おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ギャリック・オールソンのお話

2024年12月09日 | 重力奏法

ピアニストのギャリック・オールソン。

次のショパンコンクールで審査委員長を
務められるとのこと。


さて、今回ご紹介する動画。
オールソンさんがピアノを弾く時の手の使い方を
全て話して下さっていると言って良いほどの内容。



生徒さんには、習い始めからこれらのことを
身に付けてほしいと思い、日々レッスンをしているわけです。

なんて偉そうに書きましたが、
このことに気付いたのは、
私自身、現在、生徒さんに教えている教本を
使うようになってからです。

気付いてみたら、20歳の時から師事した先生に
よく言われていたことでした。

なのに、理解できていなかったのです。


私がこういうことかと解ったのは、
ノンレガートで、ある教本を丸々1冊弾いてみたからです。

全てはここから始まりました。

そして最も参考になったのは、
イリーナ先生が子どもたちにレッスンをしている
動画です。


決して器用ではない私がそこそこ出来ることなら、
他の方はもっと容易にできると思いました。

特に大人の生徒さんは、
弾き方の問題で行き詰っている場合が少なくありません。


なので、手の使い方、力の抜き方をレッスンで話すのですが、
「音符を追うのがたいへんで、それどころではない」
と、よく言われます。

逆なのです。

さすがに私でも、
音符を読むことがやっとの状態の方に
手がどうのとは言いません。

実際は音符は追えているのですが、
手の力みで動きがどんどん固まり、動かせなくなっているのです。
しかし、ご本人はその自覚がなく・・



1'38"辺りでのショパンの10度跳躍する所のお話。

もうこれは子どもを含めた生徒さんに
5度でも1オクターブの跳躍でもすぐに直せることなので
よく言うのですが、これをなかなか実行してもらえなく・・

実行しない理由は簡単です。
手を置いていた方が間違えずに弾けると思っているから、です。

それでは音楽は生きません。
生意気ながら私もよく「それじゃ歌うと、あ”-だよ」
そしてそのあと美しい声で歌えれば良いのですが・・

こういう時に歌が上手かったらなぁ、とよく思います。


オールソンさん、驚いたことに
ショパンエチュードOp.10-1のところで
若い頃にこのことは知らなかった、
あとから学んだ、と話されていることがあります。

弾けるかたが、最初から本当の奏法を
全て身に付けていたのではなく、
学び続けてあとから直していったということです。

励まされるお話です。


動画は概要欄にチャプター分けされていて
見やすいです。

5 Relaxationの話は、学生の時の
私だな、と苦笑いしました。

先生によく、鍵盤を押さないで!
と言われていました。

押している自覚ゼロでした。

今はコーヒーを飲みに行けていると
思われます。


腰を据えて、じっくりとご覧いただきたい
お話です。


Ten piano technique tips from Garrick Ohlsson
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直せる条件

2024年10月17日 | 重力奏法

最初に習ってしまったものを直すことは大変なことです。


指の力みなく、腕の重さを使って弾くピアノの普通の奏法を初歩の段階でちゃんと習わずに来てしまった人は少なくないかもしれません。


見る人が見ると、痛々しいです。


これを何とか直そうと試みるのですが、結局直せた人は、私の所では7年で2人だけです。

この2人は、一人は思いっきりハイフィンガーで指の力だけで弾くよう習ってきた生徒、もう一人は元々力みやすく指があちこち向いていた生徒です。


2人とも、真面目に練習をする生徒さんです。

ハイフィンガーの生徒さんは、先生のおっしゃることを忠実に守って練習を1年間頑張り続けたそうです。

1年経って、お母様がこれは何かおかしいと思い、教室を変わられました。


力みやすい生徒さんは、3カ月しか習っていませんでしたが、弾き方を教わらず、とにかくたくさん練習をした生徒さんでした。


2人とも「不思議な音の国 下巻」から始めました。


3年頑張りましたが、もう無理かもしれないと私の方が諦めました。

ところがそこから半年くらい経ち、急に力みが取れ、伸びのある音、歌うような音が少しずつ聞こえ始めました。


この2人に共通することは、いつもレッスンにお母様が同席してくださり、お家での練習も注意を促して下さったこと、そして、2人とも素直に直そうと思ってくれたことです。


これがなければ直すことは難しいのだと思います。



人間は覚えたことは忘れるようにできています。1時間も経てば半分は忘れます。

24時間以内に復習をするとまた思い出せるようですが、ピアノは運動の要素も必要ですので、知識として覚えるだけでは足りません。


頭だけでなく、体をコントロールする必要があります。

とても小さなお子さんが一人で出来ることではありません。
絶対に親御さんのお力が必要なのです。


そばで励ましてくれる存在として小さなお子さんには必要だと思います。


(思い出したのですが、今年の6月下旬に実家に帰省し、屋根のペンキ塗りをしたのですが、その日は市の駅伝大会がありました。九州や関西、関東の大学も参加したもののようでした。
ペンキを塗っていたので走っている姿は全く見ていないのですが、声は聞こえていて、その時に選手の後ろを走っているであろうチームの車からスピーカーで「いいよー。できるよ、できる!いいペースで走れてるよー」
なんて声が聞こえてきて、今どきは青学のあの監督の様な声掛けが流行りなんだな、なんて思っておりましたら、結果発表が防災無線で聞こえてきて、2位青山学院大学B、と言っていました。
なんだ、ご本人だったのかと笑ってしまいました。)



選手の後ろから励ましの声を掛けてくれるあの監督の様な存在が、お家での親御さんの役目です。

奏法を直すには、講師一人の力では絶対に無理なのです。


一音に3年かける、と言いますが、一人でレッスンを受ける生徒さんにも私は3年は諦めずにレッスンしてきました。

しかし、この7年で直せた生徒さんを振り返ると親御さんのご協力の有無が関係するとの結論に達しました。


もう無理だと思った生徒さんには、時々「この方が音が綺麗になる」とは言いますが、直すことはしません。

最初から私が教えていても、レッスンでしたことをすぐに復習をするお家とそうではないお家は大きな差が出ます。

レッスン日から5日も経って初めてピアノを弾くと、完全忘却の状態になっていますので、弾き方なんて思い出せません。

とりあえず、音符だけ弾いていこうになります。
毎度、完全忘却で音符も読めない人もいます。


私が毎日生徒さんの家に「練習の時間じゃない?」と声を掛けては回れません。

今は生徒さんにも、お迎えの親御さんにも、明日までに必ず10分弾いて下さい、と言っています。

プリントや教本のワークは皆よく忘れるので、「帰ったらすぐこれだけはやって」と言います。


「どういう曲か忘れた」はレッスン日から5日間はノータッチでした、の証です。

その繰り返しは確実に不毛を招きます。


奏法を直すのはただのレッスン以上のことをしているということなので、これが可能なご家庭かは冷静に見る必要があるかもしれません。



パソコン以外でブログを読んでくださっている方は、白い画面に文字がズラズラと並んでいると思います。画面の一番下までスクロールして頂くと、パソコン版で見る、があると思います。

そちらをタッチして頂くと少し読みやすい画面になると思いますので、お試しください。




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重力を制する

2024年07月29日 | 重力奏法

前回ご紹介した「明鏡止水」

武の五輪という回は、<重力を制する>という内容でした。


体のトレーニングと皆いうけれど、体をトレーニングした所であまり意味はない。こっち(頭)のイメージがどれだけ繊細になるか

と、日本武道の師匠が話されていました。


ふむふむ、これはわかる。
筋力を鍛えてもさほど意味はなく、体の使い方とこういう音にしよう、こう音を飛ばそうという意識はピアノでも同じ。



岡田准一さんが言っていた、「力が作用する、体が連動する」も。

うん、うん、わかる。作用が循環して行くとピアノはとても自然に弾けます。勝手に弾けるというか・・



中国武術の先生が脱力して相手を腕で打った時に、脱力すると重くて体の中にグゥ~とくる感じだと言ってブレーキンのかたが倒れそうになっていました。

ピアノもコントロールされた軽い音は羽のように軽く天上の音のようですが、重さをズシリと加えると重厚で深い音がします。

これを力だけでコントロールしようとすると、スカスカの音とガンガンうるさい音になります。


日本武術の先生が相手を倒す時に力ではなくR(アール)で使っていくと話されていましたが、これもよくわかる!と一人で頷きました。


丸く動かすと人間の体は動きやすく、効果が大きくなります。
ピアノでただ横に動かす生徒さんが多いのですが、それでは音が鳴りませんし、音も外しやすくなります。


番組では足から生まれる力を腕に伝え連動させていると。

おお、納得。ピアノもそうです。
椅子に座って弾いていますが、決して指だけでは弾いていません。体の中で鍵盤に伝えるものが働いています。


そして、このお話からスポーツクライミングのかたが、
「指だけでしているように見えるかもしれませんが、そうではなく足から受けた力を手の先に伝えて登っている」と。

「腕の力だけ使うと疲れるし、やられちゃう」

「初心者の方は腕だけで引き付ける。その段階で既に疲れてしまう。視野も狭くなる」

「下から上に繋げるために一旦体を下ろす」


クライミングのお話が一番ピンときました。


私が学生の頃から20年お世話になった先生がまさにこの連動がお上手で、私は真似しようにもできませんでした。

今は自分で弾いていてもそのコツがわかります。特に生徒に教えている時に、過去の自分を見ているようで、これじゃ永遠に出来ないとわかります。

ボールを投げる時に、出来るだけ近い方が相手に届くと言って腕を前に伸ばしたまま投げる人は誰もいません。一度後ろに腕を引いて、遠心力を使って投げるはずです。


ピアノは鍵盤上に重さを十分に載せられているとその準備が上手くできます。中途半端だと腕を放り投げられないので、外すし鳴らないし疲れるし、になります。


ピアノ演奏の必須の技術は鍵盤に腕の重さを載せられること、だと思います。

それが第一歩。

それがなければ始まらないです。



忍者さんが「腕の骨をまっすぐにして体重を載せる」
岡田さんが「支えの棒のようにして」と。

これも大いに納得。だからピアノでは指の関節がぐにゃぐにゃだと支えが効かず、音も鳴らず、汚い音になり、速いパッセージも転びます。
指を伸ばしてと言っているのではなく、3つの関節で支えてという意味です。支えができていると手首も使えます。



番組で忍者の師匠が仰っていた「イメージできないことは実際にできないと思うんです」

ですね。


私もずっと体の使い方のイメージができていなかったので、一か八かとか、あの時は運よく出来た、とか、そんなことになっていました。

今もまだ、十分ではなく足りていないのですが、どこまで習得できるか挑戦し続けます。


伊賀に修行に行った方が早かったりして・・


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明鏡止水

2024年07月28日 | 重力奏法

NHKで夜に放送している「明鏡止水」という番組。


ご覧になったことはありますか?

V6の岡田准一さんが司会をされているのですが、武術に詳しいようでいつも感心します。


この番組は何曜日の何時から放送しているかよくわかっていないのですが、何気なく夜にNHKを見ると遭遇することがあり、大体途中から見ることになるのですが、とても面白く拝見しています。


さて、何が面白いかと申しますと、

体の使い方がピアノでも参考になるなというか、なんか同じだなと思うことがよくあるのです。


今週は力を抜くと重くなる、という技。

ピアノも全く同じです。

脱力が上手くできると腕の重さ、体の重さを鍵盤に載せ音を響かせることが出来ます。

脱力が上手くできると素早い動きや大きな跳躍もしやすくなります。
余裕が生まれるので、こんな音を出そうと音を作ることにも専念できます。


日本の武術を知るともっとピアノが上手くなりそう・・


いつまで見られるか分かりませんが、NHKプラスで見られます。
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024072434911


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ヨーロッパ方式

2024年07月17日 | 重力奏法

ここでおさらいです。


何度も書いて申し訳ありませんが、ピアノは腕の重さ、体の重さを使って音を出します。日本で未だに行われている、ハイフィンガーという指を高く持ち上げ、指を鍛えてその力で弾く弾き方は少なくともヨーロッパでは過去のものです。


少なくとも50年以上前には消滅しています。


フランスでは現在70代のピアニスト(ベロフ、ルヴィエ、ジャン=フィリップ・コラール等)が子供の頃に習ったその奏法を12~13歳で直しています。「遊藝黒白 」第2巻#3 - おとのくに♪♪



   


旧ソ連ではクラシック音楽の歴史が西ヨーロッパのように古くないので、そのおかげで現代のピアノに適した奏法が初めから考えられ実施されてきました。


ソ連の影響は東ヨーロッパに広がっています。
主要ピアニストの大多数はロシアかその周辺国出身です。他の地域でも実力のあるピアニストはそれらの国出身の指導者にレッスンを受けていることが多いです。



体の重さを使って弾くことを「重力奏法」といいます。

指でカチカチと弾く「ハイフィンガー」に対するものとして使われ始めた言葉だと思いますが、現代ではこれは普通のことなので特別な奏法ということではありません。


体の重さの使い方を身に付けないことにはピアノと言う楽器は弾けないわけです。
それは歌や管楽器を息を使わずに音を出そうとか、弦楽器を弓を動かさずに弾こうとしているのと同じです。


   


腕の重さ使うことを子どもたちが特別な訓練をしなくとも身に付けられるように開発されたのが、ロシアで行われている方法です。

日本ではロシアンメソッドと言われています。
海外ではロシアン・ピアノスクール方式と言うことはあるようですが、ロシアンメソッドとは言っていません。


この方式の特徴は3の指でノンレガートで習い始めることです。
音は何の音でも良いですが、黒鍵のことが多いです。

日本で行われているものは、ヨーロッパではもう使われなくなった古い奏法によるもので、それをクラシック音楽の国ではないアメリカが、本物の弾き方をおそらく知らずに鍵盤に指を置いておけば簡単に弾けると思い付き、そのような教本を次々と作り出し、それを日本が盲目的に輸入したということだと想像しています。


さらに、日本の悲劇はドイツのバイエルという教本が入っていたことです。
当のドイツでは全く知られていない教本ですが、その教本の問題点は40年以上前にはヨーロッパ出身日本在住のピアニスト・指導者に指摘されています。

また、バイエルを日本に持ち込んだ人物をルービンシュタインはあの3流と言っています。(遊藝白黒の何巻かに書いてありました)


   


西ヨーロッパが現在どのような教本で子どもたちのピアノレッスンをしているのだろうと少し調べてみました。

日本人で何か国かに直接行ってレッスンを見学された方がいらっしゃるようです。

その記事のリンク先を下に貼り付けさせて頂きました。



黒鍵を234の指で始める方式がちゃんと存在しているようです。
他の方の情報ではドイツで一番使われているのは、あの赤いクマの楽譜だとか。ロシアン・ピアノスクールの教本が基になったものです。

ドイツはかつて西と東に分かれていましたので、東のものが伝わって残ったのは頷けます。


紹介されている教本しかわからないので、これが一般的なものかはわかりません。
こんなに円安でなければ興味のある楽譜を取り寄せたり、直接海外の楽譜屋さんに行けるのですが・・


フランスは1の指から始めるものが見受けられますが、この国は早く曲を弾くことに移行する傾向があるので、作曲家の作品で直接弾き方を学ぶのだと思います。

ドイツはあの赤いクマの楽譜の他に、私の手元に2種類ありますが、どちらも黒鍵を234で弾く所から始まっています。


   


パリっ子たちが最初に習うことは?をお読みください。

フランスのピアノ教育のいま

皆さん、フランスの代表的な子供ピアノ教則本は「メトードローズピアノ教則本」と思っていませんか? そんな常識をくつがえすべく、2016年5月、卒業試験や修了試験間の、パ...

末高明美ピアノ教室(新宿区中野上高田)へようこそ

 

イタリアのピアノ教育の今

イタリアピアノ教育の今 チャオ、みなさん!「イタリアの子供ピアノ教育について知りたい」と<ミラノ(G.ヴェルディ)音楽院>とミラノから東へ80km<ブレーシア(L.マレンツ...

末高明美ピアノ教室(新宿区中野上高田)へようこそ

 


<フランスのピアノ教育のいま>にあった「Méthode de piano des 4-7 ans」のVol.1の中をこちらから少し見ることが出来ます。
ドから始まらない曲ですが途中からは出てきます。しかし、日本のように続け様には使いません。そして、特別にエクササイズが設けられています。

「1の指でドの音から」は頭の固い日本人らしいですが、それは身体的にはNGです。意味を考えて選択できるようになりたいものです。
フランスのこの方法は、さり気なく1の指をたくさん使わせない。
よく考えたなと思います。

Méthode de piano des 4-7 ans - Petite suite Vol.1

Find the score of Méthode de piano des 4-7 ans - Petite suite Vol.1 by ALLERME LONDOS Sophie on www.henry-lemoine.com, as well as all our Piano catalog.

Henry Lemoine

 


   

私はこの導入法を最近ではヨーロッパのやり方、と言っています。

ロシアンメソッドとか、東ヨーロッパと言うと、経済的に途上国のイメージがあるのか、一般の人はロシアや東欧がピアノ王国だとは思っていないので、逆に遅れているように捉えられてしまうと感じます。

1本指で始める意図を正しく理解し伝える必要があります。
まずは1本の指に腕の重さを載せられなければ、それを他の指に移し替えながら弾くことなどできないのです。


東欧諸国のピアニストたちが、この導入法が間違いではないことを証明していると思います。


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弦が震える

2024年07月15日 | 重力奏法

ピアノは上手い人が弾くと弦が縦だけではなく横にも振幅すると聞いたことがあります。

横への振幅の具合により音色の豊かさや響きの良さが決まるのだろうと思います。


ヴァイオリンは弦の振動を目で確認できると。そのようなことを全く考えておりませんでしたが、そうだなと。目の前に弦が全て見えています。



ピアノは見えませんので耳で聴いて判断しなければなりません。

弦の振動について調べておりましたら、このようなものがありました。NHK 物理基礎 高校講座

9'22"過ぎから音叉とヴァイオリンの振動数の違いを紹介しています。
音叉が基本振動数しかないのに対し、ヴァイオリンはその2倍、3倍などの倍振動が同時に現れます。これが倍音というものです。

倍音成分は弦の振動の大小が混ざりあってできると考えられると言っています。
弦があるというのはこういうことです。

アコースティックピアノから良い音を引き出そうと格闘するのは、弦をどう震わせるかにチャレンジすることです。ヴァイオリンやギターと違うのは、それを自分の手で直に行えないということです。

だから難しい。

しかし、チャレンジせず放置すると箸にも棒にもかからない音になってしまいます。
そこを苦労せず人工的に良さげな音が聞こえるよう作られたのが、電子ピアノです。


CD が出来た頃は傷が付きにくく扱いやすいし、コンパクトで持ち運ぶのも楽だし音も綺麗だし良いものができたと思っていました。

ただ、それを何度も聴くことは実は私はなく、単にいつでも聞けるから後回しになっているだけだと思っていました。

しかし、最近そうではないなと思っています。
レコードにあった生音の感覚がCD は薄らいでいて奥行きが浅いというか··

考えたことがありませんでしたが、そうなのかなと思い始めています。


レコードがまた売れてきているように、アコースティックピアノにいつか回帰してくれる時代が訪れることを願います。

そのためにも、身近なところでちゃんとした演奏を聴かせられる人にならなければです。

弦楽器の音を調べる ~弦の振動~ | 物理基礎 | 高校講座

弦楽器の音を調べる ~弦の振動~ | 物理基礎 | 高校講座

ものり家の信長くんがギターを始めた。でもギターの音が出る仕組みがわからない。ギターの弦は固有振動という振動をしていて、進まない波の「定常波」ができている。6つの...

高校講座

 




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手首のエクササイズ

2024年07月14日 | 重力奏法

音を離す時は手首から持ち上げることを「蝶々」とレッスンでは言っています。

この手首、苦戦する生徒さんが割と多いです。

何の問題もなく上手くできる生徒さんもいますが、そうではない人が割とどころか圧倒的に多いです。

音を最後まで聴くことに気付くと変わってくると思っておりましたが、つい最近始めた手首のエクササイズをしてみて、そういうことではないなと気付きました。

腕を支えておく力が働いていないことが原因ではないかと。
このエクササイズをしてから鍵盤の上でしてもらうと、どの生徒さんも手首を使うことが出来ます。

手首が固いと思っていた大人の生徒さんも出来ます。

下の動画のように、反対の手で手首を動かす方の手の指を軽く握ります。
2回ほど手首を上に上げる動きをした後、3回目は上げた手首をそのままスッと抜いていきます。

「上まで上げる」ではなく「抜く」の表現の方が良いと思います。
鍵盤で弾いた時に、弾いた指には鍵盤と接触した感覚は残したまま手首を持ち上げると思いますので、その意味で「抜く」の方が感触が残る感覚があります。




