おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ちいさなハリネズミ

2024年01月28日 | レッスン

カバレフスキーの「ちいさなハリネズミ」という曲。(「かわいいハリネズミ)となっている楽譜もあります)

不思議な音の国を終えた生徒さんに弾いてもらうことが多い曲です。



ドイツの赤いクマさんの楽譜を不思議修了後に使っているので、この曲集に入って間もない頃に弾いてもらっている曲のひとつです。

不思議の教本は腕を使うことを習い始めから行いますので、このような曲はさほど苦労することなく弾けます。


しかし、ピアノを指だけで弾いてくるとそうはいきません。

暴れん坊なハリネズミと化し、デコボコ道もなんのそのなワイルドなハリ坊になってしまいます。

そうならないように、安定した腕の動きが必要です。

さらに、回転も使うと音が生きます。
2匹のハリネズミが正面衝突して、何度も頭をゴツンとぶつける様子が表現できると思います。


回転はDrayerさんの「Little Gems for Piano」のこちらが美しい上にわかりやすいと思います。




ピアノにも弾き方がちゃんとあるのです。
音符と鍵盤の場所を一致させれば良いのではありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無理かと思っていましたが

2024年01月25日 | レッスン

昨年9月の最終週からピアノを始めた年中の男の子がいます。

ご両親はヨーロッパの方です。
お父様のお国にはアリシア・デ・ラローチャという素晴らしいピアニストがいました。お母様のお国には、クララ・ハスキル、ラドゥ・ルプーというこれまた素晴らし過ぎなピアニストがいました。


今年の3月に、その生徒さんが通っている教室の発表会があります。

これまで7月に始めて翌年3月の発表会に参加された就学前の生徒さんはおりました。それでも私は、参加はあと1年待ってほしいと思っておりました。

今回の新しい生徒さん。
とーぜん私は、見送ってほしいと思っておりましたし、見送って頂くつもりでおりました。


ところが、お母様が
「でます!」

おっ、海外の方なのであり得るなと思っておりましたが、あり得ました。

それで私は、連弾と言って、私と一緒に弾くことになると思いますが、まだテンポが感じ取れないので一緒に弾くこともできない状態です、と言うと、

「知ってます!出たいです」


こ、これは・・

日本人は習い始めて1年に満たないと、大体翌年に参加という話になります。曲の準備が出来そうな生徒さんには、大丈夫だと思いますよと話しますが、それでも見送るご家庭は珍しくありません。


そして、参加申し込みを済まされてしまったので、やるしかなくなりました。


曲目を提出するにも決められず、教本の名前を書くことにしました。

生徒さん本人は、自分が何をするかわかっていないのですが、レッスンに集中してとにかく曲を覚えなければいけません。

結局、2曲は覚えられそうでしたのでそれに決めましたが、曲が短いので1分くらいで終わってしまいます。


こ・これでは楽しみにしているご両親がガッカリしてしまうかも・・
と思い、あと1曲なんとか覚えてもらおうと、伴奏が綺麗な「スケールワルツ」にしようとしましたら、本人が気に入らずでボツ・・

もうこのカッコイイ曲を覚えてもらうしかない!と、ロシアの教本に載っているリストのハンガリー狂詩曲第2番のモチーフを使った曲にチャレンジすることにしました。


普段のこの生徒さんの集中力から考えると、この半音を含む曲は複雑で「やりたくなーい」になる可能性大でした。

ところが、絵に助けられました。


この子はなんで水に足を入れているのかと訊いてきました。
説明すると、〇〇くんはそんなことしたことない、と。

雨の日に水が溜まっている所に足を突っ込んだことない?
と訊くと、「あっ、ある」「ズボンがきたなくなる」と。

この子は「ズボンがきたなくなるのに、なんでやってるの?」と。
「みんなにげてる」と生徒さん。

良い所に気付きました。


この絵のおかげで、この曲に一気に興味が湧いたようで、今日は4小節覚えました。

今日はお父様がいらしていたので、他の2曲を含め最後に部屋に入って聴いて頂きました。

まだ覚えたてで、すらすら弾けませんが、それでも「よく覚えた!スゴイよ、〇くん」と大拍手&Baiserの嵐。

本人もとても、とても嬉しそうでした。


褒め方のレベルが違うな、と思ったのでした。
ダイナミック


リストの曲は、これから手の交差があるのでどうなるか分かりませんが、何とかなりそうに思います。

そして、良い音で弾くこと。
このことは「不思議な音の国」でどのように音を鳴らすかをしているので、出来ると思います。それに、根元から太くて真っ直ぐな指をしているので、上から腕を下ろせれば良い音が出せます。

