おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

重力を制する

2024年07月29日 | 重力奏法

前回ご紹介した「明鏡止水」

武の五輪という回は、<重力を制する>という内容でした。


体のトレーニングと皆いうけれど、体をトレーニングした所であまり意味はない。こっち(頭)のイメージがどれだけ繊細になるか

と、日本武道の師匠が話されていました。


ふむふむ、これはわかる。
筋力を鍛えてもさほど意味はなく、体の使い方とこういう音にしよう、こう音を飛ばそうという意識はピアノでも同じ。



岡田准一さんが言っていた、「力が作用する、体が連動する」も。

うん、うん、わかる。作用が循環して行くとピアノはとても自然に弾けます。勝手に弾けるというか・・



中国武術の先生が脱力して相手を腕で打った時に、脱力すると重くて体の中にグゥ~とくる感じだと言ってブレーキンのかたが倒れそうになっていました。

ピアノもコントロールされた軽い音は羽のように軽く天上の音のようですが、重さをズシリと加えると重厚で深い音がします。

これを力だけでコントロールしようとすると、スカスカの音とガンガンうるさい音になります。


日本武術の先生が相手を倒す時に力ではなくR(アール)で使っていくと話されていましたが、これもよくわかる!と一人で頷きました。


丸く動かすと人間の体は動きやすく、効果が大きくなります。
ピアノでただ横に動かす生徒さんが多いのですが、それでは音が鳴りませんし、音も外しやすくなります。


番組では足から生まれる力を腕に伝え連動させていると。

おお、納得。ピアノもそうです。
椅子に座って弾いていますが、決して指だけでは弾いていません。体の中で鍵盤に伝えるものが働いています。


そして、このお話からスポーツクライミングのかたが、
「指だけでしているように見えるかもしれませんが、そうではなく足から受けた力を手の先に伝えて登っている」と。

「腕の力だけ使うと疲れるし、やられちゃう」

「初心者の方は腕だけで引き付ける。その段階で既に疲れてしまう。視野も狭くなる」

「下から上に繋げるために一旦体を下ろす」


クライミングのお話が一番ピンときました。


私が学生の頃から20年お世話になった先生がまさにこの連動がお上手で、私は真似しようにもできませんでした。

今は自分で弾いていてもそのコツがわかります。特に生徒に教えている時に、過去の自分を見ているようで、これじゃ永遠に出来ないとわかります。

ボールを投げる時に、出来るだけ近い方が相手に届くと言って腕を前に伸ばしたまま投げる人は誰もいません。一度後ろに腕を引いて、遠心力を使って投げるはずです。


ピアノは鍵盤上に重さを十分に載せられているとその準備が上手くできます。中途半端だと腕を放り投げられないので、外すし鳴らないし疲れるし、になります。


ピアノ演奏の必須の技術は鍵盤に腕の重さを載せられること、だと思います。

それが第一歩。

それがなければ始まらないです。



忍者さんが「腕の骨をまっすぐにして体重を載せる」
岡田さんが「支えの棒のようにして」と。

これも大いに納得。だからピアノでは指の関節がぐにゃぐにゃだと支えが効かず、音も鳴らず、汚い音になり、速いパッセージも転びます。
指を伸ばしてと言っているのではなく、3つの関節で支えてという意味です。支えができていると手首も使えます。



番組で忍者の師匠が仰っていた「イメージできないことは実際にできないと思うんです」

ですね。


私もずっと体の使い方のイメージができていなかったので、一か八かとか、あの時は運よく出来た、とか、そんなことになっていました。

今もまだ、十分ではなく足りていないのですが、どこまで習得できるか挑戦し続けます。


伊賀に修行に行った方が早かったりして・・


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明鏡止水

2024年07月28日 | 重力奏法

NHKで夜に放送している「明鏡止水」という番組。


ご覧になったことはありますか?

