おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

カントロフ、ライブで聴きました!

2019年10月31日 | コンサート情報
たった今、Mediciでライブ配信されていたカントロフの演奏を聴き終えました!

サン・サーンスのピアノコンチェルト第5番「エジプト風」

澄んでキラキラした音
情景が浮かんできて映画を見ているようでした。(と言いながら、具体的な物語は私の中には構築されておりません

どこもかしこも洗練されていて、私は白いつばの広い帽子をかぶり海辺を散策するMadammeになった気分でした(洗練=マダム 安易な発想)。なんだか勝手に旅の主人公になっていました。

第2楽章のガムランのようなところ、ピアノの音じゃないような不思議な音がしました。彼は魔法使いです。神秘的な音に酔いました。


アンコールは「火の鳥」を途中から弾き始めました。
サン・サーンスの音楽の雰囲気を受け継いだエキゾチックな部分から弾き始めたので、しばらく何の曲かわかりませんでした。

彼の和音、凄いことになっています。
同時に弾いた音なのにそれぞれに異なる輝きがあって、ルビーとサファイアとアメジストが同時に輝いているような音をしていました。(知っている宝石を書いてみただけです。宝石のようだったことは確かです)

チャイコンの時に和音の鳴り方が他の人と違う気がしてなぜだろうと思っておりましたが、こういうことだったのかなと思いました。

一音一音異なる輝きがあるのにゴチャゴチャにならない。
このテクニックがあるから「火の鳥」がピアノではないように聞こえる。
もちろん一音が歌になるような音も持っているからでもあります。

軽いタッチの音も魔法使いでした。杖を一振りして妖精でも呼んできたのかと思いました。

彼は何者でしょう。
凄すぎる・・

Valery Gergiev conducts Mussorgsky, Saint-Saëns, Ravel and Berlioz — With Alexandre Kantorow
1st Moscow's International Zaryadye Festival
カントロフは8'40"辺りで登場します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊藝黒白 第3巻 #4「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月31日 | 書籍紹介
この本のことをこんなに書くつもりはなかったのですが、最後にどうしてもご紹介したいピアニストがいます。

バイロン・ジャニス(Bayron Janis)
アメリカのピアニストで、ホロヴィッツの最初の弟子で一番長く教えを受けていた人物です。

ホロヴィッツはレッスンで模範演奏を示すことはなかったそうです。
しかし、レッスンが終わるといつも楽しそうに演奏を聴かせてくれ、それが一晩中続くことも珍しくなかったと。

あまりに彼の演奏を聴きすぎてしまったので自分自身を見失い、彼の真似をして弾くようになってしまった。5年間学びその後5年かけて彼の演奏の影響からやっと抜け出したそうです。

インタビュアーの焦さんが、「あなたのショパンの演奏には他のどのピアニストとも比べられない魔力があり、ショパン自身が弾いているのではないかと思うほどです」とおっしゃっているので、どんな演奏をされる方かと興味を持ち演奏を探してみました。

こちらです。
Byron Janis plays Chopin's Ballade No. 1 Opus 23 (1952 rec.)

第一音、ホロヴィッツっぽいと思いましたがそのあとは違います。
聴き入ってしまいました。そして続けて3回も聴いてしまいました・・
この曲好きですが聴き飽きてしまっていて、こんなに聴くつもりはなかったのに。

ジャニスさんはショパンがいつもすぐそばにいる気がすると。
ショパンは演奏している時、ピアノを弾いている感覚ではなく魂を表現している感覚だったのではないか。彼自身よく「どこかへ」「あそこに」と言っていたようだと。現実ではないどこか。

