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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Joy Luck Club : Ying-ying St.Clair - The Moon Lady

2013-06-16 11:46:54 | BookClub
The Joy Luck ClubThe Joy Luck Club
価格:¥ 1,639(税込)
発売日:2006-09-21

ちょっと甘えん坊なAn-meiおばさん、しっかり者のLinおばさんに続き、優しいけれどどこかミステリアスなYing-yingおばさんのお話をきいてみましょう。中秋節に人々の願いを聞いてくれるMoon Ladyとは、翻訳するとしたら、かぐや姫かな。

私はずっと口をつぐんできたから、娘は何も聞かない。私はずっと本当の事を隠してきた。だから娘は私を見ない。彼女が見るのは買い物リスト、小切手が債務超過になってないか、灰皿台が曲がってないかどうかだけ。でもこれは言いたい。今私たちは路頭に迷っている。お互いに見ない、聞かない、誰も知らない。

私は1度に全てを失ったのではない。痛みを取る為に顔を洗い、石を水で磨くように、少しずつ失ってきたのだ。しかし今日ようやく思い出した。小さい時に、走り回って叫んだ事、Moon Ladyに秘密の願いを告げた事。

1918年、4歳の時、中秋節がやって来た。その年Wushiは異常に暑く、秋になっても朝晩の涼しさが来なかった。そのため、いつまでも悪臭がこもり、屋外では何かを燃やしたような臭いもしていた。何の臭い?とAmah(乳母)に尋ねると「昨日も言いましたよ」と言って私を起こして立たせる

で、ようやく昨日の朝聞いた事を思い出す。「5つの邪悪を燃やしているのね」窓の外を見ると、緑色のとぐろを巻いた蛇のようなものが、黄色い煙を出していた。緑のとぐろは、以前見た時は、5つの邪悪、水蛇、サソリ、ムカデ、クモ、トカゲで飾られていた。これらの5つの動物に噛まれると、小さい子供は死ぬ事もあるのだ。実は緑のとぐろは蚊取り線香だったという事を後で知った。

この日、Amahはいつもの服ではなく黄色の重い上着と黒の縁取りのスカートを着せた。「今日は遊びに行く時間はありません。奥様がお嬢様のために月祭り用の新しい虎の服を作りました。」Amahは私にズボンを着せながら「今日はとっても大事な日ですよ。お嬢様はもう大きいので、儀式に出なくてはいけません」
「何の儀式?」
「正しく振る舞えば罰は与えられませんよ」
「何の罰?」
「質問が多すぎますよ!理解する必要はありません。ただ正しく振る舞えば良いのです。お母様に従いなさい。香を焚いて月に祈りなさい。頭を下げなさい。私に恥をかかせないで下さい、Ying-ying。」
ふくれっ面でお辞儀をする。そう言えば今着ている服の袖、刺繍、ボタンは、皆母が作っていた。

親類達が月祭りのために集まってきていた。暑いと文句を言う声が聞こえる。
Amahが私の髪を櫛でとかそうとしたので、椅子から転げ落ちるふりをする。「ちゃんと立ちなさい!」と叫ぶAmah。ふざけて転げようとするとAmahは素早く髪を編み込んでまとめる。髪の毛が引っ張られてかなり痛い。一体こんな痛い目に遭って今日の祭りはそれに値するのか?
「かわいいですよ」しかめっ面の私にAmahは言う。
「誰が来るの?」
「家族全員ですよ。私たちはTai湖に行って、そこでボートと有名なシェフを借ります。今晩はMoon Ladyがいますよ。」
Moon Ladyと聞いて大興奮。「誰がMoon Ladyになるの?」
「Chan-oという人ですよ。彼女は月に住んでいて、今日だけ会う事ができるのです。そして秘密の望みを実現するのです。」
「秘密の望みって?」
「お嬢様の望みです。でもお願いする事はできないのですよ。」
「なぜお願いできないの?」
「お願いしたら、望みはただの自分勝手なお願いになるのですよ。言いませんでしたか? 自分勝手な事を望むのは間違いだって。女の子はお願いはできません。聞くだけです。」
「ではMoon Ladyはどうして私の望みを知る事ができるの?」
「質問が多すぎます! お嬢様はMoon Ladyに頼む事ができるのです。普通の人ではないのだから。」
「じゃあこんな窮屈な服を着なくて済むようお願いするわ」
「説明しましたよね?! 私に言ってしまいましたね。もうそれは秘密の望みではありませんよ!」