V6の岡田准一さんが司会をされているのですが、武術に詳しいようでいつも感心します。


この番組は何曜日の何時から放送しているかよくわかっていないのですが、何気なく夜にNHKを見ると遭遇することがあり、大体途中から見ることになるのですが、とても面白く拝見しています。


さて、何が面白いかと申しますと、

体の使い方がピアノでも参考になるなというか、なんか同じだなと思うことがよくあるのです。


今週は力を抜くと重くなる、という技。

ピアノも全く同じです。

脱力が上手くできると腕の重さ、体の重さを鍵盤に載せ音を響かせることが出来ます。

脱力が上手くできると素早い動きや大きな跳躍もしやすくなります。
余裕が生まれるので、こんな音を出そうと音を作ることにも専念できます。


日本の武術を知るともっとピアノが上手くなりそう・・


いつまで見られるか分かりませんが、NHKプラスで見られます。
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024072434911


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そう思っていたとは

2024年07月25日 | 不思議な音の国

不思議な音の国下巻の最後の章に入った生徒さん。


「これ終わったら何やるの?」

と、きかれたたので


「最初に使ったアドヴェンチャーのシリーズにしようかと思って」

と答えると、


「あれ、簡単だった。」
「この本(不思議な音の国)は難しい。すごく難しい」

と。


あら?そう思ってたの?、と心の中で思い、
「アドヴェンチャーは曲が面白かったと思うけど、こっちは地味な曲が多くない?」

と言うと、


意外な顔をして「そうでもない。けっこういい曲があった」と。

なんと!

曲がつまらないのかと思うくらい弾いてこないので、まさかそのように思っているとは夢にも思いませんでした。


難しかったのか・・と、最後の章に来て初めて知りました。


この教本は短い曲しかありませんが、1小節たりとも気を抜くことが出来ない本です。

何も考えず惰性で音だけ追えれば良し!という本ではありません。


わかってたのか、と同時に、この本の曲がけっこう好きでいてくれたことを知り、嬉しく思いました。



それにしてもこの本、最後の章に来て突然、時代設定はいつ?と疑問が湧いてきます。

古い時代の話かと思っていたら、最後に電車出現。

そんな話をしていたらその生徒さんが、「だったら途中にも変な絵があった」とミミズクがマイクを持って歌っているページを開きました。

あらま、これも古い時代だとしたら可笑しいことに・・


まさに「不思議な音の国」


妙に納得。
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ピアノ王国

2024年07月24日 | コンサート情報

名ピアニストが数多くいる国と言えば、間違いなくロシアだと思います。

そして、その周辺の東欧にも昔から素晴らしいピアニストがいます。


名前を書き出してみましたら、ピアニストはほとんどそれらの国出身かと思うほどでした。

個人の好みで言うとフランスのピアニストも昔から好きです。


東欧に関してはピアノ教育の質の良さがあると思いますが、寒い国ということも関係があるのではと思っています。

厳しい寒さに耐える環境が、時間の過ごし方、精神の強さや深い思考などを生み出すひとつになっているように思います。

寒いとヒョイヒョイ動けませんので、自分のペースで自由に動くことに制限が生じます。



もうひとつのブログで東欧のピアニストを一人ずつ紹介してみようと始めました。

既にこの世にはいないピアニストから紹介しています。


ホロヴィッツやリヒテルは私の年代でも馴染みがありますが、ルービンシュタインとなると私には少し遠い時代のピアニストです。

亡くなったのは1982年ですが、コンサートは1976年のウィグモア・ホールを最後に引退しています。

70代の方々にはショパンと言えばルービンシュタインかもしれませんが、私の時代はアシュケナージ、ポリーニ、アルゲリッチという感じでした。


さて、リヒテルがギレリスの演奏する<ブラームス ピアの協奏曲第2番>を称賛し、「だから私はこの曲を弾かない」と言ったそうなので、どのような演奏なのだろうと聴いてみました。


素晴らしいです!
立て続けに3回聴いてしまいました。

起きて朝一にも聴いてしまいました。


長い曲なのに・・

しかもカントロフとツィメルマンの演奏も聴き比べてしまいました。

2人とも大好きなピアニストですが、ギレリスの演奏はこれ以上ブラームスの音楽にピタリとくるものは無いのではないかと思うほどで、何処もかしこも聴き入ってしまいました。