第3巻は存じ上げないピアニストが多いのですが、聴いて一番驚いたのがジャニスさんです。

ここから先は、バラードの演奏を聴いた翌々日に読んで知ったことです。

ジャニスさん、子供の頃のケガで左手小指の感覚がないのだそうです。
45歳頃に関節炎になり、63歳頃関節炎の痛みがひどくなり手術をし親指の先を失ったそうです。
絶望感を味わいながら毎日を過ごし、やりきれない思いを何曲かの歌曲にしたそうです。それが友人に素敵だとほめられ、ミュージカルの台本に曲をつけることを勧められ、この経験が希望を与えてくれたと。
他の方法で自分を表現することができる、人生には様々な可能性があると考えられるようになり、手の問題にも立ち向かうことができるようになったそうです。
練習方法を工夫し、再び演奏できるようになったとのことです。

敬服。

レオン・フライシャーが右手を故障した話は有名ですが(局所性ジストニア)、彼は右手に問題が生じても音楽を追求することをやめなかったそうです。考えてもいなかった、教育活動に身を投じ、指揮にも挑戦することに。
障害を負う前より良い音楽家、良い教師になったと思うと。一つの窓が閉ざされても他にたくさんの窓がある。人間は不断に成長していけると思うと話されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カントロフ & 藤田真央

2019年10月30日 | コンサート情報
Medici.tvでモスクワの第1回Zaryadye国際フェスティバルが見られるそうです。

◈10月30日/カントロフ:サン・サーンスのピアノコンチェルト第5番「エジプト風」
◈10月31日/藤田真央:モーツァルトプログラムのリサイタル
◈11月2日/藤田真央:モーツァルトのコンチェルト kv.466 d-moll
1st Moscow's Zaryady International Festival
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊藝黒白 第3巻 #6「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月30日 | 書籍紹介
ルース・スレンチェスカさん。

彼女は私にとっては歴史上の人物である作曲家やピアニストに実際にレッスンを受けたり親交があった方です。

その話の興味深いこと。
ホロヴィッツ、コルトー、ホフマン、ストラヴィンスキー、シュナーベル、ペトリ、ラフマニノフ、ラローチャ、バーバー、ギーゼキング、オーマンディ、ヒナステラ。

どんなことがあったかは是非、本で!

ひとつだけホロヴィッツの話をちらっと。
ホロヴィッツがステージから離れていた日々の話。

彼はレコードを聴いて、歌手が歌ったフレーズをイタリアのベルカント唱法のようにすぐにピアノに向かって同じように弾いてみて、声楽のフレージングを器楽のフレージングに変換させようとしていた。しかもすべての声部を。
何千回もレコードを聴き、ひたすら苦しい練習に明け暮れていたと。

驚きです・・
この本はピアニストたちが想像以上の努力を重ねていることを知ることもできます。

バーバーの「弦楽のためのアダージョ」ができた経緯も書かれていて面白いです。
傑作の誕生を目撃した証人になることができて幸せだと。

ー・-・-・-・-・-・-・
バッハの研究と演奏に一生をささげたロザリン・テューレック(Rosalyn Turek)

彼女によると、バッハ演奏は楽器による表現力という意味で20世紀はつまらないことに固執したと感じる。バッハの音楽が内包しているものは楽器の制限を受けない。

ふむふむ。
バッハは楽器云々を超えている。

最後に書かれているのが、演奏家はそれぞれ自分の生きている時代とつながっていなければなりません。それが私の哲学です、と。

イリーナ先生のカルガリーのワークショップの内容をまとめた先生がいらして、それを昨日Google翻訳に頼りまくって読みました。
数ページかと思い印刷しましたら、いつまでもプリンターが止まらないので間違えて設定したかと思いましたがそうではなく、なんと25ページもありました。

イリーナ先生もこうしてまとめて下さる方がいることに感謝していらっしゃいました。
そのレポートの中に、生徒に生きている作曲家の作品を弾かせるという言葉がありました。

クラシック音楽というと過去のものという感覚があるかもしれませんがそうではなく、現代には現代の作品が生きていて、過去の作品には新たな観点や現代の精神を注ぎ込み生き生きと輝かせる(これはエマールの言葉)。

