おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

カントロフのダンテ

2021年03月29日 | コンサート情報
3月29日は「ピアノの日」です。
1月1日から数えて88日目だからです。

そのピアノの日にフランスのカントロフがarte concertに登場。「Alexandre Kantorow au Piano Day」

ブラームス:バラードNo.1
リスト:ダンテを読んで
サン・サーンス:死の舞踏

「ダンテを読んで」から伝わる哀しみ。このような演奏は初めて聴きました。
カントロフの持っている感性。彼の中にはどれだけのものが詰まっているのでしょうか。

「死の舞踏」死は身分に関係なく容赦なく訪れ無に帰す。聴いていてゾゾッとしました。

やはり彼の演奏には毒性があって何度も聴いてしまいます。


Alexandre Kantorow au Piano Day - Regarder le programme complet | ARTE Concert

ARTE Concert invite à son Piano Day le jeune virtuose Alexandre Kantor...

ARTE

 

素敵な場所で演奏されていると思い調べましたら、Théâtre de l'Épée de Boisという場所。パリ12区とあります。どのような地区なのでしょう。石造りの部屋、木造の部屋などがある劇場のようです。石造りの部屋で演奏されていると思います。照明も素敵。
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生徒さん「カッコウ」を弾く

2021年03月29日 | 不思議な音の国
年中からピアノを始めた生徒さんの演奏を録画させていただきました。

ごく最近まで弾き方に興味はないような生徒さんでした。

初めの頃は1回弾いたらもう疲れておりました。
年長の終わり辺りから2回弾けるようになってきました。

そのような生徒さんに、音の出し方や発音を「不思議な音の国」では全曲通してやるのですから、よく投げ出さなかったと思います。お母様の支えあってのことです。

少し前まで、こちらの生徒さんは指を伸ばして叩くように弾いていました。
指先のことを注意しても面倒くさそうにしていました。

それが昨年末から、何も言わなくとも時々自分でそのように弾くようになっていました。

こちらの録画は練習を始めて2週目のものです。
部分的にテンポが速くなっておりますが、本人は気付いておりました。

リズムの軽快さがあって良いと思い、録画をさせてもらいました。
右手、左手とも重くならずに弾いています。レガートも指先が伸びていた頃はこうはいきませんでした。奏法はほとんど直しておりません。

以前の教本でしたら、ほぼ一人でこのような演奏はできませんでした。調性は♯4つのホ長調です。これも以前の教本でしたらまだまだ先の話しでした。

不思議な音の国下巻「カッコウ」(小1)


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やはり3年

2021年03月28日 | 重力奏法
3年前にロシアンメソッドでピアノを習い始めた生徒さん、習い直した生徒さんの芽がグンと伸びてきました。

ロシアでは一音に3年かけると言います。

それが今、こういうことなのかと実感しています。

個人差はありますが、やはり毎日練習を続けている生徒さんは3年経つと明らかに次の段階に進みます。

正直な所、2年半経ってもずっとこれを言い続けるのかと、いつまで毎度毎度言い続けなければいけないのかと、少々疲れておりました。

何を言い続けているかというと、

「発声」と「発音」です。

毎回指摘しても、一人では実行できない生徒さんが大多数。

ところが、ここに来て数人の生徒さんが、重さを使って本当のピアノの音で演奏しているうえに、滑らかに弾いていることに気が付きました。

そして、発音もいちいち指摘されなくとも弾き分けています。

手の癖が強くてほぼ諦めていた生徒さんも、あの力みはどこに行ったのかという変わりようです。

3年経って変化してきた生徒さんたちは、自分で考えることをしています。

不思議の下巻を終えた頃は、まだ誰も発音記号(アーティキュレーション)に合った手の使い方が一人ではできませんでした。

何度も何度も、どの生徒さんにも手の使い方を教えていました。

次の教本に入ってからもそうでした。
私としては、不思議下巻全曲であんなにやったんだからもう一人でわかるでしょ?という気持ちでした。

次の教本に入っても、不思議下巻で習ったことをずっと指摘し続けることになると思っていなかったので、ガックリ来ていたのが昨年末。

それが先月辺りから変わり始めた生徒さんたちが現れました。
数えてみたらこのメソッドにして3年。

そうなんだと。
3年はかかるのだと。

2年で次の段階に入った生徒さんもいますが、この生徒さんは相当練習しています。
長時間ではなくとも、毎日練習を重ねていると3年で次の段階に入るとわかりました。

この3年で身に付いた基礎は、上級になっても使い続けるものです。

今日はレッスンを終えてしみじみと、報われた気がして嬉しい気持ちになりました。

みんな~、ありがとう!


