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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

Slaughterhouse Five 9

2010-12-04 10:51:07 | BookClub
Slaughterhouse-FiveSlaughterhouse-Five
価格:¥ 636(税込)
発売日:1991-11-03

バレンシアは飛行機事故の一報を聞いて、急いで駆けつけようと車を飛ばします。お父さんも一緒の飛行機にいたはずと思いますが、生存者であるビリーの方をより心配していたんだねぇ。ところが、途中でベンツに追突され、マフラーと排気システムが壊れてしまいます。

バレンシアは、構わず車を飛ばし続け、ようやくビリーのいる病院にものすごい騒音と共に(^^;)たどり着いたのですが、到着と同時に昏睡状態で、亡くなってしまいます。一酸化炭素中毒でした。

何も知らないビリーはタイムトラベルしたり、いろいろブツブツ。同室にハーバードの歴史の教授Bertram Copeland Rumfoordがいました。Rumfoordは70才でしたが、年齢の半分の心と体を持つ人。(Vonnegutさん曰く)、5番目の妻との新婚旅行中、スキーで足を折って入院していたのだそうです。23才の新妻はリリーといいます。リリーはビリーを恐ろしがっていましたが、歴史学者Rumfoordは、ビリーの譫言は戦争に関する物と認識、冷静に観察してます。

Rumfoordはルーズベルト大統領の言葉を引用:I could carve a better man out of a banana.
バナナという言葉には、白人の生活様式を真似する(肌の黄色い)アジア人という意味の隠語があります。

お~っとバナナひょっとして、と思ったら、やっぱり次は日本の話。Rumfoordはリリーに、ヒロシマの原爆に関する本を読むよう言っていたのですが、リリーがまだ読んでないと言うと、早速読ませます。面倒くさいので(^^;)、詳しくは書きませんが、まあ、ドイツに先を越されなくてよかったぁ~というような内容です。(汗)

またリリーはドレスデンについての本も読まされました。Rumfoordがこだわったのは、彼の友人が書いたレビュー。

C.Eaker氏の意見:
「我々の勇敢な仲間を殺した国の奴らに、なんでイギリス人やアメリカ人が哀悼の意を表するのか、全くもってわけわからん。」

「アービング氏(この本の著者)がドレスデンで起きたとかいう恐ろしい出来事を書いている間に、イギリスでは女子供が殺されてるんだよぉ。」

「そりゃあイギリスとアメリカの爆撃機が13万5千の人が殺したってのは、まあ、気の毒だけどさぁ、誰がこの戦争始めたんだっつの。ナチを壊滅させるために、500万失った事の方が超~ぜ~んぜんぜん大事でしょ」

また空軍元帥Saundy氏は
「ドレスデンで起きた事は間違いなく悲劇である。しかしこれは必要な事だ。戦争では時々いろいろな偶然が重なってこういう事が起こり得る。これを承諾した者は邪悪でも残忍でもないのだ。核兵器廃絶支持者は、核を使わなければ戦争はもっと我慢できる、まともな物にになると信じているようだが、この本を読めばおわかりだろう。ドレスデンでは伝統的な武器で135,000人、1945年3月の東京では83,793人だ。ヒロシマの原爆では71,319人だ。」

ビリーひそかに白いシーツの陰で、「Wild Bobを訪ねろ」とつぶやきます。

バーバラが「お父さん、お父さん」と呼びかけますが、ビリーは1958年、若いモンゴル人男性に眼鏡を合わせている所、…そして、ビリーは16才のある日、病院の待合室で、お腹のガスに悩む老人に会います。老人はつぶやきます。「年取ると調子悪くなるとわかっていたんだが…」彼は頭を振り「こう悪くなるとは思わなんだ。」

ビリーはバーモントの病院で目覚めます。(しかし彼はどこにいるか知らない)目の前には、グリーンベレーの制服を着た息子ロバート。ロバートはきりっとした短髪の立派な若者に成長しました。でもハイスクールは中退、16才でアル中、悪い連中と付き合い、墓石をひっくり返して逮捕されてました。

ビリーはバレンシアの葬儀の時はまだ具合が悪く、欠席しなくてはなりませんでした。周りはビリーは植物人間になったと思っていました。

ビリーは、Rumfoord教授がリリーに恐ろしい事を言っているのを聞きます。「彼はもう脳味噌がないだろう、何故死なせないんだ_?」「知らない」「もう人間じゃないんだぞ。医者ってのは、人間の為にいるものだろう。あいつは獣医か木の医者にでも看させりゃいい。彼らの方が手だてがあるだろ。見ろ、これが命だ。医学的にな。素晴らしいと思わんかね。」「わからないわ。」

Rumfoordはドレスデンの爆撃について語り始めます。ビリー、しっかり聞きます。Rumfoordの「第2次大戦陸空軍ものがたり」にはある問題がありました。ドレスデン爆撃は、アメリカ人にとっては秘密だったのです。ドイツ人とそこに駐留するロシア人にとっては秘密でも何でもなかったけどね。

23年後になって「アメリカ人はようやくドレスデンについて知る事ができた。」と彼は語ります。「ヒロシマの何倍ひどかった事かようやくわかったんだ。それで私は空軍の立場から一言書く事にした。新作だ。」
リリー「何故そんなに長い間秘密にされたの?」
R「たくさんの苦しい心を持った人達が素晴らしい事と思わないと思われたからだ。」

ここでビリー、突然しっかりと喋り出します。「そこにいました。」

Rumfoordはにわかにビリーを受け入れ難い様子。
R「奴は今なんて言った?」
リリーが通訳
L「彼はそこにいたそうよ。」
R「どこだって?」
L「知らないわ、どこにいたんですか?」
B「ドレスデン」
L「ドレスデンだそうよ」
R「奴はただのecholaliaなのさ。」

もちろんビリーはEcholaliaなどではありません。Rumfoordが軍隊的思考(消えて欲しい奴はおかしな病気にかかる)をしているだけの事。彼は医師や看護士に告げ口しますが、もちろん病気は確認されず「君たちが出ていくと症状が出るんだ」とぼやきます。医師達はRumfoordを、ただの頑固爺と思います。

ビリーは暗くなってから「私はドレスデンにいました」とまたRumfoordに言います。Rumfoordは苛立ちを隠さず「語り合わなければいかんのか」「いやその必要はありません。知って欲しいだけです。」

第2次大戦後2日後、ビリーは彼は5人の仲間と共に、瓦礫の町で見つけた馬車で食肉処理場へおみやげを探しに行きます。(戦勝国にはおみやげは当然? ウチは敗戦国なので知らなかったな(汗))5月の日差しは柔らかく、ビリーの人生で数少ない幸せの瞬間だったそうです。

ビリーはヨーロッパ戦線に出て初めて「武装」しました。いやその時期でも、誰が襲ってくるかわからないというのが仲間の意見。ベルトには第1次大戦の遺物の大きな銃。コマドリの卵ほどの弾丸が充填されていました。

ふと気が付くと、ドイツ人の夫婦が馬車馬を労っています。実は、馬達は口から血を流し、蹄が割れてました。米国兵はそれに気付かず、まるでシボレーのように平然と馬を扱っていたのでした。夫婦は米国兵を全く恐れる様子もなし。実は2人共産婦人科医で、燃え盛る病院で最後まで赤ん坊を取り上げていたのでした。

ビリーは彼らに何か用ですかと尋ねると、彼らはビリーを睨み、降りてきて馬を見なさい、と、言います。初めて馬の状態をしったビリー、思わず、涙が溢れます。戦争の他のシーンでは泣いた事のないビリーですが、これだけはこたえました。


その後の人生で、ビリーは密かに忍び泣く事はあっても、声を上げて大泣きする事はありませんでした。ただ、それだけ泣いても構わない位の出来事にはたくさん遭遇しているのですけどね。

というわけで、本の題辞にはこの有名な賛美歌の一節がついているわけです。

牛達が鳴いている
その赤子は生まれる
しかし小さなキリストは
泣かなかった

さて、ビリーと医者夫婦は、馬達のハーネスをはずしましたが、傷があまりに深く、彼らは結局動けませんでした。
ロシア人が米国兵を逮捕し、彼らはRucretia A.Mottという名前の貨物船で国元へ返されました。

Rumfoordは「それはやらなくてはいけなかったのだ。任務を負った男はかわいそうだと思う。」ビリー「わかってます。」

#Rumfoordの意見は今も変わらずアメリカ人の一般的な意見よね。しかし同じアメリカ人で被害を受けた人に対してもそう言っているのね。

「すべての人は為すべき事をします。Tralfamadoreで教わりました。」

そろそろ終盤だし、新しい本を読みたい(笑)ので、ちょっと急いで読みます……

ビリーは娘に地下室に「監禁」されますが、抜け出してNYへ。本屋でKilgore Troutの本を見つけます。内容はタイムマシンでキリストの時代を旅した男の話。何故か彼は聴診器を手放さず、キリストが十字架から降ろされた時、「診察」してます。レジでお金を払おうとした時、若い女性向けの週刊誌に踊る「Montana Wildhackはどこへ?」の見出しに目が行きます。ビリー的には、彼女はTralfamadoreで子供を育てているはず、ですが、週刊誌には、San Pedro Bayにセメント漬けにされて沈んでいる、と、書かれてました(汗)


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