1曲1曲に深く向き合いながら、現在と過去の時間を未来につなぐ。

はぁ~、壮大すぎる・・


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊藝黒白 第3巻 #3「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月29日 | 書籍紹介
この本を読むと、才能があるからピアニストになれたのではないことが良くわかります。

もちろん人並み以上の能力があってのことですが、皆さん音楽を自身の人生にすると決意してこの道を選んでいる強さを持っています。

表現するために必要なことをどんなに小さなことも見逃さず、完全に理解し実現するためにどれだけ多くの時間と手間をかけているか。

情熱の熱量が凄まじい。
しかし彼らにとってそれは当たり前。

この第3巻に掲載されている女性ピアニストの話が面白いです。

チュニジア生まれフランス育ちのブリジット・エンゲラー(Brigitte Engerer)。
彼女は子供の頃からロシアの文化や芸術を愛していたそうで13歳からロシア語を学び、トルストイ、プーシキン、ドストエフスキー、チェーホフなどの文学を読み漁っていたそうです。

チャイコフスキーコンクールをきっかけにマリーニンの招きでモスクワで勉強することになったそうです。マリーニンに師事するつもりでしたがクライネフにスタニスラフ・ネイガウス(ネイガウスの息子)を勧められ、マリーニンに断りに行った時、マリーニンの顔を見た途端泣き出してしまったそうです。

彼は「大したことではない」と言い、気にせず何か困ったことがあったらいつでも来るように励ましてくれたとのこと。2度目にチャイコフスキーコンクールを受けた時には熱心に指導してくれ、いつも温和で優しい人だったと。(マルチェンコ先生の生徒さんにマリーニン君がいますが、関係あるのかな・・?)

スタニスラフ・ネイガウスはとても厳格な教師だったそうです。楽曲の構成、響きの濃淡(以下省略)、ひとつもおろそかにせず適切なテクニックを使って表現することは大変なことだったと。

ショパンのバラード第4番のレッスンでは2時間で2ページ目すら終わらなかったと。
1曲学ぶのに6か月かかることもよくあったそうです。
そのおかげで新しい音楽の世界に導いてくれたけれど、数えきれないほどの挫折も経験させられたと。

その挫折の話の一つが面白いです。

チャイコフスキーコンクール前日に仕上げのアドヴァイスと激励の言葉をもらいたくて彼の所に行ったら、苦労を重ねて準備したプログラムをガラクタのようにこき下ろされたと。

彼女は「明日、コンクールで私は弾くんです。・・中略・・私の演奏はそんなに酷いですか?私が明日ステージで弾いたら恥をかくだけでしょうか?コンクールにはもう参加しません!」

と言うと彼は、
「コンクール?それが何だ!コンクールと音楽が比べられるか?大切なのは音楽だけだ。・・中略・・今日私が教えた後、あなたの演奏が明日よくなっていればいいのだ!音楽!音楽!音楽!大切なのはそれだけだ」

彼に敬愛と感謝の念を持ち続けているけれど、何度絞め殺してやりたいと思ったことか・・

だそうで。

前回ご紹介したバヴゼの奥様もピアニストでハンガリー人の方のようですが、クルタークに師事していたそうで、シューベルトのソナタ第14番のレッスンを受けた時に第1楽章の初めの8小節に半年かかったとか。

追求度が半端じゃない・・
どうしてこんなにできないんだと挫折しそうになりますが、そこで挫折しないのがピアニストです。
タフです・・

で、この奥様の話でひとつ面白い話が。

フォーレが嫌いらしく、フォーレのピアノ三重奏でバヴゼがピアノを弾いた時にリハーサルで譜めくりをしていたら、横で時々嘔吐しそうな声が聞こえてきて演奏できなくなってしまったと。