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ピアノだって身体の使い方がある

2021年03月26日 | 重力奏法
より多くの方に、ピアノを弾く身体の使い方が存在するのだと知ってほしいと思います。

そのようなレッスンを受けてきた保護者の方に出会うことはまずないので、理解して頂くのに正直骨が折れます。

バイエルくらいでレッスンを終わってしまった方は、弾きにくさが音が難しいからと勘違いされて辞められている可能性があります。

なので、子供には音の読み方を家でも教えられればもっと先へ進めると考えられているかもしれません。

身体の使い方が分かっていれば可能になることがたくさんあるのですが、イスに座って指を動かせばピアノは弾けると勘違いされている経験者の親御さんの意識を改革することは今でも難しいことです。

ピアノを習っている子供たちの奏法がもっと変わってくれたら、もっとたくさんの人がピアノを楽しむことができるのにと今も思います。

OGPイメージ

ピアノか理系か 進路に迷った先に開けた「第3の道」

各界で活躍するクラシック愛好家の方々が、自身にとって忘れられない一曲と共に人生を語ります。今回登場するのは、ソニーコンピュータサイエンス研究...

日経ARIA

 

アレクサンダーテクニークの古屋先生の記事です。
先生が仰っている「何かができるようになることは人間の根源的な喜び」という言葉。苦悩しながらも根気強く挑み続けた者だけが得られるものです。

楽をして楽しみたいと、それをピアノに求めることは所詮不可能な話だといつも思います。少なくともレッスンを受けるには向いていないタイプです。

見たことのない景色が存在することを頑張った先にはあるのだと、生徒さんに見せたいと私は思っています。


おっ、フィギュアスケートの宇野選手。
全日本選手権の後「もっとスケート上手くなりてぇ」と思いました、と。

(世界選手権放送中です。フィギュアスケートを見るのが大好きです

これです!

結局、これです!

今日より明日、今より未来。

もっと良くなりたい、もっと理想に近付きたい、もっと納得のいく表現ができるようになりたい!

他人と比べて良い、悪いではないのです。


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なんでもなさそうで読めない

2021年03月23日 | フォルマシオン・ミュジカル
ここ2カ月ほど、できるだけ皆にしてもらっているフォルマシオン・ミュジカルの課題があります。



1⃣と4⃣です。順次進行の上行形、下行形を読むものです。
大して難しくはないだろうとあまり大事に扱っていなかった課題です。

このテキストのvol.4をしている大人の生徒さんが、なかなかスムーズにできない課題がありました。



テンポは速いのですが順次進行なので読めるだろうと思ったのですが、3週間くらい続けてもスムーズにできなかったので、最初にご紹介した画像の課題をしてもらいました。

そうしましたら、下行形のラソファミレ、ソファミレドがうまく言えないことが判明。
他の生徒さんの多くもこれがうまく言えません。下行とわかっていても口が勝手にラシと言ってしまいます。

この大人の生徒さんにはvol.1のこの課題を2か月間毎週しました。
だいぶスラスラ言えるようになったので、先週久し振りにvol.4の課題をしてもらいましたらできるようになっていました!

「前は音楽が終わっても、自分はまだこの辺を読んでいた」と曲の真ん中あたりを指さしました。「今は音楽と一緒に終われる」と。

進歩しました。おめでとう!

この生徒さん、ハ音記号がけっこう読めるのです。私よりスラスラ読めてしまいます・・
先週、ヘ音記号とテノール記号の混ざったサン・サーンスのカヴァティーネを音楽と一緒に読みました。

私はこの曲が好きで伴奏もしました。
なのに跳躍した音に付いて行けず、生徒さんの方がどんどん読めてしまうという・・・

それにしても順次進行の下行形がうまく読めないのに、跳躍した音は読めてしまうとは不思議な気がします。

生徒さんによって読譜の得手、不得手が発見でき、それを強化できる課題も満載のF.M.です。


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ギルトブルグがFingeringを!