さらに踊っているような音楽にまで達することができたら、最高です!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あのチェックシート

2024年01月24日 | 不思議な音の国

保護者の方に、レッスンで何をしているかを知ってほしくて「不思議な音の国」のチェックシートを作りました。
また、他の先生に移動された時に、レッスンで何をしてきたかが分かるようにとの考えもありこれを作りました。

せっかくなので、生徒さん自身も読めるようにしました。

役に立ってくれるかなと思いながら、作るだけ作ろう!と自分を奮い立たせ作成いたしました。


昨年末に生徒さんに渡しましたが、予想外に生徒さん自身に役立っています。
保護者の方には読んで下さっているか確認できていないので、ご理解されているか不明です。


チェックシートに何に気を付けて弾いてほしいか書いてあります。

普段のレッスンでしていることしか書いておりませんが、これが文字になり、さらにできたところにチェックを入れ、全ての項目にチェックが入るとスタンプがもらえるとなると、生徒さんは目の色が変わるようで・・

家での練習で、自分自身が先生になっているようです。


先日、ずいぶんと手の使い方や指の支えが良くなっている生徒さんがいました。

とても気を付けて弾いていること、音が綺麗になっていることを褒めましたら、お母様が、この紙を見て、自分で「この手じゃダメ!」とピシピシと自分の手を叩いて注意しているのだとか。

私よりずっときびしい先生です。


紙を渡してさほど時間が経っておらず、終わった所でもまだ全ての項目をチェックしきれていないので、生徒さん自身が「ここは自分は出来ている!」と思う所は、自分から「これは覚えてる」とか「できていると思う」とアピールしてきます。

この積極性、頼もし~


作って良かったです。
この教本だから作れたと思います。

手間が掛かったので、ホント報われた気がします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

専門家だから教えられることを

2024年01月22日 | レッスン

5~6年前まで、ピアノを専門に勉強していなくとも教えられるような事を、ただ工夫して教えていただけだなと最近思いました。


何がきっかけでそう思ったかというと、今、冬に3回だけ受講できる短期レッスンを受けている生徒さんがいます。

私が稼働している楽器店では、夏と冬にそのようなレッスンを受講することが出来ます。

ここ何年かこれを就学前のお子さんが受講することが私の場合は増えていてます。おそらく、年齢的にピアノのレッスンを受けられるかを保護者の方が試すために受講されているのだろうと思います。

体験レッスンで僅かな時間受けてみるより、ずっと確実だと思います。

正直な所、体験レッスンは出来ないことは避けて終わるので、本当の所は保護者の方はわからないと思います。
また、問題を認識できないまま入会されると、現実とのギャップに戸惑われていく可能性があります。


今回申し込まれた方は、保護者の方にピアノ経験があるようで、「子どもにどう教えたら伸ばすことが出来るか知りたい」とアンケートにありました。

電子ピアノをお持ちなようなので、趣味で習ったことがあるのだろうと思います。ご自分で教えるつもりで、最初の導入法をお知りになりたいのだろうと思いました。


私は音符の読み方や鍵盤の場所を教えるのがレッスンだとは考えておりませんので、音符の読み方やリズムをいきなり教えることはしません。

その前の段階にすべきことがたくさんありますので、それを正しい奏法を身に付けると同時に行っています。


この短期レッスンでも同様です。

ただ、3回のレッスンで曲の一部分でも良いので弾けるようにして終わらせています。

手や指の力みがさほどなければ、聞き覚えで1曲丸ごと弾ける可能性があります。そうでなければ、知っている曲の一部分にしています。


弾く時に何に注意を払うか、鍵盤の位置を覚える時にどのようなことをするか、音の聴き取りの最初の段階をどのようなことから始めるか、リズムというものを意識するために最初に何をするか。

これら全てが同時に行われるのがレッスンです。
個別に、あれをやったら次はこれではありません。

奏法そのものも専門家でなければ分かりませんが、これらをリンクさせレッスンを進めるのも専門家でなければ難しいかもしれません。


自分がしていることが随分専門家らしくなったものだと、今回の経験でふと思いました。

以前は工夫することばかりに目が行っていて、正しく教えられていなかったなと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この書き方の意味