彼女は「私にはフォーレの転調が耐えられないの。あっちに行ったりこっちに行ったり・・。主和音に戻る気はないのかしら?って思うのよ。」

後期のフォーレの和声は迷宮のようで、真剣に聴きながら和声の分析をしていた彼女は、めまいがして吐きそうになったのだそうです。

本番ではバヴゼが自分で譜めくりしたそうで。

ホロヴィッツもフォーレの暗譜は本当に難しいと言っていました。
アンコールでフォーレを弾いた時にもう二度と弾かないと言ったそうです。転調が覚えられないと。

ホロヴィッツでさえそうなのかと。
というか暗譜の必要がないくらいすぐに覚えられるのかと思っていました。

この大大大家と比べるな!ですが、私は暗譜ができそうにないと、その理由で初めてあきらめたのがフォーレです。(テクニック的な問題であきらめた曲は数知れず
自分の記憶力がものすごく劣ったと思っていました。

そうではなかったのか、本当にそうだったのか・・

エンゲラーさんの演奏です。彼女は2012年に亡くなっています。ヘビースモーカーだったそうで。ご主人はケフェレックの弟。晩年はベレゾフスキーと連弾、2台で組んでいたそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊藝黒白 第3巻 #2「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月27日 | 書籍紹介
ジャン=エフラム・バヴゼというフランスのピアニストはご存知ですか?

私は知りませんでした・・

サンカンの最後の弟子のおひとりだそうで。
あのルヴィエがなかなか師事できず、8年待ってやっと習うことができたサンカンです。

ルヴィエやロジェ、ベロフの年代が奏法の転換期で、その頃に既に重力を使い身体をどう使うかを熟知していたサンカン。
バヴゼはルヴィエらとは一回りくらい年齢が下です。

バルトーク、プロコフィエフ、ラヴェル、ドビュッシーを得意とするほか、現代音楽にも意欲的に取り組んでいるそうです。

子供の頃、電子音楽を研究していたメシアス・マイグアシュカというシュトックハウゼンの助手に大きな影響を受けたそうです。

「音とは何か」を明確に分析して教えてくれたそうで、音は、音色・音の高さ・音の長さ・音量・音の方向、この5つの要素から構成されているとのこと。そのことを知らない音楽家が多いことに驚いたそうです。

ほー、とーぜん私も知りませんでした。
考えたこともありませんでした。

子供の頃の出会いは将来に大きな影響を与えるものだなとこの本を読んでいるとそれを強く感じます。

電子音楽を学ぶまで音を聴くことはできても音とは何かを知らなかった。
サンカンに学ぶまでピアノを弾くことができてもピアノ演奏とは何かを知らなかった。

サンカンはどのように身体を使うべきか教え、内から外からピアノを演奏するとはどういうことか理解させ、知的アプローチをさせてくれたそうです。

サンカンの指導の優れていたところを一言で言い表しています。
こんなピアノ指導者になれたらと思います。

パリコンセルヴァトワールがジュリアードのシャンドールを客員教授に招き、バルトークの最後の弟子である彼とバルトークの作品について語り合い、その後も親しく付き合うことができたそうです。

シャンドールとサンカンはすぐに意気投合したとのこと。
2人とも古き良き時代のヨーロッパの貴族のような雰囲気を持っていて、立ち居振る舞いが優雅でわざとらしさがなく極めて自然だったそうです。

いや~、私の奏法の旅はシャンドールから始まりましたので、サンカンとシャンドールが意気投合したことはなんだか嬉しいです。

シャンドールを知ったのは、それしかなくて借りただけのバルトークのピアノソロ作品がたっぷり録音されたCDを聴いたことです。
どんな曲か知りたいだけだったのですが、演奏が素晴らしく、返してはまた聴きたくなり度々図書館から借りておりました。

その数年後、偶然にシャンドールのピアノ奏法の本を見かけ、確かあのバルトークのピアニスト!と思い即座に購入し速攻読みました。
この本のおかげで随分楽に弾けるようになりました。
ただ、写真で解説されているので十分に理解はできていませんでした。