2021年03月21日 | 楽譜の話題
なんと!ギルトブルグがヘンレ版のフィンガリングを担当したそうです。

ラフマニノフ協奏曲第2番とリスト超絶技巧練習曲です。

子供の頃のギルトブルグにとってヘンレ版は特別なものだったと。自分がこのエディションの一部になるとは当時思ってもみなかったと。

素晴らしいです!

ギルトブルグとは関係のない所でもう一つ驚きました

ヘンレライブラリーのページを見ましたら、ある女性ピアニストの写真がドンと出ておりました。
https://www.henle-library.com/de/

ワンダ・ランドフスカ。

2~3日前にこのピアニストの演奏をyoutubeで初めて聴いておりました。
モーツァルトの演奏です。ゆったりとして優しい音で、ついつい聴き入ってしまいました。

ポーランド出身で、忘れられていたチェンバロを20世紀に復活させた立役者だそうです。
チェンバリストでありピアニストでもあり。

プーランクの「田園のコンセール」は彼女の委嘱作品だそうです。

Wanda Landowska plays Mozart Sonata KV 332 in F major (1938 rec.)

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砂利道の音

2021年03月20日 | コンサート情報
こちらのウィーン在住ピアニストの方の動画、ウィーンの街や食べ物など紹介して下さっていて面白く拝見しています。



最近投稿された動画はシェーンブルン宮殿です。
観光で行かれた方も多いと思います。私も何度か行きました。コンサートも聴きました。

コンサートは30年位前ですが、シュテファン・ヴラダーのリサイタルでした。ヴラダーはまだ20代で、初めてお名前を知ったピアニストでした。

プログラムの最初がスカルラッティのソナタでした。
今でこそ日本でもスカルラッティのソナタは弾かれるようになりましたが、当時は日本のコンサートで来日演奏家でもスカルラッティを演奏することはありませんでした。日本仕様のプログラムだったのだと思います。

ヴラダーのリサイタルで初めてスカルラッティから始まるプログラムを聴きました。
私は単純にバッハじゃないんだ・・と無知さ故の珍しさを感じました。しかし、とても美しい演奏でこのピアニスト何者?と思いました。

さて、今回はスカルラッティの話しではなく、ウィーン在住ピアニストの方の動画です。

シェーンブルンの庭を歩くご夫婦の足元を見た時に、最近こんな道を歩いていないと思ったのでした。
画面ではわかりませんが、この道は細かな砂利があったと思います。

考えてみたら、都内の道はほとんどアスファルトで舗装されています。
建物の前は雪の日は絶対に滑るタイルが貼られていたりします。(これはホントに危険)

歩く足元から砂利を踏みしめる音がしたり、土の上を歩く感触、雑草でボコボコした道、晴天が続いて埃っぽい道、雨でぬれたぬかるみ。これらが都心にはほぼありません。

1日中明るい室内。不必要なくらい明るい電車内と駅構内。

人工的なものが都心には氾濫しています。
このような中で生活をしている子供たちに、人間の感覚や自然を理解してもらうことに難しさを感じることがあります。

昨年でしたか年長の生徒さんが、「これみつけた」と持って来てくれたものがあります。

白い小さな花が咲いた雑草でした。

こんな小さな花に気付いて見せてあげようと持って来たのだと思います。
「あげる」というのでもらいました。すっかりヘニャとしおれていましたが、嬉しかったです。

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カントロフのプロココンチェルト第2番

2021年03月17日 | コンサート情報
ロシアでカントロフがコンサートに出演しました。同門のドゥバルクも前日に演奏しています。

カントロフのプロコフィエフは初めて聴きました。

この曲の演奏はギルトブルグのものが好きです。静かな恐怖がゾッとさせます。

さて、カントロフ。
初めのうちは物足りなさを感じておりました。それが次第に別の景色が見えてきて惹きつけられていきました。

地球が滅んだあとのような景色でした。諧謔性があり、「だから言ったでしょ」と冷ややかに言われているようで、人類の愚かさを見せられているようでした。

当たり前の感性ではたどり着けない世界が繰り広げられていきました。

カントロフの独特な感覚。
毒性があってまた聴きたいと思わせてしまいます。

LIVE: Александр Канторов (фортепиано), РНМСО, Александр Лазарев || Alexandre Kantorow (piano), RNYSO
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親切と真実

2021年03月16日 | 書籍紹介
こちらは海外の先生の投稿から知った記事です。

OGPイメージ

Kindly speaking the truth

Canadian piano teacher and music examiner Amy Boyes lives in Ottawa wh...