オケもとても良くて、両方とも相乗効果で3倍にも4倍にも熱量が上がっている感じです。



今は亡きピアニストの演奏を聴いていて、その演奏を聴いている間は演奏家は生きているという感覚になりました。

名ピアニストの力で余計にそれが強く伝わるのかもしれません。そして、作曲家もその演奏の間は蘇るのです。


音楽はこのような不思議なものです。

生き続けます。


Brahms: Piano Concerto No. 2 in B-flat major, Op.83 - Emil Gilels, Eugen Jochum, Berlin Philharmonic
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ヴェルビエ音楽祭 2024

2024年07月22日 | コンサート情報

ここ数年、この音楽祭を楽しみにしています。

カントロフや真央君が出演しているからなのですが


今年は2年振りに辻井さんも出演されます。

そして何と言っても楽しみにしていたのが、初参加のユンチャン。
韓国のイム・ユンチャンです。

今年初めて東京で演奏を聴き、とても惹きつけられました。


ヴェルビエのプログラムは彼らしいと思っていたので、余計に楽しみでした。

地味な小品を集めて演奏するプログラムを組む人で、これは彼の先生のお考えなのかなと思っておりますが、本当の所はわかりません。

たいへんな技巧の持ち主なのですが、それがなくとも聴かせてくれるのです。
ディナーミクの幅も広く、ppが美しく通ります。内面的で冷静さを感じるのですが、得体のしれない爆発力もあって惹きつけられてしまいます。

そんなユンチャンのヴェルビエでの初リサイタル。mediciで見られます。


メンデルスゾーンの無言歌から2曲演奏した後はチャイコフスキーの四季。

10月の秋の歌、胸が詰まりそう・・
11月のトロイカ、情景が思い浮かぶような自由さが良いです。
12月のクリスマス、学校の試験だったら怒られそうなことをしていますが、彼の物語が想像できます。こういうところがドキリとさせられて目が離せなくなります。


まぁ、聴いて下さい
展覧会の絵、不気味でゾクゾクものです。
Yunchan Lim in recital: Mendelssohn, Tchaikovsky, Mussorgsky

Yunchan Lim in recital: Mendelssohn, Tchaikovsky, Mussorgsky

Verbier Festival 2024

Available in the Play Store

 


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チェックカード

2024年07月19日 | レッスン

勝手に作った不思議の教本のチェックシート。

ひとつのステップにいくつかの項目があるので、なかなかスタンプが押せないでいます。

これがちゃんと覚えられたらとか、これがいつも意識できたらスタンプが押せるんだけどと思いながら、教本は先に進んでも実際は出来ていないことがポツポツあります。


私自身もどこまできちんと出来ているか確認しづらいので、チェックカードを作ることにしました。

ひとつのステップが合格できたらシールを貼って行きます。

ステップは10あるので、シールを10個コレクションしてもらいます。


これで生徒さんが「よーし!」と燃えてくれるといいのですが






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演奏で楽しませる

2024年07月18日 | 不思議な音の国

子どもたちに、音楽ってこんな風に楽しめると教えるのも先生の役目だと思います。

楽器店の発表会では、最近はジブリやディズニーでさえクラシックに思えるほどで、同じ音ばかり続く16分音符のシンコペーションしかないような曲が弾かれることが目立っています。

歌うには良くてもピアノに向いた曲、そうではない曲はあります。
生徒さんが活きる選曲や、知らない曲でも弾いてみたら好きになったという曲は海外の曲集にはいくらでもあるので、若い先生方にはそういったリサーチにもっと時間を使っていただけたら良いなと思います。


でも、こちらの曲は知りませんでした
6手連弾でこのような楽しいものがあるのですね。

パフォーマンスは楽しげでも、音は単純ではありません。頭も耳も使って、アンサンブルも。
このようなことができて羨ましいです。同じ年代の子の実力を揃えるだけでも日々どれだけのことをされているか。真似しようにもできません··