何か足りないと思っていたものを解決してくれたのがロシアンメソッドです。
わかってみたら自分が教えていただいていたのに理解できていなかったことだと気付いたのでした。
これまでのことがピーと繋がりました。

話が逸れました・・

サンカンの人柄についても書かれていて、一回り上のピアニストたちとは異なることが書かれています。サンカンの年齢的なこともあるかもしれませんが人によって印象は異なるものだと思いました。

2台ピアノでの共演が多かったゾルタン・コチシュの驚くべき能力の話もあり、多くのピアニストがコチシュが凄いと言っていますがその偉大さの一つを知りました。

バヴゼさん、手を痛めていたことがあるそうで、それはサンカンの指導が間違っていたのではなく使い過ぎだったようです。
心理的なことと複合して起きたようで、その理学療法の先生と、アメリカに行くたびにアドヴァイスを受けていたロシアのピアニスト、アレクサンダー・エデルマンとサンカンからの教えが、ある日突然結びつき自分は正しい道を歩んでいると感じ、それでこの故障を克服できたそうです。

バヴゼさん、言葉の表現が美しいです。
この方のレッスンを受けたらインスピレーションを受けられそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Piano Safari ってご存知ですか?

2019年10月24日 | 楽譜の話題
海外のピアノの先生方の投稿で何度か見かけていた「Piano Safari」

あまり気にも止めていなかったのですが、こちらを見て「あら?面白そう」と思ってしまいました。
Piano Safari Home Overview video

ロシアの美しく歌う曲は足りているし、印象派っぽいポーラさんのLittle Gems for pianoもあるし、ディズニーはアレンジして楽譜を作ったし、すっかり忘れていたクリスマスの歌もあるし、とりあえず初歩の生徒さんの曲は間に合っていると思っていました。

が、そういえばただ明るく楽しい気分にさせてくれるものが今ひとつないと,なんとな~く思っていたことを思い出させてくれました。

今習っている小さな生徒さんは、童謡のような音楽よりポーラさん(Little Gems)のような音楽の方が好きなようで、これは私の影響もあるのだと思います。
習い始めにポーラさんや3の指で弾けるドナウやハンガリー狂詩曲を弾いてもらっているので。

今年引き継いだ生徒さんで、小学3年生と小学6年生の生徒さんが「ちょうちょう」や「メリーさんの羊」など弾いていました。
小3の子でも退屈そうでした。小6の子は毎日5回童謡を弾くように先生に言われていたそうです。

これではかわいそうです。
小6の子はレッスンを休みがちになり、理由は聞いていませんが今月移動してきました。
こういうのが弾きたいのか訊きましたらそうではないと。

それでLittle Gems for pianoを紹介しましたら弾きたいというのでそうしました。
教本は不思議な音の国下巻を今週渡します。音の読み方はやらなければならないですし、奏法もこの教本で覚えられます。
インターナショナルスクールに通っているようなので、ポーラさんのコメントも自分で読めます。

Piano Safariは注文したばかりでまだ手元にないので、届きましたらご紹介したいと思います。
シリーズがいくつかあってセットになったものにしようか悩みましたが、とりあえずレパートリーbook1にしました。

日本にノンレガートのおもしろい楽譜がないので、ホントどなたかに作っていただきたい。

人はこれを他力本願という··


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不思議な音の国、素晴らしすぎ !