Melanie Spanswick

 

英語なので正確に理解しているとは言いがたいのですが、生徒を褒めることと真実を伝えることのバランスの難しさを書かれています。

真実を伝えないことが本当に優しさなのか。
気を使って慎重に選んだ言葉が、これまでの努力で十分だと生徒に誤解を与えてしまったと。

この記事を読んだピアノ指導者が、バランスを見つけることは難しいけれど、質の良い練習法を伝えて生徒たちが自己分析できるようにすること、そして指導者の最終目標は生徒が自発的に練習すること、と。

After all, the ultimate goal in teaching our students is to work ourselves out of a job!


ピアノ指導者が書いたこちらの言葉も印象に残りました。私たちの役目はこういうことかなと思いました。

I touch the future, I teach.” We never know just what kind of influence we will have in our students’ lives.

私が出会った音楽以外の先生でも、教えることへの情熱、学問への情熱が伝わってきた先生方がいらっしゃいます。
今でも思い出すと、私も失ってはいけないと思わせてくれます。

未来の私の心に過去の先生が触れていたのです。

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あら、嬉しい

2021年03月15日 | 楽譜の話題
2日前、発表会がありました。
この日は大雨で、しかも会場が世田谷区のホール。

この日都内で最も降雨量が多かったのが世田谷区。
ホールを出ると雷と凄まじい雨・・

風圧さえ感じる雨の量にひるみましたが、この日はこの後江戸川区に移動してレッスンをしなければならず、電車が遅れるかもしれないし、ひるんでいる場合ではないと駅に向かいました。

発表会は、コロナ禍なので希望者のみで、しかも土曜日開催でしたので学校がある生徒さんもいて参加者は4人のみ。

昨年は急に発表会が無くなってしまった生徒さんたちでしたので、大雨だろうが無事にこの日を迎えられて良かったです。

さて、移動先の江戸川区の生徒さん。
この日は半分の生徒さんだけレッスンをして、残りの生徒さんは翌週にレッスンをします。

レッスンの開始時間までに移動できるかが気になっていて、いつも大人の生徒さんに使っているフォルマシオン・ミュジカルのテキストを持ってくるのを忘れていました。

テキストを忘れたことにしばらく気付きもしませんでした・・

到着して一息つき、時間があったので練習でもするかと弾き始めた時に「あっ、忘れた」とやっと気付きました。

困った、あの生徒さんはピアノの曲だけではもたない・・
45分レッスンの大人の生徒さんです。

タブレットは持っていたので、なにか初見で使えるものはあるか探しました。30分くらいあれこれ弾いて探したものの見つからず・・

そして最後にあったのが、グネーシナの「ピアノのABC」

おっ、こういう発音練習をしていないので、案外いい機会かもと思いそれに決めました。

その大人の生徒さんは中学2年生からレッスンをしています。他の教室から移動してきた生徒さんでした。男の子です。

頭脳明晰ですが、基本的に練習はしてきません。
12年位レッスンしていますが、ずっとそうです。しかし、音が綺麗で初見が利きます。
自分で弾きたい曲は家で弾いているようで、年に3~4曲聴かせてもらっています。

趣味で好きな曲が一人で弾けるのであれば、それで十分かと思い基本テクニックも一切やらずにきました。

さてさて、「外国語に発音の仕方があるように、スタッカートやアクセント、スラー、テヌートというのは音楽の発音記号のようなもの。ピアノではそれを手首、肘、肩を使って発音する」と話しました。

発音の仕方を覚える楽譜があると言って、見てもらいました。

スタッカートとノンレガートの弾き方を説明して、2曲だけ弾いてもらいました。

「面白いですね」と言ってくれました。

左右で異なる動きが必要で、結構頭を使います。

「全部で50曲あるけど、こういうのやってみる?」と訊きましたら

「はい」と。

全く予定しておりませんでしたが、その生徒さんにグネーシナを使うことになりました。

フォルマシオン・ミュジカルも最初の頃はピアノ以外の楽器の音をほぼ知らない生徒さんでした。
それが今ではいくつか重なった音でも何の楽器で演奏しているかわかるようになっています。

ということは、音楽が立体的に聞こえる耳が作られたということです。

さぁ、今度はピアノで異なる発音の組み合わせを弾き分けられる技術を身に付けてもらいます。
技術というより脳トレでしょうか・・

私にとっては、脳トレ。

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歌手の声と同じ

2021年03月14日 | 重力奏法
上原彩子さんがヴェラ先生に「ピアニストの音は歌手にとっての声と同じなので、とても大切にしなければいけない」と毎回言われていたお話が印象に残っています。

曲について細かく教えていただけることも有難いですが、このようにこれだけは失ってはいけないと思えることを残してくれる教えは宝です。

教える側は何度も口にすることを躊躇する時があるかもしれません。
言わなくとももう分っているだろうとか、何度も言われると嫌になるだろうとか・・

きっと上原さんには受け入れる素直さ、謙虚さが備わっていたのだと思います。

上原さんのお話を聞いてから、生徒さんのレッスンで「ピアノの音は歌う人にとっての声と同じ」とマネさせていただいております。

「きれいな声の方がいいよね」と言うと、大抵の生徒さんは綺麗な音で弾こうとします。

ピアノの音を生徒さんの声と思って聞くと、それがその生徒さんの持つ本当の声なのか、それとも磨くことができるのかどちらなのだろう・・と考えてしまいます。

自分の声ではないデジタル楽器はボーカロイドと同じなのですが、それが好きな人も存在するわけです・・

ダイヤモンドが美しいのは知っているけれど、プラスチックでも綺麗だと感じれば、それが自分に似合っていると思えばそれで良いと話した生徒さんがいます。

音に対してそう考えたことがなかったので、好みや価値観は人によって随分異なるし、時代によっても変わるのだろうと思いました。

ただ、揺らいではその価値を失ってしまうものが古くからの芸術には存在することも確かです。

日本の古典芸能が話を現代のものに合わせたとしても、発声や身のこなしまで変えてしまったらそれは古典芸能ではなくなります。

未来の人たちに残すもの。自分は何を残したいのだろうと考え始めました。
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上原彩子さんが語るゴルノスタエヴァ先生

2021年03月12日 | 重力奏法
良い話です。
子供の頃に受けた教育がいかに大事か。

ヴェラ先生が上原さんに、将来必ずピアノを教えなさいと仰った話を何かで読んだことがあります。

上原さん自身のさらなる成長と共に、次の世代にヴェラ先生の教えが熟成して受け継がれて行くのだろうと感慨深くなります。


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バシキロフ氏のレッスンを見て

2021年03月11日 | 重力奏法
バシキロフ氏が子供にレッスンをしている動画を昨日、氏を偲ぶ気持ちもありご紹介しました。

改めて何度も見直してしまいました。

生徒さんにご自身の手首、肘、肩を持ってもらったり、生徒さんの肩の上で弾いてタッチを伝えたり、歌いながらどう歌っているか、どう歌ってほしいかたくさん伝えていらっしゃいます。

私のようにロシア語が分からなくとも、何を伝えようとしているかわかるところがたくさんあります。

レッスンの内容は素晴らしいものだと思いますが、生徒さんにも感心しました。

ちょっと弾いては「Нет」と手を取って止められ、生徒さんはちゃんと変化しているのですが、バシキロフ氏の耳には足りないようで何度もやり直していました。

日本の子なら泣いてるな‥と思いました。
子供じゃなくても泣くな・・
私も泣くかも・・

受講している生徒さんは当たり前のように挑んでいます。

ロシア人のメンタルの強さはスポーツでもよく見られますが、子供だからこのくらいで良いではない、より洗練された芸術、より本物を目指す信念。当たり前のこと。

全ては先生のためでも親のためでもなく、自分がそうしたいから。

日本では、10歳を過ぎても子供の自立を親が阻む傾向があると感じています。
おそらく親御さんにそのような自覚はなく、子供がつらい思いをしないようにと守っているのだと思います。

ピアノレッスンは上手くいかないことの連続と言っても良い習い事で、どんなに楽しく気楽にレッスンしたいと思っても、実際は上手くいかないことやできないことに何度も直面します。

自分に向き合うことが多くなるので、その分精神的な自立が早い気がします。

親や友人は慰めてはくれますが、自分を立て直すのは結局は自分自身です。

自信は、頑張った、勇気を出した、根気強く取り組んだといったものの先に培われていくものだと思います。それが自立への道です。

楽しいだけではそれは残念ながら得られません。
ピアノ指導者は生徒さんが自信を持てるようにサポートしています。

ピアノを教え始めた37年前から私がずっと望んでいることは、生徒さんが自立してくれることです。

Dmitry Bashkirov's master class (piano). 1/2

1:59~てっきり書くものを探していらっしゃるのかと・・
21:00~ここから特に見所満載
26:58~どなたか訳して下さい。客席に向かってお話されています
31:26~どなたか訳を~
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ドミトリー・バシキロフ