2024年01月21日 | 重力奏法

以前、何度かご紹介したこちら。


ひとつの音から様々なコードをアルペジォで弾く練習です。

このリズムの書き方にどんな意味があるのだろう、と思っておりました。
見るからに速く弾きたくはない、感じです。


昨年末から、鍵盤を下ろすことをレッスンでやり始めました。
今までも鍵盤は下ろしていたにはいたのですが、深く下す前の段階が必要ではないかと考えるようになりました。

鍵盤はどう弾いても簡単に動くので、叩いたり、突いたり、撫でたり、触るだけだったり、人によって様々です。


「不思議な音の国」の教本で育った生徒さんは、叩くことはしません。
しかし、触る程度の鍵盤の下ろし具合いだったり、鍵盤の奥に向かって突くように弾いたりする生徒さんはいます。

同じメソッドでも色々と奏法があるかもしれませんが、私はまずは真下に下ろすことを基本の音としています。


上から鍵盤を下ろすと澄んだ音がします。
次に目指したいことは、がたつかずに弾くこと。

工事中のように、デコボコしないように腕を少し持ち上げた状態をキープします。
片手ずつ、自分で一方の腕を下から支えて弾くとすぐに感覚がつかめます。


スケールは黒鍵白鍵が混ざるので、段差ができます。
そこをデコボコしない、がたつかないように弾いていきます。

スケールは隣の音同士で弾けます。滑らかになってくると、今度は離れた音で試したくなるはずです。


それでアルペジォ。

冒頭の写真にありますアルペジォは、ひとつの音から弾き始めて様々な調性、音の幅で弾くことが出来ます。効率が良いです。


私は今頃気付いたのでした。

このリズムの書き方は、このためにあるのではないかと。
どんな音の幅でも、どんなに段がついていても、鍵盤を叩かず、打たず、腕の高さをキープしたまま、スッと鍵盤が下ろせるようにするために作ったのではないかと。

という、勝手な解釈。

というか、当たり前と言えば当たり前。


思い出したのですが、ピレシュの引退公演(その後復帰)のお弟子さんとの連弾を含んだオールモーツァルトプログラムの時に、なんだろうと思った光景がありました。

ピレシュがファーストを務めた時に片手で弾く部分で、もう一方の手で腕を下から支えるようにして弾いている部分がありました。
怪我でもしているのかな、疲れたのかなと思って見ていましたが、そのわりにその部分の音が格段に美しかった記憶があります。

今頃ですが、プロでも本番でそれをやるのかと、ちょうど今、私はモーツァルトの連弾曲を練習していて、片手で数小節にわたり弱音で弾く16分音符の山があって、腕を支えながら弾くとこんな私でも少しは美しく弾けるなと思って弾いていたら、ピレシュのその光景を急に思い出したのでした。

本番でやるかは勇気がいるかも··

体裁を気にする日本人な私··

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リリース

2024年01月19日 | レッスン

ピアノは同じ音を続けて弾くのが難しい楽器です。

鍵盤を上にあげてからまた下ろさないと、次の音は綺麗に鳴ってくれません。

ここでの話は連打のことではなく、4分音符のリズムで弾く程度のことです。


生徒さんのレッスンで、同じ音や同じ音が和音に入っている時に、たいてい後の音が汚くなります。

前の音をちゃんと離してから次の音を下ろせば良い、とよく言うのですが、なぜか前の音が離せない人が多く、謎。


最近拝見したイリーナ先生のミラちゃんのレッスンで、同じことを注意されていました。(2’57”から)



イリーナ先生が「どうしてあなたは時々音が鳴らなくなるのかというと」と言った後、「you're not releasing and you're not letting the key go」と仰っています。

それを聞いて、
「リリース、という表現は良いかもしれない」と思いました。                   

小学校高学年以上の大人の方を含めた生徒さんに、同じ音が続く時に前の音を離していないために次の音が上手く弾けずにいた生徒さんがちょうどいたので、「リリースする」と言ってみました。

そうしましたら、「離して」で効果なしだったものが「リリース」で効果発揮!


今週、4人の生徒さんに使ってみましたが、今のところ全員離せています。

なぜでしょう・・

解き放つ感があるのでしょうか・・

それなら、「解放!」でもいいのかな?

きっと、ダメだな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつまでに暗譜 ?