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ヨーロッパ方式

2024年07月17日 | 重力奏法

ここでおさらいです。


何度も書いて申し訳ありませんが、ピアノは腕の重さ、体の重さを使って音を出します。日本で未だに行われている、ハイフィンガーという指を高く持ち上げ、指を鍛えてその力で弾く弾き方は少なくともヨーロッパでは過去のものです。


少なくとも50年以上前には消滅しています。


フランスでは現在70代のピアニスト(ベロフ、ルヴィエ、ジャン=フィリップ・コラール等)が子供の頃に習ったその奏法を12~13歳で直しています。「遊藝黒白 」第2巻#3 - おとのくに♪♪



   


旧ソ連ではクラシック音楽の歴史が西ヨーロッパのように古くないので、そのおかげで現代のピアノに適した奏法が初めから考えられ実施されてきました。


ソ連の影響は東ヨーロッパに広がっています。
主要ピアニストの大多数はロシアかその周辺国出身です。他の地域でも実力のあるピアニストはそれらの国出身の指導者にレッスンを受けていることが多いです。



体の重さを使って弾くことを「重力奏法」といいます。

指でカチカチと弾く「ハイフィンガー」に対するものとして使われ始めた言葉だと思いますが、現代ではこれは普通のことなので特別な奏法ということではありません。


体の重さの使い方を身に付けないことにはピアノと言う楽器は弾けないわけです。
それは歌や管楽器を息を使わずに音を出そうとか、弦楽器を弓を動かさずに弾こうとしているのと同じです。


   


腕の重さ使うことを子どもたちが特別な訓練をしなくとも身に付けられるように開発されたのが、ロシアで行われている方法です。

日本ではロシアンメソッドと言われています。
海外ではロシアン・ピアノスクール方式と言うことはあるようですが、ロシアンメソッドとは言っていません。


この方式の特徴は3の指でノンレガートで習い始めることです。
音は何の音でも良いですが、黒鍵のことが多いです。

日本で行われているものは、ヨーロッパではもう使われなくなった古い奏法によるもので、それをクラシック音楽の国ではないアメリカが、本物の弾き方をおそらく知らずに鍵盤に指を置いておけば簡単に弾けると思い付き、そのような教本を次々と作り出し、それを日本が盲目的に輸入したということだと想像しています。


さらに、日本の悲劇はドイツのバイエルという教本が入っていたことです。
当のドイツでは全く知られていない教本ですが、その教本の問題点は40年以上前にはヨーロッパ出身日本在住のピアニスト・指導者に指摘されています。

また、バイエルを日本に持ち込んだ人物をルービンシュタインはあの3流と言っています。(遊藝白黒の何巻かに書いてありました)


   


西ヨーロッパが現在どのような教本で子どもたちのピアノレッスンをしているのだろうと少し調べてみました。

日本人で何か国かに直接行ってレッスンを見学された方がいらっしゃるようです。

その記事のリンク先を下に貼り付けさせて頂きました。



黒鍵を234の指で始める方式がちゃんと存在しているようです。
他の方の情報ではドイツで一番使われているのは、あの赤いクマの楽譜だとか。ロシアン・ピアノスクールの教本が基になったものです。

ドイツはかつて西と東に分かれていましたので、東のものが伝わって残ったのは頷けます。


紹介されている教本しかわからないので、これが一般的なものかはわかりません。
こんなに円安でなければ興味のある楽譜を取り寄せたり、直接海外の楽譜屋さんに行けるのですが・・


フランスは1の指から始めるものが見受けられますが、この国は早く曲を弾くことに移行する傾向があるので、作曲家の作品で直接弾き方を学ぶのだと思います。

ドイツはあの赤いクマの楽譜の他に、私の手元に2種類ありますが、どちらも黒鍵を234で弾く所から始まっています。


   


パリっ子たちが最初に習うことは?をお読みください。

フランスのピアノ教育のいま

皆さん、フランスの代表的な子供ピアノ教則本は「メトードローズピアノ教則本」と思っていませんか? そんな常識をくつがえすべく、2016年5月、卒業試験や修了試験間の、パ...