2019年10月21日 | 不思議な音の国
この教本、本気で使ってこそ、その素晴らしさが実感できると思います。

4歳半くらいでピアノを始めた生徒さんたち。
去年から始めた生徒さんは全員この教本です。これ1冊です。

はじめは時間がかかります。身体の意識もはっきりしないので、手首だの指先だのやっても感覚がわかりません。

体操のようになるか動かせないかのどちらかになることが多いと思います。
身体の動きは全て音を聴いてこそです。
どんな響きになっているか、どんな伸び方をしているか、どう響かせたいか。

しかしそんな事、ピアノを始めたばかりの小さな子供にはわかりません。
しかもご自宅では電子楽器を使っています。

ここで諦めたり、初めから試みなかったりしては1年後、1年4カ月後(細かいっ)の彼女たちはいないのです。

私も無理なのかなと途中で何度も思いました。
年長や小学生と違い、身体自体が出来上がっていないので指先も手首も上手く使えない。
ただ、変な癖がついていないこと、腕全体を動かせる大きな動きができること。これはたいへんな長所です。

そして、小さいわりに集中力があったことにも助けられました。
もちろん同じことを何度もしたり聞いたりはできません。
せいぜい3回が限度です。フォルマシオンミュジカルやグネーシンを織りまぜ、聞き覚えの曲を入れたりして進めてきました。
それからこの教本自体にも集中できる魅力があるのだと思います。
登場人物やちょっとした出来事がそれを作り出してくれています。

小さな子供たちは上巻を終えるのに1年はかかります。
私は元々初級に時間をかけるので気にはしていませんが、ノンレガートだけで1年過ごさせたことはないのでこれでどうなるかは未知でした。

しかし1年数ヵ月経って彼女たちの音が音楽を表現できる音になっていることの驚き。

はじめは皆にピアノ本来の音が鳴らせるようになってほしいと、それだけの想いでこのメソッドを始めました。
しかし「不思議な音の国」はそれ以上の世界に導いてくれました。

不思議な音の国下巻に1年半近くかかった生徒たちも音楽が求めているそれぞれの場面に合った音を造り出すことができてきています。
それは耳が育っているから、そしてテクニックが育っているからです。
何のためにどう身体を使うか、その目的を理解しているからです。

初期の段階でこのようにピアノを習うことが今の日本ではできるのです。
しかも選ばれた子供たちにではなく。(教える側が勉強することが唯一の条件です)
それを可能にする教本です。

趣味として芸術をたしなめるとは贅沢! 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遊藝黒白 第3巻 #1「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月19日 | 書籍紹介
以前、「遊藝黒白第2巻 音符ではなく、音楽を!」をご紹介しました。

今度は第3巻「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」を読み始めました。

トップバッターはダン・タイ・ソンです。
ツィメルマンが優勝した次の回の優勝者がダン・タイ・ソンでしたので、あの頃の衝撃はよく覚えています。

どうやってベトナムで音楽を学ぶ機会があったのだろうと思っておりましたが、この本によりますと、ベトナムはフランスの植民地だったのでフランス経由でクラシック音楽が入ってきていたこと。
地理的に極東での演奏旅行の中継点に位置していたため、演奏家たちがベトナムでよく演奏会をしていた。
ということで、実は音楽的に高い水準にあったのだそうです。

防空壕で練習した話も載っています。

モスクワ音楽院ではイーヴォ・ポゴレリチと同級生だったそうで、ポゴレリチには西側のたくさんの珍しいレコードを聴かせてもらっていたのだそうです。
当時は西側のレコードはミケランジェリとグールドくらいしかソ連にはなかったそうで、ポゴレリチは帰国するたびにソ連では珍しいレコードをたくさん持ち帰ったのだそうです。

コンクールの参加は当初ポーランドでは認めてもらえなかったそうです。
ベトナム人でハノイでピアノを学び、モスクワ音楽院で勉強中という経歴だけだったので事務局が参加を認めたくなかったのだそうです。
しかしモスクワ音楽院で学んでいるのだから相当なレベルに達しているだろうということでチャンスを与えてみようということで参加できた、ということを後で聞いたそうです。

ちなみに、モスクワ音楽院のショパンコンクール参加オーディションに合格したのは彼とポゴレリチと2位になったタチアナ・シェバノワの3人だったそうで。

コンクールでは緊張することはなかったけれど、唯一の不安はオケと共演するのに礼服がなく、その用意ができるかが唯一の不安だったそうです。
礼服は親切な人たちが助けてくれ用意できたそうです。

ダン・タイ・ソンさん、霧島で教えていらっしゃいますが、度々受講している知人の話では、生徒より先に来て部屋の掃除をされているそうです。お人柄が素晴らしいそうで。

ピアノで歌うことについて本には書かれています。
オペラ、歌曲、合唱の歌わせ方の違い。ロシアと他のヨーロッパとの歌い方の違い。

この本も面白そうです!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリスティアン・ツィメルマン 室内楽 2019/10/17

2019年10月17日 | コンサート情報
あの音に憧れてしまう、あのツィメルマンに久しぶりに再会しました。

もう無条件に美しいと聴き入ってしまうツィメルマンの音を今日は聴くことができました。

安心しました。
ツィメちゃん、健在!

真正面にツィメルマンの顔が見える席でした。きゃー
楽し気に演奏している姿をず~っと見ることができました。

ずっと組んでいるメンバーではないのにピアノがうまく調和させていました。
音楽の深みもツィメルマン一人ならもっと深い音楽を聴かせたかもしれないと思いましたが、そこを若い演奏家たちの世界に寄り添って、でしゃばらず演奏しているのかなと。

音楽も演奏家も一番活きることを思っていらっしゃるのかなと。
もう、なんでも流石

ところで、チラシの中にヴィルサラーゼのリサイタルのものがあったのですが、そのチラシの裏に面白そうなものを見つけました。

第4回「脳と身体から見たロシア・ピアニズム」
講師:古屋晋一
ナビゲーター:高坂はる香
11月24日(日)会場:メゾン・ド・ハラ(横浜)

古屋先生はアレクサンダー・テクニークの関西弁全開の先生。
高坂さんは見覚えのあるお名前と思いましたら、以前ご紹介した「ピアノの惑星」の音楽ライターさんでした。
ピアノの惑星JOURNAL

レッスンがあるので行けませんが、とっても興味あります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予習しておきます~ツィメルマン編~

2019年10月16日 | コンサート情報
クリスティアン・ツィメルマンの室内楽のコンサートがあります。
ツィメルマンのコンサートはソロのリサイタルしか聴いたことがないので楽しみにしています。

ツィメルマンの音楽の原点は室内楽のようです。

子供の頃、お父様が仕事が終わった後に職場の仲間たちに楽器を持ち寄って我が家で演奏しようと呼びかけていたのだそうです。
お父様は音楽家だったそうですが音楽では食べていくことができないので工場で働いていらしたそうです。

ツィメルマンは家に皆が集まって演奏することをいつも楽しみにしていたそうです。
学校から帰るとあと何分と時計を見ながら待ち構えていたと。
ピアノの状態を確かめたり、何を演奏するのかと予想をしたり一日中彼らの演奏を待っていたのだそうです。

ツィメルマンが子供の頃は公園に不発弾が残っていたり、テレビもなく、たとえ見られたとしてもニュース番組や戦争映画だけで誰も見たいと思うようなものではなかったと。

ツィメルマンはその頃はまだピアノは弾けませんでしたが、鍵盤ハーモニカは何とか弾けるようになっていて誰かが来られないときは代わりにそのパートを鍵盤ハーモニカで演奏したのだそうです。ヴィオラのパートだったりチェロだったり。

楽譜はまだ読めなかったそうですがそれぞれのパートをどのように演奏すべきかはわかっていたと言います。
そのようなことをしているうちに自然に楽譜が読めるようになり、調号や楽語も覚えていったのだそうです。

この経験が室内楽の演奏の妙味を教えてくれたのだそうです。
16年間もこのような経験を積んだそうで。

この時期に得た一番大きなことは音楽への情熱だと。
彼らにとって音楽は人生の中でもっとも大切なもので、毎日演奏することを待ち望みひとたび楽器を持って楽譜に向かうと、それさえあれば食べ物もいらないというくらいだったと。

音楽に対して誠実な心を持った人たちに囲まれて育ったことは幸福なことだったと言っています。

ひとつツィメルマンの話で面白いことがあります。
これは音楽家になってからの話ですが、ある日ルトスワフスキに彼のピアノ協奏曲をどう弾いてほしいか尋ねたのだそうです。そうしましたら、
「そんなこと知らないよ。私は自分の協奏曲がどんなふうに発展するかに興味があるだけなんだ。この曲は子供のようなもので、私は命を与えただけで束縛することはできない。彼は自分で発展し、成長し、自分の人生を歩んでいかなければならないのだから・・」と。

焦さんの遊藝黒白に書かれています。
本当にこの本は面白いです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロシアのおとぎ話

2019年10月14日 | 書籍紹介
ロシアにはおとぎ話が多いという話を以前に書きました。

おおかみ、きつね、くま、うさぎ、やぎ、ねずみ、はりねずみ、おんどり、つる。

これらの動物が出てくる話があります。
しかしロシアではなくともこの動物たちが出てくる話はあります。

そんな中でワニが出てくる話があるのでご紹介します。

こんなお話です。

「ぬすまれたおひさま」
空に輝くお日様をワニがパクリと飲み込んでしまい、朝から晩まで真っ暗に。
動物たちは皆哀しみに暮れました。迷子になったコグマたちをおじいさんグマが探して泣いているとウサギがやってきて、「強いクマさん、悪いワニをやっつけて」と。
クマは勇気をふりしぼりワニを倒し、お日様を取り戻しました。

ワニの登場も珍しいですが、お日様を飲み込む発想。
長い冬、暗い冬、そんな土地ならではかもしれません。

韻をふんだ文で書かれています。
『そらをさんぽしていたおひさまが』で始まります。
お日様が助け出された所は
『おひさまは しげみのうえを
しらかばの はのうえを
どんどん はしってく』

と表現されています。

文自体に美しさがあります。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奥井紫麻さん聴いてきました

2019年10月11日 | コンサート情報
ヤマハホールで奥井さんの演奏を聴いてきました。

奥井さんとロシアのオパーリン君のコンサートです。

奥井さん、芯の強い女の子なのだろうと思いました。
そうじゃなきゃ小学校を卒業してロシアで勉強したりしませんが。

子供の演奏だとは初めから思っておりませんでしたが、実際に聴いても立派なプロのピアニストでした。

音が予想外に太く、なんと言ってもロシアで仕込まれたのか元々なのかフレーズを長く勇壮に歌い上げていたことが気に入りました。
あと、押しが強いというか弱気は禁物な感じのロシア人の演奏でした。

そして彼女は良い頭脳を持っていると思います。
この先もこうやって音楽に深みを増していく姿が想像できました。

余裕が出てきて楽しい気分にさせてくれるようになるといいなと思います。

もう一人の出演者くんは音は綺麗だと思いましたが、あのホールでは耳が痛かったです。
あと表情のない音が多くて疲れてしまいました。
その短6度はせつなく弾こうよ、その完全4度は呼び掛けてよと私の聴き方もだんだんおかしくなっていってしまいました。同じ音ばかりで··

でも、ロシアから来てくれたからということなのか拍手は大きかったです。
より大きく、より速くでそうではなかったことを祈ります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

勉強会、定員に達しました。

2019年10月10日 | 不思議な音の国
11月2日開催の勉強会「もっと知ろう!不思議な音の国」が増員後の定員に達しましたので募集を締め切らせていただきます。

急な開催にもかかわらずご参加くださいますこと感謝申し上げます。

ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょっと気に入ってしまっていて

2019年10月09日 | コンサート情報
楽器としての可能性をこんなに広げられるとは・・
完成度が高い!

Scheherazade
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする