エリクソン教授の10000時間というのはプロになるための時間です。

ピアノでしたら14歳でコンサートの曲目は一通り勉強している場合が多いので、5歳から始めたら毎日3時間、7歳でしたら毎日4時間は練習している計算です。

そうかもな、と思います。



10000時間は特別枠の人たちの話ですが、一般の人がそこそこの上達を目指すとしたら2000時間なのだそうです。

2000時間をいつまでに達成するかが問題です。

1日5分を約66年続けたら2000時間です。そこそこというのは、ピアノでしたら最低ソナチネアルバムやツェルニー30番まで進んでいることだと思います。

果たして、6歳から習い始めたとして72歳でそこまで達しても、そこからショパンのノクターンやドビュッシーの月の光、はたまた革命のエチュード、別れの曲が弾けるかと考えるとほぼ無理です。

もっと早い段階で2000時間に達していないと、趣味でもそれらの曲を弾くことは叶わないと思います。


では、いつまでに2000時間を達成するかというと、
「小学校高学年から中学生」なのだそうです。そうすると、どんな分野の習い事でも頭一つ抜き出た上級者になれるそうです。


初級で1000時間はもしかしたら多いかもしれませんが、1日1時間練習すると3年で終わります。この調子で中級も続けたら中学生の途中で上級になれます。

この上級がどの程度のものを言っているかはわかりませんが、ソナチネアルバム、ツェルニー30番、インヴェンションは目安になると思います。

ここまで進んでくれると、古典派の譜読みしやすいソナタを弾くこともできますし、何年か経つとショパンやドビュッシーも弾けると思います。


小学校卒業までに2000時間クリアを目指すには、小学1年生から始めたとして毎日54分の練習が必要です。

これは不可能ではないと思います。
これで行くと初級を3年で終えることも全く難しい話ではないです。


計算上はこうですが、親子関係や周りの環境で思うように進まないのも現実・・

しかし、教える立場としては無期限に2000時間は先の見通しは立てられないので、やはり中学が終わるまでに達成することを目標にしたいと思います。

そうしたら生徒さんが受験でレッスンを辞めたとしても、自分で好きな曲が弾けるはずです。

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作曲家を知ろう!スペインの作曲家①

2024年06月03日 | 作曲家を知ろうシリーズ

今月はスペインの作曲家を生徒さんに聴いてもらいます。

来月と2回に分け、3人ずつ紹介。

スペインの音楽はエキゾティックで魅力があります。そしてギターの名曲が多いです。

ギターの曲を生徒に聞いてもらっていなかったので、ちょうど良いです。


モンポウを入れたかったのですが、どちらかというとサティの系統だなと思い、ここには含めませんでした。

実際に、フランス印象派の音楽に影響を受けた人です。サティを紹介してからにしようと今回は見送りました。


スペインの作曲家たちを紹介しようと思い付いたのは単純な理由です。
生徒のお父様でスペイン人の方がいらっしゃるので、そういえば全然取り上げていなかったと思い出し、まとめてみました。

アルベニスはピアノ曲がありますが、それ以外はギターの曲で耳にするだけでしたので、忘れていました。

ほの暗い情熱と物悲しさがグッとくる曲がたくさんあります。


スペインの作曲家① | Composer Sakkyokuka

Composer Sakkyokuka

 


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