2024年01月17日 | レッスン

イリーナ先生の動画で本番前のレッスンは、緊張感があると思いながら拝見しました。

20回に亘るイリーナ先生の有料講座の最後で、本番前や当日にする事を挙げられていました。
本番当日はどのくらい前に食事を終えておくとか、会場に何分前までに入るとか、靴のヒールは何センチが良いとか。

その中で、暗譜をどのくらい前までにするかというお話しがありました。

年中までは2~3週間前
それ以上は1~2ヶ月前

私自身は、以前は本番1ヶ月前までには暗譜は終えておくようにしておりました。
今はもっと前までに終えないと怖くて弾けないので、準備は年単位になっています。


若い生徒さんたちは1ヶ月前でも怖いということはないので、遅くとも1ヶ月前までに暗譜と考えておりますが、イリーナ先生は全体にもっと早い印象で驚きました。

私の生徒は、1ヶ月前を目安にしているものの、実際は2~3週間前というのが現実です。


暗譜は確かなものにする方法がいくつかあるので、それを習得するためにも早めに譜読みを終え、技術的な問題を解決しておく必要があると思います。

それをしたいのに、譜読みに時間がかかったり、技術的な問題がずっと解決出来なかったりすると暗譜に時間を割けなくなります。
結局、自然に手が覚えたものが暗譜だと思ったまま終え、発表会が終わると弾けなくなる··

しかし、生徒の鑑のような人も中にはいて、発表会が終わっても自分で時々弾いているようで、3か月後、半年後、一年後でも、まだ覚えてると言って聞かせてくれる生徒さんも僅かにいます。

偉いなぁ。


学年が上がってくると、頭で覚えることをしないと緊張で歯車が狂うと大変なことになります。
できればその様なことにはなってほしくないです。

いつまでに暗譜を終える、と逆算して練習を進められるようになってくれると良いのですが、これがわからなくてたいへんです。

逆算は経験からくるものなので、発表会前の先生だけピリピリして本人は呑気という光景はよくあると思います。

学校の試験でもギリギリにならないと勉強する気が起きないという生徒さんがいます。
そのような人はピアノも同じでギリギリです。

そういう人は、勉強を始める時にまず机の上を片付けてと考え、すると、この日は片付ける時間がないから今日はできないになるそうです。

よゆ~

人間はいつからやるとか、これが終わったらやると考えると、結局やらないものです。思った時にさっさと始めることです。


掃除も片付けもさっさとやる。

はい、さっさとやります


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本番前のレッスン

2024年01月15日 | 不思議な音の国

イリーナ先生のレッスン動画。

クリスマスコンサート前のレッスンかと思われる34回目のレッスン。

緊張感が漂っています。
そして、これは歌です。どの音も歌って。なにを意味しているか分かりますか?と、叩いて弾いた音に注意を与えています。

鍵盤を叩くことに対して、イリーナ先生もピアセツキー先生も絶対に許さない姿勢を示されています。


小さい生徒さんや、趣味の大人の生徒さんが鍵盤を突くようにはっきりした音で弾くと、日本では「しっかり弾いている」と逆に褒めたりすることはないでしょうか?

この音は攻撃的でうるさいです。
なのに、狭いレッスン室で大きく聞こえた音が、ホールで聴くと調子が悪いのかと思うくらい全く聞こえなくなります。

狭いところではうるさい、広いところでは聞こえない。
これは必要な音ですか?


どんな音で弾くかは、楽器演奏ではマストです。
それを教えるピアノレッスンが当たり前になる日が来てほしいと思います。

最初からそのようなレッスンをすると、子どもはそういうものと受け入れますが、そうではないスタートを切ると、それは面倒臭いことになります。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こんなに音が鳴るとは

2024年01月14日 | レッスン

これは生徒さんが発した言葉です。

「この弾き方で、こんなに音が鳴るとは」

大人の生徒さんです。
小学1年生の終わり頃に引き継ぎ、現在社会人3年目。


下に弟さんがいて、同じ時に引き継ぎました。
2人とも無理矢理な弾き方をしていて、本人たちはいい加減に弾いているわけではなく、お母様に小さい頃から無理に難しい曲を弾かされてきたことにより、硬直した手になってしまっていました。

この手を直すのは大変だと思ったのと、先に進まなければ許されない状況でもあり、手を直すことはしませんでした。

2人とも男の子なので、ピアノを長く続けることもないだろうと思っていたのもあり、そのままにしました。今でしたらそのようなことはしないのですが・・

中学受験があり、塾通いも忙しかったので、手のことは完璧にノータッチでした。


大学生になり、やっと時間にゆとりが出来たので、言えること、出来そうなことはやろうと思い、少しずつ弾き方を直し始めました。

社会人になったらピアノは辞めるだろうと思っていたので、大学4年生の時に革命のエチュードにチャレンジしました。

予想に反して、社会人になってもピアノは続け、就職した1年目はちょうどコロナ禍でほとんどオンラインで仕事をするだけでしたが、2年目は残業の日々でピアノどころではなくなりました。ニーヤオートマタでつないだ1年でした。