2021年03月10日 | コンサート情報
先程マスレエフの投稿で知ったのですが、バシキロフが亡くなったそうです。

情熱あるレッスンは、各国のマスタークラスを受けた生徒さんたちの中に強く残っていると思います。

あるインターナショナルサマーアカデミーを受講した時、バシキロフ氏のレッスンは聴講生で常に溢れていました。

たまたま部屋の屋外側の窓のそばを通った時に、バシキロフ氏の声が聞こえてきたことがありました。

大きな声で、

「Nein! Nein!」

何を「違う」と言っているのかと暫くそばで聞いておりましたが、よっぽど怒っていらしたのか「Nein!」しか仰らず、何の曲をレッスンしているかさえわかりませんでした。

一音弾くたびに「Nein!」
同じ音しか聞こえず全く先に進まない様子でしたので、諦めてその場を去りました。

別の日はご機嫌だったのか、窓のそばを通りかかった時にシューマンの幻想曲第2楽章が聞こえてきました。その時は笑顔でお話しされているのだろうというお声が聞こえてきました。

大きな声でなければ外までは何を話されているかはわからなかったので、どんなこと仰っているのだろう・・と残念な気持ちでその場を去りました。


バシキロフとはその程度の思い出しかないのですが、外に聞こえてきたあのお声の感じから音楽への情熱をしっかりと感じました。

訃報を知り、やはり悲しかったです。

グネーシンの生徒さんのレッスンです。2017年10月に行われたマスタークラスのようです。

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反抗期だった?

2021年03月04日 | レッスン
最近ふと、「もしや」と思ったことがあります。

きっかけは、小学4年生の女の子です。

「何度も同じことを言われるのが嫌だ」と。それも私に直接ではなく、お母様からスタッフへ、そして私へと届いた言葉でした。

同じことを言われているのは、出来ていないからであろうことは想像できると思うのですが、それでもそのように言ったには何かある・・

言う方の私も、理解できていないのかとか、やろうとしているけれどうまくできないのかとか、しかしその曲には必須だからと思って言い続けています。言い続けても力の限界なのだろう、気の毒だと思ったら、いくら私でもその段階で言わなくなります。

出来ると信じているから伝えているんだけど・・


それで、ふと「あっ」と思ったことが・・

『反抗期』

小学4~5年生の女の子で時々あります、ピアノの先生への反抗期。

指摘しても直そうとしなくなり、通じていないのかと繰り返し説明し、それでも直そうとする気配さえなく、バトルへ。

挨拶もせずに「プイッ」とそっぽを向いて帰ること、しばしば。
挨拶はしても無表情で「さようなら」という子もいます。

やがて私が指摘することをやめ、ほったらかし状態へと移行していきます。

放っておく内に今日は大丈夫かと思い指摘すると、またバトル。

もうホントに放っておこうと決意。

空しい思いを抱えたまま1年以上過ぎると、急に態度が変わってきます。

その時期が大体、小6の夏を過ぎた頃。

現在、ちょうどその経過をたどった小6の生徒さんが2人います。
今は穏やかな日々を過ごしております。

その4年生の生徒さんも、もしかしたらそうかなと思いました。
ただ、彼女の場合は私に直接ぶつけずお母様を経由しています。おそらくこれでは彼女の気が晴れることはないと思います。残念ながらピアノレッスンは辞めることになりました。

子供が成長していく過程には色々とあるものです。
親御さんがいちいち反応していると強くなれないことが多いと感じます。

反抗期はあった方が良いです。
ないまま育ち、大変なことになった生徒さんに出会ったことがあります。

人の心は何度も折れます。
折れても立ち直って行くことができるように、自分で何とかする強さを様々な経験から身に付けていくのです。

自我が芽生えてきたら、本人にちゃんと闘わせてほしい。

ピアノのレッスンは、身近な大人とバトルもできるし、家族とバトルをしている子供には心を静める場にもなるし、親に言えないことを話せる身近な大人がいる場でもあるので、好きなように使って、もうレッスンがなくてもやっていけると巣立ってくれると、私はそれが一番嬉しかったりします。


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