末高明美ピアノ教室(新宿区中野上高田)へようこそ

 

イタリアのピアノ教育の今

イタリアピアノ教育の今 チャオ、みなさん!「イタリアの子供ピアノ教育について知りたい」と<ミラノ(G.ヴェルディ)音楽院>とミラノから東へ80km<ブレーシア(L.マレンツ...

末高明美ピアノ教室(新宿区中野上高田)へようこそ

 


<フランスのピアノ教育のいま>にあった「Méthode de piano des 4-7 ans」のVol.1の中をこちらから少し見ることが出来ます。
ドから始まらない曲ですが途中からは出てきます。しかし、日本のように続け様には使いません。そして、特別にエクササイズが設けられています。

「1の指でドの音から」は頭の固い日本人らしいですが、それは身体的にはNGです。意味を考えて選択できるようになりたいものです。
フランスのこの方法は、さり気なく1の指をたくさん使わせない。
よく考えたなと思います。

Méthode de piano des 4-7 ans - Petite suite Vol.1

Find the score of Méthode de piano des 4-7 ans - Petite suite Vol.1 by ALLERME LONDOS Sophie on www.henry-lemoine.com, as well as all our Piano catalog.

Henry Lemoine

 


   

私はこの導入法を最近ではヨーロッパのやり方、と言っています。

ロシアンメソッドとか、東ヨーロッパと言うと、経済的に途上国のイメージがあるのか、一般の人はロシアや東欧がピアノ王国だとは思っていないので、逆に遅れているように捉えられてしまうと感じます。

1本指で始める意図を正しく理解し伝える必要があります。
まずは1本の指に腕の重さを載せられなければ、それを他の指に移し替えながら弾くことなどできないのです。


東欧諸国のピアニストたちが、この導入法が間違いではないことを証明していると思います。


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弦が震える

2024年07月15日 | 重力奏法

ピアノは上手い人が弾くと弦が縦だけではなく横にも振幅すると聞いたことがあります。

横への振幅の具合により音色の豊かさや響きの良さが決まるのだろうと思います。


ヴァイオリンは弦の振動を目で確認できると。そのようなことを全く考えておりませんでしたが、そうだなと。目の前に弦が全て見えています。



ピアノは見えませんので耳で聴いて判断しなければなりません。

弦の振動について調べておりましたら、このようなものがありました。NHK 物理基礎 高校講座

9'22"過ぎから音叉とヴァイオリンの振動数の違いを紹介しています。
音叉が基本振動数しかないのに対し、ヴァイオリンはその2倍、3倍などの倍振動が同時に現れます。これが倍音というもので音色を決定付けます。

倍音成分は弦の振動の大小が混ざりあってできると考えられると言っています。
弦があるというのはこういうことです。

アコースティックピアノから良い音を引き出そうと格闘するのは、弦をどう震わせるかにチャレンジすることです。ヴァイオリンやギターと違うのは、それを自分の手で直に行えないということです。

だから難しい。

しかし、チャレンジせず放置すると箸にも棒にもかからない音になってしまいます。
そこを苦労せず人工的に良さげな音が聞こえるよう作られたのが、電子ピアノです。


CD が出来た頃は傷が付きにくく扱いやすいし、コンパクトで持ち運ぶのも楽だし音も綺麗だし良いものができたと思っていました。

ただ、それを何度も聴くことは実は私はなく、単にいつでも聞けるから後回しになっているだけだと思っていました。

しかし、最近そうではないなと思っています。
レコードにあった生音の感覚がCD は薄らいでいて奥行きが浅いというか··

考えたことがありませんでしたが、そうなのかなと思い始めています。


レコードがまた売れてきているように、アコースティックピアノにいつか回帰してくれる時代が訪れることを願います。

そのためにも、身近なところでちゃんとした演奏を聴かせられる人にならなければです。

弦楽器の音を調べる ~弦の振動~ | 物理基礎 | 高校講座

弦楽器の音を調べる ~弦の振動~ | 物理基礎 | 高校講座

ものり家の信長くんがギターを始めた。でもギターの音が出る仕組みがわからない。ギターの弦は固有振動という振動をしていて、進まない波の「定常波」ができている。6つの...