鍵盤の上で行うと、指先に重心が載らないと手首を自由に動かせないと思います。しかし、反対の手で指を軽く握るこの方法ですと、その負担はありません。

ヴァイオリンのかたが弓を動かす時の手首のために使われている方法が、ピアノでも活用できると分かりました。


このエクササイズをすると、肘を張る生徒さんや肩まで上げる生徒さんがいます。

ピアノを弾く時の良くない癖をこのエクササイズで知ることもできます。


想像しているものと違う動きを人はするものだと気付かされます。


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周回遅れ

2024年07月11日 | 重力奏法

3カ月くらい前に偶然見かけた記事ですが、俳優の鈴木亮平さんが「日本は韓国に20年くらい差をあけられた」と話されたそうで。


そして、大沢たかおさんが日本は「なんで先をどんどん急ぐのだろう。クオリティーとかお客さんに喜びや感動を伝えることよりも、とりあえずドラマの完成品を作る方が優先されてる」とそこが合わなくなったので海外にシフトされたそう。


韓国の製作費はドラマで1億。2億を超えるものもあるとか。日本は3000万。監督は満足できる映像が撮れるまでこだわることが出来、細部にまでこだわり、高い完成度を誇ることが出来ると。

質の高い韓国のドラマ業界にNetflixは昨年3800億円の投資をし、更に高品質な作品が次々と生み出されているそうです。


大沢さんの「なんで先を急ぐのか」「とりあえず完成品を作る方を優先」
を読み、あ~、ピアノと同じだと思いました。

高品質を目指すには練習環境の問題が関わってくると思いますが、質の良い音で弾くことを目指すのは誰でもできます。


よく耳にする「基礎をしっかり」は音符やリズムが分かることではなく、それは当たり前で、楽器にはどうすれば良い音が出るかという出し方があります。

ピアノで鍵盤を押すは、管楽器は吹けばいいんでしょ、弦楽器は弓でこすればいいんでしょ、と言っているのと同じで、それでは綺麗な音にはなりません。


安っぽい音ではなく、質の良い音は習い始めから教えることも習得することもできます。
ただ、それは今日やって明日できるものではありません。時間がかかります。耳と脳と体を作るからです。それを作るためには美しいと感じるセンスとより良くなろうと思う向上心が必要です。


日本のピアノ教育はアジアでトップだと未だに勘違いされているかもしれませんが、少なくとも10年前には韓国、中国に追い越されています。ヨーロッパから見たら何周遅れかわからないくらいです。

とりあえず完成品を作れば良いと進めてきた日本のドラマが、学芸会レベルとか安っぽいと言われているのに対し、韓国は質にこだわった結果が現在の差を生んだことを考えると、日本のピアノ教育も気付かなければいけないのではないでしょうか?

生産性が低く成長できない日本の経済は、今後もっと縮小していく可能性が大きいです。過去にできていたことができなくなります。大したことをしなくとも恵まれていた恩恵がなくなります。

私なぞはその恩恵を受けて生きてきた世代です。
しかしもうその時代はおそらく終わります。既に終わったのかもしれませんが。

これからは本物を身に付け、それを磨いて行くことです。
100均やプレハブの間に合わせではなく、長く使えるものを渡すことが大人が子どもたちにすべきことではないでしょうか。

質にこだわることを恐れてはいけないし、怠ってもいけないと思います。

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真ん中の3本の指

2024年07月10日 | 重力奏法

ピアノは腕の重みを鍵盤に載せることができないと上手く弾けません。
重みは力を抜くことで生み出せます。

まずはこれが出来るようになること。


この時にもうひとつ大事なことがあります。

力を抜くだけではダラリとした音になってしまいます。腕を少し持ち上げ、腕を支えた状態で弾く必要があります。


ピアノでは当たり前となっている重力を使う奏法。重力奏法と言いますが、それを誰でも身に付けられるように考え出された東欧を中心とした指導法は、3の指(中指)のノンレガートからレッスンを始めます。ロシアを筆頭に東欧は素晴らしいピアニストを多数輩出しています。

その次は2の指(人差し指)、そして4の指(薬指)と進みます。

東欧ではありませんが、私の手元にあるドイツの導入教本も黒鍵を234の指で弾く所からレッスンが始まります。


アメリカ、日本で多く見られる固定5指奏法は、1の指(親指)から習い始めます。
特に日本人は順番通りが好きな国民なので、1の指から習い始めることが当たり前の事と思っていると思います。



さて、234の指から習い始めるとどのようなメリットがあるかと言うと、
・腕を支えやすい(親指や小指で腕を支えてみて下さい)
・腕の重さを載せやすい(肩から真っ直ぐに指先に重さが流れていきます)
・手首が使い易いので、音を離す時に自然に音を減衰させられる


では、1の指から習い始めるメリットは何でしょう。
・ドに1の指を置いておくと指の番号を見るだけで曲が弾ける(音符が読めなくとも弾ける)
・鍵盤から指を離さなくて済むので、間違わない安心感がある


東欧のメソッドではノンレガートでレッスンを始めます。そのメリットは、
・広い音域の曲が弾ける(それにより腕を使うことを覚えられます)
・高音域の曲、低音域の曲を無理なく弾ける(耳が育ちます)
・すぐに黒鍵の曲が弾ける(腕を支えることが自然に身に付きます)

固定5指デメリットは正しいピアノ奏法を身に付けることが難しくなる、ということです。
・指を置いておく曲から習い始めるので、音域がなかなか広がらない
・指を置いておくことで、腕や手首の使い方を覚えられない
・腕の重みを使いにくいので音の鳴りが良くない
・楽器の奏法を身に付けることを目的にしていない


固定5指で習い始めても、進みが非常に早い場合はこのデメリットの影響は少なくて済みます。

固定5指の教本で教えたとしても、鍵盤に指を置いたままにせず、音の動きに合わせて手を左右に動かすことを教えることは出来ます。私はそうして30年以上教えてきました。

しかし、腕の重みを載せる感覚はそれだけではできませんでした。上手く手の移動が出来ている割に音の鳴りは足りず、耳障りではない音は出せてもピアノが十分に歌ってくれる音にはならず、物足りない演奏をずっと耳にしてきました。


だから東欧のメソッドを知った時に、この方法に変えたのです。


東欧メソッドデメリットを挙げるとしたら、指使いで音符を読むことが出来ない、習い始めは聴いて覚える曲を弾くので記憶力が必要、音をよく聴く集中力が必要、手の使い方を覚えなければならない、癖を直さなければならない。

気軽にピアノを弾きたいだけの人には面倒なことが多いと思います。


楽器演奏は本来簡単なものではなく、身に付くのに時間がかかり、知的作業が多いものです。



日本にはヤマハ、カワイといった世界的に有名な楽器メーカーがあります、そのせいか、日本はアジアの中でピアノではトップを走っていると思われているかもしれませんが、もうだいぶ前から韓国の方がずっと実力あるピアニストが多く育っています。

日本のメーカーが音楽教室も経営している所に問題の起因のひとつがありそうな気がします。
楽器を売るために「音楽は楽しい」という概念を刷り込んでいるように感じます。


日本人の気質や楽器業界の影響で失われるものがあることは悲しいことです。
本物を見抜く目を私自身も付けたいですし、生徒たちも付けてほしいです。

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ピアノと弦楽器

2024年06月29日 | 重力奏法

声楽や管楽器は息を使い音を出します。

弦楽器は直接音を出すのは弓です。
左手は弦を押さえ音程を作り出し、右手は弓を持ち弦をこすります。

その弓の当て方で音の良し悪しが決まるようです。どこに当てるとか細かなことはあるようですが、最初に必要なことは弓に腕の重みを載せられるようにすること。

左手で速いパッセージを頑張って動かせたとしても、その音を届けるのは右手の役割です。


さてさてピアノはと言うと、音程を作るのはピアノ自体がしてくれます。それは調律師さんという特別な方のお仕事とも言えます。なので、ピアノ演奏は一人では完結しないのです。

音を鳴らすことに絞って話を進めると、ピアノは鍵盤を下に動かすとダンパーが上がりハンマーが弦を叩いて音を出してくれます。

どう鍵盤を下げてもハンマーが弦に触れるところまで上がってくれると音は出ます。


不用意にちょっと触っただけでも音は出てしまいますが、その音では音楽としては適したものになりません。物に軽くぶつかっただけですので、何かにぶつかった音を集めても音楽にはなりません。これは雑音と言います。

ではしっかり叩いてはっきりした音にしよう!これもあり得ません。人はこれを騒音と言います。
ガンガン叩いた音を集めても大迷惑です。


だからピアノは腕や体の重みを使って音を出します。そうするとコントロールの効いた良い音が鳴ってくれます。

弦楽器は両手の役割分担が目に見えますが、ピアノは両手で同時にそれをしています。
鍵盤を押さえ、音を鳴らす。

しかも道具を直接使って奏者が弾いているわけではないので、それが非常に分かりにくい。


重さは力を抜くことで得られます。力が入っているとキツく固い音になり、そして音自体が鳴りません。
指の力みが音の固さに直結する楽器です。速いパッセージが弾けないというだけではないのです。

力んでも速いパッセージが弾けるよう無理な練習を続けると手を痛めます。
まだ速いパッセージが弾けない小さなお子さんでも、力んだ指の音は痛々しく気の毒になります。ピアノはそのような指で弾くものではありません。


腕を自由に使うためには体を支えなければいけません。だから体を安定させられる姿勢が必要なのです。腰と背中と足で体を支えます。

重さはリラックスさせた腕から生まれます。
その腕は肩と指先で支えます。

これがピアノという楽器の最初の一歩です。

そこを飛ばしてレッスンを始めてしまうことが浸透しすぎています。
教える方もそう習ったからですが、もう気付いても良いと思います。本当にどうにかならんのかと思います。


因みに、ヴァイオリンのかたが弓に重さを載せる感覚を掴むのに次のような事が書いてありました。

「机の前に座って、机の上に手のひらを置きます。このとき、手首の関節から腕よりの部分(前腕と上腕)は机に付かないようにします。この状態で手の力を抜いていくと、腕の重みが手のひらに乗るようになりますね。この状態が基本だと思います。

次に、腕の重みを手のひらにのせた状態で、手のひらを左右に滑らせてみます。そのときに、腕の重みを軽くせず、重みがそのまま乗っているようにするのがコツです。これをやってみると、予想外に手のひらに重みが乗っていることに気づくと思います。」


私はピアノの上で説明のためにこの動きをすることがよくあるのですが、実際に生徒にしてもらったことはないので、今度机の上かピアノの蓋を閉じて椅子を少し高くして試してみようと思います。


上の文章はこちらにあります。

弓に腕の重みを乗せる練習 | バイオリン弾きが考えること

楽器からしっかりした音を弾き出すためには、弓に腕の重みを乗せる必要がありますね。しかし、これは結構難しいものです。というのも、弓が弦に触れる点を腕で直接押...

バイオリン弾きが考えること

 


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安川加寿子さんの教本によるスタッカート

2024年02月23日 | 重力奏法

ピアニストの青柳いづみこさんが紹介する安川加寿子さんの教本「ピアノのテクニック」

前回までの2回は、ショパンが長い指が黒鍵に来る調の方が弾きやすいと考えていた話とレガートで腕の重さを次の音次の音と移していくお話でした。


今回はスタッカートのお話。

この動画を拝見していて、スタッカートの弾き方がこれだと思われるとマズイと思いました。
日本人が初めからスタッカートを指だけで切り、粒も音質もない音で弾くものよりは段階を踏んでいるとは思いますが。

青柳さんも仰っていますが、これは前腕の筋力を鍛える&上腕の筋力を鍛えるためのメニューであるということ。

手首に関しては、やり過ぎると痛めるなと思いました。


少しヒントになったことは、生徒さんたちの腕の支えが弱い原因は、前腕と上腕の筋力が弱いからだとはっきりわかったこと。

腕の支えが出来ていないと音はヨロヨロ、デコボコして不安定になります。
力みなく押さえつけず鍵盤を下ろすことも上手くできません。

多くのピアノの先生は自分でも無自覚に支えが出来てしまっているので、どこの筋力を使っているかわからないと思います。


筋力をつけるためにこのエクササイズをしても良いかもしれませんが、ピアノから聞こえてくる音はいただけません。

前腕に筋力を付けるだけでしたら、ピアノを弾かなくとも手の体操でできます。また、手の柔軟体操をしてからの方が安全かとも思います。

こちらのお話は、「特別なスタッカート」の話だということで聞く必要があることをお忘れなく。




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日本にも存在していた

2024年02月15日 | 重力奏法

このような所に引用させて頂き失礼だろうなと思いつつ、72年も前の日本に、今イリーナ先生の教本を使い子どもたちに教えていることが安川加寿子さんの教本にあったとは・・

安川さんのお弟子さんの青柳いづみこさんの新たに公開された動画。

レガートはどのようにするのか。
2音のレガートの練習のお話もあります。

教える方に使い方が理解されていなかったのだと思いますが、なんとも勿体ないことです。


何が良い音かが日本人はわからなかったので、安川さんの教本は日本人には早すぎたのかもしれません。

フランス人のベロフ、ルヴィエ、ロジェという現在70代のピアニストが10代の頃に、フランスではサンカンによって指の奏法から腕や体の重みを使う奏法に変わっていきました。「遊藝黒白 」第2巻#3 - おとのくに♪♪

サンカンはロシアの奏法に詳しかった人です。
3の指のノンレガートから習い始めるロシアのメソッドが、今回の動画を拝見しても元はショパンかな?と思わせます。

ロシアは歴史的にフランスに憧れがあった国です。
こじつけで何とでも言えそうですが、日本人が大好きなショパン。彼のメソッドからきているカモしれないロシアンメソッドが日本になかなか浸透しないとは、ちょっと苦笑い。


リストに関しては誤解されている節があるので、指を鍛えて弾けばリストになるとは言えないように思います。

確かに奏法が正しくなくともそれなりに弾けてしまうのがリストですが、その音はやかましくなります。

プレトニョフやその師のように、勝手に音が増幅しホール中を満たす音はやはり正しい奏法あってこそです。


憧れのショパンを弾きたい人は、腕を使った奏法を身に付けられるメソッドで習った方が上手く行くかもしれません。奏法が正しくなければショパンを弾くことは困難ですので。




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3の指で黒鍵から始める発想

2024年02月09日 | 重力奏法

日本でロシアンメソッドと呼ばれているものは、3の指から習い始めます。

何の音から始めるかというと、「ド」ではないことが多いです。
私が使っている「不思議な音の国」は黒鍵からです。


この方法は旧ソ連のピアノ教育の大御所、アルタボレフスカヤが中心となって考え出されたものです。ネイガウスもこの時代に共にソ連のピアノ教育を構築していたので、もしかしたら協力していたかもしれません。


なぜ黒鍵で長い3の指という発想が生まれたのだろうと思っておりました。

何となく、ショパンかな・・とは思っておりました。

ご存知のように、ショパンはC-durのスケールがいちばん難しいと言っています。長い指が黒鍵に来る調から始めた方が手の形に合っていると。


ピアニストの青柳いづみこさんがショパンのこの話をされている動画を見つけました。
聞いていて、ロシアンメソッドはきっとショパンから考えついたメソッドだろうと勝手に確信いたしました。


お話の中に出てきますが、コルトーでさえこの意味に気付いていなかったという・・
しかし、ドビュッシーはわかっていた!