朝食の間、誰も湖に急ごうとはせず、うだうだ話ばっかり。ちょっと心配になってきた。父やおじさん達は古い詩談義。母はおばさん達にハーブや虫から香油を作る方法を話していた。1つ終わると、トピックがどんどん変わっていくので、もうがっかり。Amahが気づいて月餅をくれた。うさぎの月餅はボートの事を忘れさせてくれた。腹違いの妹達(2番、3番)としばらく中庭で遊ぶ事を許される。石の椅子に座り、うさぎの月餅を妹達に分けてあげる。でも、餡の入ってない両耳。

急にトンボを見つけて追いかけ始める。妹達も付いてくる。するとAmahが呼ぶ声。2番と3番はそのまま走り去った。Amahは服装の乱れに大慌て、だけど、母はにこにこしながら近づく。
「男の子ならトンボを追いかけてよいけど、あなたは女の子だからおとなしくしてなさい。じっとしてれば、トンボは見なくなるのよ。そしてあなたのそばに来て、あなたの影の中に落ち着くの。」
母の取り巻きもその意見に賛成。私は中庭に1人取り残された。
自分の影を見ながら、いろいろ試す。竹のマットではがしてみようとするが影はマットの下、地面の上、影の頭の良さに思わず感動の叫び声。

すっかり影と親しんでいると、Amahの呼ぶ声。湖に行きますよ、用意はいいですか?走って近づく私に、ゆっくり、ゆっくりとAmahの声。家族は皆外で準備万端。皆おしゃれをしていた。父は茶色のガウン、母は私とちょうど反対にアレンジされた色のジャケットとスカート。腹違いの妹達はバラ色のチュニック。母親達すなわち父の愛人達も同じ色。兄はブッダの刺繍のついた青い服。年輩の女性達も1番良い服を着ていた。

召使い達は人力車にちまきやお茶用の熱い湯やくだものや干し肉を入れたバスケットをスタンバイ。皆が人力車に乗り込むと、私はAmahの横をすり抜け母の人力車へ。これはAmahに大して良くない態度だ。何故ならAmahは自分自身の子供より私の事を愛しているのだ。彼女は夫が亡くなり自身の息子を人に預けてうちに乳母として入った。彼女は決して自分の本当の想いを言ってくれなかった。だから私はAmahを単に慰めのためにそこにいる人だと思っていた。

湖に着いたけど涼しくないのでがっかり。人力車引きは皆汗びっしょり。船は水に浮かぶ茶室のよう。船上にはうちの中庭にあるのより大きなオープンテントのような建物があった。赤い柱が幾つも立ち、尖った屋根があり、その後ろには丸い窓付きのガーデンハウスのようなものがあった。乗り込む時Amahは私の手をしっかり握っていたが、デッキに降りると2番、3番と一緒に人々を押し退けて走り回る。妹達とベンチやテーブルに触り、飾りから顔を出したりしているうちに。もっとおもしろいものを見つけた。

ガーデンハウスに通じるドアを開ける。もう一方のドアの向こうでは台所に人が見える。大きなナイフを持ったおじさんに声をかけられ、恥ずかしそうに笑って後ずさり。船の後方には貧しく見える人達がいた。お父さんはストーブに木片を入れ、お母さんは野菜を切っている。息子達は水面に糸をたらしていたが、彼らは私達に全く気づかない。

前方に戻るとちょうど出航で、母や女性達はベンチに座って仰ぎながら蚊を追い払っている。父と男性達はレールに寄って何やら真剣に話していた。兄と男子は竹ざおを見つけ、水面に突っ込み、漕ぐ真似をしていた。召使いはお湯を沸かしながら銀杏をあぶって昼食の準備。

Tai Lakeは中国で1番大きな湖だが当日は船で一杯。人々の大きな声が聞こえてきたので、やっと始まった!と思ってテントに行くと、叔父さん叔母さん達が踊るエビを箸で掴もうと大騒ぎ。しかし騒ぎはすぐ鎮まる。後はいつもと同じ午後。Amahに促されてお昼寝。
目覚めた時、Amahはまだ寝ていた。そこで船の後方へ行く事に。
先ほどの貧しい少年達が鵜を使って漁をしているのを1時間ほど眺めた。それだけでも十分だったけど、まるで良い夢を見ているかのようにそこに留まる。すると仏頂面の女性が魚をさばいていた。細いナイフで魚のお腹を割いて内蔵を取り出して、湖に投げ捨てていた。彼女は鱗を落とす。まるでガラスのかけらのようだった。そして、鶏や亀の首を切り落としてさばく

ここで私は気付いた。服に血のシミや鱗が鶏の羽根や泥がついている。で、何を思ったか、器に入っていた亀の血を腕、ズボンになすりつけた。こうすればシミが消えると思ったのだ。Amahは血みどろの亡霊のような私を見つけて驚き、体をチェック。大丈夫な事を確認すると今まで聞いた事のない、恐ろしい名前でわたしを呼ぶ、服を脱がせる、聞いたことのない恐ろしい言葉を使って何か臭いがすると言う。「お母様は私共々追い出します。昆明に送られます。」と、悲しげに言う。昆明は、行った事はないけれど、遠くて、森ばかりで、猿が支配する所と聞いた事がある。

Amahは下着と虎のスリッパ姿で泣いている私をそのまま船尾に置いて立ち去る。母に来て叱って欲しかったが、来ない。妹達が覗いているが指差して笑うだけ。

やがて夕食が始まった。お腹が空く。船尾で足を投げ出して座っている自分の姿が水に映る。夜なのにやけに明るい。その時私はMoon Ladyを見た!しかし、他の人達も見たに違いない。私は湖に落ちてしまった。すぐ怖くなり、Amahを呼ぶ。すると、釣り船に魚と一緒に捕まる…
「小さいな、捨ててしまおうか、金になるかな」。こういう人達は知ってる。街で見かけるとAmahはいつも私の目をふさぐ。…その時、女性の声、「やめな!おどかすんじゃない!」そして私に「気にするな。怖がらなくていい。どこの船から来た?指差してみな。」私はテント付きの船を見つけて「あれよ!」と言う。女性は船の客に向かって「あんた方! 女の子が湖に落ちてない?!」と声をかける。私はAmahや父の姿を探すが、赤い顔した知らない人ばかり。皆笑っている。すると女の子が出てきて「私はここにいるわよ!あの娘は私じゃない!」人々は笑いながら消えた。

「こいつ乞食の娘じゃあ?」という男に「ばかおっしゃい。肌を見な。白いだろ?足の裏も柔らかい」と女性は言う。彼らは私を港に降ろした。

港で人々の声。聞いているとMoon Ladyが現れて悲しい話をすると言う。見に行く。すると美しい女性が、話を始めた。「私は月の住人。夫は太陽の射手。私たちは年に1度この日にしか会えないの。」すると男が現れる。男は彼女に気づいてないようだった。女性は倒れこむ。夫は9つの太陽を射る。すると彼女は幸せそうに歌い始め、箱を掲げる。中には太陽の子供!…ではなく、桃が入っていた。夫が桃を箱に隠すと立ち去る。彼女は急いでそれを食べた。再び悲しい音楽が鳴る。彼女はまた「自分勝手な」望みを持ち続ける運命なのだ。。。

ステージが終わると、若い男が寄付を募る。誰もMoon Ladyは気にしない。私は必死でMoon Ladyに駆け寄り、お願いを口にした。Moon Ladyは私を見た。そして、男の姿に変わった。

長い間、私は何をお願いしたのか忘れていたの。後で結局家族に見つかったけれど、彼らが同じ少女を見つけたとは信じなかった。長い年月が過ぎ、ようやく、全てを思い出した。私は、Moon Ladyに「見つかりますように!」とお願いしたのだった。


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