高校講座

 




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手首のエクササイズ

2024年07月14日 | 重力奏法

音を離す時は手首から持ち上げることを「蝶々」とレッスンでは言っています。

この手首、苦戦する生徒さんが割と多いです。

何の問題もなく上手くできる生徒さんもいますが、そうではない人が割とどころか圧倒的に多いです。

音を最後まで聴くことに気付くと変わってくると思っておりましたが、つい最近始めた手首のエクササイズをしてみて、そういうことではないなと気付きました。

腕を支えておく力が働いていないことが原因ではないかと。
このエクササイズをしてから鍵盤の上でしてもらうと、どの生徒さんも手首を使うことが出来ます。

手首が固いと思っていた大人の生徒さんも出来ます。

下の動画のように、反対の手で手首を動かす方の手の指を軽く握ります。
2回ほど手首を上に上げる動きをした後、3回目は上げた手首をそのままスッと抜いていきます。

「上まで上げる」ではなく「抜く」の表現の方が良いと思います。
鍵盤で弾いた時に、弾いた指には鍵盤と接触した感覚は残したまま手首を持ち上げると思いますので、その意味で「抜く」の方が感触が残る感覚があります。




鍵盤の上で行うと、指先に重心が載らないと手首を自由に動かせないと思います。しかし、反対の手で指を軽く握るこの方法ですと、その負担はありません。

ヴァイオリンのかたが弓を動かす時の手首のために使われている方法が、ピアノでも活用できると分かりました。


このエクササイズをすると、肘を張る生徒さんや肩まで上げる生徒さんがいます。

ピアノを弾く時の良くない癖をこのエクササイズで知ることもできます。


想像しているものと違う動きを人はするものだと気付かされます。


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手首

2024年07月13日 | レッスン

ピアノや弦楽器は手首を結構使う楽器だと思います。

弦楽器は弓を使うのに手首の動きが必要になり、ピアノは弦楽器の弓が腕に相当すると思うので、やはり手首を使わずには弾けません。

ピアノは、鍵盤上で様々な回転運動をさせます。


と言っても、あれと、これと、これの反対と、こういうのと、こういうのの反対と、それと、それの反対と・・

7種類くらい?


ひとつの鍵盤に指を置いて、グルグル準備運動をしても良いと思いますが、ヴァイオリンのかたがこのような方法を紹介されていました。

ピアノの鍵盤を使わずにできて、これも良いと思いました。
というか、鍵盤を使うとピアノの弾き方を習ってこなかった生徒さんは急に難しいことをするという印象を持つようで、「できない・・」と不安がることがあるので、こちらの方が良いかもしれません。

指の支えができていないと手首が動かせないと思いますので、初心者のかたはこちらですかね。

ピアノの手首はこれだけでは足りませんが、まずは音を離す時の動きでしょうか。あと左手もやらなければ、です。



音を離す時に喋々の手首を忘れている生徒さんに、上の動画のように反対の手で指を軽く握ったまま手首をゆっくりと上に上げる動きをしてもらい、3回目にそのままス~ッと上に抜くと鍵盤に戻った時も手首から音を離すことが上手くできます。

おススメです

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よるのおはなし

2024年07月12日 | 不思議な音の国

グループレッスンからピアノ個人に移動した小1の生徒さんが作った曲。

曲名が付いていない状態でアレンジしたのですが、最初のヴァージョンは「まぁまぁ」という顔をしていました。

しかし、そのあとの連弾ヴァージョンは複雑な顔をしました。


「イメージと違かった?」と訊くと、頷きました。

がっかりさせてしまったなと思い、「この曲に題名付けられる?曲の名前」と言うと、


「よるのおはなし」


おー!なんてステキな曲名でしょう。


それを聞いて、「全然違かったね。最初に聴いた方が近かったかな」と言うと頷いてくれました。

それで、静かな雰囲気にして連弾をしました。
その様子は録画しておりませんが、この曲名は私の心に残るものになりました。

下の動画の最初のものが、生徒さんのイメージに少し近いようです。後半はダメダメでした

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周回遅れ

2024年07月11日 | 重力奏法

3カ月くらい前に偶然見かけた記事ですが、俳優の鈴木亮平さんが「日本は韓国に20年くらい差をあけられた」と話されたそうで。


そして、大沢たかおさんが日本は「なんで先をどんどん急ぐのだろう。クオリティーとかお客さんに喜びや感動を伝えることよりも、とりあえずドラマの完成品を作る方が優先されてる」とそこが合わなくなったので海外にシフトされたそう。