それでもレッスンは辞めず、3年目になりまた余裕が出来たので、クラシックの曲に戻りました。


今年最初のレッスンで、鍵盤をただ下ろすことをしてみました。そのあと自分で片方の手で腕を下から支えて弾く練習をし、支えを取ってもそれを再現できるようにとやりました。

そうしましたら、「この弾き方でこんなに音が鳴るなんて」と。

良い耳をしています。

鳴る、というのは大きい音が出せるという意味ではなく、弱い音なのに音の広がり方がこれまでと違う、という意味です。


耳の良い生徒さんは皆、驚いたような顔でその場で感覚を忘れないように何度も弾いて確かめます。

この方法でこんなに変わるとは私も思っていなかったので、自分でも驚いています。

音ははっきりしているけれど、全く音楽が流れない生徒さんは、基本的に全ての音をアタックして鳴らしているので、そのような生徒さんにも鍵盤をただ下ろすことをしてもらうと改善できます。

腕の重さとか、深く弾くとかは実感できない人が少なくありません。しかし、鍵盤をただ下ろすだけというのは、ほとんどの人が分かります。

それでも、ただ下ろすことが分からない人はいます。
手の甲と手首の高さが真っ直ぐにならない人は、これがわかりにくいようです。腕の長さも関係している気がします。


25年位前に、イタリアに1年間留学していた楽器店の先生がいらしたのですが、その先生が1年間ずっとスケールをやらされていたと言っていました。鍵盤の下ろし方を習っていたと。

そのお話を聞いた時は意味を把握できておりませんでしたが、今はそういうことかと理解できます。


何も教えなくとも、鍵盤を下ろしている生徒さんというのはいるものです。
音が綺麗な生徒さんは大体そうなっています。

年齢は関係ありません。


鍵盤を下ろすなんてそんなこと常識でしょ、と思われている方もいらっしゃると思います。

鍵盤を下まで下ろして、は昔からよく言われている言葉です。
鍵盤は軽く触れようが叩こうが突こうが下に下がります。

どう下ろすかまで教えなければ、有害となってしまう可能性のある言葉です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とても不思議

2024年01月12日 | 不思議な音の国

不思議に思っていることがあります。

不思議な音の国の教本にある作曲のページで起きることについてです。

年が明け、最初のレッスンで昨年秋からピアノを始めた小学2年生の生徒さんのレッスンがありました。

年齢的に話が通じないことはなく、手もしっかりしているので順調に進んでいます。

ピアノを弾く指と手首を早く作りたいので、聴いて覚える曲も弾いています。
3オクターブの音域で、黒鍵をたくさん使うソロ曲を2曲覚えている所です。以前の教本ではこのようなことは不可能でした。指導法を変えたことで可能になりました。

体験レッスンの時に弾きたい曲として、「ねこふんじゃった」が弾ければよいとありました。楽器店で私は教えていますが、スタッフのほうで事前にアンケートを取っていて、その中に弾きたい曲の項目があります。

多くの生徒さんは、ディズニー、アニメ、Jポップの曲を書いてきます。いきなりは無理、という曲ばかりです。そんな中で、「ねこふんじゃった」は異色でした。

変に欲がないので、逆に曲を渡しやすく、教本の曲も聴いて覚える曲も興味を持って弾いてくれている気がします。


その生徒さんに年末に、習った3つの音(ト音記号・ヘ音記号の真ん中のドと一つ上のレ)で曲を作るページを宿題のひとつとして出しておりました。初めての作曲です。

きちんと書いてきてくれていました。


ところが、またこの現象が・・

同じパターンを繰り返しているのです。


不思議なことに、小学生になってから不思議な音の国の教本でピアノを始めたお子さんは、この現象が多いのです。

小学校に入る前のお子さんにはほとんど見られないことが、小学生には多く見られます。

漢字ドリルでもしている感覚なのかと思うほど、同じ音がいくつも続くこともあります。


これは学校教育が生んでいることなのだと思います。
独創性が全くありません。

就学前の生徒さんが、音の順番にこだわって、考えて考えて曲を作って来るのに対し、小学生、特に2年生以上になると皆このような状態です。

以前、生徒さんが作った曲を「おとのくにへ」という連弾曲集にしましたが、選んだ曲は全て小学1年生以下の生徒さんの曲です。
学年で選んだわけではなく、魅力のある曲を選んだ結果そうなりました。