ちょうど生徒さんに、「先生はドビュッシーをよく弾くのに、なんでショパンは弾かないのですか?」と言われたばかりでした。

ショパンは自分で弾くと幻滅しかしないので弾かないのですが、手も私には合わないのが理由です。

生徒さんに言われて、なんとなくショパンエチュードを引っ張り出してきて弾いてみましたら、以前より弾きやすくなっておりました。

ちゃんと練習したらやっぱりダメだになるかもしれませんが、弾いてみようかなと思い始めました。



ロシアンメソッドがショパンの考えに基づいているとしたら、「ショパンメソッド」にした方が良いのでは・・

そしたら一気にこのメソッドが日本に広がります。
ルービンシュタインに「あの3流」と鼻で笑われたバイエルのメソッドから脱却できる日が日本にやって来るかも。

(バイエルを日本に紹介した人が「あの3流」とルービンシュタインに言われたのだったと記憶しています。カバイエ先生の本に書いてあったのか、他の本だったか・・)

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この書き方の意味

2024年01月21日 | 重力奏法

以前、何度かご紹介したこちら。


ひとつの音から様々なコードをアルペジォで弾く練習です。

このリズムの書き方にどんな意味があるのだろう、と思っておりました。
見るからに速く弾きたくはない、感じです。


昨年末から、鍵盤を下ろすことをレッスンでやり始めました。
今までも鍵盤は下ろしていたにはいたのですが、深く下す前の段階が必要ではないかと考えるようになりました。

鍵盤はどう弾いても簡単に動くので、叩いたり、突いたり、撫でたり、触るだけだったり、人によって様々です。


「不思議な音の国」の教本で育った生徒さんは、叩くことはしません。
しかし、触る程度の鍵盤の下ろし具合いだったり、鍵盤の奥に向かって突くように弾いたりする生徒さんはいます。

同じメソッドでも色々と奏法があるかもしれませんが、私はまずは真下に下ろすことを基本の音としています。


上から鍵盤を下ろすと澄んだ音がします。
次に目指したいことは、がたつかずに弾くこと。

工事中のように、デコボコしないように腕を少し持ち上げた状態をキープします。
片手ずつ、自分で一方の腕を下から支えて弾くとすぐに感覚がつかめます。


スケールは黒鍵白鍵が混ざるので、段差ができます。
そこをデコボコしない、がたつかないように弾いていきます。

スケールは隣の音同士で弾けます。滑らかになってくると、今度は離れた音で試したくなるはずです。


それでアルペジォ。

冒頭の写真にありますアルペジォは、ひとつの音から弾き始めて様々な調性、音の幅で弾くことが出来ます。効率が良いです。


私は今頃気付いたのでした。

このリズムの書き方は、このためにあるのではないかと。
どんな音の幅でも、どんなに段がついていても、鍵盤を叩かず、打たず、腕の高さをキープしたまま、スッと鍵盤が下ろせるようにするために作ったのではないかと。

という、勝手な解釈。

というか、当たり前と言えば当たり前。


思い出したのですが、ピレシュの引退公演(その後復帰)のお弟子さんとの連弾を含んだオールモーツァルトプログラムの時に、なんだろうと思った光景がありました。

ピレシュがファーストを務めた時に片手で弾く部分で、もう一方の手で腕を下から支えるようにして弾いている部分がありました。
怪我でもしているのかな、疲れたのかなと思って見ていましたが、そのわりにその部分の音が格段に美しかった記憶があります。

今頃ですが、プロでも本番でそれをやるのかと、ちょうど今、私はモーツァルトの連弾曲を練習していて、片手で数小節にわたり弱音で弾く16分音符の山があって、腕を支えながら弾くとこんな私でも少しは美しく弾けるなと思って弾いていたら、ピレシュのその光景を急に思い出したのでした。

本番でやるかは勇気がいるかも··

体裁を気にする日本人な私··

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ピアセツキー先生のレッスンから学ぶ

2023年12月14日 | 重力奏法

イリーナ先生やピアセツキー先生のレッスン動画を拝見して、旧ソ連のピアノ導入期の方法が理解出来てきました。

ピアノレッスンはまずピアノを弾く手を作ることから始める。

それは力みなく弾くことをはじめに徹底して教えるということ。

指が反り返ったり、クネッとしないように、指先を馬に蹄鉄を履かせるようにしたり、指のブーツを履かせたりと子どもが分かる言葉で何度も伝えます。

そして呼吸する手首。
ピアセツキー先生はたいへん小さな動きでそれを行い、イリーナ先生は始めは大きな動きで行うものの、手首を不用に大きく動かしすぎたり肘まで上げている時にはすかさず注意していますし、上巻が終わる頃には既に小さな動きで手首を使うようにされています。

また、お二人とも234の指のレガートを3音の上行・下行形で連続して弾く練習をさせています。
ピアセツキー先生はすぐに5音のレガートをして、しばらくの間は手を私のように支えてあげて下さいとお家の方に言っています。指を持ち上げることはせず鍵盤の深さ分下げるだけ。

自分でしてみると分かりますが、下から支えると指を下ろすだけで済みますが、支えがないと自力で手を支えなければならず結構重さを感じます。子どもはこの重さに耐えられず手がつぶれてしまいます。


移調をして弾くこともお二人ともよくされています。
ひとつの曲で様々な音から弾くだけで楽しく練習できますし、さらに音感も付きます。
グネーシンのソルフェージュでも移調させて子どもたちに弾かせています。


ピアノは音の読み方やリズムが分かれば弾けるものではなく、しかも弾き方を習わずに曲を弾き続けると、奇跡的にピアノに適した弾き方を持っていた人は別ですが、そうではない人は遅かれ早かれ行き詰ります。

ここを改善してピアノレッスンが進められたら、多くのピアノ愛好者が趣味として生涯楽しむことが可能になるはずです。


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