韓国の製作費はドラマで1億。2億を超えるものもあるとか。日本は3000万。監督は満足できる映像が撮れるまでこだわることが出来、細部にまでこだわり、高い完成度を誇ることが出来ると。

質の高い韓国のドラマ業界にNetflixは昨年3800億円の投資をし、更に高品質な作品が次々と生み出されているそうです。


大沢さんの「なんで先を急ぐのか」「とりあえず完成品を作る方を優先」
を読み、あ~、ピアノと同じだと思いました。

高品質を目指すには練習環境の問題が関わってくると思いますが、質の良い音で弾くことを目指すのは誰でもできます。


よく耳にする「基礎をしっかり」は音符やリズムが分かることではなく、それは当たり前で、楽器にはどうすれば良い音が出るかという出し方があります。

ピアノで鍵盤を押すは、管楽器は吹けばいいんでしょ、弦楽器は弓でこすればいいんでしょ、と言っているのと同じで、それでは綺麗な音にはなりません。


安っぽい音ではなく、質の良い音は習い始めから教えることも習得することもできます。
ただ、それは今日やって明日できるものではありません。時間がかかります。耳と脳と体を作るからです。それを作るためには美しいと感じるセンスとより良くなろうと思う向上心が必要です。


日本のピアノ教育はアジアでトップだと未だに勘違いされているかもしれませんが、少なくとも10年前には韓国、中国に追い越されています。ヨーロッパから見たら何周遅れかわからないくらいです。

とりあえず完成品を作れば良いと進めてきた日本のドラマが、学芸会レベルとか安っぽいと言われているのに対し、韓国は質にこだわった結果が現在の差を生んだことを考えると、日本のピアノ教育も気付かなければいけないのではないでしょうか?

生産性が低く成長できない日本の経済は、今後もっと縮小していく可能性が大きいです。過去にできていたことができなくなります。大したことをしなくとも恵まれていた恩恵がなくなります。

私なぞはその恩恵を受けて生きてきた世代です。
しかしもうその時代はおそらく終わります。既に終わったのかもしれませんが。

これからは本物を身に付け、それを磨いて行くことです。
100均やプレハブの間に合わせではなく、長く使えるものを渡すことが大人が子どもたちにすべきことではないでしょうか。

質にこだわることを恐れてはいけないし、怠ってもいけないと思います。

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真ん中の3本の指

2024年07月10日 | 重力奏法

ピアノは腕の重みを鍵盤に載せることができないと上手く弾けません。
重みは力を抜くことで生み出せます。

まずはこれが出来るようになること。


この時にもうひとつ大事なことがあります。

力を抜くだけではダラリとした音になってしまいます。腕を少し持ち上げ、腕を支えた状態で弾く必要があります。


ピアノでは当たり前となっている重力を使う奏法。重力奏法と言いますが、それを誰でも身に付けられるように考え出された東欧を中心とした指導法は、3の指(中指)のノンレガートからレッスンを始めます。ロシアを筆頭に東欧は素晴らしいピアニストを多数輩出しています。

その次は2の指(人差し指)、そして4の指(薬指)と進みます。

東欧ではありませんが、私の手元にあるドイツの導入教本も黒鍵を234の指で弾く所からレッスンが始まります。


アメリカ、日本で多く見られる固定5指奏法は、1の指(親指)から習い始めます。
特に日本人は順番通りが好きな国民なので、1の指から習い始めることが当たり前の事と思っていると思います。