前述の小学2年生の生徒さんは、宿題を次のレッスンまでにきちんとしてきてくれたので、伴奏を作りました。

この先、上巻であと2回曲を作るので、変化があった方が音楽は面白いものが出来ることを次のレッスンで助言しようかと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指先から旅をするより

2024年01月05日 | 書籍紹介

藤田真央さんの「指先から旅をする」

音が客席後方に飛ばないとか、リハーサルと本番でホールの響きが変わるとか、そんな時にいつもと弾き方を変えて対応されている姿に素人のように感心しながら読んでおります。

ピアニストが本番で咄嗟にその時の最善の演奏を選択していることがよくわかります。


さて以前、真央さんがジャズ風の自作のパガニーニを演奏されていて、意外性に驚きました。
その事も本には軽く触れられていて、音楽祭でジャズピアニストと交流する機会が増えていてジャズに興味を持ち始めたのだそうです。

持ち始めてこのような曲が作れてしまうとは、異次元


モーツァルトのコンチェルトの自作カデンツァの話も本にあります。けっこうな長さのようで··

アンコールで即興演奏をしたこともあったそうです。

なんでもできる




追記
なんと! パガニーニの曲は真央さんが高校生の時に作曲の授業で書いたものだそうです。
あさイチに出演され、この曲を演奏されるときにそのお話をされていました。
異次元さ、増し増しです !!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指先から旅をする

2024年01月03日 | 書籍紹介

藤田真央さんの「指先から旅をする」を年末から読んでおります。

面白いのでどんどん読めてしまうのですが、味わいながらゆっくりと読み進めております。


指揮者との共演の話が興味深く、それぞれの指揮者の音楽家としての姿を少しだけ知ることができます。
そこに直にいたご本人にしか知り得ないことは山ほどあると思いますが、ほんのちょっとだけでもプロフェッショナルな世界を教えていただけ、面白く拝読いたしました。


2023年のヴェルビエ音楽祭の10人のピアニストがラフマニノフのOp.23のプレリュードを1曲ずつ演奏する話もありました。
真央君は1か月前に降板したババヤンに代わって3番を演奏したそうです。
リハーサルやゲネプロの話が面白いです。

こちらの演奏はyoutube で見られます。
ただ、リンク先は貼り付けられないようになっているようで、下の画面のYouTube で見るをタッチしていただくと見ることができます。

裏話を知ってから聴くとまた一味違います。

SERGEI RACHMANINOFF 10 Preludes Op. 23, Played by 10 Pianist / 30th anniversary gala, 2023 Verbier


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作曲家を知ろう! 久石譲

2024年01月01日 | 作曲家を知ろうシリーズ

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は当ブログをお読みくださり誠にありがとうございました。
本年も皆様がご多幸な年でありますようますよう、お祈り申し上げます。



さて、新年の話題でもなんでもなく始まりますが、生徒さんに毎月、聴いてもらっている作曲家シリーズから始めます。

今月は久石譲さん。

冬休みが入るので、お楽しみ企画で久石さんにしました。
昨年の夏休みはジョン·ウィリアムズ。

この企画のみ参加の生徒さんもいます。

どんな感想を書いてくれるか楽しみです。


久石さんの曲は心にじわりとくるものがあるので、生徒さんに弾いてもらうこともよくあります。
久石さんご自身がピアノを演奏されながらオーケストラと共演されていることもあってか、アレンジされた楽譜でも、わりと良いものが他のポピュラー系の曲よりは多いように思います。

久石さんご自身がピアノソロにアレンジした楽譜もあるので、安心して使えます。

ピアノを弾く人が作った曲かは、ピアノで演奏する時はけっこう大事です。

久石譲 | Composer Sakkyokuka

Composer Sakkyokuka

 


新しい年はやはりバッハだと、ミサ曲を聴いたりヴァイオリン·ソナタを聴いて過ごしております。
昨年放送されたアンスネスさんの皇帝もオンデマンドでまた聴きました。
あれは良い演奏でした。アンスネス、進化しています。
どのフレーズも音楽がはっきり伝わり、格調高く、ホレボレします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする