A Thousand Splendid Suns 価格:¥ 1,303(税込) 発売日:2008-11-25 |
Part 2にはBabiの味わい深いセリフがたくさんありましたので、整理します。
Laila, my love, the only enemy an Afhgan cannot defeat is himself.
アフガンが打ち勝つ事のできない唯一の敵は、自分自身だ。
男と限定している所が面白いセリフです。
確かに、ここまで出てきた大人の男性キャラ、Jalil、Rasheed、Babi、皆それぞれ、自分に打ち勝てないキャラでございます。(笑)
せっかく力を合わせてソ連と戦っても、戦いが終わるとすぐ民族同士の争いに入ってしまう男達、9.11後の戦争後、国を再建するチャンスを与えられたのに、10年近く経っても未だ安全に渡航する事すらできない現状。早く自分自身に打ち勝ってよ、と、作者の願いが感じられます。
You see, some things I can teach you.
Some you learn from books.
But there are things that, well, you just have to see and feel.
今は亡きバーミヤンの大仏の頭の上から、広大な景色を眺めながらのセリフでした。
元々教師だったBabiは、たくさん教える事もできるし、成績優秀な娘Lailaは、自分で本を読んで勉強する事ができます。バーミヤンの大仏については、現在でも自分で調べたり、何がしかのビデオを見たりして、勉強する事は可能です。でも、その壮大さは、実際そこへ行って、自分の体を使って登り、景色を眺めて体験しないとわからないという事です。今にして思えば、それを体験できたという事は、羨ましいですよね。
またバーミヤンの大仏と限らず、人に聞いたり本などでいくら知識を得ていても、……えーと、seeにはいろいろな意味があります。見る、観る、会う、理解する、またfeelにも、感じる、興味を抱く、探す、同情する、触る、等複数の意味がありますね。つまり、実際に、それだけいろいろな事をしてみないと、わからない物がたくさんあるという事です。実生活にも応用できる、非常に深いセリフですね。
今後、Lailaはいろいろな経験を積んで、いろいろ理解していかなくてはならないという事が暗示されているようです。
One could not count the moons that shimmer on her roofs
And the thousand splendid suns that hide behind her walls
Babiのセリフというよりは、17世紀の詩から引用された言葉ですね。元々は、カブールという都の美しさを讃える詩です。もしかすると、当時の家々の屋根には、風見鶏ならぬ月が飾られていたのかもしれないし、壁には太陽がたくさん描かれていたのかもしれないですね。
しかし、Babiがこの2行を引用した時、彼は家族でカブールを去る為に、2日かけて荷物整理していた最中でした。きっと捨てがたい思い出がたくさん詰まっていたのでしょう。、彼の言うmoonsやsunsは、家の装飾(だけ)ではなく、それぞれの家にある、家族の宝物を指していたのだと思います。
前の記事にも書いたように、この詩は本のタイトルその物を含んでいるので、またまた違う意味に使われるはずです。乞うご期待、ですね。