さて、234の指から習い始めるとどのようなメリットがあるかと言うと、
・腕を支えやすい(親指や小指で腕を支えてみて下さい)
・腕の重さを載せやすい(肩から真っ直ぐに指先に重さが流れていきます)
・手首が使い易いので、音を離す時に自然に音を減衰させられる


では、1の指から習い始めるメリットは何でしょう。
・ドに1の指を置いておくと指の番号を見るだけで曲が弾ける(音符が読めなくとも弾ける)
・鍵盤から指を離さなくて済むので、間違わない安心感がある


東欧のメソッドではノンレガートでレッスンを始めます。そのメリットは、
・広い音域の曲が弾ける(それにより腕を使うことを覚えられます)
・高音域の曲、低音域の曲を無理なく弾ける(耳が育ちます)
・すぐに黒鍵の曲が弾ける(腕を支えることが自然に身に付きます)

固定5指デメリットは正しいピアノ奏法を身に付けることが難しくなる、ということです。
・指を置いておく曲から習い始めるので、音域がなかなか広がらない
・指を置いておくことで、腕や手首の使い方を覚えられない
・腕の重みを使いにくいので音の鳴りが良くない
・楽器の奏法を身に付けることを目的にしていない


固定5指で習い始めても、進みが非常に早い場合はこのデメリットの影響は少なくて済みます。

固定5指の教本で教えたとしても、鍵盤に指を置いたままにせず、音の動きに合わせて手を左右に動かすことを教えることは出来ます。私はそうして30年以上教えてきました。

しかし、腕の重みを載せる感覚はそれだけではできませんでした。上手く手の移動が出来ている割に音の鳴りは足りず、耳障りではない音は出せてもピアノが十分に歌ってくれる音にはならず、物足りない演奏をずっと耳にしてきました。


だから東欧のメソッドを知った時に、この方法に変えたのです。


東欧メソッドデメリットを挙げるとしたら、指使いで音符を読むことが出来ない、習い始めは聴いて覚える曲を弾くので記憶力が必要、音をよく聴く集中力が必要、手の使い方を覚えなければならない、癖を直さなければならない。

気軽にピアノを弾きたいだけの人には面倒なことが多いと思います。


楽器演奏は本来簡単なものではなく、身に付くのに時間がかかり、知的作業が多いものです。



日本にはヤマハ、カワイといった世界的に有名な楽器メーカーがあります、そのせいか、日本はアジアの中でピアノではトップを走っていると思われているかもしれませんが、もうだいぶ前から韓国の方がずっと実力あるピアニストが多く育っています。

日本のメーカーが音楽教室も経営している所に問題の起因のひとつがありそうな気がします。
楽器を売るために「音楽は楽しい」という概念を刷り込んでいるように感じます。


日本人の気質や楽器業界の影響で失われるものがあることは悲しいことです。
本物を見抜く目を私自身も付けたいですし、生徒たちも付けてほしいです。

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エントランスには椅子

2024年07月08日 | 不思議な音の国

真ん中のドには加線が必要ですが、これを書き忘れる生徒さんもいれば、逆に他の音にも書く生徒さんもいます。

他の音にも書く生徒さんの方が多いかもしれません。


こちらの音のマンション。
 


真ん中のドはマンションの玄関です。つまり入口、かっこ良く言うとエントランス

エントランスの椅子で王様とドラゴンはいつも寛いでいます。
この管理人はマンションのオーナーでもあり、ラグジュアリーなマンションでリッチに暮らしながら音たちとのおしゃべりを楽しんでいます。


このマンションは何せラグジュアリーでリッチなので、エレベーターを降りたら各階ともすぐに部屋の玄関です。ワンフロアで一世帯。
なので、椅子なんて必要ありません。

おぉ、憧れる~


ただ··

エレベーターは5線を越えると無くなります。そこから先は階段を使って下さいになります。
加線のことです。


教本にある王様の椅子を上手く活かせませんでしたが、これで活用できそうです。


私が絵が描けたらエントランスのラグジュアリーさ加減を描いて生徒に伝えられるのに··

クッ··

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